先に結論
- 失業保険(雇用保険の基本手当)の1日分は、離職前6か月の賃金(賞与を除く)から出す賃金日額の50〜80%です。60〜64歳は45〜80%。賃金が低いほど率が高くなります
- 2026年8月1日からの上限額は、離職時の年齢で7,450円〜9,110円、下限額は2,562円です。毎年8月1日に改定されます
- 何日分もらえるかは90日〜360日。離職理由・年齢・雇用保険に入っていた期間で決まります。自己都合(正当な理由なし)は90日・120日・150日の3段階だけです
- 支給の対象になるのは、ハローワークで受給資格の決定を受けてから待期7日のあと。正当な理由のない自己都合なら、そのあと原則1か月の給付制限があります(2025年4月1日以降の離職の場合)
- ただし、5年間に正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けている人と、重責解雇の人は給付制限が3か月です
- 受け取れるのは原則離職日の翌日から1年間。申し込みが遅れると、日数が残っていても打ち切られます
- 基本手当に所得税はかかりません。配偶者控除の判定にも入りません。ただし健康保険の扶養の判定では収入に数えます
退職を考えはじめると、最初に気になるのは「次の仕事が決まるまで、いくら入ってくるのか」です。
家を建てる前後の人にとっては、もっと切実です。住宅ローンの返済は、仕事が途切れても止まりません。失業保険でいくら・いつから・何日分入るのかは、返済計画を考えるときの床にあたる数字です。
この記事は、その3つを一次情報で確かめて、計算できる形にまとめます。周辺の話は、別の記事に分けました。
- 退職前後の手続きの全体 … 退職前後の手続きチェックリスト
- 辞めたあとの健康保険の選び方 … 任意継続と国民健康保険、どちらが安いか
- 早く再就職したときのお金 … 再就職手当|早く決まるほど受け取れる仕組み
失業保険を受け取れる人の条件
「失業保険」は通称です。正式には、雇用保険の求職者給付の基本手当といいます。受け取るには、次の2つの両方に当てはまる必要があります。
基本手当の受給要件
- 失業の状態にあること。 ハローワークで求職の申込みをしていて、就職する意思と能力があるのに、仕事に就けていない状態です
- 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること。 倒産・解雇などの特定受給資格者と、雇止めや正当な理由のある自己都合の特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上でも足ります
「被保険者期間」の1か月は、カレンダーの1か月とは数え方が違います。まず、離職日から1か月ごとに期間を区切ります。そのうち賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上、または80時間以上ある月を、1か月と数えます(ハローワーク「基本手当について」)。
すぐに働けない人は、そのままでは受け取れません
ハローワークは、次のような状態のときは基本手当を受けられないとしています。
- 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
このうち病気・出産・育児などは、受給期間の延長を申請しておくと、働けるようになってから受け取れます。下の「受け取れるのは、原則1年間」で書きます。
パートやアルバイトでも、雇用保険に入っていれば対象です。ハローワークのQ&Aは、31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上の人を、原則として被保険者としています。

自分が入っていたかどうか、どこで分かるの?

給与明細に雇用保険料の天引きがあるかを、まず見てください。はっきりしないときは、ハローワークに加入の記録を照会する方法もあります。
1日いくら:基本手当日額の計算
1日あたりの金額を基本手当日額といいます。ハローワークの説明はこうです。
この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」より。計算は2段階です。
- 賃金日額を出す … 離職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計 ÷ 180
- 基本手当日額を出す … 賃金日額 × 給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)
給付率は、賃金日額が上がるにつれて80%から50%(60〜64歳は45%)へ、なめらかに下がっていきます。
2026年8月1日からの上限額と下限額
基本手当日額には上限と下限があり、毎年8月1日に見直されます。2026年は、令和7年度の平均給与額が令和6年度より約2.7%上がったことなどを受けて引き上げられました(厚生労働省 令和8年7月31日 報道発表)。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 | 2025年8月〜の上限額 |
|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 14,900円 | 7,450円 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 16,540円 | 8,270円 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 18,220円 | 9,110円 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 17,400円 | 7,830円 | 7,623円 |
| 全年齢(下限) | 3,203円 | 2,562円 | 2,411円 |
年齢は離職した日の年齢で区切ります。受給中に誕生日が来ても、上限の区分は変わりません。
すでに受給中の人も、8月1日以降の認定日から新しい額が当てはまる場合があります。厚生労働省のリーフレットは、対象の人には8月1日以降の認定日に返す受給資格者証に新しい基本手当日額を印字して知らせる、としています。
給付率の境目(2026年8月1日から)
厚生労働省の「基本手当日額の計算式及び金額」を、読みやすく並べ直すとこうなります。
離職時に60歳未満の人
| 賃金日額 | 給付率 |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | 80% |
| 5,480円以上13,490円以下 | 80%→50%へ逓減 |
| 13,490円超〜上限まで | 50% |
| 上限を超える | 上限額 |
離職時に60〜64歳の人
| 賃金日額 | 給付率 |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | 80% |
| 5,480円以上12,120円以下 | 80%→45%へ逓減(※) |
| 12,120円超〜上限まで | 45% |
| 上限を超える | 上限額 |
境目の金額が年齢で違います。60歳未満は13,490円、60〜64歳は12,120円です。
※60〜64歳の「5,480円以上12,120円以下」は、逓減の式で出した額と「0.05×賃金日額+4,848円」のいずれか低い方です。この年齢では、同じ賃金日額でも60歳未満より低く出ます。端数は1円未満を切り捨てます。
計算の例
厚生労働省の報道発表の別添に、60歳未満の例が載っています。
| 賃金日額 | 月あたりの賃金の目安 | 基本手当日額(2026年8月〜) | 2025年8月〜の額 |
|---|---|---|---|
| 6,000円 | 18万円 | 4,683円 | 4,647円 |
| 9,000円 | 27万円 | 6,013円 | 5,933円 |
「月あたりの賃金の目安」は、賃金日額×180÷6で逆算したものです。
同じ式で、30歳以上45歳未満・賞与を除く賃金が毎月30万円の人を計算してみます。
- 賃金日額 = 30万円×6か月 ÷ 180 = 10,000円
- 基本手当日額 = 0.8×10,000 − 0.3×{(10,000−5,480)÷(13,490−5,480)}×10,000 = 8,000 − 1,692.8… = 6,307円(1円未満切り捨て)
賃金日額に対して約63%です。額面の月給の6割強が、日割りで入ってくると考えると目安になります。失業の認定は4週間(28日)ごとなので、給付制限が明けたあとの通常の認定1回分は、6,307円×28日 = 176,596円です。
賃金日額には賞与が入らないので、年収が同じでも、賞与の割合が高い人ほど賃金日額は低く出ます。

年収を180で割ればいいと思ってた。

それだと多めに見積もってしまいます。年収からではなく、離職前6か月の給与明細の合計から計算してください。
何日分:所定給付日数

基本手当を受け取れる日数の上限を所定給付日数といいます。離職理由・離職時の年齢・雇用保険に入っていた期間(被保険者であった期間)で、90日〜360日の間で決まります。
表は3つあります。どの表を使うかは離職理由で決まり、ハローワークが判定します。
正当な理由のない自己都合・定年・契約満了など(下の2つ以外)
| 被保険者であった期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全年齢 | 90日(※) | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
※1年未満で受給資格を得られるのは、特定理由離職者(離職前1年間に被保険者期間6か月以上)の場合です。
年齢で差がつかず、10年未満はすべて90日です。
特定受給資格者と、一部の特定理由離職者
倒産・解雇などで離職した特定受給資格者と、特定理由離職者のうち雇止め(契約更新を希望したのに更新されなかった)に当たる人が対象です。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
雇止めの人が、この表を使えるのは2027年3月31日の離職まで
雇止めによる特定理由離職者の所定給付日数が特定受給資格者と同じになるのは、離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの人に限る暫定措置です(ハローワーク「基本手当の所定給付日数」)。2027年4月以降の離職で延長されるかは、2026年9月28日時点のハローワークの案内には書かれていません。
正当な理由のある自己都合(病気、家族の介護、結婚や配偶者の転勤による転居で通えなくなった、など)の特定理由離職者は、所定給付日数は最初の表です。ただし給付制限がかからず、受給要件も「1年間に6か月以上」で足ります。
就職困難者
障害のある方などが対象です。ハローワークのQ&Aは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、保護観察に付された方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方などを挙げています。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
先ほどの例で比べると
30歳以上45歳未満・基本手当日額6,307円で、雇用保険に入っていた期間が8年の人の場合です。
| 離職理由 | 所定給付日数 | 受け取れる総額の上限 |
|---|---|---|
| 正当な理由のない自己都合 | 90日 | 6,307円×90日 = 567,630円 |
| 会社の倒産・解雇など(35〜44歳) | 180日 | 6,307円×180日 = 1,135,260円 |
同じ人でも、離職理由だけで2倍の差になります。離職理由の記載を退職前に確かめる理由がここにあります。
65歳以上で離職したとき
65歳以上の人は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象です。被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分を、一時金で受け取ります(ハローワーク「基本手当について」)。
いつから:待期7日と給付制限

誰でも、最初の7日は支給されない
ハローワークで求職の申込みをして受給資格の決定を受けた日から、失業している日が通算7日になるまでは支給されません。これを待期といいます。離職理由にかかわらず、全員に当てはまります(雇用保険法第21条)。
数えはじめるのは離職日ではなく、ハローワークに申し込んだ日からです。離職票が届くのが遅れれば、その分だけ後ろにずれます。
正当な理由のない自己都合は、さらに原則1か月
自己都合の給付制限は、2025年に短くなりました。ハローワークのQ&Aです。
正当な理由のない自己都合によって離職された方の給付制限期間は、離職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月 31日以前である場合は原則2か月となります。
基準は離職日です。2025年4月1日以降に辞めた人は、待期7日のあとの原則1か月が給付制限です。
3か月になる人
同じQ&Aは、続けてこう書いています。
ただし、離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合または自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された(いわゆる重責解雇)場合の給付制限期間は3ヵ月となります。
今回が、5年以内で3回目の自己都合離職という人は3か月です。数えるのは受給資格決定を受けた離職なので、ハローワークで手続きをしなかった過去の退職は入りません。
ハローワークのページに「2か月」と書かれている箇所があります
ハローワークインターネットサービスの「雇用保険の具体的な手続き」のページには、2026年9月28日時点で「待期期間満了後2か月間」という記述が残っています。同じサイトのQ&A、厚生労働省のリーフレット、雇用保険法第33条(1箇月以上3箇月以内で公共職業安定所長の定める期間)は、2025年4月1日以降の離職なら原則1か月で一致しています。
給付制限がかからない人
次の人は、待期7日が明けたら支給の対象になります。
- 特定受給資格者(倒産・解雇・退職勧奨など)
- 特定理由離職者(雇止め、正当な理由のある自己都合)
- 定年や契約期間の満了で離職した人
「正当な理由」があるかどうかは、自分で決めるものではありません。ハローワークが、離職票と本人の申し立て、客観的な資料で判定します。
教育訓練を受けると、給付制限が外れる
2025年4月から、正当な理由のない自己都合で辞めた人でも、教育訓練を受けていれば給付制限が解除されるようになりました。厚生労働省のリーフレットです。
次のいずれかの教育訓練等(令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限る)を離職日前1年以内に受けた方(途中退校は該当しません) または 離職日以後に受けている方
対象になる訓練は、教育訓練給付金の対象講座、公共職業訓練等、短期訓練受講費の対象講座、これらに準ずるものとして職業安定局長が定める訓練です。
使えない条件もあります
- 訓練は2025年4月1日以降に受講を開始したものに限ります
- 在職中の受講は離職日前1年以内のものに限り、途中で退校したものは該当しません。ハローワークの業務取扱要領の例示では、受講を始めたのが離職日の1年より前でも、離職日前1年以内に修了していれば解除の対象として描かれています
- 重責解雇された人は対象外です
- ハローワークへの申し出に期限があります。受講開始後、受給資格決定日や初回の認定日までが原則です。給付制限期間中に受講を始める場合は期限の考え方が別にあり、申し出が遅れると、受講開始日からの分を受け取れないことがあります

辞める前から講座に通っておけば、すぐもらえるってこと?

上の条件をもう一度見てください。途中でやめた講座は数えません。 受講を考えるなら、その講座が教育訓練給付金の対象かを先に確かめておくことです。
最初の振り込みは、いつごろか
ハローワークのQ&Aは、給付制限のない人の場合をこう説明しています。
なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限のない方でも、公共職業安定所で求職の申込みをしてから数えて約1か月後(初回認定日の約1週間後)になります。
振り込みは、失業の認定を受けた日から通常5営業日です(ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」)。自己都合で給付制限がある人は、そこに原則1か月が加わります。
退職月の翌月は、無収入の月になると見ておくのが安全です。
| 離職理由 | 支給の対象になる日 |
|---|---|
| 会社都合・雇止め・正当な理由のある自己都合 | 受給資格決定日から待期7日が明けた翌日から |
| 正当な理由のない自己都合(2025年4月1日以降の離職) | 待期7日のあと、原則1か月の給付制限が明けてから |
| 同上で、5年間に2回以上受給資格決定を受けている/重責解雇 | 待期7日のあと、3か月の給付制限が明けてから |
受け取れるのは、原則1年間
基本手当を受け取れる期間を受給期間といいます。原則として離職日の翌日から1年間です。所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日です(雇用保険法第20条)。
申し込みが遅れると、日数が残っていても打ち切られる
受給期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません。ハローワークのQ&Aも「退職してから求職の申込みが大幅に遅れた場合、所定給付日数分の基本手当がもらえなくなることがあります」と注意しています。
たとえば所定給付日数150日の人が、離職から9か月たって申し込むと、残りの期間は約3か月です。待期と給付制限を差し引くと、150日分を受け取りきれません。
延長できる場合
| 理由 | 延長できる期間 | 申請の期限 |
|---|---|---|
| 病気・けが・妊娠・出産・育児・親族の介護などで、引き続き30日以上働けない | 働けない日数分。最長3年(本来の1年と合わせて最長4年) | 30日以上働けなくなった日の翌日以降、早めに。延長後の受給期間の最後の日までなら申請できる |
| 60歳以上の定年等で離職し、しばらく休みたい | 求職の申込みをしない期間(1年が限度) | 離職日の翌日から2か月以内 |
| 離職後に事業を始めた(準備に専念した場合を含む) | 事業をしている期間を受給期間に数えない(最大3年) | 事業を始めた日などの翌日から2か月以内 |
病気・出産などの延長は、申請が遅いと延長しても全日数を受け取れないことがある、とハローワークは注意しています。働けない状態が30日続いたら、その時点で申請するのが基本です。
病気で退職した人は、健康保険の傷病手当金との関係も
退職後に病気で働けない期間は「失業の状態」ではないので、基本手当は受け取れません。受給手続き後に15日以上病気で働けなくなったときは、雇用保険の傷病手当(基本手当日額と同額)に切り替わります。ただし健康保険の傷病手当金を受けられる日は、雇用保険の傷病手当は支給されません。健康保険の側の条件は傷病手当金でいくらもらえるかにまとめています。
手続きの流れ
ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」に沿って並べます。
離職から受給までの順番
- ☐ 在職中 … 雇用保険被保険者証の有無と、会社が作る離職証明書の離職理由を確認する
- ☐ 離職後 … 会社から「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」が届く(受け取りに行く場合もある)
- ☐ 受給資格の決定 … 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す。離職理由もここで判定される
- ☐ 待期7日 … この間は支給されない
- ☐ 雇用保険受給者初回説明会 … 指定の日時に出席する。「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取り、1回目の失業認定日が知らされる
- ☐ 失業の認定 … 原則4週間に1回、指定日にハローワークへ行き、求職活動の実績を申告する
- ☐ 振り込み … 認定日から通常5営業日で口座へ
- ☐ 以後、所定給付日数を限度に「認定」と「振り込み」を繰り返す
受給資格の決定の日に持っていくものは、離職票(-1、2)、マイナンバーカードなどの個人番号確認書類、身元確認書類、写真2枚(マイナンバーカードを提示すれば省略できる)、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードです。手続きは平日の8時30分〜17時15分で、ハローワークは16時前までの来所を勧めています。
求職活動の実績が要ります
失業の認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上(最初の認定日までは1回)の求職活動の実績が必要です。求人への応募、ハローワークの職業相談、セミナーの受講などが数えられます。求人情報を見ただけ、知人に紹介を頼んだだけでは実績になりません。
アルバイトや内職をしたのに申告しないと、不正受給になります。以後の支給が止まり、受け取った額の返還に加えて、その2倍に相当する額以下の納付を命じられることがあります。
税金と扶養:誤解が多いところ
所得税はかからない
雇用保険法に、はっきり書かれています。
第十二条 租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
基本手当は「失業等給付」に入ります。所得税も住民税も、基本手当にはかかりません。 確定申告で収入として書く必要もありません。
退職した年は、年末調整を受けないまま年を越すことが多く、確定申告をすると源泉徴収された税金が戻る場合があります。これは基本手当とは別の話で、退職した年の確定申告に書いています。
配偶者控除の判定にも入らない
夫や妻の扶養に入って、配偶者控除を受けられるかどうか。国税庁のQ&Aです。
雇用保険法第13条〜第56条の2の規定に基づき支給される求職者給付は、同法第10条に規定する失業等給付に該当し、同法第12条の規定により課税されないことになっていますので、控除対象配偶者に該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額に含める必要はありません。
税金の扶養では、基本手当は0円として数えます。 判定に使うのは、その年に会社から受け取った給与などの所得だけです。
健康保険の扶養では「収入」に入る
ここが、いちばん取り違えやすいところです。健康保険の被扶養者(配偶者の会社の健康保険に、保険料なしで入る扱い)の判定では、基本手当も収入に数えます。日本年金機構の説明です。
また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。
基準は、年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満は配偶者を除いて150万円未満)です。これを日額にした目安も示されています。
(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たします。)
基本手当日額が3,612円以上だと、受給している間は健康保険の扶養に入れないことになります。先ほどの例の6,307円なら、扶養には入れません。
| 税金の扶養(配偶者控除など) | 健康保険の扶養(被扶養者) | |
|---|---|---|
| 基本手当を数えるか | 数えない(非課税) | 数える |
| 判定の単位 | その年1月〜12月の合計所得金額 | これから先1年間の見込み収入 |
| 基本手当での目安 | ― | 日額3,611円以下(日本年金機構の目安) |
健康保険組合では扱いが違うことがあります
日額3,611円以下という目安は、日本年金機構(協会けんぽと同じ認定の扱い)のものです。配偶者が健康保険組合に入っている場合は、その組合の基準を確かめてください。なお日本年金機構は、雇用保険の待機期間中でも収入要件を満たしていれば被扶養者として認定でき、基本手当(3,612円以上)の支給が始まったら扶養から外す届出が要るとしています。給付制限の間の扱いや、健康保険組合での扱いは、加入先に確かめてください。
扶養に入れない間は、自分で国民健康保険に入るか、辞めた会社の健康保険を任意継続します。どちらが安いかは、任意継続と国民健康保険、どちらが安いかで比べています。国民年金の保険料には、失業を理由にした免除の特例があります(国民年金保険料の免除・納付猶予)。
退職前に確かめておくと、損をしないこと
基本手当は、辞めたあとの手続きより、辞める前の確認で差がつきます。 ハローワークも、在職中の確認を求めています。
できれば在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認してください。また、会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が氏名の記載をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても確認してください。
退職前のチェックリスト
- ☐ 離職証明書の離職理由が、実際の理由と合っているか。退職を勧められたのに「自己都合」になっていないか
- ☐ 雇用保険被保険者証が手元にあるか(会社が保管していることもある)
- ☐ 離職票をいつ、どうやって受け取るか(郵送か、取りに行くか)を会社に確認したか
- ☐ 離職前6か月の給与明細をそろえたか。賃金日額を自分で検算できる
- ☐ 教育訓練給付金の対象講座を受けているなら、離職日前1年以内に受けたものか(離職日の時点で受講中のものを含む。受講開始が2025年4月1日以降のものに限る。途中で退校したものは数えない)
- ☐ 病気や出産で、すぐには働けない見込みか。それなら受給期間の延長を前提に動く
離職票の離職理由に納得できないときは、受給手続きのときにハローワークに相談できます。ハローワークのQ&Aは、事業主と離職者それぞれの主張を確かめ、客観的な資料で事実関係を確認したうえで判定し、「事業主一方の主張のみで判定することはありません」としています。

でも、口で言っただけで通るものなの?

そこで効くのが資料です。退職を勧められたメールやメモ、面談の日時の記録など、辞める前から残しておくと話が早く進みます。
退職勧奨(事業主から直接または間接に退職を勧められた)で辞めた場合は、特定受給資格者の範囲に入ります。ただし、以前からある早期退職優遇制度に応募して辞めた場合は該当しないと、ハローワークは書いています。
家計と住宅ローンの計画に、どう組み込むか
住宅ローンを組むときに「もし仕事を失ったら」を考えるなら、使う数字は基本手当日額×所定給付日数です。額面の月給ではありません。
先ほどの例(月30万円・35〜44歳・8年)では、自己都合なら90日分で約57万円、会社都合なら180日分で約114万円です。月々の返済額と生活費を、この金額で何か月まかなえるかを一度計算しておくと、借りる額の判断が変わります。借入額の考え方は「借りられる額」と「返せる額」は違うに、返済が苦しくなったときの動き方は住宅ローンが払えなくなったらに書いています。
再就職が早く決まった場合は、基本手当の残りの一部を再就職手当として受け取れる仕組みがあります。条件と金額は再就職手当で扱っています。
まとめ
- 基本手当日額 = 賃金日額(離職前6か月の賃金÷180、賞与は除く)× 50〜80%(60〜64歳は45〜80%)
- 2026年8月1日からの上限は7,450円(30歳未満)・8,270円(30〜44歳)・9,110円(45〜59歳)・7,830円(60〜64歳)。下限は2,562円。毎年8月1日に改定
- 所定給付日数は90〜360日。正当な理由のない自己都合は90・120・150日の3段階
- 雇止めの人が特定受給資格者と同じ日数になるのは、2027年3月31日までの離職に限る暫定措置
- 待期7日は全員。正当な理由のない自己都合は、2025年4月1日以降の離職なら原則1か月の給付制限。5年間に2回以上受給資格決定を受けている人と重責解雇は3か月
- 2025年4月以降に受講を始めた対象の教育訓練を受けていれば、給付制限が解除される
- 受給期間は原則1年。病気・出産などは延長を申請する
- 基本手当は非課税。配偶者控除の判定には入らないが、健康保険の扶養の判定には入る
- 離職理由は、辞める前に離職証明書で確かめる
失業保険の金額は、辞めてから調べても変えられません。変えられるのは、離職理由の記載と、受け取れる期間を無駄にしない段取りです。この2つを辞める前に押さえておいてください。
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出典
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(土)から実施~」(令和8年7月31日 報道発表・PDF)
- 厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」(令和8年8月1日からの変更・PDF)
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」(PDF)
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(令和8年8月1日以降)」第9~第12(52205-2 教育訓練を受けた場合の給付制限の解除・PDF)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
- ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
- ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」
- e-Gov法令検索「雇用保険法」
- 国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除(Q&A)
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
本記事は2026年9月28日時点で公表されている内容に基づいています。基本手当日額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。離職理由の判定と所定給付日数、給付制限の有無は、住所を管轄するハローワークが個別に決めます。健康保険の扶養の基準は加入先によって異なる場合があります。個別の判断は、ハローワーク、加入している健康保険、税務署の窓口にご確認ください。
よくある質問
自己都合で辞めると、失業保険はいつからもらえますか?
2025年4月1日以降に離職した場合、ハローワークで受給資格の決定を受けた日から待期7日が過ぎたあと、原則1か月の給付制限があり、その後の日から支給の対象になります。離職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けている場合は3か月です。
失業保険の1日あたりの上限はいくらですか?
2026年8月1日からは、離職したときの年齢で30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円です。下限は年齢に関係なく2,562円です。毎年8月1日に改定されます。
失業保険をもらうと、所得税や配偶者控除に影響しますか?
基本手当は雇用保険法第12条により税金がかかりません。国税庁も、配偶者控除の判定に使う合計所得金額に求職者給付を含める必要はないとしています。ただし健康保険の扶養の判定では収入に含まれるので、別に考える必要があります。
退職してから何か月もたってから申し込んでも、全部もらえますか?
もらえないことがあります。基本手当を受け取れるのは原則として離職日の翌日から1年間(受給期間)で、これを過ぎると所定給付日数が残っていても支給されません。病気・出産・育児などで30日以上働けないときは、申請すれば受給期間を延長できます。
離職票の離職理由が「自己都合」になっていますが、実際は退職勧奨でした。どうすればいいですか?
受給手続きのときにハローワークに相談してください。ハローワークは事業主の主張だけで判定せず、双方の主張と客観的な資料で事実関係を確かめたうえで離職理由を判定します。事業主から直接または間接に退職を勧められて離職した場合は、特定受給資格者の範囲に入っています。


