結論(4行)
- ふるさと納税の控除は ①所得税分・②住民税(基本分)・③住民税(特例分) の3つの合計
- 限度額の範囲内なら自己負担は2,000円だけ。超えた分は、ただの寄附になる
- 限度額は年収・家族構成・他の控除で人によって違う。正確な額はシミュレーターで確認する
- 令和9年分の寄附から、限度額そのものに193万円という上限が新設される(対象はごく一部の超高所得者)
「ふるさと納税は自己負担2,000円でお得」という説明はよく見ますが、それは限度額の範囲内で 寄附した場合だけです。限度額を超えた分は、税金の控除にはならず、ただの寄附になります。
この記事では、限度額がどういう計算で決まるのか、その仕組みを総務省の資料で確認します。
控除は3つの合計でできている
ふるさと納税をすると、寄附額から2,000円を引いた金額が、次の3つに分かれて控除されます。
控除の内訳
- 所得税からの控除(寄附金控除・所得控除)
=(寄附額-2,000円)× 所得税の税率(0〜45%)
- 住民税からの控除(基本分)(税額控除)
=(寄附額-2,000円)× 10%
- 住民税からの控除(特例分)(税額控除)
=(寄附額-2,000円)×(100% - 10% - 所得税の税率)
①と②で控除しきれなかった分を、③がまとめて引き受ける設計です。①+②+③を全部足すと、 ちょうど「寄附額-2,000円」になるようにできています。これが「自己負担2,000円」の中身です。
ただし③には上限があります。住民税所得割額の2割までです。この上限に達すると、 それ以上寄附しても③が増えなくなり、自己負担が2,000円では済まなくなります。 これが「限度額」の正体です。
総務省の例で計算してみる
総務省が示している例(年収700万円の給与所得者、配偶者と高校生の子1人を扶養、ふるさと納税額3万円) で確認します。
寄附額 30,000円 - 2,000円 = 28,000円
① 所得税からの控除 = 28,000円 × 20%(所得税率) = 5,600円
② 住民税からの控除(基本分)= 28,000円 × 10% = 2,800円
③ 住民税からの控除(特例分)= 28,000円 ×(100%-10%-20%)= 19,600円
合計 5,600円 + 2,800円 + 19,600円 = 28,000円
寄附額30,000円のうち28,000円がちょうど控除され、自己負担は2,000円だけになります。
この例の前提
所得税率は年収や家族構成によって変わります。この例は総務省が示している「年収700万円・ 配偶者と高校生の子1人を扶養」という特定の条件でのものです。自分の所得税率が何%かで、 ①と③の金額は変わります。
令和9年分から、限度額そのものに上限ができる
これまで③の特例分は「住民税所得割額の2割まで」という割合の上限しかありませんでした。 理屈のうえでは、所得が高い人ほど住民税所得割額も大きくなるため、特例分の上限額に 天井がありませんでした。
総務省の資料には、次の内容が示されています(表形式の資料を文章として整理したものです)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 新設される上限 | 特例控除額について193万円(給与収入1億円相当)を上限として新たに設定 |
| 寄附額そのものの上限 | なし(上限を超えて寄附しても、基本分の控除は引き続き適用される) |
| 適用時期 | 令和9年寄附分から |
出典:総務省「令和8年度地方税制改正(案)について」
何が変わったか
- 特例分(③)の控除額に、193万円という絶対的な上限が新設される
- 対象になるのは、給与収入がおよそ1億円に相当する層
- 上限を超えて寄附しても、基本分(②の10%控除)は引き続き適用される
- 適用は 令和9年分の寄附から(令和8年分にはまだ適用されない)
一般的な会社員・家庭にとっては、直接関係のない変更です。 年収300万〜1,000万円程度の 家庭が、この193万円という上限に達することはまずありません。ただし、ふるさと納税を 「節税」目的で大口に使っていた超高所得者にとっては、実質的な増税になる改正です。
それで、自分の限度額はいくらなのか
ここまでの計算式は、所得税率と住民税所得割額が分かっていることが前提です。 どちらも年収・家族構成・他の控除(社会保険料控除、iDeCo、住宅ローン控除など)によって変わるため、 この記事だけでは「あなたの限度額」は出せません。
限度額を自分で計算するのは危険です
所得税率は5%刻みで区分が変わり、住民税所得割額も人それぞれです。手計算で少しでも 条件を見誤ると、限度額を超えて寄附してしまう可能性があります。ふるさと納税サイトの 上限額シミュレーターに、源泉徴収票の数字を入力して確認してください。 源泉徴収票の見方は こちらで解説しています。
なお、178万円の壁で解説した令和8年度税制改正(基礎控除・給与所得控除の 引き上げ)は、所得税率の区分にも影響します。限度額そのものが前年と変わる可能性があるので、 去年と同じ金額のつもりで寄附すると、微妙にずれることがあります。
まとめ
- 控除は「所得税分+住民税基本分+住民税特例分」の3つの合計
- 限度額内なら自己負担2,000円。超えた分はただの寄附になる
- 令和9年分の寄附から、特例分に193万円という絶対的な上限が新設される(超高所得者のみ対象)
- 正確な限度額は、シミュレーターに自分の数字を入れて確認する
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出典
本記事は2026年9月6日時点で公表されている内容に基づいています。個別の限度額は、ふるさと納税サイトのシミュレーターまたは所轄の税務署・市区町村にご確認ください。
よくある質問
ふるさと納税の自己負担2,000円は誰でも同じですか?
限度額の範囲内で寄附している場合に限ります。限度額を超えて寄附した分は、控除の対象外(実質的な寄附)になり、自己負担が2,000円を超えます。
上限が193万円になったということは、193万円までは誰でも寄附できるということですか?
いいえ、逆です。193万円はごく一部の超高所得者(給与収入1億円相当)に新設された上限で、一般的な会社員・家庭の限度額とは関係ありません。年収300万〜1,000万円程度の家庭では、この上限に達することはまずありません。
正確な自分の限度額を知るにはどうすればいいですか?
総務省の計算式は所得税率・住民税所得割額・家族構成によって変わるため、この記事だけで正確な金額は出せません。ふるさと納税サイトの上限額シミュレーターに、源泉徴収票の数字を入力して確認してください。
限度額を少し超えて寄附してしまったらどうなりますか?
超えた部分は税額控除の対象にならず、通常の寄附と同じ扱いになります。ペナルティがあるわけではありませんが、その分の自己負担が増えることになります。


