祖父母のお金でこどもNISA|贈与税と名義の注意

祖父母のお金でこどもNISA|贈与税と名義の注意のイメージ子育てとお金

先に結論

  • こどもNISAの口座に入れられるのは、子ども本人に贈与されたお金だけです。祖父母が孫のNISA口座へ直接入金することはできません
  • 祖父母のお金は、いったん孫名義の銀行口座などに贈与し、そこからこどもNISAで買います
  • 贈与税は、孫が1年にもらった合計から110万円を引いた残りにかかります。祖父母と両親の分は合わせて数えます
  • 18歳未満の孫がもらう場合の税率は一般税率です。相続時精算課税は18歳以上でないと選べません
  • 教育費の都度払いは、祖父母が出しても非課税です。ただしNISAに入れるお金はあたりません
  • 教育資金の一括贈与の非課税(1,500万円まで)は、2026年3月31日で終わりました
祖父母のお金が、孫名義の銀行口座への贈与を経て、こどもNISAの口座で買い付けられるまでの流れの図

2027年1月に始まるこどもNISA(0〜17歳のNISA)について、「祖父母が孫のために積み立てたい」という声があります。 そのときに気をつけるのは、口座に入れるお金が誰のものかと、贈与税の数え方です。

この記事では、日本証券業協会のQ&A(2026年9月)と国税庁の資料をもとに、祖父母がお金を出す場合の流れと税金の扱いを整理します。 贈与をするかどうか、何を買うかをすすめる記事ではありません。特定の金融機関や商品は出しません。こどもNISAの制度の全体は「こどもNISAは2027年1月から」にまとめています。

口座に入れられるのは、子ども本人のお金だけ

証券会社は「本人に贈与済みのお金か」を確かめる

日本証券業協会のQ&Aは、18歳未満のNISA口座のお金について、次のように説明しています(Q81)。

  • 子ども以外の人に名義口座として使われることを防ぐため、口座で運用するお金は子ども本人に帰属するものに限られる
  • 証券会社などは、入るお金が子ども本人に贈与済みで、両親や祖父母などのものではないことを確かめる
  • そのため入金は、①子ども本人の銀行口座からの振込み、②子ども本人名義の別の証券口座からの振込み、③子ども本人か法定代理人(親権者など)による現金の入金、に限られる
  • 口座を開くときに、子ども本人のもの以外のお金で投資しないことを示す書類を求める

協会のQ&Aは、18歳までお金を引き出せない仕組みについても、祖父母や親が「NISAは1人1口座」の制限をくぐり抜けることがないように、という理由を挙げています(Q83)。 申込みのときに「資金の帰属に関する確認書」を求める金融機関もあります(「こどもNISAの事前申込」)。

祖父母のお金は、孫名義の口座を通す

協会のQ&Aは、親が子どものために毎月積み立てる例で、まず親名義の銀行口座から子ども本人名義の銀行口座・証券口座へお金を移し、そこから買い付けると説明しています(Q86)。祖父母が出す場合も、お金の流れは同じ考え方になります。

  1. 祖父母が、孫にお金をあげる(贈与)。孫が小さいうちは、親権者が孫に代わって受け取る
  2. 祖父母の口座から、孫名義の銀行口座(または孫名義の証券口座)へ振り込む
  3. 孫名義の口座から、こどもNISAの口座で積み立てる
みぞれ
みぞれ

おじいちゃんの口座から、孫のNISAの積立代金を直接引き落とすことはできないの?

しぐれ
しぐれ

協会のQ&Aの入金方法には入っていません。孫名義の口座にいったん贈与してから、そこから買う流れになります。

贈与は、あげる側の「あげる」という意思と、もらう側の受諾で成り立ちます(民法第549条)。振込みの記録は、いつ・誰から・いくら移ったかを後から示す材料になります。

祖父母が運用の手続きをする場合

こどもNISAの口座で運用の指示をする「運用管理者」は、誰でもなれるわけではありません。協会のQ&Aでは、子どもの法定代理人(親権者など)か、法定代理人から書面で明確に頼まれた、子どもの二親等以内の親族に限られます(Q80)。 祖父母は二親等にあたるので、親権者からの書面の委任があれば運用管理者になれる余地があります。その場合、関係を示す書類(戸籍謄本など)を求められることがあります。実際に受け付けるかは、金融機関ごとに確かめます。

贈与税は、孫が1年にもらった合計で数える

110万円は「あげる人ごと」ではなく「もらう人ごと」

暦年課税の贈与税は、もらった人が、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計から110万円を引いた残りにかかります。合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も要りません(国税庁No.4402)。

ここで間違えやすいのは、110万円は祖父母1人ごとの枠ではないことです。父方・母方の祖父母や両親など、その年に孫がもらった分をすべて合わせて110万円で考えます。

その年に孫がもらったお金合計贈与税
祖父母1人から60万円(こどもNISAの1年分)60万円かからない
父方の祖父母から各30万円、母方の祖父母から各30万円120万円1万円(120万円−110万円=10万円に10%)

(国税庁No.4402・No.4408から当サイトが計算)

こどもNISAの枠は年60万円です。それだけなら110万円より少ない額ですが、同じ年にもらったほかのお金(子ども名義の預金に入れたお金など)と合わせて数えます。 110万円を超えた年は、孫(実際には親権者が代わって)が翌年2月1日から3月15日までに申告して納めます(国税庁No.4402)。

18歳未満の孫は「一般税率」

贈与税の税率には、一般税率と特例税率があります。特例税率を使えるのは、その年の1月1日に18歳以上の子や孫が、父母や祖父母からもらう場合です。18歳未満の孫は一般税率になります(国税庁No.4408)。 110万円を引いた残りが300万円以下なら、どちらで計算しても同じ額です。それを超えると、一般税率のほうが高くなります。

相続時精算課税は、18歳未満の孫には使えない

贈与税には、暦年課税のほかに「相続時精算課税」という仕組みがあります。これを選べるのは、60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与です(国税庁No.4103)。 こどもNISAを使う0〜17歳の孫への贈与には使えません。仕組みの違いは「相続時精算課税と暦年贈与はどっち?」で書いています。

教育費の非課税とは、別の話

祖父母が学費を直接払うなら、非課税

国税庁のQ&Aは、扶養義務者から生活費や教育費に充てるためにもらった財産のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかからないとしています。扶養義務者には直系血族、つまり祖父母も含まれます(国税庁「扶養義務者(父母や祖父母)から『生活費』又は『教育費』の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」Q1-1)。

教育費には、学費、教材費、文具費、通学の交通費、学級費、修学旅行の参加費などが入り、義務教育に限られません(同Q4-1)。

「都度、直接」に限られる。NISAに入れるお金はあたらない

ただし、この非課税は必要な都度、直接充てるものに限られます。数年分の教育費をまとめてもらい、預金にしたり、株式などの購入に充てたりした部分は、贈与税の対象です(同Q1-3、国税庁No.4405)。

したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

(国税庁 タックスアンサー No.4405)

こどもNISAで投資信託を買うためのお金は、「都度、直接」の教育費にはあたりません。110万円の基礎控除の中で考えることになります。

しぐれ
しぐれ

将来の学費のために積み立てるのか、いまの学費をその都度払うのか。祖父母が出すお金の性格は、この2つで税金の扱いが分かれます。

教育資金の一括贈与の非課税は、2026年3月で終わった

かつては、祖父母などから教育資金をまとめてもらっても1,500万円まで非課税になる仕組みがありました。金融機関で専用の口座を開き、手続きをして使うものです。

この特例は、2026年3月31日までとされていた期限が延長されずに終わりました。 2026年4月1日以後は使えません。それまでに手続きをした分は、引き続き非課税の扱いが続きます(国税庁No.4510、財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。

教育資金の一括贈与の非課税こどもNISAへの贈与
いま新しく使えるか使えない(2026年3月31日で終了)2027年1月から
贈与税1,500万円まで非課税だった110万円の基礎控除の中で考える(特別な非課税はない)
お金の使いみち教育資金に限られていた投資信託を買う。引き出しは原則18歳の年まで止まり、12歳以降は子どものための使いみちなどに限られる

なお、似た名前の「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税」は2027年3月31日までですが、対象は18歳以上50歳未満の人です(国税庁No.4511)。こどもNISAの年齢の孫は対象になりません。

名義預金とみなされないために

名義が孫でも、実際には祖父母のお金のままだと見られると、祖父母が亡くなったときに祖父母の財産として相続税の対象になることがあります。国税庁は、亡くなった人が資金を出し、管理していた家族名義の預金などを、相続税の申告で誤りやすい例に挙げています(国税庁「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」)。

祖父母がお金を出す場合に、確かめておくことは次のとおりです(当サイトの整理で、国税庁が示した基準ではありません)。

祖父母がお金を出すときに確かめること

チェックは、このブラウザの中だけに残ります(送ったり保存したりはしません)。

名義預金の考え方は「こどもNISAと学資保険・子ども名義の預金の違い」で詳しく書いています。

祖父母が亡くなったときの「7年加算」は、孫には原則かからない

亡くなる前の一定期間(2024年以後の贈与は段階的に7年に延びる)の贈与は、相続税の計算に足し戻されます。ただし対象は、相続や遺贈(遺言など)で財産を受け取った人です。相続や遺贈で何も受け取らない孫は、原則として対象になりません(国税庁No.4161)。 孫が遺言で財産を受け取る場合などは、110万円以下の贈与も足し戻しの対象になります。

住宅の営業担当の方へ

家づくりの資金計画の場で、祖父母からの援助の話が出ることがあります。

聞かれたときに押さえておくこと

  • こどもNISAには、孫本人に贈与したお金を、孫名義の口座から入れる。祖父母の口座から直接は入れられない
  • 贈与税の110万円は、もらう孫ごとの1年の合計。住宅資金の援助を受ける親とは別に数える
  • 教育費の都度払いは非課税だが、NISAに入れるお金はあたらない
  • 教育資金の一括贈与の非課税は2026年3月31日で終了
  • 個別の判断は税務署か税理士へ

親から子への住宅資金の援助は「親からの住宅資金は1,000万円まで非課税」で整理しています。

まとめ

  • こどもNISAの口座のお金は、子ども本人のものに限られる。祖父母のお金は、孫名義の口座に贈与してから入れる
  • 贈与税は、孫が1年にもらった合計から110万円を引いた残りにかかる。祖父母と両親の分は合わせて数える
  • 18歳未満の孫は一般税率。相続時精算課税は使えない
  • 教育費の都度払いは非課税。NISAに入れるお金はあたらない
  • 教育資金の一括贈与の非課税は2026年3月31日で終わった
  • 振込みの記録を残し、孫名義の通帳を祖父母が持ったままにしない

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出典

本記事は2026年10月24日時点で公表されている省庁・業界団体の資料にもとづく制度の説明です。こどもNISAに入れるお金の贈与税の扱いについて、新しい制度に向けた国税庁の個別の説明は見当たらず、ここでは一般的な説明の範囲で書いています。特定の金融機関・金融商品をすすめるものではなく、投資信託は元本が保証されません。贈与税の個別の判断は所轄の税務署に、口座の手続きは金融機関にご確認ください。

よくある質問

祖父母が、孫のこどもNISAの口座に直接お金を入れられますか?

入れられません。日本証券業協会のQ&Aによると、18歳未満のNISA口座のお金は子ども本人のものに限られ、入金は子ども本人の銀行口座からの振込みなどに限られます。祖父母のお金は、いったん孫名義の口座に贈与してから、そこからこどもNISAで買います。

祖父母から孫への贈与は、いくらまで贈与税がかかりませんか?

孫が1年(1月〜12月)にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。祖父母2組や両親など、誰からもらったかに関係なく、孫ごとの合計で数えます。

教育費なら、祖父母からもらっても贈与税はかかりませんか?

祖父母も扶養義務者にあたり、必要な都度、学費などに直接充てる分はかかりません。ただし、もらったお金を預金したり投資信託などを買ったりした場合は対象になります。こどもNISAに入れるお金は、この非課税にはあたりません。

教育資金の一括贈与(1,500万円まで非課税)は使えますか?

2026年4月1日以後は使えません。2026年3月31日までとされていた期限が延長されずに終わりました。それまでに手続きをした分は、引き続き非課税の扱いが続きます。