再就職手当はいくら?|早く決まるほど多く、内定が早すぎるともらえない

再就職手当はいくら?|早く決まるほど多く、内定が早すぎるともらえないのイメージ 公的保険のトリセツ

先に結論

  • 再就職手当は、基本手当日額 × 支給残日数 × 70%または60%の一時金です。残りが所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%。3分の1を切ると出ません
  • 計算に使う日額には上限があります。2026年8月1日〜2027年7月31日は、離職時60歳未満が6,745円、60〜64歳が5,454円。失業保険の日額そのものより低い上限です
  • 求職の申込みより前に決まっていた内定、7日間の待期中の就職、前の勤め先やその関連会社への就職は対象外です
  • 自己都合などで給付制限がある人は、待期満了後1か月の間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職に限られます
  • 申請は就職日の翌日から1か月以内。1年を超えて勤めることが見込まれ、雇用保険に入る仕事であることも要件です
  • 6か月勤めて給料が下がっていれば就業促進定着手当もあります。ただし2025年4月1日以降の再就職は、上限が支給残日数の20%に下がっています
  • 65歳以上で辞めた人は基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象なので、この記事の再就職手当は当てはまりません

失業保険(雇用保険の基本手当)は、仕事が決まった日から出なくなります。残った日数は、そのまま消えるわけではありません。 一定の条件を満たして早く就職すると、残りの一部が再就職手当としてまとめて支払われます。

ただ、この手当は「早いほどいい」だけでは説明がつきません。早すぎると、かえって対象から外れる場面があるからです。この記事では、支給の要件と金額、2025年4月に変わった就業促進定着手当までを、ハローワークと厚生労働省の資料で確かめます。

基本手当そのものの金額や日数は、失業保険(基本手当)はいくら・いつから・何日分にまとめています。

再就職手当は「残した日数」に対して出る

一列に並んだ餌入れのうち最初の3つだけが空で、新しい止まり木へ向かう白文鳥のみぞれに、桜文鳥のしぐれが残りの粟を詰めた小さな袋を差し出している

ハローワークのリーフレットは、再就職手当をこう説明しています。

再就職手当とは、雇用保険受給資格者のみなさまが基本手当の受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就き、又は事業を開始した場合に支給することにより、より早期の再就職を促進するための制度です。

ハローワーク「再就職手当のご案内」(令和8年8月版)より。ポイントは3つです。

  • 受給資格の決定を受けた後に就職すること。つまり、先にハローワークで求職の申込みをしている必要があります
  • 安定した職業であること。1年を超えて勤める見込みがあり、原則として雇用保険に入る仕事です
  • 事業を始めた場合も対象になりえます(後の見出しで扱います)

ことばの整理

  • 所定給付日数 … 基本手当を受けられる日数の上限。離職の理由・年齢・雇用保険に入っていた期間で、90日〜360日のあいだで決まります
  • 支給残日数 … 所定給付日数のうち、就職日の前日までに受け取っていない日数
  • 基本手当日額 … 基本手当の1日あたりの額。雇用保険受給資格者証に印字されています

金額は「日額 × 残日数 × 70%か60%」

計算式はひとつです。

再就職手当の計算式

再就職手当 = 基本手当日額(上限あり) × 支給残日数 × 給付率

支給残日数給付率
所定給付日数の3分の2以上70%
所定給付日数の3分の1以上60%
3分の1未満支給されない

1円未満は切り捨てです。

所定給付日数ごとの境目は、ハローワークのリーフレットに表があります。よく出てくる日数だけ抜き出すと、次のとおりです。

所定給付日数60%になる残日数70%になる残日数
90日30日以上60日以上
120日40日以上80日以上
150日50日以上100日以上
180日60日以上120日以上
240日80日以上160日以上
270日90日以上180日以上
330日110日以上220日以上

延長給付の日数は、支給残日数に数えません(同リーフレット)。

計算に使う日額には、別の上限がある

ここがいちばん見落とされます。再就職手当の計算に使う基本手当日額は、基本手当の上限よりも低い上限で頭打ちになります。

※1 再就職手当に係る基本手当日額には上限額があります(令和9年7月31日までの額です)。

ハローワーク「再就職手当のご案内」より。額は次のとおりです。

離職時の年齢再就職手当の計算に使う上限(参考)基本手当日額の上限
29歳以下6,745円7,450円
30〜44歳6,745円8,270円
45〜59歳6,745円9,110円
60〜64歳5,454円7,830円

2026年8月1日から2027年7月31日までの額です(厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」)。改定前(2026年7月まで)は、60歳未満6,570円、60〜64歳5,310円でした。毎年8月1日に改定されます。

たとえば45〜59歳で基本手当日額が9,110円の人も、再就職手当は6,745円で計算します。受給資格者証の日額をそのまま掛けると、多く見積もってしまいます。日額が6,745円以下の人は、受給資格者証の額がそのまま使われます。

みぞれ
みぞれ

失業保険の日額が高い人ほど、損をするってこと?

しぐれ
しぐれ

損というより、上の方が切り取られていると考えてください。見積もりを出すときに、どちらの額を掛けるかだけは確かめておきたいところです。

もらえる人・もらえない人(8つの要件)

リーフレットは「下記のすべての要件を満たす必要があります」として、8つを挙げています。原文の順に、言い換えを添えて並べます。

要件(リーフレットの記載を要約)どういうことか
①受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職、又は事業を開始したこと待期(最初の7日)の間に働き始めると対象外
②就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること働き始める前日までの分をハローワークで認定してもらう
③離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと元の会社、グループ会社、取引の深い会社は対象外
④給付制限がある方は、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること自己都合退職などの人は、最初の1か月の就職ルートに制限
⑤1年を超えて勤務することが確実であること短い有期契約で、更新の見込みがない仕事は対象外
⑥原則として、雇用保険の被保険者になっていること週の労働時間が短く雇用保険に入らない仕事は原則対象外
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと3年以内に一度もらっていたら出ない(起業でもらった分も含む)
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないことハローワークに行く前に決まっていた転職先は対象外

「退職前に決まっていた転職先」は対象外

⑧は、原文をそのまま引きます。

⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

ハローワーク「再就職手当のご案内」より。雇用保険法施行規則第82条にも、「雇入れをすることを法第二十一条に規定する求職の申込みをした日前に約した事業主に雇用されたものでないこと」とあります。

辞める前に次の会社が決まっていた人は、ハローワークに求職の申込みをしてから入社日まで間があっても、再就職手当の対象になりません。「早く決まるほど多い」の、いちばん手前にある落とし穴です。

みぞれ
みぞれ

内定をもらってからハローワークに行けば、間に合うんじゃないの?

しぐれ
しぐれ

順番が逆になります。先に内定が出ていると、それだけで対象から外れることがあります。

要件⑧で見られるのは、求職の申込みをした日と、採用を約束した日の前後です。申込みより前に内定が出ていると、⑧に当たります。

自己都合で辞めた人は「最初の1か月の決まり方」に注意

④の給付制限は、正当な理由のない自己都合退職や、自分の責任による重大な理由で解雇された場合にかかる、基本手当が出ない期間です。雇用保険法第33条は、この期間を「第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」としています(第21条の期間が、7日間の待期です)。

2025年4月1日からは、原則が2か月から1か月に短縮されました(離職日からさかのぼって5年間に正当な理由のない自己都合離職で2回以上受給資格決定を受けている場合と、重責解雇の場合は3か月)。厚生労働省の部会資料が、通達の改正として示しています。

この人たちには、再就職手当にも条件が1つ増えます。

④受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)(注2)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。

ハローワーク「再就職手当のご案内」より。

時期対象になる就職のしかた
待期(7日)の間どのルートでも対象外
待期満了後1か月の間ハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職だけ
その後知人の紹介、求人広告への応募なども対象

リーフレットの図では、この1か月を過ぎると「知人の紹介、新聞広告の応募等により就職した場合も対象」になると書かれています。裏を返すと、最初の1か月に求人広告から自分で応募して決まった就職は、対象になりません。

教育訓練を受けたことなどで給付制限が解除された人も、この1か月の決まりは残ります(同リーフレットの注2)。

「職業紹介事業者」かどうかは、事前に確かめる

施行規則は、ここでいう職業紹介事業者を、職業安定法に規定する特定地方公共団体と職業紹介事業者としています。利用している転職支援サービスがこれに当たるかどうかで、結果が変わります。1か月以内に決まりそうなら、先にハローワークで確認しておくのが安全です。

給付制限がない人(倒産・解雇などで辞めた人)は、待期が明けていれば就職の経路は問われません。

1年を超えて勤める見込みがあるか

⑤は、有期契約の人が迷うところです。リーフレットは、1年以下の雇用期間で更新に目標達成の条件がついている場合や、派遣で更新が見込まれない場合は該当しないとしています。

再就職手当の申請書には、雇用期間の定めがある場合に「契約更新条項の有無」と「1年を超えて雇用する見込みの有無」を記入する欄があります。この欄は事業主が証明します(ハローワーク「再就職手当支給申請書」の注意書き)。有期契約で入社するなら、この欄に何と書いてもらえるかを先に確かめておくと迷いません。

数値例:いつ決まるかで、いくら変わるか

ここからは計算です。前提はすべて仮のもので、検算した数字だけを載せています。

例1:自己都合で辞めて、給付制限中に決まった場合

前提

  • 35歳、自己都合で退職(給付制限あり)
  • 雇用保険に入っていた期間は12年 → 所定給付日数120日(自己都合など一般の離職者で10年以上20年未満)
  • 離職前6か月の賃金の合計216万円 → 賃金日額12,000円(216万円 ÷ 180)
  • 基本手当日額は、2026年8月1日からの計算式(30〜44歳)で 6,669円。再就職手当の上限6,745円より低いので、そのまま使います

A:給付制限の1か月の間に、ハローワークの紹介で就職した

基本手当はまだ1日も受け取っていないので、支給残日数は120日。120日の3分の2(80日)以上なので、給付率は70%です。

6,669円 × 120日 × 70% = 560,196円

B:給付制限が明けてから基本手当を50日分受け取り、そのあと就職した

支給残日数は70日。3分の1(40日)以上、3分の2(80日)未満なので60%です。

6,669円 × 70日 × 60% = 280,098円

受け取った基本手当再就職手当雇用保険から受け取る合計
A0円560,196円560,196円
B333,450円(6,669円×50日)280,098円613,548円

雇用保険から受け取る合計だけを比べると、Bのほうが約5万円多くなります。 ただしAは、Bより少なくとも50日早く給料が入り始めています。 再就職手当は「長く休むより得」にする仕組みではなく、早く働き始めたときの取り分を大きく目減りさせない仕組みだと読むのが正確です。

みぞれ
みぞれ

80日を1日でも切ると、70%から60%に下がるの?

境目は「3分の2以上」なので、所定給付日数120日なら残り80日までは70%です。79日になると60%に下がります。

しぐれ
しぐれ

内定から入社日までの日程を相談できるなら、認定日と残日数を数えてから決めると、差が出ないように組めます。

例2:上限にかかる人(45〜59歳、会社都合)

前提

  • 50歳、会社の倒産で退職(給付制限なし)
  • 雇用保険に入っていた期間は22年 → 所定給付日数330日(特定受給資格者、45歳以上60歳未満、20年以上)
  • 賃金日額16,000円 → 基本手当日額は8,000円(2026年8月1日からの計算式で、賃金日額の50%)
  • 受給資格決定日から数えて50日目に就職。待期は受給資格決定日を含めて7日なので、就職日の前日までに受け取るのは42日分(リーフレットの例と同じ数え方)

支給残日数は 330日 − 42日 = 288日。330日の3分の2(220日)以上なので70%です。日額は8,000円ではなく上限の6,745円で計算します。

6,745円 × 288日 × 70% = 1,359,792円

もし8,000円のまま計算すると1,612,800円になり、25万3,008円多く見積もることになります。日額が高い人ほど、上限を忘れたときのずれが大きくなります。

6か月勤めたら「就業促進定着手当」

再就職手当を受け取った人が、同じ会社で6か月以上雇われ、その6か月の賃金が離職前より下がっていた場合に出る手当です。

計算のしかた

ハローワークの説明をまとめると、次のとおりです。

就業促進定着手当の計算

(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の賃金の1日分の額) × 6か月間の賃金の支払基礎日数

  • 再就職後6か月間の賃金の1日分の額は、月給なら6か月の賃金の合計 ÷ 180
  • 支払基礎日数は、月給制なら暦日数
  • 夏冬の賞与など、3か月を超える期間ごとに払われる賃金は含めない

2025年4月1日から、上限が下がった

上限は、ハローワークの「就職促進給付」のページに次のとおり書かれています。

上限額:基本手当日額(注意2)×基本手当の支給残日数に相当する日数(注意3)× 20%

注意2の基本手当日額は、再就職手当と同じ上限(60歳未満6,745円、60〜64歳5,454円)です。注意3の支給残日数は、再就職手当を受ける前の残日数です。

この20%は、2025年4月1日に施行された改正によるものです。厚生労働省の部会資料には、こう書かれています。

○ 就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。

施行期日は「2025(令和7)年4月1日」です。改正前の上限は、支給残日数の40%(再就職手当を70%で受けた人は30%)でした。

旧上限が使えるのは、2025年3月31日以前に再就職した人だけ

ハローワークのリーフレットは、「令和7年3月31日以前に再就職し、再就職手当の支給を受けた場合は、最大40%」と注記しています。判定は再就職した日で決まります。 「2025年度から」ではなく、2025年4月1日以降に再就職した人に20%が当てはまります。

例1のAさんで計算すると

前提

  • 例1のA(離職前の賃金日額12,000円、基本手当日額6,669円、再就職手当を受ける前の支給残日数120日)
  • 4月1日に入社。月給は総支給30万円で6か月間変わらない
  • 4月1日〜9月30日の暦日数は183日

再就職後の1日分の額は、30万円 × 6か月 ÷ 180 = 10,000円。

  • 計算上の額:(12,000円 − 10,000円) × 183日 = 366,000円
  • 上限:6,669円 × 120日 × 20% = 160,056円

上限のほうが低いので、支給額は160,056円です。改正前の上限(給付率70%で受けた人は30%)なら240,084円まで出ていました。2025年4月の改正で、給料が大きく下がった人ほど影響が大きくなっています。

定着手当を受けられない人

  • 起業で再就職手当を受けた人。リーフレットに「起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません。」とあります
  • 6か月たつ前に、その会社で雇用保険の資格を失った人(事業主の都合による出向なども含む)
  • 離職前の賃金日額が下限額(2026年8月1日からは3,203円)だった人

申請は、再就職した日から6か月たった日の翌日から2か月以内です。申請書は、再就職手当の支給決定通知書と一緒にハローワークから郵送されます。

申請の手順と期限

就職が決まったら

  1. 就職日の前日までの失業の認定をハローワークで受ける(要件の②)
  2. 就職先に、再就職手当支給申請書の事業主の証明欄を書いてもらう
  3. 就職日の翌日から1か月以内に、申請書に受給資格者証を添えて提出する

期限は、リーフレットの末尾にこうあります。

◆ 再就職手当の支給申請書は、就職した日の翌日から1か月以内に本人、代理の方、又は郵送によりご提出ください。

ハローワークインターネットサービスには、電子申請でも届け出られると案内があります。支給が決まると、決定の翌日から7日以内に支払われます(雇用保険法施行規則第83条)。

期限を過ぎてしまったら

厚生労働省は、雇用保険の給付金について、次のように案内しています。

申請期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの期間(2年間)について申請が可能です。

厚生労働省「雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です」のリーフレットより。一覧には再就職手当と就業促進定着手当が含まれています。

救済があっても、期限内が原則です

同じリーフレットによれば、期限内に申請しないと支給が通常より遅くなったり、ほかの給付金が返還になったりする場合があります。また、基本手当(求職者給付)は定められた期限までに手続きをしないと支給されないと明記されていて、2年の扱いは基本手当には当てはまりません。 気づいた時点で、すぐハローワークに相談してください。

起業した場合

事業を始めた場合も、再就職手当の対象になりえます。雇用保険法施行規則第82条の2は、対象となる「安定した職業に就いた受給資格者」を次のように定めています。

一年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就き、又は事業(当該事業により当該受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限る。)を開始した受給資格者

「自立することができると公共職業安定所長が認めたもの」に限られるところがポイントです。ハローワークの「就職促進給付」のページは、例として「事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など」を挙げています。申請のときは、登記事項証明書など、事業を始めたことを証明できる書類を添えます(施行規則第82条の5)。

起業のときに押さえておくこと

  • 給付制限がある人は、待期満了後1か月を過ぎてからの事業開始が対象(リーフレット)
  • 起業で受け取った場合、就業促進定着手当は出ない
  • 「過去3年以内に受けていない」の要件には、起業で受け取った再就職手当も数える

受給期間の特例とは、どちらか一方

2022年7月1日から、離職後に事業を始めた人は、事業をしている期間を最大3年間、基本手当の受給期間に数えない特例を申請できます。事業をやめて再び仕事を探すときに、基本手当を受け取れる余地を残す仕組みです。

ただし、この特例の要件に次の一文があります。

③ 当該事業について、就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと。

厚生労働省「離職後に事業を開始等した方は雇用保険受給期間の特例を申請できます」より。同じ事業で再就職手当を受け取ると、この特例は使えません。 起業直後にまとまったお金を受け取るか、廃業したときの基本手当を残しておくか、どちらを取るかの選択になります。特例の申請は、事業を開始した日などの翌日から2か月以内です。

受け取ったあとで知っておくこと

税金はかからない

雇用保険法第12条は、次のように定めています。

租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

再就職手当と就業促進定着手当は、失業等給付のうちの就職促進給付にあたります(同法第10条)。所得税も住民税もかからず、確定申告で収入として書くものではありません。 退職した年の確定申告については、退職した年の確定申告にまとめています。

再就職先をすぐ辞めたとき

再就職手当を受け取ると、その額を基本手当日額で割った日数分の基本手当を受け取ったものとみなされます(雇用保険法第56条の3第4項)。

リーフレットは、再就職手当の支給後に離職して失業の状態になった場合、再就職手当の分を除いた残日数分を受けられる可能性があるとしています。受給期間(原則、離職日の翌日から1年)の中に限られるので、残っているかどうかはハローワークで確かめてください。

住宅ローンを考えている人へ

転職と家の計画が重なる人は、再就職手当とは別に、勤続年数を意識しておくと迷いが減ります。

国土交通省の調査では、金融機関の9割以上が勤続年数を審査項目にしています。

令和7年度調査では、「完済時年齢」(98.4%)、「健康状態」(96.1%)、「借入時年齢」(96.2%)、「年収」(94.2%)、「勤続年数」(93.9%)、「返済負担率」(90.9%)、「担保評価」(91.0%)について、引き続き9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。

国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」より。勤続年数を審査項目にしている933機関に具体的な内容を聞いた集計(複数回答)では、「1年以上」が612、「3年以上」が128、「2年以上」が53、「その他」が168でした。

基準は金融機関ごとに違い、転職直後だから借りられないと決まっているわけではありません。ただ、転職したばかりの時期は、審査で確かめられる項目がひとつ増えるとは言えます。

もうひとつ。再就職手当は一度きりの一時金です。毎月の返済に回せる収入ではないので、頭金や引っ越し費用に充てるとしても、借入額の目安は再就職後の手取りの月収から組み立ててください。組み立て方は「借りられる額」と「返せる額」は違うと家づくりの予算は、希望から決めると足りなくなるに書いています。

しぐれ
しぐれ

手当の額は、日額と残日数が分かれば自分で出せます。受給資格者証を手元に置いて、上限の6,745円(60〜64歳は5,454円)と見比べるところから始めてみてください。

まとめ

  • 再就職手当 = 基本手当日額(上限あり)× 支給残日数 × 70%(残り3分の2以上)または60%(残り3分の1以上)
  • 計算に使う日額の上限は、2026年8月1日〜2027年7月31日で60歳未満6,745円、60〜64歳5,454円。毎年8月1日に改定
  • 求職申込み前の内定、待期中の就職、前の勤め先・関連会社への就職、3年以内に受給済みは対象外
  • 給付制限がある人は、待期満了後1か月はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職に限られる
  • 申請は就職日の翌日から1か月以内。過ぎても2年の時効の範囲内なら申請できるが、期限内が原則
  • 起業も対象になりうるが、自立できると公共職業安定所長が認めた事業に限る。受給期間の特例とはどちらか一方
  • 就業促進定着手当の上限は、2025年4月1日以降の再就職から支給残日数の20%
  • 税金はかからない

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よくある質問

再就職手当はいくらもらえますか?

基本手当日額×支給残日数×給付率です。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%で、3分の1未満だと再就職手当は出ません。基本手当日額には上限があり、2026年8月1日から2027年7月31日までは、離職時60歳未満が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円です。

退職前に決まっていた転職先でも、再就職手当はもらえますか?

もらえません。受給資格決定(求職申込み)の前から採用が内定していた事業主に雇われた場合は、支給の要件を満たしません。離職前の事業主に戻る場合と、離職前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある事業主に就職した場合も対象外です。

自己都合で辞めました。求人サイトで見つけた会社でも対象になりますか?

時期によります。給付制限がある人は、待期満了後1か月の間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職でなければ対象になりません。この1か月を過ぎれば、知人の紹介や求人広告への応募による就職も対象になります。

申請期限の1か月を過ぎてしまいました。もう受け取れませんか?

厚生労働省は、再就職手当を含む雇用保険の給付金について、申請期限を過ぎても2年の時効が完成するまでは申請できるとしています。ただし期限内の申請が原則で、遅れると支給も遅くなります。気づいた時点で、すぐハローワークに相談してください。

起業した場合も再就職手当はもらえますか?

対象になりえます。事業を開始した場合も支給の対象で、その事業で自立できると公共職業安定所長が認めたものに限られます。申請には登記事項証明書など、事業を始めたことを証明できる書類が要ります。起業で受け取った人は、就業促進定着手当は受けられません。

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