結論(3行)
- この申告書は 1枚で4つの控除(基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除)を申告する
- 書く前に必要なのは、自分と配偶者・特定親族の「合計所得金額(見込み)」 だけ
- 控除額が変わっているので、去年の記入例をそのまま真似すると金額を間違えます
年末調整の書き方2026で触れたとおり、令和8年分の年末調整では 「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という長い名前の書類を書きます。名前は長いですが、 やることは「自分と家族の所得を確認して、当てはまる欄に書く」だけです。
順番に見ていきます。
まず確認すること:「合計所得金額」の出し方
すべての土台になるのが合計所得金額です。給与収入しかない人は、次の式で出します。
合計所得金額 = 給与収入(年収) − 給与所得控除
給与以外に所得がなければ、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」がそのまま合計所得金額です。 まだ源泉徴収票が手元にない(年の途中である)場合は、年末までの見込み年収から計算します。
①基礎控除申告書:自分の所得を書く
まず自分の合計所得金額を、次の表に当てはめます。
| あなたの合計所得金額 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円(本則62万円+特例42万円) |
| 489万円超655万円以下 | 67万円(本則62万円+特例5万円) |
| 655万円超2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
記入例
給与収入500万円、他に所得なしのAさん。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が356万円だったとします。
→ 合計所得金額356万円 は「489万円以下」の区分 → 基礎控除額は104万円
この特例42万円・5万円は令和8年分・令和9年分限定です。令和10年分以降は控除額が変わります。 詳しくは178万円の壁は2年で終わるで解説しています。
②配偶者控除等申告書:配偶者がいる場合だけ書く
配偶者がいない人、配偶者の所得が一定以上ある人(後述)は、この欄は空欄で構いません。
まず、配偶者の合計所得金額を確認します。給与収入だけの配偶者なら、次の早見表が目安です (給与所得控除の速算表から私が算出した目安。国税庁が公表している数値そのものではありません)。
| 配偶者の年収の目安 | 配偶者の合計所得金額 |
|---|---|
| 136万円以下 | 62万円以下 |
| 169万円 | 95万円 |
| 207万円 | 133万円 |
控除額の表
| 配偶者の合計所得金額 | 控除額(あなたの合計所得900万円以下の場合) |
|---|---|
| 62万円以下 | 38万円(=配偶者控除。この欄ではなく扶養控除等申告書に記入) |
| 62万円超95万円以下 | 38万円 |
| 95万円超100万円以下 | 36万円 |
| 100万円超105万円以下 | 31万円 |
| 105万円超110万円以下 | 26万円 |
| 110万円超115万円以下 | 21万円 |
| 115万円超120万円以下 | 16万円 |
| 120万円超125万円以下 | 11万円 |
| 125万円超130万円以下 | 6万円 |
| 130万円超133万円以下 | 3万円 |
| 133万円超 | 0円(対象外) |
この表の「62万円」について
国税庁のタックスアンサーNo.1195は、2026年9月6日時点では「58万円超」という令和7年度改正時点の 表記のままです。ただし上の表は、国税庁が令和8年度改正にあわせて発行した 「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」内の「改正後の配偶者特別控除額の表」にもとづいています。 タックスアンサーより新しく、確定した数字です。
なお、あなた自身の合計所得金額が900万円を超える場合は、この表の控除額がさらに下がります。 950万円超1,000万円以下でさらに下がり、1,000万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除ともに 受けられません。
記入例
Aさんの配偶者(パート)の給与収入が160万円だったとします。
→ 年収160万円は早見表で136万円超169万円以下の範囲 → 合計所得金額はおよそ84万円 → 「62万円超95万円以下」の区分 → 配偶者特別控除額は38万円
③特定親族特別控除申告書:19〜23歳未満の子などがいる場合
19歳以上23歳未満で、生計を一にする子などの親族(配偶者・事業専従者を除く)がいる場合に使います。 令和7年度税制改正で新設された比較的新しい控除です。
対象になる人
- 年齢が 19歳以上23歳未満
- 納税者本人と 生計を一にしている
- 配偶者ではない/青色事業専従者として給与を受けていない/白色事業専従者でない
対象になる親族の合計所得金額によって、控除額は次のように段階的に決まります。
| 特定親族の合計所得金額 | 給与収入だけの場合 | 控除額 |
|---|---|---|
| 62万円以下 | 136万円以下 | (特定扶養控除の対象。この申告書には書かない) |
| 62万円超 85万円以下 | 136万円超 159万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 90万円以下 | 159万円超 164万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 95万円以下 | 164万円超 169万円以下 | 51万円 |
| 95万円超 100万円以下 | 169万円超 174万円以下 | 41万円 |
| 100万円超 105万円以下 | 174万円超 179万円以下 | 31万円 |
| 105万円超 110万円以下 | 179万円超 184万円以下 | 21万円 |
| 110万円超 115万円以下 | 184万円超 189万円以下 | 11万円 |
| 115万円超 120万円以下 | 189万円超 194万円以下 | 6万円 |
| 120万円超 123万円以下 | 194万円超 197万円以下 | 3万円 |
| 123万円超 | 197万円超 | 0円(対象外) |
この表について
国税庁のタックスアンサーNo.1177は令和7年分の表のまま(下限が58万円超)ですが、上の表は 「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」に掲載されている改正後の確定表です。 刻みの金額自体(63万円・61万円…)は令和7年分から変わっておらず、下限が58万円超から 62万円超に動いただけです。
記入例
特定親族(19歳の子・アルバイト収入あり)の給与収入が166万円だったとします。
→ 給与収入166万円は「164万円超169万円以下」の範囲 → 合計所得金額は92万円 → 「90万円超95万円以下」の区分 → 特定親族特別控除額は51万円
197万円という数字の根拠は年収の壁を1枚の表でにも整理しています。
④所得金額調整控除申告書:該当者は多くありません
給与収入850万円を超え、かつ23歳未満の扶養親族がいる、または本人・同一生計配偶者・扶養親族が 特別障害者に該当する場合などに使います。該当しない場合は空欄で構いません。
書く前のチェックリスト
提出前に確認すること
- ☐ 自分の合計所得金額(見込み)を確認した
- ☐ 配偶者がいる場合、配偶者の合計所得金額(見込み)を確認した
- ☐ 19〜23歳未満で生計を一にする親族がいるか確認した
- ☐ 去年の記入例をそのまま写していないか(控除額が変わっています)
まとめ
- まず自分の合計所得金額を確認し、基礎控除額を表に当てはめる(489万円以下なら104万円)
- 配偶者がいる場合は配偶者の合計所得金額を確認する(62万円超133万円以下が対象)
- 19〜23歳未満の親族がいる場合は特定親族特別控除も確認する(62万円超123万円以下が対象)
- 控除額は毎年変わりうる。去年の書き方をそのまま踏襲しない
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出典
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」一 個人所得課税
本記事は2026年9月6日時点で公表されている内容に基づいています。年収換算額は給与所得控除の速算表から私が算出した目安であり、国税庁が公表している数値そのものではありません。実際の記入内容は、勤務先から配布される様式と記入の手引きに従い、不明な点は所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
独身で扶養家族もいません。この申告書は書かなくていいですか?
基礎控除申告書の部分だけは書く必要があります。自分の合計所得金額を確認して、該当する区分の控除額を記入してください。配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書の部分は、該当者がいなければ空欄で構いません。
配偶者の年収がまだ確定していません。どうすればいいですか?
年末時点の見込み額で記入します。パートなどで毎月ほぼ一定の給与であれば、それまでの実績から年間の見込み額を計算してください。実際と見込みに差が出た場合は、翌年の確定申告や、勤務先での年末調整の再計算で調整されることがあります。
「合計所得金額」と「年収」の違いがわかりません。
年収(給与収入)から給与所得控除を差し引いた金額が合計所得金額です。給与以外に所得がなければ、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」がそのまま合計所得金額になります。


