178万円の壁でふるさと納税の限度額は変わるのか

178万円の壁でふるさと納税の限度額は変わるのかのイメージ 税金と控除

結論(4行)

  • ふるさと納税の限度額は 住民税所得割額 をもとに決まる
  • 令和8年度税制改正で 所得税の基礎控除は上がったが、住民税の基礎控除は「改正なし」
  • 年収220万円を超える人の多くは、限度額はほとんど変わらない
  • 「178万円の壁で手取りが増えたから、ふるさと納税ももっとできる」は、多くの人にとって誤解

年収の壁は178万円へで見たとおり、令和8年度税制改正で所得税の 基礎控除が引き上げられました。では、ふるさと納税の限度額も 同じように増えるのでしょうか。

結論から言うと、多くの人にとってはほとんど変わりません。 理由は、ふるさと納税の限度額を 決めているのが住民税であり、住民税の基礎控除は今回の改正で据え置かれたからです。

所得税と住民税で、基礎控除の扱いが違う

合計所得489万円の崖などで見てきた基礎控除の引き上げは、 すべて所得税の話です。住民税の基礎控除は、これとは別に決まります。

自治体(名古屋市・八尾市など)の解説ページには、基礎控除に限ってこう明記されています。

※ 住民税に改正はありません。

ただし、住民税のすべてが据え置かれたわけではありません。 給与所得控除の最低保障額は 住民税でも引き上げられます(74万円。1年遅れの令和9年度分から)。まとめると次のとおりです。

何が変わって、何が変わっていないか

  • 所得税の基礎控除 → 引き上げられた(最大104万円。詳しくはこちら
  • 住民税の基礎控除改正なし
  • 給与所得控除の最低保障額 → 所得税・住民税どちらも引き上げ(住民税は1年遅れで反映)
  • 扶養親族等の所得要件 → 所得税・住民税どちらも58万円→62万円(住民税は1年遅れ)

住民税だけ基礎控除が据え置かれたのは、住民税が「地域社会の会費」的な性格を持つ税とされており、 所得税側の見直しが地方の税収に及ぼす影響を抑える方向で調整されたためです。

ふるさと納税の限度額は、この「住民税」で決まる

ふるさと納税の限度額の記事で説明したとおり、限度額を実質的に 決めているのは、住民税からの控除(特例分)の上限=住民税所得割額の2割です。

住民税所得割額は、住民税の基礎控除(据え置き)と、住民税の給与所得控除をもとに計算されます。

年収別に見た影響

  • 年収220万円を超える人(住民税の給与所得控除の最低保障額の対象外)

→ 基礎控除・給与所得控除ともに変わらないため、住民税所得割額は変わらないふるさと納税の限度額もほぼ変わらない

  • 年収220万円以下の人(給与所得控除の最低保障額が引き上げの対象)

→ 給与所得控除が増えて住民税の課税所得が減るため、住民税所得割額はわずかに減る限度額もわずかに小さくなる(ただしこの年収帯はもともと限度額自体が小さい)

「所得税が減って手取りが増えたから、ふるさと納税ももっとできるはず」というのは、 多くの人にとって当てはまりません。 限度額を決めているのは所得税の基礎控除ではなく、 据え置かれた住民税の基礎控除だからです。

所得税率の区分が変わる人は、むしろ限度額が小さくなることがある

もう一つ、細かいですが実務上のポイントがあります。

ふるさと納税の限度額(寄附できる金額)は、住民税所得割額(=上限の「予算」)を、 所得税率が低いほど、少ない寄附額で使い切ってしまうという性質があります (住民税からの特例控除の計算式が「100%-10%-所得税率」だからで、所得税率が低いほど この割合が大きくなり、同じ住民税所得割額に対して必要な寄附額が小さくなるためです)。

所得税の基礎控除引き上げで、所得税率の区分が変わる人がいます

所得が基礎控除の引き上げ分だけ圧縮されるため、ちょうど税率区分の境目にいた人は、 今年から一段低い税率区分に移ることがあります(年収の壁は178万円へ の税率表を参照)。その場合、住民税所得割額(上限の「予算」)自体は変わらなくても、 同じ予算を使い切るのに必要な寄附額は、去年よりわずかに小さくなります。

この効果は、住民税所得割額そのものの変化よりも小さく、多くの人には影響しません。 ただし「去年と同じ金額を寄附すれば同じように上限内に収まる」と決めつけないほうが安全です。

まとめ

  • ふるさと納税の限度額は住民税所得割額で決まる
  • 住民税の基礎控除は令和8年度改正で「改正なし」
  • 年収220万円を超える人の多くは、限度額はほとんど変わらない
  • 所得税率の区分が変わる人は、限度額がわずかに小さくなることがある
  • 正確な金額は、必ずシミュレーターで確認する

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出典

本記事は2026年9月6日時点で公表されている内容に基づいています。個別の限度額は、ふるさと納税サイトのシミュレーターまたはお住まいの市区町村にご確認ください。

よくある質問

なぜ所得税は上がって住民税は変わらないのですか?

住民税は「地域社会の会費」的な性格を持つ税とされており、税制改正の議論の中で、所得税側の見直しの影響を地方税の財源にできるだけ及ぼさない方向で調整されたためです。結果として基礎控除は住民税側だけ据え置かれました。

給与所得控除の最低保障額は住民税でも上がるのですか?

上がります。ただし住民税は1年遅れで反映されます。令和8年中・令和9年中の給与収入が220万円以下の場合、令和9年度分・令和10年度分の住民税で74万円の最低保障額が適用されます。

結局、限度額は増えるのですか減るのですか?

年収がおおむね220万円を超える人は、ほとんど変わりません。220万円以下の人はわずかに減る可能性があります。所得税の税率区分がちょうど変わる境目にいる人は、限度額がやや小さくなることがあります。

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