先に結論
- 「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、年金から引かれる所得税と翌年度の住民税に、配偶者控除・扶養控除・障害者控除などを入れるための書類です。日本年金機構に出します
- 令和9年分から、所得税が引かれない人も出す対象に広がりました。 年金額が住民税の非課税限度額(65歳以上で148万〜155万円)以上で、控除に当たる家族がいるか、本人が障害者・寡婦・ひとり親の人です
- 期限は、年金額が65歳以上で214万円以上(65歳未満は164万円以上)なら2026年10月20日、それより少ない人は11月30日。過ぎても出せば、さかのぼって計算し直されます
- 出さなくても税率は変わりません(5.105%のまま)。家族の控除が入らない分だけ、多く引かれます。控除に当たるものがない人は、出さなくても税額は同じです
- 令和9年分は、扶養親族の所得の線が62万円(年金だけの65歳以上なら年金172万円以下)、配偶者は95万円です
- 出し忘れても、確定申告で取り戻せます
秋になると、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が届きます。 会社員のころの年末調整の書類に似ていますが、出す先も、書く欄も違います。
この記事で扱うのは、令和9年分(2027年1月〜12月に受け取る年金の分)の申告書です。 誰が出すのか、いつまでか、欄ごとに何を書くかを、日本年金機構と国税庁の資料で確かめて並べます。 会社員が勤務先に出す「扶養控除等申告書」の書き方は扶養控除等申告書の記入例にあります。
何のための書類か
老齢年金や退職年金は「雑所得」として所得税の対象で、日本年金機構は年金を払うときに所得税を差し引いています(源泉徴収)。 そのときに配偶者控除や障害者控除などを差し引いてもらうための届けが、この申告書です。
出した内容は、日本年金機構から住んでいる市区町村にも渡り、翌年度の住民税の計算にも使われます(日本年金機構Q&A「扶養親族等申告書は、どうして日本年金機構へ提出するのですか。」)。
法律では所得税法第203条の6に決まりがあり、提出の期限は「その公的年金等の支払者から毎年最初に公的年金等の支払を受ける日の前日まで」と書かれています。 日本年金機構が案内する提出期限は、これより早い秋の日付です(期限は後の節)。
「扶養親族等申告書」と「扶養控除等申告書」は別の書類です
- 年金を受け取る人が日本年金機構に出すのが「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」
- 会社員が勤務先に出すのが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 年金を受けながら働いている人には、両方が届くことがあります
令和9年分は、届く人と出す人が広がった
届く人
日本年金機構が申告書(またはメールのお知らせ)を送るのは、老齢または退職を理由とする年金(老齢福祉年金を除く)を、次の額以上受け取る人です。
| 年齢 | 令和7年分まで | 令和8年分 | 令和9年分 |
|---|---|---|---|
| 65歳未満 | 108万円以上 | 155万円以上 | 98万円以上 |
| 65歳以上 | 158万円以上 | 205万円以上 | 148万円以上 |
(日本年金機構「令和9年分『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の紙の提出方法」の表から作成。年齢は令和9年12月31日時点)
令和9年分は、送る範囲が令和8年分より下に広がっています。 令和8年分で届かなかった人に、令和9年分は届くことがあります。
出す人
広がった理由は、所得税が引かれない人でも、住民税のために出す対象になったためです。日本年金機構はこう書いています。
税制改正により、令和9年分からは、所得税が源泉徴収されない方であっても、個人住民税の非課税限度額以上の年金額がある方は、年金支払者へ申告書を提出することが義務付けられました(控除対象となる配偶者や親族がいる、または受給者本人が障害者、寡婦・ひとり親に該当する場合に限ります)。
日本年金機構Q&A「年金から所得税が源泉徴収されない場合も日本年金機構へ扶養親族等申告書の提出は必要なのでしょうか。」より。
所得税が引かれる年金額と、住民税がかかる年金額は、それぞれ次のとおりです。
| 年齢 | 所得税が源泉徴収される年金額(令和9年分) | 住民税の非課税限度額(単身) |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 164万円以上 | 1級地105万円/2級地101.5万円/3級地98万円 |
| 65歳以上 | 214万円以上 | 1級地155万円/2級地151.5万円/3級地148万円 |
(日本年金機構「老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき」「住民税の非課税限度額基準について」から作成)
住民税の非課税限度額は、生活保護の基準に合わせて市区町村ごとに1級地〜3級地に分かれています。 日本年金機構は市区町村ごとの額を把握できないため、いちばん低い3級地の額以上の人全員に送っています。 届いても、自分の市区町村の限度額に満たなければ出さなくてかまいません。級地の一覧は日本年金機構のページにあります。
令和10年分からは、所得税の線がまた動きます
国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」によると、源泉徴収をしない年金額は、令和9年分が65歳以上214万円・65歳未満164万円、令和10年分以後は209万円・159万円です。令和8・9年分と令和10年分以後で、基礎控除の上乗せの額が違うためです。来年秋の令和10年分の案内で、届く人の線を確かめ直してください。
出す必要がある人・ない人
日本年金機構の「大切なお知らせ」の判定を、順番どおりに並べます。
次の1に当たり、さらに2〜4のどれかに当たる人が出します
- 1.年金額が、所得税が源泉徴収される額以上、または住んでいる市区町村の住民税の非課税限度額以上
- 2.本人が障害者、寡婦、ひとり親のどれかに当たる
- 3.控除に当たる配偶者(所得の見積額95万円以下)か、親族(62万円以下、19〜22歳は85万円以下)を養っている
- 4.養っている配偶者や親族に、退職手当を受ける見込みの人がいる(退職所得を除いた所得が上の額以下の人に限る)
2〜4のどれにも当たらない人は、出さなくても税額は変わりません。 日本年金機構の案内は、出さない人も基礎控除は受けられ、所得税の税率は5.105%だとしています。

父は母と2人暮らしで、母の年金は少しだけ。これは3に当たるの?

お母さまの年金の額が分かれば、所得を計算しなくても見分けられます。年金だけの人の目安は、下の「所得の線」の表に並べています。
提出の期限
令和9年分の期限は、年金額で2つに分かれます。
| 年金額 | 電子申請の受付 | 紙の申告書の送付 | 提出期限 |
|---|---|---|---|
| 65歳以上214万円以上・65歳未満164万円以上 | 2026年9月3日〜10月20日 | 9月7日〜9月30日 | 2026年10月20日 |
| 65歳以上148万円以上214万円未満・65歳未満98万円以上164万円未満 | 2026年10月2日〜10月20日 | 10月5日〜10月30日 | 2026年11月30日 |
(日本年金機構プレスリリース「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」令和8年9月3日から作成)
紙の申告書が届かない人がいます
- 前年以前に電子申請で出した人と、ねんきんネットでペーパーレス化の登録をした人には、紙の申告書は届かず、マイナポータルのお知らせなどで案内されます
- 昭和36年1月2日以降に生まれた人には、紙の申告書は同封されず、電子申請の手引きが届きます。10月20日までに電子申請がなければ、11月に紙の申告書が改めて送られます
期限を過ぎた場合について、日本年金機構はこう書いています。
期限内に提出いただけないと一旦控除がない状態で源泉徴収されますが、提出いただくことで、遡って所得税額を再計算します。
日本年金機構Q&A「日本年金機構へ提出する扶養親族等申告書の提出期限がすぎてしまった場合、どうすればいいですか。」より。期限に遅れても、出さないままにしないことが大切です。
出さないとどうなるか
日本年金機構は、源泉徴収税額の計算をこう示しています。
申告書を提出した場合
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料※1 -各種控除額(基礎控除※2+配偶者控除等各種控除))×合計税率※3 (5.105%)
申告書を提出しなかった場合
源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料※1 -基礎控除※2)×合計税率※3 (5.105%)
日本年金機構Q&A「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」より。※1は年金から天引きされた介護保険料と国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、※2は令和9年分の基礎控除で、65歳以上なら「1カ月分の年金支払額×25%+11万円(最低額18万円)」です。この式は令和9年2月分の年金から使われます。
違いは配偶者控除などの各種控除が入るかどうかだけです。同じページは、税率についてこう書いています。
提出した場合と提出しなかった場合で、所得税率に差はありません。
合計税率5.105%の中身
所得税5%に102.1%をかけた率です。令和9年2月以降に払われる年金からは、所得税の1%の防衛特別所得税と、1.1%の復興特別所得税が一緒に引かれます(日本年金機構「年金にかかる源泉徴収税額」)。
どのくらい変わるか(計算例)
65歳以上で年金が年300万円、年金から天引きされる介護保険料と後期高齢者医療保険料が月1万5,000円、70歳以上の配偶者(年金だけで年80万円)がいる場合で計算します。
配偶者は老人控除対象配偶者に当たり、源泉徴収で差し引く額は月4万円です(所得税法第203条の3)。
| 月あたりの課税される額 | 所得税(月) | 所得税(年) | |
|---|---|---|---|
| 申告書を出した | 25万−1.5万−18万−4万=1.5万円 | 約766円 | 約9,200円 |
| 申告書を出さない | 25万−1.5万−18万=5.5万円 | 約2,808円 | 約3万3,700円 |
(当方計算。月割額25万円×25%+11万円=17万2,500円が最低額18万円に届かないので、基礎控除は18万円。支払ごとの端数処理はしていない目安です)
この例では、出さないと所得税が年2万4,500円ほど多く引かれます。 さらに、配偶者控除が翌年度の住民税にも入らないので、住民税も多くかかります。

多く引かれた分は、もう戻らないの?

あきらめなくて大丈夫です。取り戻し方は、この記事の後半「出し忘れたとき」に書いています。ただ、申告の手間が1回増えます。
所得税が源泉徴収されない年金額(65歳以上で214万円未満など)の人は、出さなくても所得税は変わりません。 令和9年分から出す対象に入ったのは、住民税で控除を受けるためです。
令和9年分の所得の線:扶養は62万円、配偶者は95万円
令和8年度税制改正で基礎控除が上がり、扶養親族などの所得の要件が58万円以下から62万円以下に上がりました(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」)。 令和9年分の申告書は、この新しい線で書きます。
| 家族の区分 | 所得の見積額 | 年金だけの人の年金額 | 給与だけの人の給与収入 |
|---|---|---|---|
| 扶養親族・配偶者控除の配偶者 | 62万円以下 | 65歳以上172万円以下、65歳未満122万円以下 | 136万円以下 |
| 源泉控除対象配偶者(配偶者特別控除まで) | 95万円以下 | 65歳以上205万円以下、65歳未満163万3,334円以下 | 169万円以下 |
| 19〜22歳の親族(特定親族) | 62万円超85万円以下 | ― | ― |
(日本年金機構Q&A「控除対象となる配偶者または親族に所得がある場合(略)所得の見積額はどのように計算するのですか。」と「扶養親族等申告書の記入項目について」から作成)
所得は収入そのものではなく、収入から控除を引いた額です。年金なら「年金額−公的年金等控除」で、65歳以上は年金330万円以下まで控除が110万円、65歳未満は130万円以下まで60万円です。 遺族年金と障害年金は非課税なので、所得の見積額に入れません。
申告書で控除が入らない範囲
- 配偶者の所得が95万円を超えると、申告書に書いても源泉徴収では控除されません。本人の所得が1,000万円以下・配偶者の所得が133万円以下なら、確定申告で配偶者(特別)控除を受けられます
- 19〜22歳の親族で所得が85万円超123万円以下なら、確定申告で特定親族特別控除を受けられます
- 本人の所得の見積額が900万円を超える人は、配偶者が障害者でない限り、源泉徴収で配偶者の控除は入りません
年齢の区分は、令和9年12月31日時点で判断します。生年月日で並べるとこうなります。
| 区分 | 令和9年分の生年月日 |
|---|---|
| 16歳未満の扶養親族(所得税の扶養控除はなし) | 平成24年1月2日以降 |
| 特定扶養親族・特定親族(19〜22歳) | 平成17年1月2日〜平成21年1月1日 |
| 老人扶養親族・老人控除対象配偶者(70歳以上) | 昭和33年1月1日以前 |
(日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」から作成)
記入のしかた:欄ごとに何を書くか
紙の申告書は、A(受給者)・B(配偶者)・C(扶養親族等)・D(摘要)の4つに分かれています。欄には1〜14の番号が振られ、押印は要りません。
| 欄 | 書くこと | 当たらないとき |
|---|---|---|
| A 1 本人障害 | 普通障害・特別障害に丸 | 記入不要 |
| A 2 寡婦等 | 寡婦・ひとり親に丸 | 記入不要 |
| A 3 本人所得 | 所得の見積額が900万円を超えるときだけ丸 | 記入不要 |
| B 4 配偶者 | 氏名・続柄・生年月日・マイナンバー | 空欄 |
| B 5 配偶者の区分 | 年金だけで172万円以下(65歳未満122万円以下)なら上段に丸。それ以外は所得の見積額を万円で(端数は切り上げ) | ― |
| B 6 配偶者障害 | 普通障害・特別障害に丸 | 記入不要 |
| B 7 同居等の区分 | 同居・別居のどちらかに丸 | ― |
| B 8 配偶者老人区分 | 所得62万円以下で70歳以上なら丸 | 記入不要 |
| C 9〜13 扶養親族等 | 氏名・続柄・生年月日・特定/老人・障害・同居等・所得の見積額(62万円以下/62万円超85万円以下/85万円超のどれか) | 空欄 |
| D 14 摘要 | 障害者の手帳の種類・等級・交付年月日、別居の家族の住所、変更後のマイナンバーなど | ― |
(日本年金機構「扶養親族等申告書の記入項目について」と、プレスリリース別添の様式から作成)
マイナンバーの欄に「収録済」と印刷されていれば、書かなくてかまいません。「未収録」か斜線なら書きます。番号を確かめる書類の添付は要りません。
配偶者
申告書で控除が入る配偶者は、法律上の婚姻をしている、生計を一にする配偶者です。 本人の所得が900万円以下なら、配偶者の所得62万円以下で配偶者控除、62万円超95万円以下で配偶者特別控除が入ります。
配偶者が年金だけなら、所得を計算しなくても、年金額で「配偶者の区分」の上段に丸をつけられます。 前年に所得の線以下で申告した配偶者は、上段に丸が印刷されて届きます。前年より配偶者の収入が増えたときは、その丸を消して所得の見積額を書き直します。
扶養親族(配偶者以外の家族)
16歳以上の親族は「源泉控除対象親族」、16歳未満は「扶養親族」として書きます。 16歳未満の子は所得税の扶養控除がありませんが、住民税の申告を兼ねているので書きます。 障害者に当たれば、所得税の障害者控除も入ります。
別居している親や子も、生計を一にしていれば書けます。同居等の区分で「別居」に丸をして、摘要欄に氏名と住所を書きます。
国外に住む家族を控除に入れるときは、親族関係書類の添付が要るため、電子申請では出せません。 30歳以上70歳未満の国外の親族は、留学・障害者・年38万円以上の送金のどれかに当たる必要があります。
障害者
所得税の「普通障害者」「特別障害者」の区分は、障害年金の等級や介護保険の要介護度とは直接関係しません。 日本年金機構の案内では、身体障害者手帳の1級・2級、精神障害者保健福祉手帳の1級が特別障害者の代表例です。常に寝たきりで複雑な介護を要する人も特別障害者に当たります。
障害者に当たるときは、摘要欄に氏名・手帳の種類・等級・交付年月日を書きます。証明書の添付は要りません。 手帳がなくても、65歳以上で市町村長などの認定を受けた人は障害者控除の対象になります。認定の仕組みは年金受給者の確定申告不要制度で触れています。
寡婦・ひとり親
本人の所得が500万円以下で、いま結婚していない(または配偶者の生死が分からない)人が対象です。住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」などとある人は除かれます。
| 本人 | 家族 | 配偶者との関係 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 男性・女性 | 子がいる | 死別・離婚・生死不明・婚姻歴なし | ひとり親 |
| 女性 | 子以外の扶養親族がいる | 死別・離婚・生死不明 | 寡婦 |
| 女性 | 扶養親族がいない | 死別・生死不明 | 寡婦 |
(日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」から作成)
ここでいう「子」は、所得62万円以下で、ほかの人の扶養親族などになっていない子です。 所得が500万円を超えても、退職所得を除くと500万円以下になる人は、住民税だけで対象になるので、下段の「4.寡婦」「5.ひとり親」に丸をします。
夫婦とも年金を受けているとき
夫婦それぞれに申告書が届いても、お互いを相手の控除に入れることはできません(日本年金機構の扶養親族等申告書のQ&A、夫婦で年金を受けている場合の項)。 どちらか一方が相手を配偶者控除などに入れます。
前の年と変わらないとき:「変更なし」で出す
前年分を出した人には、前年の内容が印刷された「継続用」の申告書が届きます。 内容が変わらなければ、「ア.前年から『変更なし』で申告します。」に丸をして、提出年月日と受給者欄の氏名・電話番号を書けば足ります。 ほかの欄は書かなくてかまいません(所得税法第203条の6第2項)。
ただし、変わっていなくても出さなければ控除は入りません。 日本年金機構は、前年から変更がない場合も毎年の提出が必要だとしています。
「変更なし」で出すと控除が外れる場合
- 令和9年に23歳になる特定親族(前年に62万円超85万円以下で申告した19〜22歳の家族)。「変更あり」にして所得を書き直さないと、控除の対象から外れます
- 令和9年に30歳になる国外居住の親族。「変更あり」にして、留学・障害者・送金のどれに当たるかに丸をします
- 前年に「退職所得あり」で申告した家族。今年は退職手当の見込みがないなら、印刷された退職所得の欄を二重線で消します。消さないと、前年と同じ退職手当を受ける見込みとして扱われます
- 家族が亡くなった、結婚した、収入が増えたなど、中身が変わったとき
所得の線が58万円から62万円に上がったことで、令和8年分では線を超えていて書かなかった家族が、令和9年分では控除に入ることがあります。その家族を足すときは「変更あり」にして書き足します。

去年は線を少し超えていたから、母を書かなかったんだよね。

その場合は「変更なし」に丸をすると、お母さまは入らないままです。今年の年金額で、もう一度表と見比べてください。
電子申請(ねんきんネット)で出す
マイナポータルとねんきんネットを連携していれば、スマートフォンやパソコンから出せます。電子申請で出したら、紙の申告書は出さなくてかまいません。
電子申請で用意するもの
- 本人のマイナンバーカード
- 署名用電子証明書のパスワード
- マイナンバーカードに対応したスマートフォン、またはパソコンとICカードリーダライタ
(日本年金機構「個人の方の電子申請(扶養親族等申告書)」)
電子申請では、前年の申告内容があらかじめ入っています。特定・老人の区分は、入力した生年月日から自動で決まります。 次の人は電子申請の対象外なので、紙で出します。
- 旧法の老齢年金(昭和61年3月31日以前に受給権が発生した老齢年金)を受けている人(一部の旧法退職年金を除く)
- 国外に住む配偶者や親族を控除に入れる人
一度電子申請で出すと、翌年からは紙の申告書が届かず、マイナポータルのお知らせで案内が来ます。紙での送付に戻す設定もできます。
出し忘れたとき、出したあとで変わったとき
申告書を出していない場合、日本年金機構は確定申告で控除を受けられるとしています。 多く源泉徴収された所得税は、翌年の確定申告で還付されます(日本年金機構Q&A「所得税の確定申告をする場合は、扶養親族等申告書を日本年金機構へ提出する必要はないですか。」)。
出したあとで中身が変わった場合(結婚した、家族が障害者になった、扶養の要件から外れた家族がいるなど)も、確定申告や市区町村への住民税の申告で精算します。 年の途中で家族が亡くなった場合は、その年の扶養親族として申告できます。
確定申告で取り戻すときの道筋
- 確定申告には、毎年1月に届く「公的年金等の源泉徴収票」を使います。申告書の内容が反映された源泉徴収票は、翌年1月中旬から下旬に届きます
- 年金受給者には確定申告不要制度がありますが、控除を足して税金を取り戻すには申告が要ります。条件と戻る典型は年金受給者の確定申告不要制度にあります
- 還付の申告は5年前の分までさかのぼれます。出し方は還付申告は5年さかのぼれるにあります
- 所得税が引かれていない人は、所得税は戻りません。住民税の控除は、市区町村への住民税の申告で受けます
親の申告書を手伝うときに確かめること
申告書は年金を受け取る本人の名前で出します。家族が書くのを手伝うときは、次を手元にそろえると早く済みます。
書く前にそろえるもの
- 届いた申告書と「大切なお知らせ」「作成と提出の手引き」(継続用か新規用か)
- 配偶者・家族の令和9年の収入の見込み(年金額、パートの給与など)
- 障害者手帳の種類・等級・交付年月日
- 別居の家族の住所
- マイナンバー(「未収録」と印刷されている人の分だけ)
親の年金の受け取り方そのもの(繰下げできるかなど)は、「年金は遅くもらうと増える」と親に聞かれてに物語でまとめています。
まとめ
- 扶養親族等申告書は、年金の源泉徴収と翌年度の住民税に、家族や本人の控除を入れるための書類。日本年金機構に出す
- 令和9年分から、所得税が引かれない人も、年金額が住民税の非課税限度額以上なら出す対象(控除に当たるものがある人だけ)
- 期限は年金額により2026年10月20日か11月30日。過ぎても出せば、さかのぼって計算し直される
- 出さなくても税率は5.105%のまま。控除が入らない分だけ多く引かれる
- 令和9年分の線は、扶養親族62万円(年金だけの65歳以上で172万円以下)、配偶者95万円
- 変更がなければ「ア.変更なし」に丸。23歳になる特定親族などは「変更あり」で書き直す
- 出し忘れや中身の変更は、確定申告や住民税の申告で精算できる
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- 「年金は遅くもらうと増える」と親に聞かれて|繰下げできる人・できない人
出典
- 日本年金機構「令和9年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」
- 日本年金機構「令和9年分『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の紙の提出方法」
- 日本年金機構「扶養親族等申告書の記入項目について」
- 日本年金機構「扶養親族等申告書はスマートフォン等で提出できます」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(扶養親族等申告書)」
- 日本年金機構「住民税の非課税限度額基準について」
- 日本年金機構「老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき」
- 日本年金機構「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」
- 日本年金機構「年金から所得税が源泉徴収されない場合も日本年金機構へ扶養親族等申告書の提出は必要なのでしょうか。」
- 日本年金機構 年金Q&A(扶養親族等申告書の提出)
- 日本年金機構 プレスリリース「令和9年分の扶養親族等申告書の手続きの開始」(令和8年9月3日)
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」
- e-Gov法令検索 所得税法(第203条の3、第203条の6)
本記事は2026年10月17日時点で公表されている内容に基づいています。令和9年分の申告書(2027年に受け取る年金の分)についての記述で、令和10年分以後は源泉徴収の対象額などが変わります。個別の判断は、扶養親族等申告書お問い合わせダイヤル(日本年金機構)、お近くの年金事務所、税務署、お住まいの市区町村にご確認ください。
よくある質問
扶養親族等申告書を出さないと、税率が上がりますか?
上がりません。出した場合も出さない場合も、源泉徴収の合計税率は5.105%です。出さないと、配偶者控除・扶養控除・障害者控除などが源泉徴収と翌年度の住民税に入らないため、その分だけ多く引かれます。控除に当たる家族がいなく、本人も障害者・寡婦・ひとり親でなければ、出さなくても税額は変わりません。
令和9年分の扶養親族等申告書の提出期限はいつですか?
日本年金機構の案内では、年金額が65歳以上で214万円以上(65歳未満は164万円以上)の人は2026年10月20日、65歳以上で148万円以上214万円未満(65歳未満は98万円以上164万円未満)の人は11月30日です。期限を過ぎても、出せばさかのぼって所得税を計算し直すとされています。
前の年と何も変わっていなくても、出す必要がありますか?
控除を受けるには毎年出します。前年に出した人には前年の内容が印刷された申告書が届き、変更がなければ「ア.前年から『変更なし』で申告します。」に丸をして、提出年月日と氏名・電話番号を書けば足ります。ただし、令和9年に23歳になる特定親族や30歳になる国外居住の親族がいる場合などは「変更あり」で書き直します。
年金から所得税が引かれていないのに、申告書が届きました。出すのですか?
令和9年分からは、所得税が引かれない人でも、年金額が住んでいる市区町村の住民税の非課税限度額以上で、控除に当たる配偶者や親族がいる人、本人が障害者・寡婦・ひとり親の人は、出す対象になりました。住民税の控除に使われます。年金額が非課税限度額に満たない人と、控除に当たるものがない人は出さなくてかまいません。
出し忘れたら、もう控除は受けられませんか?
確定申告をすれば、源泉徴収で入らなかった控除を受けて、所得税を取り戻せます。住民税の控除は、確定申告か、市区町村への住民税の申告で受けます。



