妊婦支援給付金は1人なら10万円|認定後に5万円、子の数×5万円と申請の時期

先に結論

  • 妊婦支援給付金は、子ども・子育て支援法にもとづく給付です。2025年4月1日に始まりました。所得制限と国籍の要件はありません
  • 1回目は5万円。 胎児心拍が確認されたあと、住民票のある市区町村で認定を受けると支払われます
  • 2回目は子の数×5万円。 出産予定日の8週間前の日から届出ができます。1人なら合計10万円、双子なら15万円です
  • 面談は、支給の条件ではありません。ただ、給付と相談支援を組み合わせて行うことが法律に書かれています
  • 流産・死産等の場合も対象です
  • 税金はかからず、差し押さえも禁止されています(同法第10条の6・第10条の7)
  • 申請の期限は2年です。出産のあとに2回目を届け出ても間に合います

妊娠が分かると、市区町村の窓口で母子健康手帳を受け取ります。そのときに案内されるお金の一つが、この妊婦支援給付金です。 ネットでは「出産応援給付金」「出産・子育て応援ギフト」という古い名前もまだ多く見かけます。2025年4月から、仕組みと名前が変わっています。

この記事では、子ども・子育て支援法の条文と、こども家庭庁が市区町村向けに出しているQ&Aをもとに、いつ・いくら・どこへ、を順に確かめます。 出産育児一時金・出産手当金・児童手当との違いは短く触れ、詳しい説明はそれぞれの記事に渡します。

妊婦支援給付金は、法律にもとづく給付

正式な制度名は「妊婦のための支援給付」で、お金の名前が「妊婦支援給付金」です。 2024年の子ども・子育て支援法の改正(令和6年法律第47号)で法律に書き込まれ、2025年4月1日に始まりました。

こども家庭庁は、2022年度の補正予算で始まった「出産・子育て応援交付金事業」を、2025年度から法律にもとづく制度にしたと説明しています。 財源には、医療保険料と一緒に集められる子ども・子育て支援金が充てられます。給与明細に増えた項目の話は、子ども・子育て支援金はいくら引かれる?にまとめています。

受け取れる人

  • 妊婦であって、日本国内に住所がある人(同法第10条の8)
  • 国籍の要件はありません
  • 所得の制限はありません。市区町村が、法律にない条件(たとえば住民税を納めきっていること)を付けることもできません

ここでいう「妊娠」は、医療機関で胎児心拍が確認されたことをいいます。 妊娠検査薬で陽性が出た段階や、胎嚢だけが見えている段階では、まだ認定を申請できません。

いつ、いくら受け取れるか

いつから申請・届出できるかいくら支払われる時期
1回目医療機関で胎児心拍が確認されたあと(妊婦給付認定の申請)5万円認定のあと、遅れることなく
2回目出産予定日の8週間前の日から(胎児の数の届出)胎児の数 × 5万円届出のあと

(子ども・子育て支援法第10条の12・第10条の14、こども家庭庁「妊婦のための支援給付のご案内」から作成)

法律では、額を「胎児の数に1を加えた数に5万円を乗じて得た額」と書いています。1人なら10万円、双子なら15万円、三つ子なら20万円です。

出産予定日の8週間前の日は、出産予定日を40週0日とすると、32週0日にあたります。 里帰り出産で住民票を移していない場合も、届出先は住民票のある市区町村です。

みぞれ
みぞれ

妊娠届を出したときに、5万円も一緒に申請したことになるの?

しぐれ
しぐれ

多くの市区町村は、妊娠届と認定の申請を同じ用紙や同じ窓口で受けています。ただ、法律の上では別の手続きです。届出のときに申請書を書いたかどうかを、控えで見ておくと安心です。

振り込みまでの日数は、国が標準を決めていません。こども家庭庁は、市区町村に速やかに支給するよう求めています。 受け取り方は現金(口座振込)が基本です。市区町村によっては、クーポンや地域のポイントを選べます。その場合も、市区町村は現金との選択肢を示したうえで本人に選んでもらうことになっています。

面談は、支給の条件ではない

妊娠届のとき、妊娠8か月ごろ、出産後などに、保健師などとの面談をすすめられます。 これは児童福祉法にもとづく妊婦等包括相談支援事業で、こども家庭庁は「伴走型相談支援」とも呼んでいます。

子ども・子育て支援法第10条の3は、市区町村に、給付金とこの相談支援を「効果的に組み合わせ」るよう求めています。 ただし、面談を受けることは、給付金の条件ではありません。 こども家庭庁のQ&Aも、面談ができないまま申請書が郵送や電子申請で届いた場合に、面談なしで支給して差し支えないと答えています。

面談で聞けること

面談は、給付金の手続きとは別に、妊娠・出産・育児の困りごとを相談できる場です。 産後ケア、一時預かり、家事支援など、その市区町村で使えるサービスの案内も受けられます。面談の対象には、妊婦の配偶者なども含まれています。

流産・死産等の場合も、対象になる

胎児心拍が確認されていれば、流産・死産の場合も給付の対象です。 人工妊娠中絶の場合も、心拍が確認されていれば対象になります。 こども家庭庁は、流産・死産等をされた方向けの案内を作り、医療機関にも配っています。

内容
額認定時の5万円と、妊娠していた子の数×5万円
届け出られる時期医療機関で流産・死産等が確認された日から
母子健康手帳を受け取る前だった場合医師の診断書などで、認定と2回の給付を受けられる
届け出る先住民票のある市区町村
期限確認された日から2年

こども家庭庁のQ&Aでは、胎児心拍が確認される前に妊娠中絶薬を服用した場合は対象外とされています。

手続きは、気持ちが落ち着いてからでかまいません。期限は2年あります。 こども家庭庁の案内には、申請のときに市区町村の窓口で、悲しみやつらさ、誰にも話せない気持ちも相談できると書かれています。話したくない場合は、手続きだけを済ませることもできます。

妊娠85日(4か月)以降の流産・死産は、健康保険の出産育児一時金の対象にもなります。詳しくは出産育児一時金50万円の受け取り方にあります。

申請の期限は2年

子ども・子育て支援法第73条で、給付を受ける権利は2年で時効になります。 こども家庭庁は、2年を数え始める日を次のように示しています。

手続き2年を数え始める日
1回目(妊婦給付認定の申請)医療機関で胎児心拍が確認された日
2回目(胎児の数の届出)出産予定日の8週間前の日。それより前に出産・死産・流産した場合は、その日

2回目は、出産のあとに届け出ても問題ありません。産後の慌ただしさで忘れやすいのは、この2回目です。

「やむを得ない事情」による延長はありません

旧制度の出産・子育て応援給付金には、災害などのやむを得ない事情があれば期限後も申請できる決まりがありました。 妊婦支援給付金には、その決まりがありません。こども家庭庁のQ&Aは、起算日から2年が過ぎれば時効になると答えています(大きな災害で国が猶予を示す場合は別です)。

引っ越したときは、どこで受け取るか

認定をするのは、申請したときの住所地の市区町村です(同法第10条の9第2項)。 住民票を別の市区町村へ移すと、もとの市区町村の認定は取り消されます(同法第10条の10)。

引っ越しのタイミング受け取り方
1回目の申請が受理されたあと、支払いの前に転出1回目は、転出前の市区町村が支払う
1回目を受け取ったあと、2回目の届出の前に転出2回目は、転入先で改めて認定を申請し、胎児の数を届け出る
2回目の届出が受理されたあと、支払いの前に転出2回目は、転出前の市区町村が支払う

転入先では、すでに別の市区町村から受け取った額が差し引かれます(同法第10条の12第3項)。同じ妊娠で二重に受け取ることはありません。

申請書に不備があると「受理」になりません

こども家庭庁のQ&Aでは、申請に不備があって出し直しや修正を求められている間に転出した場合は、受理したものとは認めないとされています。 引っ越しが決まっているなら、転出の前に書類をそろえて出しておくと、どちらの市区町村に出すかで迷わずに済みます。

海外へ転出して住民票を抜いた場合も、認定は取り消されます。帰国後に住民票を置いた市区町村で、2年の期限内に申請すれば受け取れます。

しぐれ
しぐれ

引っ越しの前後は、児童手当にも転出から15日という期限があります。出産と引っ越しが重なる家庭は、手続きが一度に来ます。

児童手当の引っ越しの手続きは、引っ越しで児童手当が二か月分消えたに書いています。

税金はかからない。差し押さえもされない

子ども・子育て支援法には、次の2つの条文があります。

妊婦のための支援給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(第10条の6)

租税その他の公課は、妊婦のための支援給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。

(第10条の7)

所得税・住民税はかからず、確定申告もいりません。 差し押さえもできません。 生活保護を受けている世帯では、収入として認定されないとこども家庭庁のQ&Aに書かれています。

自治体が独自に上乗せした分は、扱いを確かめる

法律で非課税になるのは「妊婦のための支援給付として支給を受けた金品」です。 市区町村や都道府県が独自の予算で上乗せするお金が、これに当たるかどうかは、上乗せの仕組みによります。旧制度の出産・子育て応援給付金では、こども家庭庁のQ&Aで、独自の上乗せ分は非課税の対象外とされていました。 たとえば東京都は、出生後に都が配る赤ちゃんファーストギフトについて、所得税の課税対象となる可能性があると案内しています。課税される場合でも、一時所得にあたるものには年50万円までの特別控除があります(国税庁 No.1490)。上乗せ分の扱いは、配っている市区町村・都道府県に確かめてください。

旧「出産・子育て応援給付金」との違い

2025年3月31日までに出産した人は、旧制度の「出産・子育て応援給付金(出産・子育て応援ギフト)」の対象でした。

出産・子育て応援給付金(〜2025年3月)妊婦支援給付金(2025年4月〜)
根拠国の予算事業(実施要綱)子ども・子育て支援法(第10条の2ほか)
1回目妊娠の届出をして面談を受けたあと 5万円妊婦給付認定のあと 5万円
2回目出生後の面談のあと、出生した子の数×5万円出産予定日の8週間前の日から、胎児の数×5万円
面談支給の条件支給の条件ではない
流産・死産等の2回目出生した子の数で数えるため対象外対象
非課税年度ごとに特別な法律をつくって手当て法律に恒久的に規定(第10条の7)
期限実施要綱で定める法律で2年(第73条)

(こども家庭庁「妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業の施行に向けた自治体説明」の新旧比較表、出産・子育て応援交付金 自治体職員向けQ&A(第5版)から作成)

2回目の届出の時期が、出生後から出生前(出産予定日の8週間前の日から)に変わった点が、いちばん大きな違いです。

境目にあたる人には、経過措置があります。 対象は、2025年4月1日より前に妊娠の届出をして旧制度の5万円(出産応援ギフト)を受け取り、4月1日以降に出産した人です。新しい制度で認定を受け、胎児の数を届け出ると2回目を受け取れます。1回目の5万円は受け取り済みとして扱われます(令和6年法律第47号附則第3条)。

自治体の上乗せの例

国の制度は全国共通です。そのうえで、市区町村や都道府県が独自に上乗せしたり、受け取り方を選べるようにしたりしている例があります。2026年10月17日時点の公式ページから3つ挙げます。

自治体内容
さいたま市給付金をデジタル地域通貨で受け取ると、1回目に5,000円相当、2回目に胎児1人あたり5,000円相当を上乗せ。2回目には、さらに胎児1人あたり1万円相当のポイント。2026年3月から2027年2月までの申請分が対象で、それ以降は検討中と市が書いています
北九州市現金5万円のほかに、福岡県のしくみを使ったポイント(55,000ポイント、1ポイント1円相当)を選べる。市のページでは令和7年度の内容として書かれています
東京都国の給付金とは別に、都が出生後に育児用品などと交換できる赤ちゃんファーストギフトを配っています。2026年1月1日から2027年3月31日までに生まれた子には、赤ちゃんファースト+(3万円分)が加わります。区市町村によっては、国の給付金を都のギフトのサイトで使える形で受け取ることも選べます

上乗せは、年度ごとに内容が変わります。住んでいる市区町村の「妊婦のための支援給付」のページで、その年度の内容を見てください。 現金でなくポイントやギフトを選ぶと上乗せがつく例では、使える店や期限が決まっています。上乗せ分の税金の扱いは、上の節のとおり確かめておくと安心です。

ほかの「出産のお金」との関係

妊婦支援給付金は、ほかの給付と重なって受け取れます。窓口も時期も違うので、並べておきます。

お金どこからいつ詳しい記事
妊婦支援給付金住民票のある市区町村妊娠中(認定後)と出産予定日の8週間前の日以降この記事
出産育児一時金加入している健康保険出産時(原則50万円)出産育児一時金50万円の受け取り方
出産手当金勤め先の健康保険産休中(給与の約3分の2)出産手当金はいくら?
児童手当住所地の市区町村出生後に申請(出生日の翌日から15日以内なら申請した月の分から)児童手当は所得制限なし・高校生年代まで

健康保険の「全ての妊婦への現金給付」とは別のもの

2026年5月に成立した健康保険法等の改正では、出産費用の無償化とあわせて、全ての妊婦に定額の現金給付を行う仕組みが入りました。 これは健康保険の給付で、妊婦支援給付金とは別の制度です。施行日と金額は政令で決まることになっていて、2026年10月17日時点では決まっていません。経緯は出産育児一時金の記事に書いています。

客先で妊娠・出産の話が出たときの確かめどころ

家づくりの打ち合わせ中に妊娠・出産が重なる家庭は少なくありません。資金計画の中でこの給付金を扱うときは、次を押さえておくと話がずれません。

確かめておくこと

  • 額は10万円で固定ではありません。双子なら15万円です。子の数で変わります
  • 2回に分かれ、2回目は出産予定日の8週間前の日からです。手元に入る時期を資金計画に入れるなら、届出の時期とあわせて考えます
  • 引っ越しと重なると、2回目は転入先での手続きになります。新居への住民票の異動の時期と、出産予定日の8週間前の日の前後関係を見ておきます
  • 非課税なので、住宅ローン控除や所得の計算には影響しません
  • 自治体の上乗せは、新居のある市区町村で違います。転居先のページで確かめます

まとめ

  • 妊婦支援給付金は、子ども・子育て支援法にもとづいて2025年4月に始まった給付です
  • 1回目は、胎児心拍の確認後に認定を受けると5万円です
  • 2回目は、出産予定日の8週間前の日から届け出て、子の数×5万円です
  • 申請先は住民票のある市区町村です。面談は支給の条件ではありません
  • 流産・死産等の場合も対象で、期限は2年です
  • 税金はかからず、差し押さえもされません。 自治体の上乗せ分は扱いを確かめます
  • 引っ越したら、2回目は転入先で認定を申請し直して届け出ます
しぐれ
しぐれ

申請しないともらえない給付です。2回目の届出の時期を、母子健康手帳の出産予定日の欄の近くに書いておくと忘れません。

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出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と資料に基づいています。受け取り方(現金・クーポン等)や上乗せの有無は市区町村によって異なります。個別の手続きは、住民票のある市区町村の「妊婦のための支援給付」担当窓口にご確認ください。

よくある質問

妊婦支援給付金はいつもらえますか?

2回に分かれます。1回目の5万円は、医療機関で胎児心拍が確認されたあとに住民票のある市区町村へ認定を申請し、認定を受けたあとに支払われます。2回目は、出産予定日の8週間前の日から届出ができ、届出のあとに子の数×5万円が支払われます。振り込みまでの日数は国の標準がなく、市区町村によって違います。

妊婦支援給付金の申請に期限はありますか?

あります。子ども・子育て支援法第73条で、権利は2年で時効になります。1回目の認定申請は胎児心拍が確認された日から2年、2回目の届出は出産予定日の8週間前の日(それより前に出産・流産・死産した場合はその日)から2年です。出産のあとに届け出ても間に合います。

流産や死産のときも受け取れますか?

受け取れます。胎児心拍が確認されていれば、流産・死産・人工妊娠中絶の場合も対象です。医療機関でその事実が確認された日から届け出ることができます。手続きの案内を受けたくない場合もあるため、無理に急ぐ必要はありません。期限は2年あります。

妊婦支援給付金に税金はかかりますか?

かかりません。子ども・子育て支援法第10条の7で、租税その他の公課を課すことができないと定められています。差し押さえも禁止されています。ただし、市区町村が独自に上乗せした分の扱いは、その上乗せの仕組みによるため、市区町村に確かめてください。

出産・子育て応援給付金と何が違いますか?

旧制度は予算事業で、面談を受けることが支給の条件でした。2回目は出生した子の数で数えていました。2025年4月からの妊婦支援給付金は法律にもとづく給付で、面談は支給の条件ではなく、2回目は胎児の数で数えます。そのため流産・死産等の場合も2回目の対象になります。