iDeCoの受け取り方|一時金・年金の税金と退職金の「5年ルール」改正

iDeCoの受け取り方|一時金・年金の税金と退職金の「5年ルール」改正のイメージ年金と老後

先に結論

  • iDeCoは60歳から75歳になるまでの間に受け取りを始める。60歳から受け取るには、60歳までの加入期間などが10年以上いる
  • 一時金は退職所得。掛金を出した年数で退職所得控除が決まり、残りの2分の1に課税される。国民健康保険料の所得割のもとには入らない(新宿区・杉並区の案内)
  • 年金は公的年金等の雑所得。公的年金と同じ公的年金等控除の枠を分け合う。国保・介護保険料のもとになる所得に入る
  • 2026年1月から、iDeCoの一時金が先で、退職金までの間が9年内なら退職所得控除が調整される(以前は4年内)。60歳でiDeCoを一時金にして65歳で退職金を受け取ると、新たに調整の対象になる
  • 退職金が先でiDeCoがあとの場合の19年内は変わっていない
  • どれが有利かは、退職金の額と時期、公的年金の額、働き方で変わる。この記事はしくみと計算のしかたを示す

iDeCoは、掛金を出すときに所得控除があり、運用益にも税金がかかりません。 受け取るときにも税金の扱いがあり、受け取り方で使える控除が変わります。

ここでは受け取りの部分だけを扱います。 制度の全体と2026年12月の改正はiDeCo改正は2026年12月からにまとめています。

受け取れるのは60歳から、始めるのは75歳まで

iDeCoの資産は、老齢給付金として原則60歳から受け取れます。 受け取りを始める時期は、75歳になるまでの間で選べます(iDeCo公式サイト「iDeCoの給付」)。

60歳から受け取るには、60歳になるまでの通算加入者等期間が10年以上いります。 掛金を出していた期間と、運用指図者(掛金を止めて運用だけを続ける人)だった期間を足した期間です。 10年に足りないと、受け取れる年齢が61歳から65歳に繰り下がります(確定拠出年金法第33条)。 年数ごとの表はiDeCo改正の記事に載せています。

60歳以上で初めて加入した人は、加入から5年を過ぎた日から受け取れます。

75歳までに請求しないと、受け取りが止まる

iDeCo公式サイトは「75歳までに受給の請求をしていただく必要があります」と案内しています。 請求がないと、法務局に供託されます。

みぞれ
みぞれ

受け取りは、早く始めたほうがいいの?

しぐれ
しぐれ

2026年12月からは、70歳になるまで掛金を出せるようになります。ただ、iDeCoの老齢給付金を受け取った人は、加入できません。掛金を続けたいなら、受け取りの開始とぶつかります。

厚生労働省の「2025年の制度改正」では、改正後に加入できる人の条件に「老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない」ことが入っています。 一時金で一度に受け取った場合も、受け取ったことになります(iDeCo公式サイト「iDeCoの加入資格」)。

受け取り方は3つ。所得の種類が違う

実のなった木の下で、まとめて受け取るかご・少しずつ受け取る鉢・その組み合わせを、白文鳥のみぞれと桜文鳥のしぐれが見比べている

受け取り方は、一時金・年金・その組み合わせの3つです。

一時金年金併用
受け取り方一度にまとめて5年以上20年以下の期間で分けて一部を一時金、残りを年金
所得の種類退職所得公的年金等の雑所得それぞれの部分ごと
使える控除退職所得控除公的年金等控除(公的年金と共通の枠)両方
税金の計算ほかの所得と分けて計算公的年金・給与などと合わせて計算それぞれ
住民税受け取るときに差し引かれる翌年度に、ほかの所得と合わせてかかるそれぞれ
国保の所得割のもと入らない(新宿区・杉並区の案内)入る年金の部分が入る

(所得税法第30条・第31条・第35条、所得税法施行令第72条・第82条の2、地方税法第328条、iDeCo公式サイト「iDeCoの給付」から作成)

年金の受け取り期間は、運営管理機関(口座を開いた金融機関)が定める方法で選びます。 運営管理機関によっては終身年金を扱うところや、併用を扱うところがあります。 扱いの有無は運営管理機関ごとに違うので、口座のある運営管理機関に確かめます。

一時金は退職所得。控除は掛金を出した年数で決まる

iDeCoの老齢給付金を一時金で受け取ると、税金の上では退職金と同じ扱いになります。 所得税法第31条が、確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金を「退職手当等とみなす」と定めています。

退職所得の金額は、次の式で出します(国税庁 No.1420)。

退職所得の金額 =(収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

(国税庁 No.1420。1年未満の端数は1年に切り上げ)

iDeCoの「勤続年数」は、掛金を出した期間

iDeCoの一時金では、会社に勤めた年数の代わりに、掛金を出した期間を勤続年数として数えます(所得税法施行令第69条第1項第2号)。 運用指図者だった期間は入りません。

受け取れる年齢を決める「通算加入者等期間」とは数え方が違う点に気をつけます。 前の勤務先の企業型確定拠出年金から移した資産があるときは、その事業主掛金の期間も数えます。

計算例1:iDeCoの一時金だけを受け取る場合

  • 掛金を出した期間15年、一時金1,000万円
  • 退職所得控除額=40万円×15年=600万円
  • 退職所得の金額=(1,000万円-600万円)×1/2=200万円
  • 所得税(復興特別所得税を含む)=(200万円×10%-9万7,500円)×102.1%=10万4,652円
  • 住民税=200万円×4%+200万円×6%=20万円

掛金を出した期間20年・一時金800万円なら、控除額は800万円で、税金はかかりません。

(当方の計算。ほかに退職金を受け取っていない場合。所得税は国税庁 No.2260 の速算表で計算し、1円未満を切り捨て。住民税は道府県民税4%と市町村民税6%をそれぞれ100円未満で切り捨てた簡便な計算。国税庁 No.2732 の計算例と同じ方法)

受け取るときに、税金が差し引かれる

一時金の所得税は、受け取るときに源泉徴収されます。 「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、退職所得控除を引いた正しい税額が差し引かれ、原則として確定申告はいりません。 出していないと、支払額の20.42%が差し引かれ、確定申告で精算します(国税庁 No.1420)。

住民税も、受け取るときに差し引かれます(地方税法第328条・第328条の5)。 翌年の住民税の通知に、あらためて載るわけではありません。

退職金の税金の計算と手取りの出し方は、退職金で住宅ローンを一括返済するかにも載せています。

年金は公的年金等の雑所得。公的年金と控除の枠を分け合う

年金で受け取ると、公的年金等に係る雑所得になります(所得税法第35条第3項、所得税法施行令第82条の2)。 国民年金・厚生年金と同じ「公的年金等」の仲間として、合計した収入から公的年金等控除を引きます。

公的年金等控除は、受け取る人の年齢で最低額が違います(所得税法第35条第4項、租税特別措置法第41条の15の3)。

年齢(その年12月31日時点)公的年金等の収入の合計雑所得の金額
65歳未満60万円以下0円
65歳未満60万円超130万円未満収入-60万円
65歳以上110万円以下0円
65歳以上110万円超330万円未満収入-110万円

(国税庁 No.1600 の速算表の一部。公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合。130万円以上・330万円以上の欄は No.1600 を参照)

高齢社会白書(令和8年版)によると、公的年金・恩給を受けている高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が収入のすべてという世帯は43.4%でした(厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和6年)の令和5年1年間の所得。第1章第2節、23ページ)。公的年金を受けている人がiDeCoを年金で受け取ると、次の例のように、控除の枠を公的年金と分け合います。 高齢社会白書の要点は、省庁の審議会や白書をまとめている姉妹サイト「日本の審議会」の令和8年版 高齢社会白書の記事にまとめています。

計算例2:65歳以上で、公的年金にiDeCoの年金が加わる場合

  • 公的年金だけ:年200万円 → 雑所得=200万円-110万円=90万円
  • iDeCoの年金を年80万円足す:合計280万円 → 雑所得=280万円-110万円=170万円

iDeCoの年金80万円が、そのまま雑所得を80万円増やしています。 公的年金だけで控除の枠を使い切っているので、iDeCoの分に回る控除が残っていないためです。

(当方の計算。65歳以上、公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合)

逆に、60歳から64歳の間に公的年金をまだ受け取っていなければ、iDeCoの年金だけで控除の枠を使えます。 年80万円なら、雑所得は80万円-60万円=20万円です。 同じ年金の額でも、公的年金を受け取り始める前か後かで、課税される額が変わります。

みぞれ
みぞれ

年金で受け取ると、確定申告がいるの?

しぐれ
しぐれ

iDeCoの年金も公的年金等なので、受け取るときに源泉徴収されます。公的年金等の収入の合計が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、確定申告不要制度の対象です。

確定申告不要制度の条件と、それでも申告すると税金が戻る場合は年金受給者の確定申告不要制度にまとめています。

2027年分から:給与と年金の控除の合計に280万円の上限

令和8年度税制改正で、所得税法第35条に第5項が加わりました(所得税法等の一部を改正する法律〈令和8年法律第12号〉)。 給与所得控除と公的年金等控除の合計が280万円を超えると、超えた分を公的年金等控除から引きます。 令和9年(2027年)分以後の所得税から使われます。

働きながらiDeCoの年金や公的年金を受け取る人に関係します。 給与だけ、年金だけの人には関係しません。 2026年10月17日時点では国税庁の詳しい解説が出ていないため、この記事ではしくみだけを書いています。

受け取りの回数ぶん、手数料がかかる

年金で受け取ると、支払いのたびに給付の手数料がかかります。 運営管理機関の手数料表には、事務委託先金融機関の給付事務手数料として1回440円と載っている例があります。 年に何回受け取るか、何年受け取るかで合計が変わります。 手数料の額と受け取り回数の選び方は、口座のある運営管理機関の手数料表で確かめます。

退職金と一時金の順番:5年ルールは10年ルールに、19年ルールはそのまま

iDeCoの一時金と会社の退職金の両方を受け取る人は、受け取る年の順番と間隔で、退職所得控除が調整されることがあります。 同じ期間について、控除を2回使わないようにするためのしくみです(所得税法施行令第70条)。

順番調整の対象になる間隔いつから
iDeCoの一時金が先、退職金があと退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金を受け取っている2026年1月1日以後に受け取った一時金から(以前は4年内)
退職金が先、iDeCoの一時金があとiDeCoの一時金を受け取る年の前年以前19年内に退職金を受け取っている以前から変わらず
同じ年2つを合わせて1つの退職所得控除以前から変わらず

(所得税法施行令第69条第1項第3号・第70条第1項第2号ロ・ハ)

「前年以前4年内」なら、5年以上あければ調整を受けませんでした。 これが、いわゆる5年ルールです。 2026年1月からは「前年以前9年内」になったので、調整を受けないには10年以上あけることになります。 退職金が先の場合は、20年以上あけないと調整を受けます。こちらが19年ルールと呼ばれるものです。

改正の出どころ

財務省「令和7年度税制改正の大綱」(2024年12月)で決まり、所得税法施行令第70条が改められました。 2025年12月の令和8年度の大綱には、退職所得控除やこの調整を変える項目は入っていません。

施行令は、iDeCoの一時金を「令和八年一月一日以後に支払を受けたものに限り」9年内の対象にしています。 2025年までに受け取った一時金は、前の4年内のままです。

計算例3:60歳でiDeCoを一時金に、65歳で退職金

65歳まで同じ会社で働き、65歳で退職金を受け取る人を例にします。

  • iDeCo:40歳から60歳まで掛金を出した(20年)。60歳で一時金800万円を受け取る
  • 退職金:22歳から65歳まで勤めた(43年)。65歳で2,500万円を受け取る(勤続43年として計算される場合)

iDeCoの一時金は、控除が800万円なので税金はかかりません。 問題は、5年後の退職金です。

退職所得控除額退職所得の金額所得税住民税
調整がない場合(2025年までに一時金を受け取った場合など)2,410万円45万円2万2,972円4万5,000円
調整がある場合(2026年以後に一時金を受け取った場合)1,610万円445万円47万2,212円44万5,000円

(当方の計算。控除額は 800万円+70万円×(43年-20年)=2,410万円。調整がある場合は、iDeCoの掛金の期間20年がすべて勤続期間と重なるので、40万円×20年=800万円を引く。税額の計算方法は計算例1と同じ)

60歳と65歳の間は5年なので、以前の4年内には入りませんでした。 2026年からの9年内には入るため、退職金の控除が800万円小さくなります。 この例では、所得税と住民税の合計で約85万円の違いです。

みぞれ
みぞれ

60歳で一時金にするのをやめて、65歳に退職金と同じ年に受け取ったら?

しぐれ
しぐれ

同じ年なら、2つを合わせた3,300万円から控除2,410万円を引くことになります。退職所得の金額は445万円で、調整がある場合と同じになります。掛金を出していた20年は勤続期間と重なっているので、年数が足されないからです。

一時金の額で、退職金の控除の減り方が変わる

前に受け取ったiDeCoの一時金が、その控除の枠を使い切っていない場合は、重なる期間を短く数えます(所得税法施行令第70条第2項)。 一時金の額を40万円で割った年数(20年以下の部分)だけを、前の期間とみなします。

たとえば計算例3で、60歳の一時金を400万円にし、残りを年金にした場合です。 400万円÷40万円=10年なので、重なる期間は10年として数えます。 退職金の控除は 2,410万円-40万円×10年=2,010万円になり、退職所得の金額は245万円です。 所得税は15万597円、住民税は24万5,000円になります(当方の計算)。

おおまかには、iDeCoの一時金で使った控除の分だけ、あとの退職金の控除が減る、と考えると見当がつきます。 年金に回した分は、その代わりに公的年金等の雑所得になります。

退職金が先なら、19年内は避けにくい

退職金を先に受け取り、iDeCoの一時金をあとにする場合は、間を20年以上あけないと調整を受けます。 iDeCoは75歳までに受け取りを始めるので、定年で退職金を受け取ったあとでは、20年をあけるのは現実的ではありません。

ただし、調整されるのは期間が重なる部分だけです。 たとえば60歳で退職したあとに、新たにiDeCoの掛金を出した期間は、前の勤続期間と重なりません。

定年が65歳以降の会社員は、受け取る年を並べてみる

  • 勤務先の退職金をいつ、何年分として受け取るか(再雇用の期間を含めるかは勤務先の規程で違う)
  • iDeCoの掛金を出した期間のうち、勤続期間と重なるのは何年か
  • iDeCoの一時金を受け取る予定の年と、退職金の年の間が9年内か

この3つが分かれば、控除が調整されるかどうかを自分で確かめられます。

調整後の控除額が80万円に満たないときは、80万円になります(所得税法第30条第6項第2号)。

国民健康保険料・介護保険料・住民税への響き方

税金だけで比べると、見落とすのが社会保険料です。 一時金と年金では、保険料のもとになる所得への入り方が違います。

国民健康保険料

国保の所得割は、前年の「総所得金額等」から基礎控除を引いた額をもとに計算します(国民健康保険法施行令第29条の7)。 新宿区は「退職所得は、総所得金額等には含みません」と案内しています。 杉並区の簡易計算の案内にも、退職所得は含めないと書かれています。

  • 一時金(退職所得):所得割のもとに入らない(新宿区・杉並区の案内)
  • 年金(公的年金等の雑所得):所得割のもとに入る。40歳から64歳の人は、国保の介護分の所得割にも入る

計算例2のように、iDeCoの年金で雑所得が80万円増えると、その分が翌年度の国保の所得割のもとに加わります。 国保の計算のしかたは国民健康保険料はいくら?にまとめています。

65歳以上の介護保険料

65歳以上の介護保険料は、本人の合計所得金額などで段階が決まります。 目黒区の案内では、合計所得金額は年金や給与などの所得の合計です。 iDeCoの年金は公的年金等の雑所得なので、合計所得金額に入ります。

一時金(分離課税の退職所得)が段階の判定に入るかどうかは、確かめきれていません。 受け取る前に、住んでいる市区町村の介護保険の担当に確かめてください。 段階の決まり方は65歳からの介護保険料はいくら?にあります。

住民税と、非課税世帯の判定

年金で受け取った分は、翌年度の住民税の計算に、公的年金と合わせて入ります。 住民税が非課税かどうかの判定にも入るので、公的年金だけなら非課税だった人が、課税に変わることがあります。 判定の目安は住民税非課税世帯とはにまとめています。

受け取りの手続き:裁定請求

iDeCoは、受け取れる年齢になっても自動では払われません。 自分で「裁定請求」(受け取りの請求)をする必要があります。

受け取りまでの流れ

  • ☐ 口座のある運営管理機関に連絡し、老齢給付金の請求書類を取り寄せる
  • ☐ 一時金・年金・併用のどれにするか、年金なら受け取る期間と回数を決める(選べる範囲は運営管理機関ごとに違う)
  • ☐ 一時金を選ぶなら、「退職所得の受給に関する申告書」を出す
  • ☐ 書類を出すと、記録関連運営管理機関が裁定し、支払いが始まる

iDeCo公式サイトは、老齢給付金を受け取るときは記録関連運営管理機関に裁定の請求を行うと案内しています。 記録関連運営管理機関の連絡先は、定期的に届く「年金資産の残高の通知」などに書かれています。

請求しないまま75歳になると、確定拠出年金法第34条で、裁定にもとづいて老齢給付金が支給されることになっています。 iDeCo公式サイトは、請求がない場合は法務局に供託されると案内しています。

退職の前後にすることの全体は退職前後の手続きチェックリストにあります。

受け取り方を決める前に、そろえておく数字

このブログでは、どの受け取り方が得かを決めません。 比べるための数字は、次の5つでそろいます。

そろえる数字

  • iDeCoの資産額と、掛金を出した期間(年金資産の残高の通知で分かる)
  • 勤務先の退職金の額と、受け取る年・勤続年数(勤務先の退職金規程)
  • 公的年金を受け取り始める年齢と、年額(ねんきん定期便)
  • 受け取る年に、給与など公的年金以外の所得があるか
  • 加入する健康保険が国保か、勤務先の健康保険か(国保なら年金の分が保険料に響く)

この記事の計算例の式に当てはめれば、一時金と年金のそれぞれで、税金と所得の増え方を出せます。 退職金と重なる場合の調整は、計算が込み入ります。 受け取りが近づいたら、自分の数字を持って税務署か税理士に確かめてください。

しぐれ
しぐれ

決めるのは受け取る直前でかまいません。ただ、60歳でiDeCoを一時金にする予定だった人は、2026年の改正で前提が変わっていないかだけは、早めに確かめておくと安心です。

2026年12月の改正とのつながり

2026年12月1日から、iDeCoの拠出限度額が上がり、加入できる年齢が70歳未満まで延びる予定です(厚生労働省「2025年の制度改正」)。 会社員の上限は、企業年金と合わせて月6.2万円になります。

受け取りとの関係で押さえておくのは、次の2点です。

  • 掛金を出す期間が延びると、一時金の退職所得控除の年数も延びる。 掛金を出した期間が勤続年数になるため
  • 受け取りを始めると、加入できなくなる。 70歳まで掛金を続ける人は、受け取りの開始をそのあとにすることになる

改正の中身と手続きはiDeCo改正は2026年12月からに、住宅ローン控除との関係はiDeCoと住宅ローン控除の併用にあります。

まとめ

  • iDeCoの受け取りは60歳から75歳になるまでの間に始める。60歳から受け取るには通算加入者等期間10年以上
  • 一時金は退職所得。勤続年数は掛金を出した期間で数え、退職所得控除を引いた残りの2分の1に課税。住民税も受け取るときに差し引かれる
  • 年金は公的年金等の雑所得。公的年金と同じ公的年金等控除の枠を分け合う。2027年分から、給与所得控除との合計280万円の上限ができる
  • 国保の所得割のもとに、一時金(退職所得)は入らず、年金は入る(新宿区・杉並区の案内)
  • iDeCoの一時金が先で、退職金までの間が9年内なら控除が調整される(2026年1月以後の一時金から。以前は4年内)。退職金が先なら19年内で、こちらは変わらない
  • 一時金の額が控除の枠より小さければ、退職金の控除の減り方も小さくなる
  • 受け取りは自分で裁定請求する。iDeCoの老齢給付金を受け取ると、iDeCoには加入できない

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出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令・資料にもとづく制度の説明です。2026年12月1日施行の内容は施行前のため「予定」と書いています。特定の金融商品や運営管理機関をすすめるものではなく、受け取り方の有利・不利を判断するものでもありません。受け取りの手続きと手数料は運営管理機関に、税金の扱いは所轄の税務署に、保険料はお住まいの市区町村にご確認ください。

よくある質問

iDeCoは何歳から受け取れますか?

原則60歳からで、75歳になるまでの間で始める時期を選べます。ただし60歳から受け取るには、60歳までの通算加入者等期間が10年以上いります。短いと、受け取れる年齢が61歳から65歳に繰り下がります。

iDeCoの一時金と年金で、税金はどう違いますか?

一時金は退職所得で、掛金を出した年数に応じた退職所得控除を引いた残りの2分の1に課税されます。年金は公的年金等の雑所得で、公的年金と合わせた収入から公的年金等控除を引きます。年金で受け取ると、国民健康保険料の計算のもとになる所得にも入ります。

iDeCoの5年ルールは、いまも5年ですか?

いいえ。2026年1月1日以後に受け取るiDeCoの一時金からは、退職金を受け取る年の前年以前9年内に受け取っていると、退職所得控除が調整されます。調整を受けないには10年以上あけることになるため、10年ルールとも呼べる形になりました。退職金が先の場合の19年内は変わっていません。

退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取るとどうなりますか?

2つを合わせた額から、1つの退職所得控除を引きます。勤続年数は長いほうの期間に、重ならない期間だけを足して数えます。会社に勤めながらiDeCoに掛金を出していた期間は、勤続期間と重なるので足されません。