医療費控除の対象になるもの・ならないもの完全リスト

医療費控除の対象になるもの・ならないもの完全リストのイメージ 税金と控除

結論(4行)

  • 判断基準は 「治療に必要かどうか」。予防・健康増進・美容目的は対象外
  • 診療費・通院費(公共交通機関)・入院費・医薬品代は 対象
  • 健康診断・タクシー代(原則)・自家用車のガソリン代・里帰り出産の交通費は 対象外
  • 医療費控除は 確定申告が必要。年末調整ではできない

医療費控除は、年間の医療費が一定額を超えたときに使える所得控除です。ただし「治療に関係する 出費なら何でも対象」というわけではありません。国税庁の基準にもとづいて、対象になるもの・ ならないものを整理します。

判断基準は「治療に必要かどうか」

対象になる考え方

  • 医師等による診療・治療の対価であること
  • 治療や療養に必要な支出であること

対象にならない考え方

  • 健康診断・人間ドックの費用(ただし、検査の結果、重大な疾病が発見され、

引き続きその治療をした場合は対象になります)

  • 病気の予防や健康増進のためのもの(ビタミン剤など)
  • 美容目的のもの

対象になるもの・ならないものの一覧

項目対象補足
医師・歯科医師の診療費・治療費
治療・療養に必要な医薬品の購入費風邪薬など。ビタミン剤等の予防目的は×
入院の部屋代・食事代
通院費(電車・バス)
通院費(タクシー)公共交通機関の利用が困難な場合のみ○
自家用車のガソリン代・駐車場代
コルセットなどの医療用器具
義手・義足・松葉杖・補聴器・義歯・眼鏡治療に必要な範囲
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術費
健康診断・人間ドックの費用重大な疾病が見つかり治療した場合は○
予防・健康増進目的の医薬品(ビタミン剤等)
美容目的の施術・費用

出産費用は「治療」と「それ以外」が混ざりやすい

出産費用は、対象・対象外が混ざりやすい典型です。

項目対象
妊娠と診断されてからの定期検診・検査費用
通院費(電車・バス)
通院費(タクシー。公共交通機関の利用が困難な場合)
里帰り出産のため実家に帰省する交通費
出産育児一時金を受け取った分医療費から差し引く

里帰り出産の交通費は対象外

「実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはなりません」と、 国税庁が明確に否定しています。検診の通院費とは扱いが違うので注意してください。

出産育児一時金(原則50万円)を受け取っている場合、その金額は対象となる出産費用から 差し引く必要があります。全額を控除の対象にはできません。

控除額の計算式

医療費控除額 = 実際に支払った医療費の合計額
              - 保険金などで補てんされる金額
              - (10万円 と 総所得金額等の5% のいずれか少ないほう)

上限:200万円

保険金などで補填される金額(高額療養費・出産育児一時金・生命保険の給付金など)は、 その給付の対象になった医療費からだけ差し引きます。 引ききれない金額が出ても、 他の医療費からは差し引きません。

対象期間

その年の1月1日から12月31日までに、実際に支払った医療費が対象です。年をまたいで未払いの 分は、支払った年の医療費として扱います。

セルフメディケーション税制という選択肢もある

通常の医療費控除とは別に、セルフメディケーション税制という特例があります。 対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品など)の購入費が12,000円を超えた分(上限88,000円)を 控除できる制度です。

通常の医療費控除との違い

  • 通常の医療費控除:年間の医療費が 10万円(所得が少ない人はそれ以下)を超えた分
  • セルフメディケーション税制:対象医薬品の購入費が 12,000円を超えた分(上限88,000円)
  • どちらか一方を選択。併用はできない

医療費の総額が10万円に届かないけれど、対象医薬品をよく購入する人には、 セルフメディケーション税制のほうが有利なことがあります。

令和9年分からさらに拡充されます

セルフメディケーション税制は、令和8年度税制改正でスイッチOTC医薬品にかかる部分の適用期限が 撤廃(恒久化)され、それ以外の医薬品も5年延長されました(令和9年分以後の所得税から適用)。 対象となる医薬品の範囲も広がります。国税庁のタックスアンサーはまだこの拡充を反映していない ことがあるので、その場合は財務省の税制改正大綱で確認してください。

確定申告が必要

医療費控除は、年末調整では受けられません。会社員であっても、 医療費控除を受けるには確定申告が必要です。 家族(生計を一にする配偶者や親族)の分を まとめて、家計の中心となる人がまとめて申告することもできます。

まとめ

  • 判断基準は「治療に必要かどうか」。予防・美容目的は対象外
  • タクシー代は原則対象外(公共交通機関の利用が困難な場合のみ対象)
  • 里帰り出産の交通費は対象外。出産育児一時金は医療費から差し引く
  • セルフメディケーション税制との選択制。併用不可
  • 医療費控除は確定申告が必要(年末調整ではできない)

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よくある質問

医療費控除は年末調整でできますか?

できません。医療費控除を受けるには確定申告が必要です。会社員でも、この控除だけのために確定申告書を提出することになります。

出産育児一時金をもらった場合、出産費用は全額医療費控除の対象になりますか?

なりません。出産育児一時金として受け取った金額は、対象となる出産費用から差し引く必要があります。差額(自己負担した分)だけが医療費控除の対象です。

医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらがお得ですか?

人によります。通常の医療費控除は年間10万円(所得が少ない人はそれ以下)を超えた分が対象で、セルフメディケーション税制は対象医薬品の購入費が12,000円を超えた分(上限88,000円)が対象です。医療費が少なく、対象医薬品の購入が多い人はセルフメディケーション税制のほうが有利なことがあります。両方は併用できず、どちらか一方を選びます。

家族の医療費もまとめて申告できますか?

できます。生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費であれば、家族分をまとめて、家計の中心となる人がまとめて申告できます。

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