「住宅ローン控除を受けているけれど、ふるさと納税をしても大丈夫か」
答えは併用できます。ただし、やり方によっては自己負担が2,000円で済まなくなります。
先に結論
- ワンストップ特例を使う年 … 影響はほとんどありません
- 確定申告をする年 … 住宅ローン控除を使い切れなくなることがあります
- 住宅ローン控除の1年目は確定申告が必須。つまり1年目は自動的に注意が要る年です
なぜワンストップ特例なら影響が小さいのか
ふるさと納税の控除は、申告のしかたで引かれる場所が変わります。
| 申告方法 | 所得税から | 住民税から |
|---|---|---|
| ワンストップ特例 | 引かれない | 全額 |
| 確定申告 | 一部(還付) | 残り |
ワンストップ特例では、ふるさと納税の控除がすべて住民税から行われます。所得税の課税所得は動きません。
住宅ローン控除はまず所得税から引かれる制度なので、所得税側が変わらなければ、住宅ローン控除の使われ方も変わりません。だからぶつからないのです。
確定申告をすると何が起きるか

控除が2つ使えるなら、両方たくさん引けて得なんじゃないの?

そうならない場合があります。同じ「所得税」という財布を、2つの控除で取り合う形になるからです。片方が先に使ってしまうと、もう片方の行き場がなくなります。
確定申告でふるさと納税を申告すると、寄附金控除として所得税の課税所得が減ります。
課税所得が減れば所得税額も減ります。すると、住宅ローン控除で引くべき所得税が足りなくなり、余った分が住民税に回されます。
住民税に回せる額には上限があります
所得税から引ききれなかった住宅ローン控除は住民税からも引けますが、その額には上限があります。
所得税の課税総所得金額等の5%(最高97,500円)
※消費税8%または10%が適用され、令和3年末までに入居した場合などは7%(最高136,500円)
つまり、こういう順番で起きます。
- ふるさと納税を確定申告する
- 所得税の課税所得が減る
- 所得税額が減る
- 住宅ローン控除で引ける所得税が減り、住民税側に押し出される
- 押し出された額が上限(9万7,500円など)を超えると、その分が切り捨てられる
切り捨てられた分が、そのまま損失です。
損をするのはどういう人か
当てはまる数が多いほど注意
- 住宅ローンの残高が多い(控除額が大きい)
- もともと所得税額が少ない(住宅ローン控除を所得税で引ききれていない)
- すでに住民税からの控除上限(9万7,500円など)に達している
- 確定申告をする年である
逆に、所得税だけで住宅ローン控除を引ききれている人は、住民税に押し出される分がないため、確定申告をしても影響を受けません。
自分がどちらかは、源泉徴収票と住民税の通知書で確認できます。住民税の通知書に「住宅借入金等特別税額控除」の欄があり、そこに金額が入っていれば、すでに住民税側に回っている状態です。
住宅ローン控除の1年目は、自動的に注意が要る年です
住宅ローン控除は、1年目だけ確定申告が必要です。年末調整では手続きできません。
つまり1年目は、望むと望まざるとにかかわらず確定申告の年になります。ここまで説明した押し出しが起きる条件に入ります。
ワンストップ特例を申請済みでも無効になります
確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例の申請はすべて無効になります。
確定申告書に、ふるさと納税の寄附金もあわせて記入する必要があります。これを忘れると、ふるさと納税の控除がまるごと受けられません。
詳しくはワンストップ特例が使えない人・無効になるケースをご覧ください。
どうすればいいか
3つだけ
- 2年目以降は、確定申告の必要がなければワンストップ特例を使う
- 確定申告をする年は、寄附額を少なめにする
- 限度額は住民税の通知書から計算する(推計ではなく実額で)
3についてはふるさと納税の限度額シミュレーターの「くわしく」タブで、通知書の所得割額をそのまま入れて計算できます。
なお、限度額そのものを計算するときも、住宅ローン控除を受けている人は注意が要ります。 住民税の所得割が住宅ローン控除で小さくなっていると、ふるさと納税の控除を引ききれなくなるためです。シミュレーターの結果より少なめに寄附するのが安全です。
医療費控除・iDeCoとの併用
住宅ローン控除以外にも、限度額が下がる制度があります。
| 制度 | 限度額への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 下がる | 課税所得が減り、住民税の所得割が減るため |
| iDeCo(小規模企業共済等掛金控除) | 下がる | 同上 |
| 生命保険料控除 | 下がる | 同上 |
| 住宅ローン控除 | 限度額の計算上は変わらないが、引ききれなくなることがある | 税額控除のため計算の段階が違う |
医療費控除とiDeCoは「所得控除」なので、課税所得そのものを減らします。その結果、限度額の土台である住民税の所得割が小さくなります。
住宅ローン控除は「税額控除」で、税額が計算されたあとに引かれます。限度額の計算式には直接影響しませんが、上で説明した押し出しが起きます。
併用そのものは問題ありません
どの制度も、ふるさと納税と同時に使えます。制度上の制限はありません。
問題になるのは「去年と同じ額を寄附したら超えていた」というケースです。医療費が多くかかった年、iDeCoを始めた年、家を買った年は、必ず計算し直してください。

覚えて帰るのは1つだけで十分です。家計に大きな出来事があった年は、去年の額を使い回さない。 これだけで、ここで挙げた失敗はほぼ避けられます。
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出典
本記事は2026年9月8日時点で公表されている内容に基づいています。住民税から控除できる住宅ローン控除の上限は入居年によって異なります。個別の適用は、所轄の税務署またはお住まいの市区町村にご確認ください。
よくある質問
ふるさと納税と住宅ローン控除は同時に使えますか?
使えます。制度上の制限はありません。ただし確定申告をする年は、住宅ローン控除が住民税側に押し出されて上限を超え、その分が切り捨てられることがあります。
ワンストップ特例なら影響はありませんか?
ワンストップ特例ではふるさと納税の控除が全額住民税から行われ、所得税の課税所得が動きません。住宅ローン控除は所得税から先に引かれるため、ぶつかりにくくなります。ただし住民税の所得割が住宅ローン控除で小さくなっている場合は、寄附額を控えめにしてください。
住宅ローン控除の1年目はどうすればいいですか?
1年目は年末調整ではできず確定申告が必要です。確定申告をすると提出済みのワンストップ特例は無効になるため、ふるさと納税の寄附金も確定申告書にあわせて記入してください。記入を忘れるとふるさと納税の控除が受けられません。
医療費控除を受ける年は限度額が変わりますか?
下がります。医療費控除は所得控除なので課税所得が減り、限度額の土台である住民税の所得割が小さくなるためです。iDeCoや生命保険料控除も同じ理由で限度額が下がります。


