夫婦で同時に1年育休を取った|減る現金100万円の中身は積み立てだった

夫婦で同時に1年育休を取った|減る現金100万円の中身は積み立てだったのイメージ 子育てとお金

先に結論

  • 育児休業給付は 非課税。額面が同じでも、給与より手取りが目減りしない
  • 育休中は健康保険・厚生年金の保険料が 免除(申出が必要)。給与が出なければ雇用保険料もかからない
  • 給付率は 最初の28日が80%、以降は67%、181日目からは50% の3段階
  • 80%の期間について厚生労働省は「手取り10割相当」と明記している。ただし賃金日額に上限があり、育休前の月給が約50万円を超える人は10割には届きません
  • さらに 翌年の住民税が下がる。育休の効果は、育休が終わった後にもう一度やってくる

私は2026年6月末まで、1年間の育児休業を取っていました。共働きで、妻も同じ時期に1年間です。世帯から給与がまるごと1年なくなりました。

私は育休に入る前に、減る額を計算しました。 育児休業給付がいくら出るか、いつ給付率が下がるか、社会保険料の免除で何が変わるか。制度の側に、必要な数字はすべて書いてありました。

そのうえで出した見通しは、1年で現金が100万円ほど減るというものでした。

みぞれ
みぞれ

夫婦そろって1年休んで、減るのが100万円で済むの?

しぐれ
しぐれ

しかもこの100万円は、生活費で消えていく100万円ではありません。 中身は、続ける予定だった積み立てでした。

もう少し正確に書きます。この100万円は、育休中も積み立てを止めない前提で出した数字です。そして積み立てのほうが、減る見込みの100万円より大きい。 止めれば、1年を通して黒字という計算でした。

しかも「積み立て」は証券口座に入れる分だけではありません。修繕費、車の車検代、車の買い替え費用。 先々かかると分かっている支出を、毎月ためている分も入っています。

ただしこの2つは性格がまったく違います。 どちらも「支出の欄に並ぶが、消えていないお金」ではありますが、止めていいのは片方だけです。あとで詳しく書きます。

つまり計算した時点で、生活そのものは回ると分かっていました。 「100万円減る」というのは、現金が投資と将来の備えに移っていく分をそのまま数えた結果です。

ここがこの記事の要点です

夫婦で同時に1年休んでも、赤字になるのは生活費ではありませんでした。

額面の収入は当然大きく減ります。それでも家計が回るのは、給与から引かれていたものが、育休中は引かれなくなるからです。額面の減り方と、手取りの減り方は一致しません。

結果として、資産は減りませんでした。積み立ては額を少し下げて続け、思っていたより外出しなかったぶんの余裕も出ました。

収入がない1年間、積み立てを止めずに済んだ理由

額を下げたとはいえ、給与のない1年間に積み立てを続けられたのは、売らずに済んだからです。

上がると見込んで買ってはいます。ただ、いつ上がるかは決められません。 だから私が決めていたのは、次の3つだけでした。

私が守っていた3つ

  • 上がるまで持つ
  • 上がるまで持てない銘柄は買わない
  • 上がるまで持てない金額は買わない

中身の内訳

わが家の内訳は、投資信託と個別株がおおよそ半々です。個別株はその時々で増減しますが、投資信託の積み立ては止めていません。育休中も、額を少し減らして続けました。

上の3つが効くのは主に個別株のほうです。積み立ては「いつ買うか」を決めない置き方なので、そもそも判断を挟みません。

銘柄名も商品名も出しません。同じ配分をすすめる意図もありません。

この3つを守っていると、収入が細っても、売らなければならない場面が来ません。 育休で効いたのはここです。

3つ目の「上がるまで持てない金額は買わない」は、言い換えると使う時期が決まっているお金を、投資に回さないということです。5年後に必ず出ていくお金は、5年後に上がっているとは限りません。だから車検代や修繕費は、値動きしないところに置いています。 この分け方は、あとの「止めていい積み立てと、止めても先送りにしかならない積み立て」でもう一度出てきます。

逆に言えば、売らないと生活が回らない金額を持っていたら、同じ結果にはなりませんでした。 収入が減る時期に効くのは増やし方ではなく、手をつけずに済む形にしてあるかどうかです。育休を取ると決める前に見ておくべきなのは運用の中身より、そちらだと私は考えています。

これは私の考え方で、おすすめではありません

私は投資助言業の登録をしていません。特定の商品も手法もすすめません。 運用の結果は相場と保有期間で変わり、元本を割ることもあります。

この記事で誰にでも当てはまるのは、運用より手前の部分です。額面の減り方に対して手取りの減り方が小さいのは、制度がそう設計されているからで、運用をしているかどうかに関係なく成り立ちます。

その部分を、厚生労働省の公式資料に当たって分解します。これから育休を取る人が、計算する前に諦めずに済むように。

この記事の立場

私はFP2級を持っていますが、ここに書くのは一般的な制度の説明です。給付額は勤務先やあなたの賃金によって変わります。最終的な金額は必ずハローワークと勤務先にご確認ください。

「額面が減る」と「手取りが減る」は別の話

給与明細を思い浮かべてください。額面から引かれているものは、だいたいこの4つです。

  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)
  4. 雇用保険料

育休に入ると、このうち 1・3・4が消えます。残るのは住民税だけです。

項目働いている時育休中
所得税かかるかからない(給付は非課税)
住民税かかるかかる(前年所得ベースのため)
健康保険・厚生年金かかる免除(申出が必要)
雇用保険料かかるかからない(給与が出ない場合)

つまり育休中の「給付率67%」は、働いていた時の「額面の67%」ではあっても、「手取りの67%」ではありません。手取りベースでは8割前後になります。

ここを勘違いしたまま「収入が3分の1減る」と思い込んで育休を諦める人がいます。実際の落差は、思っているより小さいです。

育児休業給付は非課税である

これが一番効きます。

厚生労働省の公式資料には、こう書かれています。

育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません。また、育児休業等給付は非課税です。このため、休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取り10割相当の給付となります。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」

そして原文には、続けてこう書かれています。

ただし、休業開始時賃金日額の上限額(P5及びP16参照)があることにご留意ください。

つまり「手取り10割相当」は誰かの試算ではなく制度がそう設計されているということですが、次の2つの限定があります。ここを落とすと話が違ってきます。

「10割相当」には2つの限定がある

  • 期間の限定 — 給付率80%になるのは、出生後休業支援給付金が上乗せされる最大28日分だけです。1年間の育休なら、80%なのは最初の1か月弱。以降は67%、181日目からは50%になります
  • 金額の限定 — 休業開始時賃金日額には上限(16,540円)があります。30日分に直すと約50万円なので、育休前の月給がおおむね50万円を超える人は「10割相当」には届きません

非課税であることの効果は2段構えです。

  • その年:給付金から所得税が引かれない
  • 翌年:給付金は住民税の課税対象所得に入らない → 翌年度の住民税が大きく下がる

2つ目を見落としている人が多いのですが、家計へのインパクトはむしろこちらの方が長く効きます。この点は後述します。

社会保険料が免除される

健康保険料と厚生年金保険料は、育休中は免除されます。本人負担分だけでなく事業主負担分も免除され、しかも免除された期間も年金の加入期間として扱われ、将来の年金額は減りません

免除の条件は日本年金機構が定めています。

免除される期間

  • 毎月の保険料:育児休業等を開始した日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月まで
  • 開始月と終了月が同じ場合でも、その月に14日以上育休を取得していれば免除(令和4年10月1日以降に開始した育休が対象)
  • 賞与の保険料:賞与月の末日を含んだ連続1か月超の育休を取得した場合に免除(令和4年10月1日以降に開始した育休が対象)

注意すべきは、免除は自動ではないことです。事業主が年金事務所へ申出をして初めて免除されます。育休に入る前に、勤務先の担当者に「育児休業等取得者申出書は出してもらえますか」と一言確認しておいてください。

賞与の扱いも要注意です。「1か月」なので、ちょうど1か月では足りません。ボーナス月をまたぐ育休を計画しているなら、ここは金額が大きく動くポイントです。

最初の28日は給付率が80%になる(2025年4月〜)

2025年(令和7年)4月1日に 出生後休業支援給付金 が創設されました。これは育児休業給付金に 13%上乗せする仕組みです。

  • 育児休業給付金(または出生時育児休業給付金)… 67%
  • 出生後休業支援給付金 … +13%
  • 合計 80%

この80%が、さきほどの「非課税+社会保険料免除」と組み合わさって「手取り10割相当」になります。

支給されるのは 最大28日分。原則の要件は、夫婦がともに14日以上の育児休業を取得することです。

対象になる期間(原則)

  • — 子の出生日の翌日から 8週間以内 に14日以上の育休を取得
  • — 産後休業に続く期間を含め、出生日から 16週間以内 に14日以上の育休を取得

ひとり親である場合や、配偶者が就業していない場合など、配偶者の育休取得を要件としない例外も複数あります。

要件の確認は必ず一次情報で

出生後休業支援給付金は配偶者の育休取得状況によって要件が変わり、例外規定も複数あります。厚生労働省が簡易診断ツールを公開しているので、自分が対象かどうかはそちらで確認するのが確実です。

実際いくらもらえるのか

給付額の計算式はシンプルです。

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率

「休業開始時賃金日額」は、育休前6か月の賃金の合計を180で割った額です。そして、この日額には上限と下限があります。

令和9年(2027年)7月31日までの額

区分上限下限
休業開始時賃金日額16,540円3,203円

これをもとにした、支給日数30日の場合の支給額です。

給付給付率支給上限額支給下限額
育児休業給付金(〜180日)67%332,454円64,380円
育児休業給付金(181日〜)50%248,100円48,045円
出生後休業支援給付金(28日分)13%60,205円11,658円
出生時育児休業給付金(28日分)67%310,290円

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」

数字が変わる時期に注意

この上限額・下限額は 毎年8月1日に改定されます。毎月勤労統計の平均定期給与額の増減に連動する仕組みだからです。上の表は令和9年7月31日までの額です。それ以降に読んでいる方は、必ず最新版で確認してください。

見落とされがちな「翌年の住民税」

ここが本題です。

住民税は 前年の所得 をもとに計算され、その翌年度に課税されます。だから育休に入った年は、前年に働いていた分の住民税を払い続けることになります。「育休なのに住民税だけ来る」と感じるのはこのためです。

しかし、その翌年が違います。

育児休業給付は非課税なので、住民税の計算のもとになる所得に含まれません。育休中の収入が給付金だけだったなら、翌年度の住民税は大きく下がります。人によってはほぼゼロになります。

つまり時間軸で見ると、こうなります。

時期収入住民税
育休1年目給付金(非課税)前年所得ベースで満額かかる
復帰した年給与が戻る育休中の所得ベースで大きく下がる

復帰した年は「給与が戻っているのに住民税が安い」という状態になります。事前の見通しでいちばん過小評価していたのがここでした。育休の恩恵は、育休が終わってからもう一度やってきます。

ただし、年の途中から取ると効果は2年度に分かれる

上の表は1月から12月まできれいに育休だった場合の話です。実際には、年の途中から育休に入る人がほとんどでしょう。

住民税は暦年(1月〜12月)の所得をもとに計算されます。たとえば7月から翌年6月まで1年間取った場合、こうなります。

暦年その年の給与所得影響を受ける住民税
1年目1〜6月の給与のみ(約半年分)翌年度の住民税が半分ほど下がる
2年目7〜12月の給与のみ(約半年分)その翌年度の住民税が半分ほど下がる

つまり 「翌年ドカンと下がる」のではなく、2年度にわたってじわじわ下がる。私自身がこのパターンでした。

一度に大きく下がらないぶん実感しにくいのですが、2年分を合計すれば効果は同じです。家計を見るときは、単月ではなく2年スパンで比べてください。

なお、住民税が下がることで保育料など住民税額を基準に決まる負担も下がる可能性があります。こちらは自治体ごとに算定方法が違うので、お住まいの市区町村の基準表を確認してください。

どうやって見積もったか

私は表計算ソフトで、育休中の1年を月ごとに並べました。 年間の合計だけでは見えないものがあるからです。

見積もりで気をつけた3つ

  1. 月単位で置く。 育児休業給付は後払いなので、育休に入った直後がいちばん現金が減ります。 年間の合計で見ると、この谷が消えてしまいます
  2. 年に1回しか出ない支出を先に書き出す。 自動車税、車検、火災保険、NHK受信料。月々の家計簿には出てこないぶん、抜けると狂います
  3. 積み立ては満額続ける前提で置く。 減らす前提で計算すると、見通しが甘くなります

3つ目は、意図的に安全側へ振ったところです。実際の育休中は積み立ての額を少し下げているので、現金の減り方は見通しよりさらに小さくなりました。

「積み立て」を数え漏らさないこと

家計を並べてみると、支出の欄に入っているのに、実は減っていないお金があります。

  • 証券口座への積み立て
  • 修繕積立、車検費の積立、車の買い替え費用の積立
  • 個人年金など

出ていったのではなく、置き場所が変わっただけです。ところが家計簿では支出として並ぶので、「毎月これだけ赤字だ」と読み違えます。

まず、支出の欄からこの種類のものを抜き出してみてください。 本当に生活のために出ていくお金がいくらなのかは、そこではじめて分かります。

止めていい積み立てと、止めても先送りにしかならない積み立て

抜き出したら、次は2つに分けます。 どちらも「消えていないお金」ですが、扱いはまるで違います。

期限のある積み立て期限のない積み立て
修繕費、車検費、車の買い替え証券口座への積み立て
使う時期5年後・10年後と決まっている決めていない
置き場所値動きしないところ値動きしてよい
育休中に止めると後で取り戻すことになる後で戻せばよい

期限のある積み立てを止めても、支出が減るわけではありません。 屋根は同じ時期に傷みますし、車検は同じ月に来ます。止めた分は、そのとき現金で用意することになります。先送りであって、削減ではありません。

止めていいのは、使う時期を決めていないほうだけです。私が育休中に額を下げたのも、こちらでした。

しぐれ
しぐれ

ここを分けずに「積み立てを止めれば乗り切れる」と考えると、育休が明けたあとに車検と修繕がまとめて来ます。 減らしたつもりが、時期をずらしただけということになります。

しぐれ
しぐれ

見積もりは、当てにいくものではありません。 「これ以上は悪くならない」という線を引くためのものです。悪いほうに寄せて作れば、外れたときは必ず良いほうに外れます。

それでも注意すべきこと

制度は手厚いですが、無条件ではありません。私が実際に引っかかりかけた点を挙げます。

落とし穴

  • 給付は後払い。原則2か月ごとの支給なので、育休開始直後は無収入の期間ができます。2〜3か月分の生活費は現金で確保してから入るべきです
  • 保険料免除は申出が必要。自動ではありません。勤務先に確認を
  • 賞与の免除は「1か月超」。ちょうど1か月では対象外
  • 育休中に働きすぎると減額・不支給になる。就業日数の上限があります
  • 住民税は育休1年目に満額来る。ここで焦らないこと

まとめ

育休で「収入が3分の1になる」と考えて躊躇している人がいたら、それは額面と手取りを混同している可能性があります。

  • 給付は非課税
  • 社会保険料は免除
  • 最初の28日は実質80%
  • 翌年の住民税が下がる

この4つが重なった結果、夫婦そろって1年休んでも、生活費は赤字になりませんでした。 見通しの「1年で現金が100万円減る」は、その間も続ける積み立てを数えたぶんです。積み立てのほうが、その100万円より大きい。 止めれば黒字という計算でした。

そこから先、資産が増えるか減るかは運用や暮らし方しだいで、人によって違います。約束できるものでもありません。

けれど、額面の減り方に対して手取りの減り方が小さいという部分は制度の設計そのもので、多くの人に当てはまります。

しぐれ
しぐれ

「生活できないから」と育休を短く切り上げる判断は、計算する前に下されていることが多いと感じています。計算したうえで短くするなら、それは納得のいく選択です。

しぐれ
しぐれ

まだ計算していないなら、決める段階に来ていません。 まずは自分の数字を出してみてください。

不安の正体はたいてい「知らないこと」です。金額が分かれば、それは不安ではなく予定になります。

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出典

本記事は2026年9月6日時点の公表内容に基づいています。制度は改正されることがあります。個別の判断は、ハローワーク・年金事務所・お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

よくある質問

育児休業給付金に確定申告は必要ですか?

給付金自体は非課税なので、給付金だけであれば申告の必要はありません。ただし年の途中で育休に入り年末調整を受けていない場合は、確定申告をすると所得税が還付されることがあります。

配偶者控除は使えますか?

給付金は非課税で所得に含まれないため、育休中の年は合計所得金額が下がり、配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる場合があります。世帯単位で見ると、ここでも税負担が下がります。

育休中に社会保険料が免除されると、将来の年金は減りますか?

減りません。免除された期間も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金額に影響しません。

給付率は途中で下がりますか?

3段階で変わります。出生後休業支援給付金が上乗せされる最大28日分は80%、そのあと育児休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%です。1年間取る場合は後半が50%になるので、家計の計画はこの段差を前提に立ててください。

月給が高いと「手取り10割相当」にならないのはなぜですか?

休業開始時賃金日額に上限(16,540円、令和9年7月31日までの額)があるためです。30日分に直すと約50万円なので、育休前の月給がおおむねこれを超える人は、給付が上限で頭打ちになり10割相当には届きません。厚生労働省の資料にも注意書きとして明記されています。

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