先に結論
- NISAの枠は2つ。つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円で、両方使うと年360万円まで買えます
- 生涯の上限(非課税保有限度額)は2つ合わせて1,800万円。成長投資枠で買えるのはそのうち1,200万円までです
- 1,800万円は買ったときの金額(簿価)で数えます。値上がりしても枠は減りません
- つみたて投資枠で買えるのは、金融庁が定めた条件を満たした投資信託などに限られ、買い方は積み立てだけです
- 成長投資枠は、上場株式や投資信託などを一度にまとめて買うこともできます。ただし、上場廃止のおそれがある銘柄や、毎月分配型などの投資信託は対象外です
- 使わなかった年間の枠は翌年に繰り越せません。片方の枠だけを使うこともできます

2024年に始まったNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。名前だけを見ると、「つみたて用」と「一括で買う用」に分かれているように見えますが、違いはそれだけではありません。
この記事では、金融庁のNISA特設サイトと日本証券業協会のQ&Aをもとに、2つの枠の金額・買えるもの・買い方・上限の数え方の違いを整理します。 何を買うか、どの枠を使うかをすすめる記事ではありません。特定の金融機関や商品は出しません。
2つの枠を同じ項目で並べる
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 1年に買える額(年間投資枠) | 120万円 | 240万円 |
| 生涯の上限(非課税保有限度額) | 2つ合わせて1,800万円 | 1,800万円のうち1,200万円まで |
| 買えるもの | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たしたもの) | 上場株式・投資信託など(一部を除く) |
| 買い方 | 積み立て(契約に基づく定期的な買付け)だけ | 制限なし(一度にまとめて買っても、積み立ててもよい) |
| 非課税で持てる期間 | 無期限 | 無期限 |
| 使える年齢 | 18歳以上(2027年1月からは0〜17歳も) | 18歳以上 |
(金融庁 NISA特設サイト「NISAを知る」、日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」から作成)
2つの枠は併用できます。 2023年までは、つみたてNISAと一般NISAのどちらか一方しか選べませんでした。2024年からは、つみたてNISAがつみたて投資枠に、一般NISAが成長投資枠に引き継がれ、同じ口座の中で両方を使えるようになりました(金融庁「NISAを知る」)。
2つの枠は同じ金融機関で使います。 つみたて投資枠はA社、成長投資枠はB社、という分け方はできません(金融庁「よくある質問」)。金融機関は年単位で変えられます。その手順は「NISA口座はどこで開く?主な証券会社の比べ方」で書いています。
年360万円と、生涯1,800万円
年間の枠は「1年に買える額」
年間投資枠は、その年に買える金額の上限です。つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、合わせて360万円までです。 金額は買付代金で数え、購入の手数料は含みません(日本証券業協会Q&A Q7)。
その年に使わなかった分は、翌年に繰り越せません。 日本証券業協会のQ&Aは、つみたて投資枠を60万円しか使わなかった年でも、翌年に「120万円+60万円=180万円」は買えないと説明しています(Q28)。成長投資枠も同じです。
生涯の枠は「持っている額の上限」
非課税保有限度額は、NISA口座で持っている商品の、買ったときの金額の合計の上限です。2つの枠を合わせて1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。
ここで大事なのは、時価ではなく簿価(買ったときの金額)で数えることです。金融庁のよくある質問は、限度額を「買付け残高(簿価残高)」で管理すると書いています。 たとえば1,000万円で買った商品が値上がりして1,500万円になっても、枠を使った額は1,000万円のままです。値下がりしても、枠が増えることはありません。

年間の枠がまだ残っていても、1,800万円に届いていたら買えないの?

買えません。日本証券業協会のQ&Aは、持っている額(簿価)が1,700万円なら、その年のつみたて投資枠で買えるのは100万円まで、という例を挙げています。
複数の金融機関で口座を持ったことがある場合も、持っている額は国税庁が名寄せして1人ごとに管理します(日本証券業協会Q&A Q8)。 2023年までのNISA(一般NISA・つみたてNISA)で買った商品は、1,800万円の外枠です。
1,800万円に届くまでの年数
年間の枠と生涯の枠の関係を、売らずに上限まで買い続けたときの年数で見ると、次のようになります(当サイトの単純計算)。
| 使い方 | 1年に買う額 | 届くまでの年数 |
|---|---|---|
| 両方の枠を上限まで使う | 360万円 | 5年で1,800万円 |
| 成長投資枠だけを上限まで使う | 240万円 | 5年で1,200万円(成長投資枠の上限) |
| つみたて投資枠だけを上限まで使う | 120万円 | 15年で1,800万円 |
両方の枠を5年続けると、成長投資枠は1,200万円、つみたて投資枠は600万円で、合わせて1,800万円になります。 これは「最短でここまで」という枠の計算です。毎年この額を入れることをすすめるものではありません。
買えるものの違い
つみたて投資枠:金融庁が定めた条件の投資信託など
つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を持つ投資信託とETF(上場投資信託)だけです。 金融庁の資料では、主な条件は次のとおりです。
- 信託期間(投資信託の運用期間)が無期限か20年以上
- ヘッジ目的など以外でデリバティブ取引による運用をしない
- 毎月分配型でない
- 販売手数料が0%(ノーロード)で、信託報酬(保有中にかかる費用)が低い水準
- インデックス運用(指数に連動する運用)のものは、金融庁が指定した指数に連動するもの
- アクティブ運用のものは、純資産額50億円以上、運用実績5年以上などの条件を満たすもの
(金融庁「NISAを利用する皆さまへ」2024年6月)
指数に連動する投資信託の信託報酬(税抜)には、法令上の上限があります。投資先が国内のものは0.5%、国内外・海外のものは0.75%です。 条件を満たすものは金融庁に届け出られ、一覧が金融庁のホームページで公表されています。2026年10月23日時点で377本です(金融庁「つみたて投資枠対象商品の分類」)。
上場株式、REIT(不動産投資信託)、毎月分配型の投資信託、公社債や公社債投資信託は、つみたて投資枠では買えません(日本証券業協会Q&A Q4)。
成長投資枠:上場株式・投資信託など。ただし除外がある
成長投資枠では、上場株式、投資信託、ETF、REITなどを買えます。つみたて投資枠より範囲が広い一方で、次のものは対象外です(金融庁「NISAを知る」「NISAを利用する皆さまへ」)。
- 整理銘柄(上場廃止が決まった銘柄)と監理銘柄(上場廃止の基準に当たるおそれがある銘柄)
- 信託期間が20年未満の投資信託
- ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を使う一定の投資信託
- 毎月分配型の投資信託
公社債や公社債投資信託は、成長投資枠でも買えません(日本証券業協会Q&A)。成長投資枠で買える投資信託の一覧は、資産運用業協会のホームページで公表されています。 ある商品がどちらの枠の対象になるかは商品ごとに違うので、金融機関の表示で確かめます(日本証券業協会Q&A)。
2026年度の税制改正で、つみたて投資枠の対象が広がる
令和8年度税制改正の大綱で、つみたて投資枠の対象となる指数を増やすこと、指数に連動しない投資信託の対象を「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」に広げることが示されました。定期的に売る(取り崩す)サービスに限って、手数料を取れるようにすることも入っています(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」)。上の条件は、2026年10月24日時点で金融庁が示しているものです。
買い方の違い
つみたて投資枠は「積み立て」だけ
つみたて投資枠で買えるのは、累積投資契約に基づく買付け、つまり金融機関と「毎月◯円」などの契約を結んで、定期的に続けて買う方法だけです(日本証券業協会Q&A Q4)。 好きなときに好きな額を1回だけ買う、という使い方はできません。
成長投資枠は、まとめて買っても積み立ててもよい
成長投資枠には買い方の制限がありません。一度にまとめて買うこともできますし、つみたて投資枠と同じように積み立てることもできます。 金融庁は、「成長投資枠」でも「つみたて投資枠」と同じように積立投資ができ、どちらかの枠しか使わないことも可能だと説明しています(「NISAを利用する皆さまへ」)。

つみたて投資枠だけ使って、成長投資枠は使わない、でもいいの?

いいです。つみたて投資枠だけで1,800万円を使いきることもできます。反対に成長投資枠だけを使うこともできますが、その場合は1,200万円までです。
どちらの枠でも同じこと
2つの枠で共通している点も押さえておきます。
- 非課税で持てる期間に期限はありません。 売る期限もありません(日本証券業協会Q&A Q40)
- 売った利益と配当・分配金に、通常かかる約20%の税金がかかりません(金融庁「NISAを知る」)
- 損が出ても、その損はなかったものとみなされます。 特定口座や一般口座の利益と相殺(損益通算)できず、翌年以降への繰り越しもできません(国税庁No.1535)
- 元本は保証されません。 値下がりした時期に売れば、入れた額より少なく戻ります
- 売ると、売った商品の簿価の分の枠が翌年以降に戻ります。同じ年のうちには戻りません。詳しくは「NISAで売ったら枠は戻る?」で書いています
2027年1月からの未成年の枠との関係
2027年1月から、0〜17歳もNISA口座を開けるようになります(通称こどもNISA)。未成年が使えるのはつみたて投資枠だけで、年60万円、上限600万円です。成長投資枠は使えません(金融庁「NISAを知る」)。 18歳になる年からは大人の枠へ自動で移り、年360万円・1,800万円の枠になります。詳しくは「こどもNISAは2027年1月から」にまとめています。
住宅の営業担当の方へ
家づくりの資金計画で、「NISAはいくらまで入れられるのか」と聞かれることがあります。
聞かれたときに押さえておくこと
- 年間はつみたて120万円+成長240万円で360万円。生涯は1,800万円(成長は1,200万円まで)
- 生涯の枠は買ったときの金額で数える。値上がりしても減らない
- 使わなかった年の枠は繰り越せない
- 売れば枠は戻るが、翌年以降。元本は保証されない
- 何を買うか、どの枠を使うかの相談には乗らない。金融機関や専門家へ
頭金とNISAのどちらにお金を回すかは「頭金とNISA、どちらにお金を回すか」、住宅ローンの繰上げ返済との比べ方は「繰上げ返済とNISA・iDeCo、どちらにお金を回すか」で整理しています。
まとめ
- つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円。両方使うと年360万円
- 生涯の上限は2つ合わせて1,800万円、成長投資枠はそのうち1,200万円まで。簿価で数える
- つみたて投資枠は、金融庁が定めた条件の投資信託などを積み立てで買う枠。成長投資枠は上場株式・投資信託などを買い方の制限なく買える枠(上場廃止のおそれがある銘柄や毎月分配型などは除く)
- 使わなかった年間の枠は繰り越せない。片方の枠だけを使ってもよい
- 2つの枠は同じ金融機関で使う。損はなかったものとみなされ、元本の保証はない
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出典
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「よくある質問」
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「つみたて投資枠対象商品」(つみたて投資枠対象商品の分類 2026年10月23日時点)
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(2024年6月)
- 日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月。2026年4月1日時点の法令等による)
- 国税庁 タックスアンサー No.1535 NISA制度(令和8年4月1日現在法令等)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」
本記事は2026年10月24日時点で公表されている省庁・業界団体の資料にもとづく制度の説明です。特定の金融機関・金融商品をすすめるものではなく、投資信託や株式は元本が保証されません。投資の判断はご自身で行ってください。個別の取扱いは口座を開いている金融機関の窓口に、税金の扱いは所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
つみたて投資枠と成長投資枠は、両方使えますか?
両方使えます。1年につみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、合わせて360万円まで買えます。2つの枠は同じ金融機関で使い、別々の金融機関に分けることはできません。
生涯の上限1,800万円は、どう数えますか?
買ったときの金額(簿価)で数えます。値上がりして時価が1,800万円を超えても、それだけで枠を超えたことにはなりません。成長投資枠で買えるのは、1,800万円のうち1,200万円までです。購入の手数料は含みません。
つみたて投資枠だけで1,800万円を使いきれますか?
使いきれます。金融庁のよくある質問に記載があります。反対に、成長投資枠だけを使うこともできますが、その場合の上限は1,200万円です。
その年に使わなかった枠は、翌年に回せますか?
回せません。つみたて投資枠を60万円しか使わなかった年でも、翌年のつみたて投資枠は120万円のままです(日本証券業協会のQ&A)。生涯の1,800万円は、使わなかった分がそのまま残ります。



