先に結論
- 国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする、国民年金法にもとづく年金です。入れるのは自営業・フリーランスなど国民年金の第1号被保険者と、60歳以上65歳未満などの任意加入の人です。会社員・公務員と、その被扶養配偶者は入れません。国民年金保険料の免除・納付猶予を受けている人も入れません
- 口数制です。1口目は終身年金(A型・B型)から選び、2口目以降で終身年金と確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型)を組み合わせます。掛金と年金額は加入したときに決まる確定給付型です
- 掛金の上限は月68,000円(iDeCoと合計)。2026年12月分から75,000円に上がります
- 付加年金とは同時に入れません。 基金の1口目に付加年金にあたる部分が入っているためです
- 自分の都合ではやめられません。 できるのは2口目以降を減らす「減口」だけです。払った掛金が一時金で戻る仕組みもありません
- 掛金は全額が社会保険料控除、受け取る年金は公的年金等の雑所得、遺族一時金は非課税です
自営業やフリーランスの公的年金は、老齢基礎年金だけです。 会社員には厚生年金という2階部分がありますが、第1号被保険者にはありません。 その差を埋めるために1991年に作られたのが国民年金基金です。
この記事では、国民年金基金の仕組みを、国民年金法・国民年金基金令と国民年金基金連合会の案内で確かめて書きます。 付加年金・iDeCo・60歳からの任意加入は、それぞれ別の記事に詳しく書いているので、ここでは基金との関係だけを書いてリンクで渡します。
国民年金基金とは
国民年金基金は、国民年金法の第10章にもとづく年金です。 法律は、基金の役割を次のように定めています。
国民年金基金(以下「基金」という。)は、第一条の目的を達成するため、加入員の老齢に関して必要な給付を行なうものとする。
(国民年金法第115条)
基金の給付は2つです。老齢年金と、加入員が亡くなったときの遺族一時金です(同法第128条第1項、連合会「給付の種類」)。
基金には2つの種類があります。
| 種類 | 入れる人 |
|---|---|
| 全国国民年金基金 | 第1号被保険者なら、住所地や業種を問わない |
| 職能型国民年金基金(3つ) | 基金ごとに決まった事業・業務に就いている第1号被保険者 |
(国民年金基金連合会「国民年金基金の種類」。2023年5月の資料では、職能型は歯科医師・司法書士・日本弁護士の3基金)
どちらも事業の中身は同じです。入れるのは1つの基金だけで、あとから全国基金と職能型基金の間を移ることもできません(連合会「よくあるご質問」Q1)。
「国民年金基金連合会」は何をしているところか
国民年金基金連合会は、各基金が会員になっている法人です。基金を15年未満で途中でやめた人(中途脱退者)の年金をまとめて支払う仕事や、積立金の運用をしています(連合会「中途脱退事業」)。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を実施しているのも、この連合会です。名前が似ていますが、国民年金基金とiDeCoは別の制度です。
入れる人・入れない人
入れる人
- 日本国内に住む20歳以上60歳未満の第1号被保険者(自営業者とその家族、自由業、学生など)
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人
- 海外に住んでいて国民年金に任意加入している人(20歳以上65歳未満)
(連合会「加入条件・資格」。任意加入の人は、国民年金法附則第5条第11項で、基金への加入については第1号被保険者とみなされます)
60歳から65歳までの任意加入の条件は、国民年金の任意加入に書いています。
入れない人
| 人 | 理由 |
|---|---|
| 会社員・公務員(第2号被保険者) | 第1号被保険者ではない |
| 第2号被保険者の被扶養配偶者(第3号被保険者) | 同上 |
| 国民年金保険料の全額免除・一部免除・学生納付特例・納付猶予を受けている人 | 保険料を納めていない |
| 農業者年金の被保険者 | 法律で除かれている |
(国民年金法第116条第1項、連合会「加入条件・資格」)
一方、次の人は入れます。
- 産前産後期間の免除を受けている人
- 2026年10月に始まった育児期間の免除を受けている人(連合会のお知らせ 2026年9月30日)
- 障害基礎年金を受けているなどの法定免除の人で、年金事務所に「国民年金保険料免除期間納付申出書」を出して保険料を納めている期間
免除・納付猶予の種類と、年金額への響き方は国民年金保険料の免除・納付猶予にまとめています。
国民年金の保険料を滞納すると、その期間の基金は「元本だけ返す」扱いになる
基金は老齢基礎年金に上乗せする年金なので、国民年金の保険料を納めていることが前提です。
国民年金の保険料が未納のまま2年が過ぎると、その期間に基金の掛金を納めていても、基金の年金額や遺族一時金には反映されません。基金の掛金は、2年が過ぎた時点で返されます(連合会「重要なお知らせ」)。
返された掛金について、すでに社会保険料控除を受けていた場合は、修正申告が必要です(同)。
口数制のしくみ:1口目は終身年金
基金は「何口入るか」と「どの型を選ぶか」で、年金額と掛金が決まります。
型は7種類
| 型 | 受け取る期間 | 保証期間 | 受け取り始める年齢 |
|---|---|---|---|
| 終身年金 A型 | 一生 | 15年 | 65歳 |
| 終身年金 B型 | 一生 | なし | 65歳 |
| 確定年金 Ⅰ型 | 65〜80歳 | 15年 | 65歳 |
| 確定年金 Ⅱ型 | 65〜75歳 | 10年 | 65歳 |
| 確定年金 Ⅲ型 | 60〜75歳 | 15年 | 60歳 |
| 確定年金 Ⅳ型 | 60〜70歳 | 10年 | 60歳 |
| 確定年金 Ⅴ型 | 60〜65歳 | 5年 | 60歳 |
(連合会「増口をお考えの方へ」「重要なお知らせ」)
「保証期間」は、その期間中に亡くなったとき、残りの期間の分が遺族に一時金で支払われる期間です。B型には保証期間がありません。
1口目と2口目以降の決まり
- 1口目は、終身年金のA型かB型のどちらかを選びます。1口目は途中で減らしたり、型を変えたりできません
- 2口目以降は、7つの型から自由に組み合わせます
- ただし、確定年金の年金額が、終身年金の年金額(1口目を含む)を超えないように選びます
- 50歳1月以上で加入する人はⅣ型・Ⅴ型を、60歳以上で加入する人はⅡ型〜Ⅴ型を選べません(60歳以上はA型・B型・Ⅰ型の3種類)
(連合会「給付の種類」「60歳以上の加入について」)
掛金を払うのは、60歳未満で加入した人は60歳になる月の前月までです。60歳以上で加入した人は、65歳になる月の前月(または任意加入をやめる予定の月の前月)までです。
掛金は、型・口数・加入時の年齢・性別で決まる
例として、連合会の掛金月額表から、誕生月に35歳で加入した場合(35歳0月)の1口目を並べます。
| 1口目 | 男性 | 女性 | 65歳から受け取る年金 |
|---|---|---|---|
| 終身年金 A型(15年保証) | 月13,060円 | 月15,120円 | 月2万円(年24万円)を一生 |
| 終身年金 B型(保証なし) | 月11,890円 | 月14,590円 | 同上 |
(国民年金基金連合会「掛金月額表」2026年10月17日に確認。表の値はこの時点のもの)
同じ年金額でも、女性のほうが掛金が高いのは、女性のほうが平均して長く生きるため、一生受け取る年金の総額が大きくなるからです。 若いうちに入るほど、同じ年金額に対する掛金は安くなります。
例:35歳の男性がA型1口に入った場合の、払う額と受け取る額
- 払う掛金:月13,060円 × 300か月(35歳から60歳になる前の月まで)= 3,918,000円
- 受け取る年金:年24万円
- 3,918,000円 ÷ 24万円 = 約16.3年。65歳から受け取ると、81歳ごろに払った額と同じになります
- B型なら3,567,000円 ÷ 24万円 = 約14.9年
税金の効果(後述)も、受け取るときの税金も入れていない、額面だけの計算です。
掛金の上限:iDeCoと合わせて月6.8万円、2026年12月分から7.5万円
掛金の上限は、国民年金基金令で決まっています。
掛金の額は、一月につき六万八千円を超えてはならない。
(国民年金基金令第34条。現行)
2025年12月に公布された政令(令和7年政令第442号)で、この上限が上がります。e-Govで2026年12月1日時点の条文を取得すると、次のとおりです。
掛金の額は、一月につき七万五千円を超えてはならない。
(同条。令和8年12月1日施行の版)
連合会の案内では、2026年12月分の掛金(2027年2月の口座引き落とし)から75,000円まで増やせます。2026年11月分までは68,000円のままです(連合会のお知らせ 2025年12月24日、「掛金上限額変更について」)。
基金の12月分は2月引き落とし、iDeCoの12月分は1月引き落とし
基金の掛金は、原則として翌々月の1日に引き落とされます(連合会「重要なお知らせ」)。iDeCoの12月分は2027年1月に引き落とされるので、同じ「12月分から」でも、通帳に出る月が1か月ずれます。
iDeCoと合わせた上限
基金の上限は、iDeCoの掛金と合計です。仕組みは、iDeCoの側の上限から基金の掛金を引く形で決まっています(確定拠出年金法施行令第36条第1号)。
| 2026年11月分まで | 2026年12月分から | |
|---|---|---|
| 基金とiDeCoの合計の上限 | 月68,000円 | 月75,000円 |
| 例:基金に月13,060円を払う人のiDeCoの上限 | 54,940円 | 61,940円 |
| 同(iDeCoは1,000円単位なので、実際に設定できる額) | 54,000円 | 61,000円 |
(当方計算。iDeCoの改正の全体はiDeCo改正は2026年12月から)
追納をした人は、一定期間だけ上限が102,000円になる
国民年金保険料の免除期間などをあとから全部納めた(追納した)人には特例があります。一定の期間(最長60か月)に限り、基金の掛金を月102,000円まで払えます(国民年金基金令第35条第1項、連合会「加入条件・資格」)。対象になるかは、加入する基金で確かめてください。
付加年金とは、どちらか一方
国民年金の第1号被保険者が月400円を上乗せする付加年金と、国民年金基金は、同時に入れません。
基金の1口目には、付加年金にあたる部分が含まれています(連合会「よくあるご質問」Q4)。基金は付加年金を「代行」している、という位置づけです。 法律でも、付加保険料を納められる人から「国民年金基金の加入員」が除かれています(国民年金法第87条の2第1項)。
付加保険料を納めている人が基金に入ると、入った日に付加保険料をやめる申出をしたものとみなされます(同条第4項)。
| 付加年金 | 国民年金基金 | |
|---|---|---|
| 掛金 | 月400円(定額) | 型・口数・年齢・性別で決まる。上限は月68,000円(iDeCoと合計) |
| 受け取る年金 | 200円×納めた月数(年額)を一生 | 加入時に決まった額。1口目は一生 |
| 遺族への一時金 | なし(国民年金の死亡一時金に加算がある) | A型・確定年金は保証期間内なら遺族一時金 |
| 自分の都合でやめる | いつでもやめられる | やめられない(2口目以降の減口のみ) |
| iDeCoの上限 | 400円が引かれる | 基金の掛金が引かれる |
(国民年金法第44条・第87条の2、連合会の案内)
付加年金の計算と申し込みは付加年金は月400円、2年で元が取れる?に書いています。

月400円でいいなら、付加年金のほうが得なんじゃないの?

戻りの率だけで比べると、見落としが出ます。上乗せしたい額の大きさと、途中でやめられるかどうかも並べて見てください。
付加年金は、40年納めても上乗せは年96,000円です(国民年金法第44条。200円×480か月)。基金は掛金を大きくできるかわりに、途中でやめられません。
途中でやめられない。できるのは2口目以降の減口だけ
基金のいちばん大きな注意点です。
国民年金基金への加入は任意ですが、付加年金を代行した公的な年金制度のため、加入後は途中で任意に脱退はできません。
(国民年金基金連合会「加入条件・資格」)
掛金を減らす・増やす
- 2口目以降は、減らす(減口)ことも増やす(増口)こともできます。 増口は月ごとに何回でもできます
- 1口目は減らせません。 1口目を減らして掛金をゼロにすることも、型を変えることもできません
- 1年分などを前納した人は、前納した期間の口数を減らせません
(連合会「増口をお考えの方へ」「掛金について」)
掛金を払うのが苦しくなったときに下げられるのは、1口目の掛金までです。入るときに、1口目の掛金を払い続けられるかを考えておく必要があります。
加入員でなくなるのは、こういうとき
次のどれかにあてはまると、基金の加入員の資格がなくなり、掛金の納付が止まります。
- 60歳になったとき(海外に住んで任意加入している人を除く)
- 任意加入の人が65歳になったとき、任意加入をやめたとき
- 会社員になるなど、第1号被保険者でなくなったとき(海外に引っ越したときを含む)
- 国民年金保険料の免除(一部免除・学生納付特例・納付猶予を含む)を受けたとき
- 職能型基金の人が、その事業・業務に就かなくなったとき
- 農業者年金の被保険者になったとき
- 亡くなったとき
(国民年金法第127条第3項、連合会「重要なお知らせ」。産前産後免除・育児期間の免除を受けたときは資格を失いません)
資格を失っても、払った掛金が一時金で戻ることはありません。 解約返戻金という制度はなく、掛金を払った期間に応じた年金を、将来受け取ります(連合会「重要なお知らせ」)。 加入期間が15年未満で抜けた人の年金は、国民年金基金連合会から支払われます(連合会「中途脱退事業」、国民年金法第137条の17)。

会社員になったら、それまで払った分はどうなるの?

受け取るときの案内は、登録した住所に届きます。引っ越しや結婚で氏名・住所が変わったら、基金にも知らせておくと取りこぼしません。
資格を失ったあとも、払った期間の分の年金は、型ごとの開始年齢(A型・B型・Ⅰ型・Ⅱ型は65歳、Ⅲ〜Ⅴ型は60歳)から支払われます。受給年齢になると、登録されている住所に基金または連合会から年金請求の案内が届きます(連合会「重要なお知らせ」)。
予定利率と、年金額が決まるタイミング
基金は、加入したときに掛金と年金額が決まる確定給付型の年金です。掛金表を見れば、65歳から受け取る年金額が加入前に分かります(連合会「加入によるメリット」)。 iDeCoのように、自分で運用商品を選んで、運用の成績で受け取る額が変わる仕組みではありません。
掛金の計算には、予定利率(積立金がどのくらいの利回りで増えるかの前提)と予定死亡率が使われます。予定利率は、運用収益の予測にもとづいて合理的に定めることとされています(国民年金基金規則第36条)。 国民年金基金連合会が2023年5月に厚生労働省の部会に出した資料では、基金の予定利率は1.5%と書かれています。
基金は少なくとも5年ごとに財政再計算をして、掛金の額を見直します。直近では、2023年度の財政再計算にもとづき、2024年4月に掛金額を変更しています(連合会「事業の概況・状況」)。 変更後の予定利率は、公式の資料で確かめられませんでした。いまの率は、加入を考えている基金に確かめてください。
確定給付の裏返し
- 年金額は加入したときに決まった額です。物価が上がっても、その分だけ年金が増える仕組みではありません
- 増口した分の掛金は、増口したときの年齢で掛金月額表にあてはめて決まります(連合会「増口をお考えの方へ」の例は、増口した年齢で計算している)。若いうちに入った1口目と同じ条件にはなりません
- 基金が解散した場合は、残った財産を加入員・受給者で分けます。それまで払った掛金額を下回ることがあります(連合会「重要なお知らせ」)
税金:払うときは全額控除、受け取るときは雑所得
掛金は全額が社会保険料控除
基金の掛金は、全額が社会保険料控除の対象です(国税庁 No.1130「国民年金基金の加入員として負担する掛金」)。 控除は、所得税にも住民税にも効きます。
自分と生計を一にする配偶者や家族の掛金を払った場合も、払った人の控除にできます(同)。 確定申告では、基金から届く控除証明書の添付か提示が必要です(同)。証明書の数字をどの欄に写すかは保険料控除申告書の記入例に書いています。
例:掛金の控除で、税金はいくら減るか
令和8年分の所得税(復興特別所得税2.1%を含む)と住民税(所得割10%)で計算します。
例1:課税所得300万円の人が、A型1口(月13,060円・年156,720円)を払う
- 所得税:156,720円 × 10% × 1.021 = 16,001円
- 住民税:156,720円 × 10% = 15,672円
- 合計 31,673円減る。実際の負担は 156,720円 − 31,673円 = 125,047円
例2:課税所得500万円の人が、上限の月68,000円(年816,000円)を払う
- 所得税:816,000円 × 20% × 1.021 = 166,627円
- 住民税:816,000円 × 10% = 81,600円
- 合計 248,227円減る
課税所得は控除を引いたあとも同じ税率の区分(例1は195万〜330万円の10%、例2は330万〜695万円の20%)に収まる前提です(国税庁 No.2260)。住民税の課税所得がこの額より小さくなる人や、区分をまたぐ人は減り方が変わります。連合会の案内にある「課税所得400万円くらいで年30万円なら約9万円」も、同じ計算で91,260円になります。
国民健康保険料は、社会保険料控除では下がらない
国民健康保険料の所得割は、「基礎控除後の総所得金額等」をもとに計算すると定められています(国民健康保険法施行令第29条の7第2項第4号)。川崎市の案内でも、基礎控除のほかの所得控除(社会保険料控除を含む)は引かれないと説明しています。 そのため基金の掛金を増やしても、国民健康保険料は下がりません。 下がるのは所得税と住民税です。国民健康保険税の形で集めている市町村もあるので、計算方法はお住まいの市区町村で確かめてください。
受け取る年金は公的年金等の雑所得
基金の年金は、国民年金法の規定による年金なので、老齢基礎年金や厚生年金と同じ公的年金等の雑所得になります(国税庁 No.1600)。 老齢基礎年金などと合計して、公的年金等控除を引きます。
控除で税金が減るのは払うときで、受け取るときには税金がかかりえます。 老齢基礎年金と基金の年金の合計が公的年金等控除を超える人は、受け取るときに所得税・住民税がかかります。年金の税金と確定申告が要るかどうかは、年金受給者の確定申告不要制度にまとめています。
iDeCoは一時金でも受け取れますが、基金は年金でしか受け取れません(2023年5月の部会資料)。iDeCoの受け取り方の税金はiDeCoの受け取り方にあります。
年金の受け取り方
- A型・B型・Ⅰ型・Ⅱ型は65歳の誕生月の翌月分から、Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型は60歳の誕生月の翌月分から
- 年金額が年12万円以上なら年6回(偶数月)、12万円未満なら年1回
- 老齢基礎年金を繰上げた場合は、基金の年金のうち付加年金にあたる部分も同じ月から、減額して受け取ります
(連合会「重要なお知らせ」)
繰上げの減額率は年金は何歳から?繰上げ・繰下げの仕組みと注意点に書いています。
亡くなったときの遺族一時金
A型と確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型)には保証期間があり、次のときに遺族一時金が出ます(連合会「遺族一時金」「重要なお知らせ」)。
- 年金を受け取る前に亡くなったとき:加入時の年齢、亡くなったときの年齢、それまでの掛金の納付状況に応じた額
- 保証期間の途中で亡くなったとき:残りの保証期間の年金にあたる額
- B型だけに入っていて、年金を受け取る前に亡くなったとき:1万円
受け取れる遺族は、亡くなった人と生計を同じくしていた、①配偶者(事実婚を含む)②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹の順で、1人です。
遺族一時金は非課税です(連合会「遺族一時金」。国民年金法第133条で、同法第25条の公課の禁止を基金の一時金に準用)。
例:連合会の概算表で見る遺族一時金(1口目A型、2014年4月1日以降に加入)
- 35歳で加入し、50歳で亡くなった場合:約167万円
- 35歳で加入し、60歳で亡くなった場合:約301万円
掛金の未納がない場合の概算で、万円未満を四捨五入した額です(連合会「遺族一時金」の概算表)。
なお、遺族一時金の額が払込み掛金額を下回ることがあります。
(国民年金基金連合会「重要なお知らせ」)
遺族一時金は、死亡に備える保険の代わりにはなりません。国民年金の死亡一時金や遺族年金と合わせた全体は、家族が亡くなったときに受け取れるお金で確かめられます。
メリットとデメリットを並べる
ここまでの内容を、判断の材料として並べます。
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| 1口目は一生受け取れる終身年金。長生きしても年金が尽きない | 自分の都合でやめられない。 下げられるのは1口目の掛金まで |
| 掛金と年金額が加入時に決まる。運用を自分で選ばなくてよい | 年金額は加入時の額のまま。物価が上がっても増えない |
| 掛金は全額が社会保険料控除 | 国民健康保険料は下がらない。受け取るときは雑所得として課税されうる |
| 遺族一時金は非課税 | 遺族一時金は払った掛金を下回ることがある。B型は1万円 |
| 2口目以降は増口・減口ができる | 一時金での受け取りはできない。解約返戻金もない |
| iDeCoと併用できる | 上限はiDeCoと合計。基金を増やすとiDeCoの枠が減る |
| 付加年金とは同時に入れない |

結局、入ったほうがいいの?

それは家計しだいです。終身で受け取りたい額があり、1口目の掛金を60歳まで払い続けられるなら、選択肢に入ります。まだ収入が安定しない時期なら、まずは付加年金やiDeCoで小さく始める考え方もあります。
住宅会社の営業担当の方へ:施主が自営業のとき
施主が自営業・フリーランスのとき、ライフプランの話の中で次を聞くと、老後の収入と毎月の固定費の見込みが立ちます。
施主に確かめること
- 国民年金基金に入っているか。入っているなら何口・月いくらか(住宅ローンを返す間ずっと続く固定費になる)
- 1口目の型(A型・B型)と、60歳から受け取る確定年金(Ⅲ〜Ⅴ型)があるか
- iDeCoや付加年金と重ねて入ろうとしていないか(付加年金とは同時に入れない。iDeCoとは上限が合計)
- 国民年金の保険料に未納や免除がないか(免除を受けると基金の資格がなくなる)
基金の掛金は、自分の都合では止められません。住宅ローンの返済が始まったあとに家計が苦しくなっても、1口目の掛金は残ります。 返済計画を立てるときは、ローンと同じ「止められない支出」として数えておきます。
まとめ
- 国民年金基金は、第1号被保険者と任意加入の人が老齢基礎年金に上乗せする、国民年金法にもとづく年金。免除・納付猶予を受けている人は入れない
- 口数制。1口目は終身年金(A型・B型)、2口目以降で確定年金を組み合わせる。掛金は型・口数・加入時の年齢・性別で決まる
- 掛金の上限は月68,000円(iDeCoと合計)。2026年12月分(基金は2027年2月引き落とし)から75,000円
- 付加年金とは同時に入れない。基金の1口目に付加年金にあたる部分が入っている
- 自分の都合ではやめられない。2口目以降の減口だけができ、払った掛金が一時金で戻ることはない
- 掛金は全額が社会保険料控除、年金は公的年金等の雑所得、遺族一時金は非課税。国民健康保険料は下がらない
- 予定利率は2023年5月の資料で1.5%。2024年4月に掛金額を見直しているので、いまの率と掛金は基金で確かめる
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出典
- 国民年金基金連合会「国民年金基金制度とは?」
- 国民年金基金連合会「加入条件・資格」
- 国民年金基金連合会「国民年金基金の種類」
- 国民年金基金連合会「給付の種類」
- 国民年金基金連合会「遺族一時金」
- 国民年金基金連合会「60歳以上の加入について」
- 国民年金基金連合会「加入によるメリット」
- 国民年金基金連合会「よくあるご質問(ご加入に関して)」
- 国民年金基金連合会「掛金について」
- 国民年金基金連合会「掛金月額表」
- 国民年金基金連合会「増口をお考えの方へ」
- 国民年金基金連合会「重要なお知らせ」
- 国民年金基金連合会「掛金上限額変更について」
- 国民年金基金連合会「令和8年12月分掛金からの国民年金基金の掛金額の上限の引き上げが予定されています。」(2025年12月24日)
- 国民年金基金連合会「中途脱退事業」
- 国民年金基金連合会「事業の概況・状況」
- 厚生労働省 第22回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 資料4(国民年金基金連合会ヒアリング資料、2023年5月17日)
- e-Gov法令検索 国民年金法(第25条・第87条の2・第115条〜第134条の2・第137条の17・附則第5条)
- e-Gov法令検索 国民年金基金令(第34条・第35条。令和7年政令第442号による改正後の版もあわせて確認)
- e-Gov法令検索 国民年金基金規則(第36条)
- e-Gov法令検索 確定拠出年金法施行令(第36条)
- 国税庁 タックスアンサー No.1130 社会保険料控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1600 公的年金等の課税関係
- 国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率
- 総務省「個人住民税」
- e-Gov法令検索 国民健康保険法施行令(第29条の7)
- 川崎市「国民健康保険料の所得割額の算定に用いる『賦課基準額』とは何ですか」
本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と資料に基づいています。掛金の額は財政再計算で見直され、2026年12月分からの上限の引き上げは施行前の内容です。加入できるか、掛金・年金額・予定利率の個別の内容は、加入を考えている国民年金基金(全国国民年金基金・職能型国民年金基金)にご確認ください。国民年金保険料の納付状況は年金事務所、税金は税務署、国民健康保険料はお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
よくある質問
国民年金基金の掛金の上限はいくらですか?
月68,000円です。iDeCoにも入っている場合は、iDeCoの掛金と合わせて68,000円までです。2026年12月分の掛金から、上限は75,000円に上がります(国民年金基金令の改正。基金の口座引き落としでは2027年2月の分からです)。
国民年金基金とiDeCoは、同時に入れますか?
できます。ただし上限は2つの合計です。たとえば基金の掛金が月13,060円なら、iDeCoに出せるのは現行で54,940円まで、2026年12月分からは61,940円までです。iDeCoの掛金は1,000円単位なので、実際に設定できるのはそれぞれ54,000円・61,000円です。
国民年金基金と付加年金は両方入れますか?
入れません。基金の1口目に付加年金にあたる部分が含まれているためです。付加保険料を納めている人が基金に入ると、その日に付加保険料をやめる申出をしたものとみなされます。
国民年金基金は途中でやめられますか?
自分の都合ではやめられません。2口目以降を減らす(減口)ことはできますが、1口目は減らせません。会社員になる、保険料の免除を受けるなどで加入員の資格がなくなったときは掛金の納付が止まり、それまでの分は将来年金として受け取ります。払った掛金が一時金で戻ることはありません。
国民年金基金の掛金はいくら税金が減りますか?
掛金は全額が社会保険料控除になります。たとえば所得税の課税所得が300万円の人が年156,720円を払うと、令和8年分の所得税(復興特別所得税を含む)が約1.6万円、住民税が約1.6万円、合わせて約3.2万円減る計算です。ただし国民健康保険料は社会保険料控除では下がりません。

