死亡保険金の税金は3通り|契約者・被保険者・受取人の組み合わせで相続税・所得税・贈与税

死亡保険金の税金は3通り|契約者・被保険者・受取人の組み合わせで相続税・所得税・贈与税のイメージ税金と控除

先に結論

  • 死亡保険金の税金は、保険料を負担した人・被保険者・受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のどれか1つに決まります(国税庁No.1750)
  • 夫が自分にかけた保険を妻や子が受け取る形(負担者=被保険者)は相続税。受取人が相続人なら、500万円×法定相続人の数まで非課税です
  • 妻が夫にかけて妻が受け取る形(負担者=受取人)は所得税。一時金なら一時所得で、(保険金−払った保険料−50万円)の2分の1が他の所得に合算されます
  • 3人とも別の人(妻が負担、夫が被保険者、子が受取人)は贈与税。非課税枠はなく、基礎控除110万円を超えた分にかかります
  • 判断は契約者の名義ではなく、実際に保険料を負担した人で行います
  • 団信で消えた住宅ローンは、相続財産にもならず、債務として差し引くこともできません
死亡保険金の税金は、保険料を払った人・被保険者・受取人の組み合わせで相続税・所得税・贈与税に分かれる

生命保険の死亡保険金を受け取ったとき、かかる税金は1種類ではありません。 同じ1,000万円でも、誰が保険料を払っていたかで、相続税の非課税枠に収まって0円になることも、贈与税で170万円を超えることもあります。

この記事では、国税庁のタックスアンサーと相続税法をもとに、組み合わせごとの税金と計算の仕方を並べます。 保険に入っている人が契約の形を確かめるときにも、家族が保険金を受け取ったときにも使えるように書きました。保険への加入や、特定の保険をすすめるものではありません。

組み合わせ別の早見表

国税庁は、死亡保険金の税金を次の表で示しています(No.1750)。Aが亡くなった人(被保険者)です。

被保険者保険料の負担者保険金受取人税金の種類
ABB所得税
AAB相続税
ABC贈与税

(国税庁 タックスアンサー No.1750 の表から)

夫婦と子の家庭に当てはめると、次のようになります。

保険料を払っていた人被保険者(亡くなった人)受取人税金非課税枠
夫夫妻または子相続税500万円×法定相続人の数
夫夫孫・兄弟姉妹など相続人でない人相続税(遺贈とみなす)なし
妻夫妻所得税(一時所得または雑所得)一時所得の特別控除50万円
妻夫子贈与税(妻から子への贈与とみなす)なし(基礎控除110万円)

「契約者」ではなく「保険料を負担した人」で決まります

国税庁の表の見出しは「契約者」ではなく「保険料の負担者」です。多くの契約では、契約者が保険料を払うので同じ人になります。ただ、契約者が妻でも、実際には夫の口座から保険料を払っていた場合は、夫が負担者として扱われる可能性があります。

保険料を2人で分けて負担していた場合は、負担した割合に応じて分けて考えます。相続税法第3条は、亡くなった人が負担した保険料の割合に相当する部分を、相続で取得したものとみなすと定めています。

みぞれ
みぞれ

保険証券には「契約者」しか書いてないけど、どうやって確かめるの?

しぐれ
しぐれ

保険料がどの口座から引き落とされていたかを、通帳や保険会社の払込の記録で確かめるのが近道です。名義と口座が違う家庭は、ここで迷いやすくなります。

相続税がかかる場合:非課税枠は「500万円×法定相続人の数」

亡くなった人が自分を被保険者にして保険料を負担していた保険は、相続税の対象です。受取人が相続で取得したものとみなされます(相続税法第3条、国税庁No.4114)。

この場合、受取人が相続人なら非課税枠があります。国税庁は次の算式で示しています。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

(国税庁 タックスアンサー No.4114)

非課税枠の決まり(国税庁No.4114、相続税法第12条・第15条)

  • 非課税限度額は、相続人全員が受け取った保険金の合計に対して1つ
  • 合計が限度額を超えたら、限度額を各相続人の受取額の割合で分けます
  • 相続を放棄した人や相続権を失った人が受け取った保険金には、非課税は使えない
  • 相続人でない人(子が健在のときの孫、兄弟姉妹が相続人でないときの兄弟姉妹など)が受け取った保険金にも使えない
  • 法定相続人の数は、相続の放棄がなかったものとして数える
  • 養子は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで数える

勤務先から出る死亡退職金にも、別枠で同じ「500万円×法定相続人の数」の非課税があります(国税庁No.4170)。保険金の枠とは合算しません。

法定相続人の数え方(この記事で要る範囲)

配偶者は常に相続人です。配偶者のほかに、子がいれば子、子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が相続人になります(国税庁No.4132)。

家族の形法定相続人人数非課税限度額
妻と子2人妻・子・子3人1,500万円
妻と子1人妻・子2人1,000万円
妻だけ(子なし、親は健在)妻・父・母3人1,500万円
子2人(配偶者はすでに亡くなっている)子・子2人1,000万円

この人数は、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)でも使います。基礎控除の計算と、相続税がかかるかどうかの判定は、相続税の基礎控除の記事で詳しく書いています。

計算例1:妻と子2人で、保険金を妻と長男が受け取った

夫が亡くなり、相続人は妻・長男・次男の3人。夫が保険料を払っていた死亡保険金を、妻が2,000万円、長男が1,000万円受け取った場合です(当方計算)。

項目計算金額
非課税限度額500万円×3人1,500万円
相続人が受け取った保険金の合計2,000万円+1,000万円3,000万円
妻の非課税額1,500万円×2,000万円÷3,000万円1,000万円
妻の課税される保険金2,000万円−1,000万円1,000万円
長男の非課税額1,500万円×1,000万円÷3,000万円500万円
長男の課税される保険金1,000万円−500万円500万円

保険金を受け取っていない次男も、人数には数えます。非課税枠は「受け取った人の数」ではなく「法定相続人の数」で決まります。

計算例2:次男が相続を放棄して、保険金500万円を受け取った

計算例1の家族で、次男が相続を放棄し、受取人として500万円の保険金を受け取った場合です(当方計算)。

項目計算例1との違い
法定相続人の数放棄がなかったものとして3人のまま。限度額は1,500万円
妻・長男の非課税額変わらない(妻1,000万円、長男500万円)
次男の保険金500万円相続人でない人が受け取った扱い(遺贈)になり、全額が課税の対象

放棄しても枠そのものは減りませんが、放棄した人が受け取った保険金は枠を使えません。 残った相続人の受取額にだけ、枠が使われます。

2割加算に当たる人もいます

財産を取得した人が、亡くなった人の配偶者・父母・子以外の人(兄弟姉妹など)の場合は、相続税額に2割が加算されます。子の代わりに相続人になった孫(代襲相続人)は加算されません。一方、子が健在のまま孫を養子にしていた場合は、その孫は加算の対象です(国税庁No.4152)。

非課税枠を引いたあと、相続税がかかるかどうか

課税される保険金は、ほかの遺産と合計して、相続税の基礎控除と比べます。合計が基礎控除以下なら、相続税の申告も納税も要りません(国税庁No.4205)。

計算例1の家族で、自宅の評価額2,500万円、預貯金1,000万円があったとします(当方計算)。

項目金額
自宅2,500万円
預貯金1,000万円
死亡保険金(非課税を引いたあと)1,500万円
合計5,000万円
基礎控除(3,000万円+600万円×3人)4,800万円

合計が基礎控除を200万円超えるので、申告が要ります。申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁No.4205)。

申告が要るかどうかの判定は、小規模宅地等の特例などを使う前の額で行います(国税庁No.4205)。特例を使えば税額が0円になる場合でも、使うためには申告が要ります。税額の出し方は相続税の基礎控除の記事に任せます。

所得税がかかる場合:一時所得の計算

保険料を負担した人と受取人が同じ人なら、相続税ではなく所得税です(国税庁No.1750)。妻が夫を被保険者にして保険料を払い、妻が受け取る形がこれにあたります。

一時金で受け取ると一時所得になります。計算は次のとおりです(国税庁No.1750・No.1490)。

一時所得の計算

  1. 受け取った保険金 − 払い込んだ保険料 − 特別控除50万円 = 一時所得の金額
  2. 一時所得の金額の2分の1を、給与などほかの所得と合計して税額を計算する
  3. 特別控除の50万円は、その年のほかの一時所得と合わせて最高50万円

計算例3:保険金1,000万円、払った保険料300万円

項目計算金額
一時所得の金額1,000万円−300万円−50万円650万円
ほかの所得に合算する額650万円×1/2325万円

(当方計算)

税率は、合算したあとの所得全体で決まります。給与を1か所から受け、年末調整を受けている会社員でも、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が要ります(国税庁No.1900)。この例は、それを大きく超えます。

払った保険料が保険金に近い場合は、税がかからないこともあります。たとえば保険金300万円・払った保険料280万円なら、差は20万円です。特別控除50万円より少ないので、一時所得は生じません(国税庁No.1750)。

贈与税がかかる場合:非課税枠がない

被保険者・保険料の負担者・受取人がすべて違うと、保険料を負担した人から受取人への贈与とみなされます(国税庁No.1750、相続税法第5条)。

贈与税(暦年課税)は、その年に受けた贈与の合計から基礎控除110万円を引いた残りにかかります(国税庁No.4402)。相続税の「500万円×法定相続人の数」のような、保険金だけの非課税枠はありません。

計算例4:妻が保険料を払い、夫が亡くなり、成人の子が1,000万円を受け取った

母(妻)から、18歳以上の子への贈与とみなされます。直系尊属から18歳以上の子への贈与なので、特例税率を使います(国税庁No.4408)。

項目計算金額
基礎控除後の課税価格1,000万円−110万円890万円
贈与税(特例税率:1,000万円以下は30%・控除90万円)890万円×30%−90万円177万円

(当方計算。その年にほかの贈与がない場合)

同じ1,000万円を、夫が自分で保険料を払っていた形で子が受け取っていれば、相続税の非課税枠の対象になります。組み合わせの差が、そのまま税額の差になる典型です。

贈与税の申告と納税は、受け取った年の翌年2月1日から3月15日までです(国税庁No.4402)。

みぞれ
みぞれ

共働きで、夫の保険の保険料を妻の口座から払ってた……。これって贈与税の形になるの?

しぐれ
しぐれ

受取人が子なら、表の上では贈与税の形です。受取人が妻なら所得税の形になります。どちらになるかは実際の負担の状況で決まるので、保険金を受け取ったら、申告の前に税務署か税理士に確かめてください。

年金で受け取る場合

死亡保険金を一時金ではなく、年金の形で受け取る契約もあります。国税庁の説明(No.1750・No.1620・No.1615)を整理すると、次のとおりです。

組み合わせ受け取るときにかかる税毎年の年金の所得税
負担者=被保険者(相続税の形)年金を受け取る権利に相続税雑所得。1年目は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増える
3人とも別(贈与税の形)年金を受け取る権利に贈与税同上
負担者=受取人(所得税の形)―公的年金等以外の雑所得(年金額−対応する保険料)

相続税・贈与税の形で年金を受け取る場合は、権利にすでに相続税や贈与税がかかっているので、毎年の年金の所得税は、非課税の部分と課税の部分に分けて計算します。実際に相続税や贈与税を払わなかった人も、同じ方法で計算します(国税庁No.1620)。

年金の支払いが始まる前に、年金の総額に代えて一時金で受け取った場合は、所得税は非課税です(国税庁No.1620)。

公的な遺族年金とは別の話です

国民年金や厚生年金から出る遺族年金は、原則として所得税も相続税もかかりません(国税庁No.4123)。いくら出るかは遺族年金はいくら出るかで計算できます。ここで書いたのは、民間の生命保険の年金です。

年金の課税部分の割合は、権利の評価額と支払総額の比で決まり、計算が細かくなります。保険会社から届く支払いの明細と、国税庁No.1620の計算例で確かめてください。

団信で消えた住宅ローンは、どう扱うか

住宅ローンの団信(団体信用生命保険)は、契約者と保険金受取人が金融機関などで、借りた人が被保険者です。借りた人が亡くなると、保険金はローンの返済にあてられ、家族の口座には入りません。 仕組みは団信に入ったら、生命保険はいくら減らせるかに書いています。

税の扱いは、国税庁の資料に2つのことが書かれています。

  1. ローンが消えた分に、相続税も所得税もかからない。 国税庁の通達(昭和44年)は、死亡による債務の免除について、相続税の課税上は相続人が承継する債務がないものとし、相続人に所得税の課税関係は生じないとしています
  2. そのかわり、そのローンは債務として差し引けない。 相続税の計算では、亡くなった人の借入金を遺産から差し引けます(国税庁No.4126)。しかし団信で返済が免除されるローンは別です

国税庁は「誤りやすい事例」として、次のように書いています。

団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローンは、相続人が支払う必要のない債務ですので、第13表には記入しません。

(国税庁「誤りやすい事例⑬ 団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローン」。第13表は相続税の申告書の債務の明細)

つまり、相続税の計算では、家はローンのない家として数えます。 上の計算例で、自宅にローンが2,000万円残っていて団信で消えた場合も、2,000万円は差し引けません。差し引けていれば遺産の合計は3,000万円で基礎控除を下回りますが、実際は5,000万円のままで、申告が要ります(当方計算)。

しぐれ
しぐれ

団信があると「家の分は相続税の心配がない」と思われがちです。実際は逆で、借金が消えた家が、まるごと遺産に入ります。生命保険の非課税枠と一緒に、ここも数えておきたいところです。

保険金を受け取ったら確かめること

申告の前に

  • 保険料を実際に負担していたのは誰か(契約者の名義ではなく、引き落とし口座と払込の記録)
  • 受取人は相続人か。相続を放棄した人や、孫・兄弟姉妹など相続人でない人ではないか
  • 相続税の形なら、法定相続人の数と、相続人全員の受取額の合計
  • 一時所得の形なら、払い込んだ保険料の総額(保険会社の支払明細で確かめる)
  • 贈与税の形なら、その年のほかの贈与との合計
  • 住宅ローンが団信で消えたか(消えたローンは債務として差し引けない)
  • 死亡退職金があれば、保険金とは別枠の非課税があること

保険の契約を見直すときの注意

住宅会社や保険の担当の方が、お客様の保険の話を聞くときに確かめてほしいことです。

契約の形を聞くとき

  • 「誰が入っているか」ではなく、保険料を払っている人・被保険者・受取人の3つを分けて聞く
  • 妻が夫に保険をかけて子を受取人にしている形は、贈与税の形になる
  • 受取人を孫や、相続人にならない兄弟姉妹にしている形は、非課税枠が使えない
  • 団信の保障と生命保険の保障の重なりは、税とは別に確かめる
  • 契約の形の変更は、税だけで決めない。保障の目的と、保険料を払う人の家計から考える

この記事は、どの保険に入るべきか、どの形にすべきかを判断するものではありません。相続税がかかりそうな家庭や、契約の形を変えようとしている家庭は、税理士か税務署に相談してください。

まとめ

  • 死亡保険金の税金は、保険料の負担者・被保険者・受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のどれか1つに決まる
  • 負担者=被保険者なら相続税。受取人が相続人なら、相続人全員の受取額の合計に対して500万円×法定相続人の数まで非課税
  • 法定相続人の数は相続放棄がなかったものとして数える。ただし放棄した人や相続人でない人の受取分には非課税は使えない
  • 負担者=受取人なら所得税。一時所得は(保険金−払った保険料−50万円)の2分の1をほかの所得に合算
  • 3人とも別なら贈与税。非課税枠はなく、基礎控除110万円を超えた分にかかる
  • 年金で受け取ると、権利に相続税か贈与税、毎年の年金は1年目非課税・2年目以降に課税部分が増える雑所得
  • 団信で消えたローンは、相続財産にならないが、債務としても差し引けない

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出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている内容(国税庁タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等)に基づいています。計算例は、公表されている算式と速算表から当方で計算した目安です。この記事は相続税・所得税・贈与税の申告の代わりになるものではありません。実際の負担者の判定や税額など、個別の判断は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

よくある質問

死亡保険金には、どの税金がかかりますか?

保険料を負担した人・被保険者(亡くなった人)・受取人の組み合わせで決まります。亡くなった人が自分で保険料を払っていれば相続税、受取人が自分で払っていれば所得税(一時金なら一時所得)、3人とも別の人なら贈与税です(国税庁No.1750)。契約者の名義ではなく、実際に保険料を負担した人で判断します。

死亡保険金の非課税枠500万円は、誰でも使えますか?

使えるのは、相続税がかかる組み合わせで、受取人が相続人の場合だけです。非課税限度額は500万円×法定相続人の数で、相続人全員の受取額の合計に対してかかります。相続を放棄した人や、相続人でない人(孫など)が受け取った保険金には使えません(国税庁No.4114)。

相続放棄をした人がいると、非課税枠は減りますか?

減りません。法定相続人の数は、相続の放棄がなかったものとして数えます。ただし、放棄した本人が受取人として保険金を受け取った場合、その保険金には非課税枠を使えません。

団信で住宅ローンがなくなった分に、相続税はかかりますか?

団信の保険金は金融機関が受け取ってローンの返済にあてるもので、家族の相続財産にはなりません。その代わり、団信で返済が免除される住宅ローンは、相続税の計算で債務として差し引けません(国税庁「誤りやすい事例⑬」)。家は、ローンのない家として相続財産に数えます。

死亡保険金を年金で受け取ると、税金はどうなりますか?

年金を受け取る権利に、組み合わせに応じて相続税か贈与税がかかります。毎年の年金にかかる所得税は、1年目は全額非課税、2年目以降は課税される部分が少しずつ増える方法で計算します(国税庁No.1620)。受取人が自分で保険料を払っていた場合は、雑所得になります。