子どもは夫婦どちらの扶養に入れる?税金と健康保険で決め方が違う

子どもは夫婦どちらの扶養に入れる?税金と健康保険で決め方が違うのイメージ子育てとお金

先に結論

  • 子の「扶養」は、税金と健康保険で別々に決める。 決まりが違うので、健康保険は夫・税は妻、ということも起こる
  • 健康保険の被扶養者は、原則として年収の多い方。 差が多い方の年収の1割以内なら、届出で選べる(厚生労働省の通知)
  • 税の扶養は、夫婦のどちらか1人の申告書に書く。 分け方は自由で、子ごとに分けてもよい。同じ子を2人とも書くことはできない
  • 16歳未満の子も申告書に書く。 所得税の扶養控除はないが、住民税の非課税の判定で人数に数える
  • 児童手当の受給者、所得金額調整控除は、また別の決まり。この記事では、どちらの親にすべきかは勧めない。確かめる順番を示す
共働き夫婦が子の扶養を決めるときに確かめる5つの手順

子どもが生まれたとき、勤務先から「お子さんはどちらの扶養に入れますか」と聞かれます。 共働きの家庭では、ここで夫婦の答えがそろわず、手続きが止まることがあります。

迷う理由は、「扶養」という言葉が2つの違う制度を指していることにあります。 先にこの2つを分けると、決めることがはっきりします。

「扶養」は2つある

税の扶養健康保険の被扶養者
何が決まるか扶養控除(16歳以上)、住民税の非課税の判定など子がどちらの健康保険に入るか
誰が決めるか夫婦が決めて、申告書に書く健康保険の保険者(協会けんぽ・健康保険組合・共済)が認定する
基準生計を一にしていれば、どちらでもよい原則として年収の多い方
出す書類扶養控除等(異動)申告書被扶養者(異動)届(勤務先を通じて出す)
根拠所得税法施行令第219条、国税庁の質疑応答事例厚生労働省の通知(令和3年4月30日)

税の扶養は夫婦が選べるのに対して、健康保険は保険者が年収で決めるのが原則です。 この違いがあるので、2つが別々の親になることも起こります。

健康保険は、原則として年収の多い方

夫婦とも会社員などで健康保険に入っている場合の決め方は、厚生労働省の通知 「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」(令和3年4月30日、令和3年8月1日から適用)で決まっています。

被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。以下同じ。)が多い方の被扶養者とする。

ここでいう年間収入は、前の年の年収ではなく、これから1年間の見込みです。 育休明けで時短勤務になるなど、収入が変わる予定があれば、その見込みで比べます。

差が1割以内なら、届出で選べる

同じ通知は、夫婦の年収が近い場合の扱いも定めています。 夫婦の年間収入の差額が、年間収入の多い方の1割以内であれば、届出により、主として生計を維持する方の被扶養者にします。

夫の年収の見込み妻の年収の見込み差多い方の1割扱い
600万円560万円40万円60万円1割以内。届出で、主として生計を維持する方を選ぶ
600万円500万円100万円60万円1割を超える。年収の多い夫の被扶養者

(金額は説明のための例です)

夫婦の一方が国民健康保険のとき

自営業などで夫婦の一方が国民健康保険に入っている場合も、年収で比べます。 会社員側は年間収入、国保側は直近の年間所得で見込んだ年間収入を使い、多い方を主として生計を維持する者とします。 会社員側が多ければ、子は会社員側の被扶養者です。国保側が多ければ、子は国保に入ります。

国保には被扶養者の仕組みがありません。子も加入者の1人として数えられ、人数ごとの均等割がかかります(未就学児は均等割が5割減)。 計算は国民健康保険料はいくら?にまとめています。

共済組合の扶養手当、決まらないとき

夫婦の一方か両方が共済組合の組合員で、子について扶養手当などの支給が認定されている場合は、その認定を受けている方の被扶養者としてよいとされています。

保険者どうしで判断が分かれたときの手順も、通知にあります。

  • 認定しない保険者は、理由(年間収入の見込み額など)を書いた通知を出す。その通知を添えて、もう一方の保険者に届け出る
  • 届出を受けた保険者に疑義があれば、5日以内(土日祝日などを除く)に協議する
  • 協議が整わなければ、標準報酬月額の高い方の被扶養者とする(片方が国保のときは、直近の課税証明書の所得金額が多い方)

通知の背景には、年収がほぼ同じ夫婦の子が、保険者どうしの調整の間に無保険の状態になるという問題がありました。 子の加入の手続きが終わらないまま日がたつときは、勤務先の担当者に、どちらの保険者で止まっているかを確かめてください。

育休中は移さない。年収が逆転したら

育児休業中は、被扶養者を移さない

主として生計を維持する人が育児休業等を取ると、その間は収入が下がります。 通知は、休業期間中は特例として被扶養者を異動しないとしています。 ただし、新たに生まれた子は、あらためて認定の手続きをします。 上の子が夫の被扶養者でも、下の子は改めて比べることになります。

年収が逆転して被扶養者を移すときは、年収が多くなった方の保険者が認定したことを確かめてから、元の保険者で削除するとされています。 先に外してしまい、子が無保険になることを防ぐためです。

子自身にアルバイトなどの収入がある場合は、子の年収にも基準があります。 協会けんぽの案内では、年間収入が130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)で、同居なら被保険者の年収の2分の1未満です。

税の扶養は、どちらか1人の申告書に書く

税の扶養は、健康保険と違って夫婦が選べます。国税庁の質疑応答事例はこう答えています。

同じ世帯に所得者が2人以上いる場合には、同一人をそれぞれの所得者の控除対象配偶者や扶養親族として重複して申告しない限り、どの所得者の扶養親族等としても差し支えありません。

同じ事例では、高校生の長男を夫、長女を妻の扶養親族にすることも認めています。 子ごとに分けてもかまいません。 どちらにするかは、それぞれの勤務先に出す扶養控除等申告書に書いたとおりになります。

できないのは、同じ子を夫婦の両方の申告書に書くことです。 郷里の親を兄弟で援助している場合も、扶養控除の対象にできるのは1人だけとされています(No.1180のQ&A)。

16歳以上の子は、扶養控除がある

子の年齢(その年の12月31日時点)所得税の扶養控除
16歳未満なし(申告書の「住民税に関する事項」に書く)
16歳以上19歳未満38万円(一般の控除対象扶養親族)
19歳以上23歳未満63万円(特定扶養親族)
23歳以上38万円

出典:国税庁 タックスアンサーNo.1180

子の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)であることが条件です(令和8年分から)。 19歳以上23歳未満で、これを超えた子の扱いは年収の壁一覧にまとめています。

減る税金は、控除額×その人の税率です。38万円の扶養控除なら、所得税の税率が10%の人は3万8千円、20%の人は7万6千円、所得税が減ります(復興特別所得税と住民税は含めない目安)。 同じ子でも、どちらの申告書に書くかで減る税額が変わるのは、このためです。

16歳未満の子を書く理由は、住民税

16歳未満の子には、所得税の扶養控除がありません。それでも申告書に書く理由は、住民税です。 扶養控除等申告書は、住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」を兼ねた1枚の様式です。 総務省は、16歳未満の扶養親族は「住民税に関する事項」の欄に書くとしています。マイナンバーの記載も要ります。

住民税には、所得が一定額以下なら均等割・所得割がかからない仕組みがあります。 東京都主税局の説明では、この判定で数える扶養親族に16歳未満の者が含まれます。23区の場合、均等割が非課税になる合計所得金額は次のとおりです。

均等割が非課税になる合計所得金額(23区)
同一生計配偶者か扶養親族がいる35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円 以下
いない45万円 以下

出典:東京都主税局「個人住民税」。23区以外は市町村ごとに金額が異なります。

つまり、16歳未満の子をどちらの親の申告書に書くかで、その親の住民税の非課税の判定が変わることがあります。 パート勤務で年収が少ない親がいる家庭では、この点も比べる材料になります。 欄の書き方は扶養控除等申告書の記入例にまとめています。

扶養と連動しないもの

「扶養に入れた方」とは関係なく決まるものもあります。混ぜて考えないようにします。

制度どちらの親か
児童手当父母のうち生計を維持する程度が高い人(一般的には所得が高い人)が受給者
所得金額調整控除年収850万円を超えていれば、夫婦の両方が受けられる
23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例夫婦の両方が受けられる(令和8年分・令和9年分の措置)
勤務先の家族手当勤務先の規程で決まる(健康保険や税の扶養を条件にしているかは会社ごとに違う)

児童手当の受給者は、税の扶養や健康保険をどちらにしたかでは決まりません。詳しくは児童手当の金額と申請にあります。

所得金額調整控除は、扶養控除と違って、同じ子について夫婦の両方が受けられます。 扶養控除を夫の申告書で受けていても、年収850万円を超える妻は、自分の申告書の所得金額調整控除の欄を書けば受けられます。 詳しくは所得金額調整控除とは、生命保険料控除の特例は保険料控除申告書の記入例にあります。

決め方の順番

どちらの親にするのがよいかは、夫婦の年収、税率、住民税、勤務先の手当で変わります。 この記事では勧めません。代わりに、確かめる順番を示します。

子の扶養を決める前に確かめること

チェックは、このブラウザの中だけに残ります(送ったり保存したりはしません)。

税の扶養は、毎年の扶養控除等申告書で決まります。 健康保険の被扶養者も、年収が逆転すれば移ることがあります。一度決めたら終わりではなく、年収が変わる年に見直すものです。

まとめ

  • 子の「扶養」は、税金と健康保険で別々に決める。別々の親になってもよい
  • 健康保険は、原則として今後1年間の年収の見込みが多い方。差が多い方の年収の1割以内なら、届出で選べる
  • 夫婦の一方が国保なら、国保側は直近の年間所得で比べる。国保には被扶養者の仕組みがなく、子にも均等割がかかる
  • 育休中は被扶養者を移さない。新たに生まれた子は改めて認定する
  • 税の扶養は、夫婦のどちらか1人の申告書に書く。子ごとに分けてもよい。同じ子を2人とも書くことはできない
  • 16歳未満の子も「住民税に関する事項」に書く。住民税の非課税の判定で人数に数える
  • 児童手当は生計を維持する程度が高い親。所得金額調整控除は夫婦の両方が受けられる

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出典

本記事は2026年10月25日時点で公表されている内容にもとづく、令和8年分(2026年分)の制度の説明です。健康保険の被扶養者の認定は、加入している健康保険の保険者(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)が行います。個別の判断は勤務先の担当者・保険者に、税の扱いは所轄の税務署に、住民税は住んでいる市区町村にご確認ください。

よくある質問

子の扶養は、税金と健康保険で同じ親にしないといけませんか?

同じでなくてかまいません。健康保険の被扶養者は保険者が年収で認定し、税の扶養は扶養控除等申告書に書いた人のものになります。決まりが別なので、健康保険は夫、税は妻ということも起こります。

健康保険では、夫婦のどちらの被扶養者になりますか?

夫婦とも会社の健康保険や共済に入っている場合、原則として今後1年間の年収の見込みが多い方です。年収の差が多い方の年収の1割以内なら、届出により、主として生計を維持する方の被扶養者にできます(厚生労働省の通知、令和3年8月1日から適用)。

2人の子を、夫と妻に1人ずつ分けて扶養控除を受けられますか?

受けられます。国税庁の質疑応答事例では、長男を夫、長女を妻の扶養親族とし、それぞれの勤務先に扶養控除等申告書を出せば認められるとしています。同じ子を夫婦の両方に書くことはできません。

16歳未満の子は扶養控除がないのに、申告書に書く必要がありますか?

あります。扶養控除等申告書は住民税の扶養親族申告書を兼ねていて、16歳未満の子は「住民税に関する事項」の欄に書きます(総務省)。住民税が非課税になるかの判定では、16歳未満の扶養親族も人数に数えられます。

育休に入ったら、子の健康保険を配偶者側に移す必要がありますか?

厚生労働省の通知では、主として生計を維持する人が育児休業等を取得した場合、休業期間中は特例として被扶養者を異動しないとしています。ただし、新たに生まれた子は、あらためて認定の手続きをします。

児童手当の受給者も、扶養に入れた親と同じになりますか?

別の決まりです。児童手当は、父母のうち生計を維持する程度が高い人(一般的には所得が高い人)に支給されます。税の扶養や健康保険の被扶養者をどちらにしたかとは連動しません。