付加年金は月400円、2年で元が取れる?iDeCo併用と申し込み

付加年金は月400円、2年で元が取れる?iDeCo併用と申し込みのイメージ年金と老後

先に結論

  • 自営業・フリーランスなど国民年金の第1号被保険者は、月の保険料に400円を上乗せすると、老齢基礎年金に「200円×納めた月数」の付加年金が一生加わります
  • 1か月400円で年200円なので、65歳から受け取り始めて2年で、納めた額と同じになります。ただし利息も物価の上昇も入っていない計算で、付加年金には物価スライドがありません
  • 国民年金基金に入っている人、保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人は払えません。 産前産後免除と育児免除の期間は払えます
  • iDeCoとは同時に入れます。 ただし付加保険料を払う月は、iDeCoの上限から400円が引かれます。掛金は1,000円単位なので、上限いっぱいの人は実際には1,000円下がります(現行67,000円、2026年12月分から74,000円)
  • 繰上げ・繰下げをすると、付加年金も老齢基礎年金と同じ率で減り・増えます
  • 申し込みは市区町村の窓口か年金事務所。申し出た月からしか払えず、さかのぼれません

「月400円で、2年で元が取れる」と紹介されることの多い付加年金。数字そのものは国の案内どおりです。 ただ、「2年」が何を意味するのか、何が計算に入っていないのか、iDeCoとどうぶつかるのかまで書いた案内は多くありません。

この記事では、国民年金法と日本年金機構の案内にあたって、付加年金の仕組みと、決める前に確かめておくことを並べます。 入るかどうかは家計と働き方で変わるので、この記事では「入るべき」とは書きません。判断に使う数字を出すところまでにします。

付加年金は、自営業の人だけの上乗せ

国民年金の加入者は、働き方で3つに分かれます。会社員・公務員は第2号被保険者、その被扶養配偶者は第3号被保険者です。 自営業・フリーランス・学生・無職の人などが第1号被保険者で、付加年金はこの人たちのための制度です。

会社員には厚生年金という上乗せがあります。第1号被保険者には、国の年金としては老齢基礎年金しかありません。 その上に自分で積み増す方法の一つが付加年金です(ほかに国民年金基金やiDeCoがあります。後で触れます)。

付加年金は、国民年金法の第43条から第48条に定めがあります。金額の式は第44条です。

付加年金の額は、二百円に第八十七条の二第一項の規定による保険料に係る保険料納付済期間の月数を乗じて得た額とする。

(国民年金法第44条)

「第八十七条の二第一項の規定による保険料」が、月400円の付加保険料です(同法第87条の2第1項)。 つまり、付加保険料を1か月納めるごとに、年金が年200円増えます。

住宅会社の営業担当の方へ

施主が自営業・フリーランスなら、老後の年金は会社員より少なく見積もる必要があります。ライフプランの話の中で、付加年金・国民年金基金・iDeCoのどれかを使っているかを聞くと、老後の収入の見込みが立てやすくなります。この記事の数字は、その確認に使えます。

400円が年200円になる。「2年で元が取れる」の計算

日本年金機構は、付加年金について次のように案内しています。

付加年金額(年額)は、200円×付加保険料を納付した月数で計算し、2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます。

(日本年金機構「付加保険料の納付」)

納めた期間ごとに並べると、次のとおりです(当方計算)。

納めた期間納めた付加保険料の合計付加年金(年額)納めた額と同じになるまで
1年(12月)4,800円2,400円2年
10年(120月)48,000円24,000円2年
20年(240月)96,000円48,000円2年
40年(480月)192,000円96,000円2年

何年納めても、2年で同じになります。 1か月あたり、納めるのが400円、年金が年200円で、比が常に2対1だからです。 2年を過ぎて受け取る分が、納めた額を上回る分になります。付加年金は老齢基礎年金と合わせて受け取る終身年金なので、長く生きるほど受け取る総額が増えます。

日本年金機構の例は、20歳から60歳まで40年間納めた場合です。令和8年度の老齢基礎年金の満額847,300円に96,000円が加わり、年943,300円になります。

みぞれ
みぞれ

2年で元が取れるなら、払わない理由がない気がするけど……

しぐれ
しぐれ

「2年」は、受け取り始めてからの2年です。そこまでに何十年も待つ間の利息や、物価の上昇は計算に入っていません。次の節の3つを見てから決めてください。

「2年」に入っていないこと

物価が上がっても、付加年金は増えない

付加年金は、老齢基礎年金と合わせて受給できる終身年金ですが、定額のため、物価スライド(増額・減額)はありません。

(日本年金機構「付加年金」)

老齢基礎年金は、毎年度、賃金や物価に合わせて額が改定されます。付加年金は「200円×月数」の定額で、改定がかかりません。

たとえば10年納めて、年24,000円の付加年金を受け取るとします。仮に物価が毎年2%ずつ上がると、10年後の24,000円は、今の約19,700円分の買い物にしかなりません(当方計算。物価の予想ではなく、定額であることの意味を示すための仮の数字です)。 逆に物価が下がっても、付加年金は減りません。

受け取る前に亡くなると、付加年金としては受け取れない

付加年金は、老齢基礎年金の受給権を得たときに支給されます(国民年金法第43条)。受給権者が亡くなると権利はなくなります(同法第48条)。 65歳前に亡くなれば付加年金は受け取れず、受け取り始めて2年たたずに亡くなれば、納めた額に届きません。

遺族側には、別の形で少し戻る仕組みがあります。死亡一時金は、付加保険料を36月以上納めていれば8,500円が加算されます。条件と期限は家族が亡くなったときに受け取れるお金に書いています。

老齢基礎年金を受け取れることが前提

付加年金は老齢基礎年金に上乗せされるものです。老齢基礎年金を受け取る資格(受給資格期間)がなければ、付加年金も出ません。 また、老齢基礎年金が全額支給停止されている間は、付加年金も止まります(同法第47条)。

税金はどうなるか

付加保険料は国民年金の保険料なので、払った年の社会保険料控除の対象です(国税庁 No.1130)。受け取る付加年金は、老齢基礎年金と一緒に公的年金等の雑所得になります(国税庁 No.1600)。払うときに所得から引かれ、受け取るときに課税される、という順番です。

払える人、払えない人

国民年金法第87条の2第1項と日本年金機構の案内をまとめると、次のとおりです。

付加保険料を払えるか
第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生・無職など)払える
65歳未満の任意加入被保険者(60歳以降に年金を増やすため加入した人、海外に住む人など)払える(国民年金法附則第5条第9項)
国民年金保険料の全額免除・一部免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人、法定免除の人払えない
国民年金基金の加入員払えない
産前産後免除・育児免除を受けている人払える
会社員・公務員(第2号)、その被扶養配偶者(第3号)対象外
農業者年金の被保険者払わなければならない

一部免除(半額免除など)を受けて残りを納めている人も、付加保険料は払えません。免除と納付猶予の仕組みは国民年金保険料の免除・納付猶予の申請にまとめています。

産前産後免除と育児免除の期間は、保険料が免除されても付加保険料を払えます。 産前産後免除は「付加保険料の納付」のページに、2026年10月に始まった育児免除は「国民年金保険料の育児免除制度」のページに、それぞれ払えると書かれています。

60歳から65歳までの任意加入は、40年に足りない分を埋めて老齢基礎年金を増やすための制度です。その間も付加保険料を上乗せできます。

国民年金基金とは、どちらか一方

国民年金基金に入ると、付加保険料は払えません。付加保険料を払っている人が国民年金基金に加入すると、その日に付加保険料をやめる申出をしたものとみなされます(国民年金法第87条の2第4項)。両方を払い続けることはできない仕組みです。

iDeCoと一緒に入るときは、上限が下がる

付加年金とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、同時に入れます。日本年金機構も「個人型確定拠出年金と付加年金は同時に加入することができます」と案内しています。 ただし、iDeCoの掛金の上限(拠出限度額)が、付加保険料の分だけ下がります。

条文では「上限から付加保険料を引く」

第1号被保険者のiDeCoの上限は、確定拠出年金法施行令第36条第1号で決まっています。付加保険料か国民年金基金の掛金を納める月は、上限からその額を引く定めです。 2026年12月1日施行の改正で、上限の額は68,000円から75,000円に上がります。付加保険料を引く形は、改正後も変わりません(当サイトで改正後の条文を確かめました)。

現行(2026年11月分まで)2026年12月分から
第1号被保険者の上限(付加保険料なし)月68,000円月75,000円
付加保険料を払う月の上限(条文どおり)68,000円−400円=67,600円75,000円−400円=74,600円
実際に設定できる上限(掛金は1,000円単位)67,000円74,000円

(確定拠出年金法施行令第36条。令和7年政令第442号による改正後の版をe-Gov法令検索で確認。1,000円単位は iDeCo公式サイト)

iDeCoの掛金は、月5,000円から1,000円単位で決めます。そのため条文上は400円の差でも、上限いっぱいまで掛けている人は、iDeCoの掛金を1,000円下げることになります。 国民年金基金連合会の増額特例の案内でも、付加保険料を納めている人の改正後の掛金の範囲は「68,000円以上74,000円以下」と書かれています。

上限より下で掛けている人には、ほとんど関係ない

iDeCoの掛金が月67,000円(2026年12月分からは74,000円)以下なら、付加保険料を払っても掛金を変える必要はありません。 上限が気になるのは、iDeCoを上限近くまで使っている人だけです。

付加保険料の申込みを、iDeCo側に伝え忘れると

iDeCoの記録は、日本年金機構の記録と毎月照合されています。付加保険料を納めていると登録されていて、iDeCoの掛金が上限を超えていると、iDeCoの掛金の引き落としが一時停止されます。 国民年金基金連合会の案内では、対応は「iDeCoの掛金を引き下げる」か「付加保険料の納付をやめる」のどちらかです(様式K-203)。

iDeCoの改正全体(加入できる年齢が70歳未満まで延びること、掛金を変えられる回数の特例など)は、iDeCo改正は2026年12月からにまとめています。

みぞれ
みぞれ

iDeCoを上限まで使っている人は、付加年金と、どっちを優先したらいいの?

しぐれ
しぐれ

比べる物差しが違うので、どちらが上とは言えません。付加年金は国の終身年金で額が決まっていて、物価には連動しません。iDeCoは運用しだいで増えも減りもし、原則60歳まで引き出せません。そのうえで、上限いっぱいの人が付加年金を足すと、iDeCoが月1,000円減ることだけは数字で決まっています。

繰上げ・繰下げをすると、付加年金も同じ率で増減する

老齢基礎年金を繰り下げると、付加年金も同じ増額率で増えます(国民年金法第46条、国民年金法施行令第4条の5第2項)。繰り上げると、同じ減額率で減ります(同法附則第9条の2第6項、同施行令第12条第2項)。 付加年金だけを65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを繰り下げる、という分け方はできない仕組みです。

10年(120月)納めて年24,000円の付加年金の場合(昭和37年4月2日以降生まれの率で当方計算)。

受け取り始め増減率付加年金(年額)納めた48,000円と同じになるまで
60歳(繰上げ)−24%(0.4%×60か月)18,240円約2年8か月
65歳0%24,000円2年
70歳(繰下げ)+42%(0.7%×60か月)34,080円約1年5か月
75歳(繰下げ)+84%(0.7%×120か月)44,160円約1年1か月

繰り下げると、受け取り始めてから元に戻るまでの期間は短くなります。そのかわり、受け取り始めるのが遅くなります。 増減率のくわしい決まり、繰上げで失うもの(寡婦年金・任意加入など)、繰下げ待機中の注意点は、年金は何歳から?繰上げ・繰下げの仕組みと注意点に書いています。

申し込みと、やめる手続き

申し込み

項目内容
書類国民年金被保険者関係届書(申出書)
出す先市区町村の窓口、年金事務所(電子申請もある)
いつから払えるか申し出た日の属する月の分から。郵送は受付日の月から
さかのぼれるかさかのぼれない(例:2026年4月中に申し出たら4月分から。3月分以前は払えない)
納付期限対象の月の翌月末日。過ぎても期限から2年間は納められる

(日本年金機構「付加保険料の納付」)

さかのぼれないので、払うと決めたら早いほうが、納められる月が多くなります。 一方、申し出たあとの月の分を払い忘れた場合は、2年以内なら後から納められます。

前納すると少し安くなる

付加保険料も、国民年金保険料と同じように前納(まとめて前払い)できます。令和8年度の額は次のとおりです。

前納の期間納付書・クレジットカード口座振替
2年前納(24か月分)9,250円(350円割引)9,220円(380円割引)
1年前納4,710円(90円割引)4,700円(100円割引)
6か月前納2,380円(20円割引)2,370円(30円割引)

(日本年金機構「国民年金保険料の前納」。割引額は毎月400円で納めた場合との比較)

やめるとき

同じ「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を、市区町村の窓口か年金事務所に出します。申し出た月の前月の分から、付加保険料を払う人ではなくなります(国民年金法第87条の2第3項)。 それまでに納めた付加保険料の月数は消えません。その月数に応じた付加年金を受け取れます。

会社に勤めて厚生年金に入ると、第1号被保険者ではなくなるので、付加保険料は払えなくなります。あとで自営業に戻ったときに改めて申出が要るかは、日本年金機構の案内に書かれていないため、年金事務所で確かめてください。

払っているかは、ねんきん定期便で分かる

ねんきん定期便の保険料納付状況の欄には、付加保険料を納めた月に「付加」と表示されます。見込額の欄の老齢基礎年金には、付加年金の額も含まれています。 見方はねんきん定期便の見方にあります。

決める前に確かめること

付加保険料を払う前に

  • 自分が第1号被保険者か、65歳未満の任意加入被保険者か
  • 国民年金保険料を免除・納付猶予・学生納付特例で減らしていないか(減らしていると払えない)
  • 国民年金基金に入っていないか(入っていると払えない)
  • iDeCoを上限近く(月67,000円超、2026年12月分からは74,000円超)まで掛けていないか
  • 繰上げ・繰下げを考えているなら、付加年金も同じ率で動くこと
  • 付加年金は定額で、物価が上がっても増えないこと

まとめ

  • 付加年金は、第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者が、月400円の付加保険料を上乗せして受け取る年金。額は「200円×納めた月数」(国民年金法第44条)
  • 65歳から受け取ると、2年で納めた額と同じになる。利息と物価の上昇は入っていない計算で、付加年金に物価スライドはない
  • 免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人と、国民年金基金の加入員は払えない。産前産後免除と育児免除の期間は払える
  • iDeCoと同時に入れるが、付加保険料を払う月はiDeCoの上限から400円が引かれる。1,000円単位なので、実際の上限は現行67,000円、2026年12月分から74,000円
  • 繰上げ・繰下げでは、付加年金も老齢基礎年金と同じ率で減り・増える
  • 申し込みは申し出た月の分から。さかのぼれない。納め忘れは期限から2年以内なら払える

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よくある質問

付加年金は本当に2年で元が取れますか?

付加保険料は月400円、付加年金は1か月納めるごとに年200円です。納めた額の半分が毎年戻る計算なので、65歳から受け取ると2年で納めた額と同じになります。ただし利息や物価の上昇は入っていない計算で、付加年金には物価スライドがありません。受け取る前に亡くなった場合は付加年金としては受け取れません。

付加年金とiDeCoは同時に入れますか?

入れます。ただし付加保険料を納める月は、iDeCoの上限からその分が引かれます。現行は月68,000円から400円を引いた67,600円、2026年12月分からは月75,000円から400円を引いた74,600円です。iDeCoの掛金は1,000円単位なので、実際に設定できる上限は67,000円、2026年12月分から74,000円です。

付加保険料を納められないのはどんな人ですか?

国民年金保険料の全額・一部免除、納付猶予、学生納付特例を受けている人と、国民年金基金に加入している人です。会社員・公務員(第2号被保険者)とその被扶養配偶者(第3号被保険者)も対象外です。一方、産前産後免除と、2026年10月に始まった育児免除の期間は納められます。

付加保険料は、さかのぼって納められますか?

申し出た月より前の月にはさかのぼれません。たとえば2026年4月中に申し出たら、4月分からです。一方、申し出たあとの月の分で納付期限(翌月末日)を過ぎたものは、期限から2年間は納められます。