先に結論
- 公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は要りません。20万円は収入ではなく所得で見ます。年金額が少なくて所得税が引かれていない人も当てはまります(国外で支払われる外国の年金などを受けている人は除きます)
- ただし申告すると所得税が戻る人がいます。年金の源泉徴収では、医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除・口座振替や納付書で払った社会保険料が差し引かれていないためです。扶養親族等申告書を出していない人、出したあとで扶養親族が増えた人も戻ることがあります
- 戻るのは、年金から所得税が源泉徴収されている人だけです。令和8年分からは、源泉徴収の対象が65歳以上で年金205万円以上(65歳未満は155万円以上)に上がりました(日本年金機構)
- 所得税が戻らない人でも、住民税の申告で医療費控除などを反映させられることがあります。所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は要りません
- 申告するなら、20万円以下の年金以外の所得も含めて書きます。還付申告は翌年1月1日から5年間。令和8年分は2027年1月1日から出せます
- いずれも2026年9月29日時点で国税庁・日本年金機構・市が公表している内容に基づきます
年金をもらっている人には、確定申告をしなくてよい仕組みがあります。ところが「しなくてよい」を「しても意味がない」と受け取って、戻るはずの税金をそのままにしている人が少なくありません。
この記事は、不要制度に当たる人がそれでも申告したほうがいい場面に絞って書きます。会社員を含めた全体の判定は会社員の確定申告が必要な人・不要な人にまとめています。親の年金の相談を受ける人、二世帯住宅を建てて親と同居する人にも関わる話です。
不要制度の条件は、数字の2つと外国の年金の注意
国税庁は、不要制度をこう書いています。
平成23年分以後は、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。
国税庁タックスアンサーNo.1600より。数字の条件は2つで、両方を満たすことが必要です。
不要制度に当たるか
- ☐ 公的年金等の収入金額が400万円以下
- ☐ 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
- ☐ 国外で支払われるなど、源泉徴収の対象とされない外国の年金を受けていない(下で説明します)
3つ目の条件は「所得税が引かれているか」ではない
条文には、もう1つ条件があります。所得税法第121条第3項は、不要制度の対象を、公的年金等について次の場合に限っています。
その公的年金等の全部(第二百三条の七(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において
e-Gov法令検索「所得税法」より。国税庁の令和7年分の手引きも、400万円の条件に、公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合に限るという注記を付けています。
読み違えやすいので、はっきりさせておきます。これは源泉徴収の仕組みの対象になる年金かどうかの話で、実際に所得税が引かれたかどうかの話ではありません。
- 条文は「徴収をされた又はされるべき場合」と書いています。源泉徴収の対象の年金なら、計算の結果として引かれた税額が0円でも当てはまります
- 年金額が少ないために源泉徴収を要しない年金(第203条の7)は、「全部」から除かれています
- 源泉徴収の対象にならない例として、手引きは次のものを挙げています
※2 一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。
令和8年分から年金額の基準が上がり、所得税が引かれなくなった人がいます。その人たちも、この条件で不要制度から外れることはありません(下の「申告しても、所得税が戻らない人」の節)。外れるのは、国外で支払われる外国の年金を受けている人などです。No.1600の注3も、源泉徴収の対象とされない外国の年金を受けている人は不要制度を使えないとしています。
「公的年金等」に入るもの・入らないもの
No.1600が挙げる公的年金等は、国民年金・厚生年金・共済の年金、過去の勤務により会社などから支払われる年金、確定給付企業年金などです。企業年金も400万円に含めて数えます。 外国の法令に基づく社会保険などの年金も、公的年金等に入ります(No.1600の概要(4))。
一方、公的年金等に入らないもの、所得税がかからないものは次のとおりです。
| もの | 扱い |
|---|---|
| 生命保険会社などの個人年金 | 公的年金等ではない(No.1600)。雑所得として「以外の所得」の側に数える |
| 国民年金・厚生年金などの遺族年金 | 原則として所得税がかからない(No.1605)。どちらの側にも数えない |
遺族年金だけを受けている人は、そもそも年金に所得税がかかりません。ご相談でよく混ざるので、先に分けておきます。
20万円は「所得」で見る
2つ目の条件は、収入ではなく所得です。個人年金なら受け取った額から払い込んだ保険料に当たる額を、貸している土地の地代なら経費を引いたあとの額で見ます。
年金を受けながら働いている人の給与も、この「以外の所得」に入ります。給与所得が20万円を超えると不要制度には当たらず、給与の側のルールで判定します。ここは会社員の確定申告が必要な人・不要な人の年金の節に書いています。
年金の所得は、どう計算するか
公的年金等の所得は、収入から公的年金等控除額を引いて出します。No.1600の速算表(令和2年分以後、年金以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合)の、よく使う範囲だけを抜き出します。
| 年齢 | 公的年金等の収入 | 所得の金額 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 110万円以下 | 0円 |
| 65歳以上 | 110万円超 330万円未満 | 収入−110万円 |
| 65歳以上 | 330万円以上 410万円未満 | 収入×0.75−27万5千円 |
| 65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
| 65歳未満 | 60万円超 130万円未満 | 収入−60万円 |
| 65歳未満 | 130万円以上 410万円未満 | 収入×0.75−27万5千円 |
年齢は、その年の12月31日時点で判断します(日本年金機構の源泉徴収票の案内)。たとえば65歳以上で年金収入が260万円なら、所得は150万円です。
申告すると戻る、いちばんの理由
年金から天引きされる所得税は、年金の支払者が分かる情報だけで計算されています。日本年金機構は、源泉徴収税額の計算をこう示しています。
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料※1 -各種控除額(基礎控除※2+配偶者控除等各種控除))×合計税率※3 (5.105%)
日本年金機構「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」より。同じページは、この式を令和9年2月分の年金から適用する式としています(※2の基礎控除も令和9年分の額)。令和8年中の各月の年金は、改正前の基礎的控除額で計算されます。それでも、年金支給額から社会保険料と各種控除額を引いて税率をかける並びは同じです(日本年金機構の令和7年分の源泉徴収票の案内)。ここでいう社会保険料は、年金から特別徴収された介護保険料と国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)です。
つまり、次のものは年金の源泉徴収に一切入っていません。
- 医療費控除
- 生命保険料控除・地震保険料控除
- 納付書や口座振替で払った社会保険料
- ふるさと納税などの寄附金控除
- 扶養親族等申告書に書かなかった配偶者控除・扶養控除・障害者控除
会社員なら年末調整で生命保険料控除などを受けられますが、年金には年末調整がありません。 日本年金機構も、確定申告が不要な人が還付申告で税金を取り戻せる例を挙げています。社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除などを受けようとする場合です。

年金から税金が引かれているなら、それで全部精算されているんだと思ってた。

引かれているのは、年金の支払者が知っている控除だけで計算した額です。病院代や保険料のことは、支払者は知りません。 そこを伝える手段が、還付申告です。
戻る典型を、1つずつ
医療費控除
医療費控除は、1年間の医療費から保険金などで補てんされる額を引いて計算します。そこからさらに10万円か、総所得金額等の5%のどちらか少ない額を引いた額が控除です(国税庁No.1120)。年金が主な収入の人は、総所得金額等が200万円未満になりやすく、足切りが10万円より小さくなります。
数値例で確かめます(仮の数字です)。
例:70歳、公的年金等の収入260万円だけ、医療費30万円(補てんなし)
- 年金の所得:260万円−110万円=150万円
- 足切り:150万円×5%=7万5千円(10万円より少ないので、こちら)
- 医療費控除:30万円−7万5千円=22万5千円
- 所得税が減る額の目安:22万5千円×5.105%=約1万1千円
5.105%は、所得税の税率5%(課税される所得が195万円以下の部分。国税庁No.2260)に復興特別所得税を合わせた率です。戻る額は、その年に源泉徴収された税額が上限です。課税される所得が医療費控除より少ない人は、減る額も小さくなります。
10万円の足切りだけを覚えていると、医療費が8万円の年に「届かない」と思い込みます。上の例の人なら、7万5千円を超えた分から控除になります。
何が医療費に入るかは医療費控除の対象になるもの・ならないもの完全リストに、明細書の書き方とセルフメディケーション税制との選び方は医療費控除の確定申告に書いています。
社会保険料控除|誰が払ったかで決まる
年金から天引きされた保険料は、すでに源泉徴収で差し引かれています。戻る可能性があるのは、それ以外の方法で払った保険料です。
ここで分かれ目になるのが「誰が払ったか」です。国税庁の質疑応答は、妻の年金から介護保険料が天引きされているケースについて、こう答えています。
介護保険料などの社会保険料が、あなたの妻の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。したがって、あなたが支払った社会保険料ではありませんから、あなたの社会保険料控除の対象にはなりません。
国税庁No.1130の質疑応答Q5より。一方、後期高齢者医療の保険料を夫の口座から振り替えている場合は、口座の名義人である夫の控除になります(同Q7)。
| 払い方 | 控除を受ける人 |
|---|---|
| 本人の年金から特別徴収(天引き) | 本人。源泉徴収ですでに差し引き済み |
| 妻の年金から特別徴収 | 妻。夫の控除にはならない |
| 夫の口座から口座振替(生計を一にする妻の分) | 夫 |
| 夫が納付書で払った妻の国民健康保険料 | 夫(生計を一にしている場合) |
同じQ&Aは、後期高齢者医療の保険料は原則として年金から特別徴収されるものの、市区町村などへの手続きで口座振替を選べるとしています(Q6)。夫婦で所得に差があり、妻に所得税がかかっていない場合、どちらの控除になるかで戻る税金が変わります。
65歳前に退職して国民年金に任意加入している人の保険料、国民健康保険料を納付書で払っている人の分も、年金の源泉徴収には入っていません。
生命保険料控除・地震保険料控除
会社員のときは年末調整で出していた控除証明書も、年金生活に入ると出す先がなくなります。証明書が届いても、申告しなければ控除は受けられません。 控除の枠と計算は控除証明書が何通も届いたで説明しています。
扶養親族等申告書の出し忘れ・書き漏れ
年金の源泉徴収で配偶者控除や扶養控除を受けるには、日本年金機構などへ「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を出します。出していない場合について、日本年金機構はこう書いています。
申告書を提出しない場合は、確定申告等を行わないと、所得税の源泉徴収や翌年の個人住民税において、障害者控除や配偶者控除等を受けることができません。
同じページで、控除に当たる配偶者や親族がいない人は、提出しなくても多く徴収されることはないとしています。影響があるのは、控除の対象になる家族がいる人です。 申告書を出した後で扶養親族が増えた場合も、確定申告で精算します。
見落としやすいのが障害者控除です。障害者手帳がなくても、障害者控除の対象になる人がいます。65歳以上で、障害の程度が手帳の対象者に準ずるとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人です(国税庁No.1160)。控除額は27万円、特別障害者は40万円、同居の特別障害者は75万円です。認定は自動ではないので、介護を受けている親がいる場合は、市区町村の窓口に認定の仕組みを確かめてください。
令和8年分だけの論点|扶養親族の所得要件が62万円に
令和8年度税制改正で、扶養親族などの合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました(令和8年12月1日施行、令和8年分から適用。国税庁No.1180の注記)。
65歳以上で、ほかに所得がなく年金だけの親なら、年金の所得は「収入−110万円」なので、年金収入172万円以下が扶養親族の目安になります(改正前は168万円以下)。年金収入が168万円を少し超えていた親が、令和8年分から新たに扶養親族に当たることがあります。
ただし、令和8年分の扶養親族等申告書は令和7年の秋に出したもので、改正前の基準で書かれています。国税庁のQ&Aは、年金受給者についてこう答えています。
公的年金等の受給者が、令和8年分の所得税について、上記③の改正により新たに扶養親族等の要件を満たすこととなった親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする場合には、原則として、確定申告をする必要があります(Q7-1参照)。
国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q1-1より。新しく扶養に入る親族がいる年金受給者は、令和8年分の確定申告で控除を受けます。 会社員の場合の扱いは年末調整の書き方2026にあります。

基礎控除が上がった分も、確定申告しないと受けられないの?

そこは別です。基礎控除の引上げ分は、令和8年12月の年金の支払いのときに、年金の支払者が1年分をまとめて精算します。扶養親族が増えた分だけは自動では入らない、と分けて覚えてください。
12月の精算について、同じQ&Aは次の2点も書いています。
- 令和8年12月に年金の支払がなく精算が行われなかった人で、源泉徴収された税額があるときは、確定申告で精算できる(Q5-1の注)
- 確定給付企業年金法に基づく年金は、12月の精算の対象になりません(Q5-2の注)
企業年金を受けている人は、12月の精算を待っても企業年金の分は変わりません。
令和7年分には「年金額が一定の範囲の人」への案内がありました
日本年金機構の令和7年分の源泉徴収票の案内には、源泉徴収の計算の仕組みによる注意書きがあります。65歳以上で年金額が198万円超242万円以下(65歳未満は154万1円超212万6,667円以下)の人は、確定申告で還付を受けられる場合があるという内容です。同じ案内には「年金額が205万円以上(65歳未満は155万円以上)の場合は、一律242万円(65歳未満は213万円)を超える場合の控除額が適用」という説明もあります。この205万円・155万円は控除額の計算の段の境目として出てくる数字で、下の「源泉徴収の対象になる年金額」の表とは意味が違います。令和8年分に同じ案内が出るかは、2026年9月29日時点では分かりません。2027年1月に届く源泉徴収票と、日本年金機構の案内で確かめてください。
申告しても、所得税が戻らない人
還付申告で戻るのは、源泉徴収された所得税です。年金から所得税が引かれていない人は、いくら控除を足しても所得税は戻りません。
令和8年分から、年金から所得税が源泉徴収される人の範囲が変わりました。日本年金機構の表です。
| 年齢 | 令和7年分まで | 令和8年分以降 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 108万円以上 | 155万円以上 |
| 65歳以上 | 158万円以上 | 205万円以上 |
老齢または退職を理由とする年金(老齢福祉年金を除く)の年間の金額です。日本年金機構は、これまで毎年扶養親族等申告書が届いていた人でも、令和8年分からは源泉徴収の対象外になり、申告書が届かない場合があるとしています。
この金額に満たず所得税が引かれていない人も、確定申告不要制度には当たります。 前に書いたとおり、不要制度の「源泉徴収の対象」の条件で外れるのは国外で支払われる外国の年金などで、年金額が少なくて所得税が引かれていない人ではありません。この人たちに関係するのは、「申告しても所得税は戻らない」という点です。
確かめる場所は、毎年1月に届く「公的年金等の源泉徴収票」の「源泉徴収税額」の欄です。ここが0円なら、所得税の還付申告は出しても戻りません。その場合に考えるのは、次の住民税の申告です。
住民税の申告は別に考える
所得税の不要制度は、住民税にはありません。国税庁No.1600の注記です。
(注2) 公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります。
市の案内を合わせると、住民税の申告が要るのは次の2つの場合です。
- 年金以外の所得がある人。20万円以下でも申告が要ります(横浜市)
- 年金だけの人で、源泉徴収票に載っていない控除を受けたい人。名古屋市は、医療費控除、社会保険料控除(本人が納付書や口座振替等で支払ったもの)、生命保険料控除などを挙げています
年金だけで、足したい控除もない人は、年金の支払者から市区町村へ支払報告書が出ているので、原則として申告は要りません(神戸市)。
所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は要りません(名古屋市)。
所得税が源泉徴収されていない人でも、住民税はかかっていることがあります。住民税の基礎控除は合計所得金額が2,400万円以下の場合は43万円で(川崎市の案内)、所得税の基礎控除より小さいためです。日本年金機構も次のように書いています。
年金が源泉徴収の対象とならない方であっても、個人住民税の課税対象となる場合は、住民税の控除を受ける際、申告が必要となる場合があります。
日本年金機構「令和8年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の紙の提出方法より。所得税は戻らなくても、医療費控除を住民税の申告に書けば、翌年度の住民税が下がることがあります。神戸市は、納税通知書が届いた後でも申告できるとしています。申告先と期限は、お住まいの市区町村の案内で確かめてください。副業の場合の住民税の申告は副業の「20万円以下なら申告不要」の本当の範囲で扱っています。
国民健康保険料は、控除では下がらない
65歳から74歳で国民健康保険に入っている人が誤解しやすい所です。川崎市は、国民健康保険料の所得割の計算について、こう案内しています。
基礎控除を除き、住民税の各種所得控除(医療費控除・社会保険料控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・配偶者控除・扶養控除など)は賦課基準額の計算において、総所得金額等から差し引かれません。
医療費控除などで申告しても、国民健康保険料は下がりません。 下がるのは所得税と住民税です。計算の方法は市区町村ごとに定められているので、加入している市区町村の案内で確かめてください。
申告するなら、全部を書く
還付申告も確定申告の一種です。国税庁No.2020は、確定申告を、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と税額を計算して確定させる手続と説明しています。20万円以下で不要制度の判定から外れていた所得も、申告するなら書きます。 考え方は会社員の副業の20万円と同じです(会社員の確定申告が必要な人・不要な人)。
還付のつもりが、納付になることがある
不要制度は、国税庁の令和7年分の手引きが「計算の結果、納税額がある場合でも所得税等の確定申告は必要ありません」としている制度です。裏返すと、不要制度に当たる人の中には、本来の税額が源泉徴収額より多い人もいます。 個人年金や地代などの所得を足したら、医療費控除で減る税額より増える税額のほうが大きい、ということが起こります。申告書を出す前に、差し引きを一度確かめてください。
もう1つ、上場株式の配当などを源泉徴収ありの特定口座で受けている人は、還付申告のときに、その配当を申告に含めるかを選べます。川崎市は、確定申告に含めた配当や譲渡益は、国民健康保険料の計算に使う所得に入ると案内しています。所得税の還付と保険料の増加を比べずに含めないよう、注意が要ります。

親の申告を手伝うとき、最初に見るものは?

源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄です。0円なら所得税は戻らないので、住民税の申告のほうを考える。0円でなければ、所得税の還付申告を考えます。年金以外の所得があれば住民税の申告が要る場合もあるので、そこも一緒に確かめてください。それから医療費の領収書と保険料の控除証明書を集める順番にすると、手戻りがありません。
手順と期限
そろえるもの
- 公的年金等の源泉徴収票。日本年金機構の分は、令和7年分は令和8年1月8日から15日にかけて、はがきで順次送られました。なくしたときは、ねんきんネット、年金事務所などで再交付を申請できます
- 医療費の領収書か医療費通知(明細書を作ります。書き方は医療費控除の確定申告)
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書、口座振替で払った保険料の額が分かるもの
- 扶養親族や障害者控除の対象になる家族の情報
日本年金機構は、平成31年4月から確定申告の際の源泉徴収票の添付は不要になったものの、申告書には源泉徴収票の内容を書く必要があるとしています。税務署で申告書を作るときは、源泉徴収票を持っていきます。
いつ出すか
還付申告は、確定申告の期間とは関係なく出せます。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
国税庁No.2030より。令和8年分なら2027年1月1日から2031年12月31日までです。2月16日からの混み合う時期を避けて、1月中に出すこともできます。
新しく扶養に入る親族の控除を受けるなど、令和8年分に納める税金が出る場合の期限は、2027年3月15日(月)です。期限を過ぎたときの扱いは確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。
過去の分も出せます(2026年9月29日時点)
- いま出せる最も古い年分は令和3年分で、期限は2026年12月31日です
- 令和4年分は2027年12月31日まで
- 過去の医療費や、扶養親族等申告書の出し忘れに気づいたときの出し方は還付申告は5年さかのぼれるに書いています
まとめ
- 公的年金等の収入400万円以下かつ年金以外の所得20万円以下なら、所得税の確定申告は要らない。年金額が少なくて所得税が引かれていない人も当てはまる(国外で支払われる外国の年金などを受けている人は除く)
- 個人年金は「以外の所得」の側。遺族年金は原則として非課税
- 年金の源泉徴収には、医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除・口座振替や納付書で払った保険料・申告書に書かなかった扶養控除や障害者控除が入っていない。申告すると戻ることがある
- 保険料の控除は、払った人が受ける。妻の年金から天引きされた分は妻の控除
- 令和8年分は、扶養親族の所得要件が62万円に上がった。新しく扶養に入る親族の控除は、年金受給者は原則として確定申告で受ける
- 令和8年分から、所得税の源泉徴収は65歳以上で年金205万円以上(65歳未満は155万円以上)。源泉徴収税額が0円なら所得税は戻らない
- 所得税が戻らなくても、住民税の申告で控除を反映できることがある。国民健康保険料は控除では下がらない
- 申告するなら20万円以下の所得も書く。還付申告は翌年1月1日から5年間
年金生活に入ると、年末調整という「誰かが代わりにやってくれる手続き」がなくなります。1月に届く源泉徴収票の1つの欄を見ることから始めれば、申告が要るか、どこへ出すかはほぼ決まります。
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出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1600 公的年金等の課税関係
- 国税庁「確定申告が必要な方」(令和7年分の手引き)
- 国税庁 タックスアンサー No.1130 社会保険料控除
- 国税庁 No.1130 社会保険料控除(質疑応答)
- 国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
- 国税庁 タックスアンサー No.1160 障害者控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1605 遺族の方に支給される公的年金等
- 国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告
- 国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告
- 国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率
- 国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(PDF)
- 日本年金機構「令和8年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の紙の提出方法
- 日本年金機構「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」
- 日本年金機構「「令和7年分公的年金等の源泉徴収票」の送付について」
- 日本年金機構「公的年金等の源泉徴収票をなくしたとき」
- 名古屋市「年金収入が400万円以下の場合、市民税・県民税の申告は?」
- 横浜市「年金所得者に係る確定申告不要制度の創設のお知らせ」
- 神戸市FAQ「昨年の収入は年金だけですが、住民税の申告をする必要はありますか。」
- e-Gov法令検索「所得税法」
- 川崎市「国民健康保険料の所得割額の算定に用いる「賦課基準額」について知りたい。」
本記事は2026年9月29日時点で公表されている内容(国税庁タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等)に基づいています。令和8年分の確定申告の手引きと、日本年金機構の令和8年分の源泉徴収票の案内は、まだ公表されていません。住民税の申告の扱いと国民健康保険料の計算は、市区町村によって異なる場合があります。個別の判断は、所轄の税務署、年金の支払者、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
よくある質問
年金が400万円以下なら、確定申告をしてはいけないのですか?
いいえ。不要制度は「申告しなくてよい」という定めです。国税庁は、医療費控除や社会保険料控除などによる所得税の還付を受けるための確定申告ができるとしています。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間出せます。
申告しても税金が戻らないのは、どんな人ですか?
年金から所得税が源泉徴収されていない人です。公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円なら、所得税は戻りません。令和8年分からは、源泉徴収の対象が65歳以上で年金額205万円以上、65歳未満で155万円以上に引き上げられています(日本年金機構)。ただし住民税は、申告すると控除が反映されることがあります。
年金から天引きされている介護保険料は、申告しないと控除されませんか?
年金から特別徴収された介護保険料や後期高齢者医療保険料は、年金の源泉徴収の計算で社会保険料として差し引かれています。申告で戻る可能性があるのは、納付書や口座振替で払った保険料、生計を一にする家族の保険料を本人が払った分などです。
所得税の確定申告をしなければ、住民税の申告も要りませんか?
年金だけの人は原則として住民税の申告は要りませんが、医療費控除や生命保険料控除など、源泉徴収票に載っていない控除を住民税で受けるには申告が必要です。年金以外の所得がある人も申告が必要とされています(名古屋市・横浜市)。所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は要りません。
令和8年に親の年金が少し増え、扶養に入るか迷っています。
令和8年分から、扶養親族の合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました。65歳以上で年金だけの親なら、年金収入172万円以下が目安です。新たに扶養親族に当たる親族について控除を受けるには、年金受給者は原則として確定申告が必要です(国税庁Q&A)。

