ひとり親控除と寡婦控除の違い|条件と控除額【令和8年分】

ひとり親控除と寡婦控除の違い|条件と控除額【令和8年分】のイメージ税金と控除

先に結論

  • ひとり親控除は所得税35万円・住民税30万円、寡婦控除は所得税27万円・住民税26万円(令和8年分の所得税、令和8年度の住民税)
  • ひとり親控除は男女を問わず、結婚したことがない人も対象。条件は「婚姻していない」「生計を一にする子がいる」「本人の合計所得金額500万円以下」「事実婚の相手がいない」の4つ
  • 寡婦控除は夫と離婚・死別した女性で、ひとり親控除に当たらない人の控除。離婚した人は扶養親族がいることが条件で、死別した人は扶養親族がいなくても受けられる
  • 両方は受けられない。 ひとり親控除の条件を満たす人はひとり親控除になる
  • 子の所得の線は、令和8年分から62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)に上がった
  • ひとり親控除は令和9年分から38万円、住民税は令和10年度分から33万円に上がることが決まっている。令和8年分の年末調整は35万円のまま
  • 会社員は、年末調整の扶養控除等申告書のC欄で「寡婦」か「ひとり親」にチェックを付ける

ひとり親控除と寡婦控除は、名前が似ていて、どちらも「配偶者がいない人の控除」に見えます。 実際には、対象になる人の決め方がまったく違います。

ひとり親控除は子がいるかどうかで決まり、性別も婚姻歴も問いません。 寡婦控除は夫と離婚・死別した女性のための控除で、子がいなくても受けられる場合があります。

この記事では、2つの控除の条件と額を、法令と国税庁の資料で確かめて並べます。 令和8年度税制改正で変わったところと、まだ変わっていないところも分けて書きます。

2つの控除の金額

まず額です。所得税は令和8年分、住民税は令和8年度分(令和7年の所得に対する住民税)の額です。

控除所得税住民税対象になる人
ひとり親控除35万円30万円婚姻していない人で、生計を一にする子がいる人(男女を問わない)
寡婦控除27万円26万円夫と離婚・死別した女性で、ひとり親に当たらない人

(所得税法第80条・第81条、地方税法第34条・第314条の2)

どちらも所得控除です。所得から差し引く額なので、税金がそのまま35万円減るわけではありません。 所得税の税率が5%の人なら、ひとり親控除35万円で所得税が1万7,500円、寡婦控除27万円なら1万3,500円軽くなります。 住民税(所得割10%)は、ひとり親控除30万円で3万円、寡婦控除26万円で2万6,000円です(復興特別所得税を除いた目安)。

「寡夫控除」はもうありません

以前は、妻と離婚・死別した男性のための「寡夫控除」(27万円)がありました。 令和2年分からひとり親控除に変わり、いまはありません。 子のいない男性が受けられる同種の控除はありません。

ひとり親控除の条件

ひとり親は、その年の12月31日の時点で、婚姻をしていない人(または配偶者の生死が明らかでない一定の人)のうち、次の3つをすべて満たす人です。

  • ☐ 事実上婚姻関係と同様の事情にある人(事実婚の相手)がいない
  • ☐ 生計を一にする子がいる
  • ☐ 本人の合計所得金額が500万円以下

(所得税法第2条第1項第31号、国税庁タックスアンサーNo.1171)

「婚姻をしていない」には、離婚した人、死別した人、結婚したことがない人がすべて入ります。 性別による違いもありません。

子の条件

ひとり親控除の「子」は、次の条件を満たす子です。

条件中身
生計を一にしている同じ財布で暮らしていること。年齢の制限はない
子の所得その年分の総所得金額等が62万円以下(令和8年分)。給与だけなら年収136万円以下
ほかの人の扶養になっていないほかの人の扶養親族や同一生計配偶者になっていないこと

子の所得の線は、令和7年分までは58万円でした。 令和8年度税制改正で62万円に上がり、令和8年12月1日に施行、令和8年分から適用されます(国税庁タックスアンサーNo.1171の注記)。 給与だけの年収136万円は、所得62万円に、令和8年分の給与所得控除の最低額74万円を足した額です。

子が16歳未満でも対象です。 16歳未満の子は扶養控除の対象になりませんが、ひとり親控除の子には年齢の制限がありません(国税庁タックスアンサーNo.1171のQ&A)。 子が親の事業を手伝う青色事業専従者でも、上の条件を満たしていればひとり親控除の子に当たる、と国税庁は答えています。

みぞれ
みぞれ

離婚した元夫が子を扶養に入れていたら、どうなるの?

しぐれ
しぐれ

子がほかの人の扶養親族になっていると、その子はひとり親控除の「子」から外れます。

養育費を払っている側が子を扶養に入れているかどうかで変わるので、相手がどう申告しているかを確かめておきたいところです。

寡婦控除の条件

寡婦は、その年の12月31日の時点で、ひとり親に当たらない人のうち、次のどちらかに当たる人です。

区分条件
夫と離婚した後、婚姻をしていない人扶養親族がいること、合計所得金額500万円以下、事実婚の相手がいない
夫と死別した後、婚姻をしていない人(夫の生死が明らかでない一定の人を含む)合計所得金額500万円以下、事実婚の相手がいない。扶養親族はいなくてよい

(所得税法第2条第1項第30号、国税庁タックスアンサーNo.1170)

ここでいう「夫」は、民法上の婚姻関係にあった人です。

離婚した人の「扶養親族」は、子でなくてもかまいません。 親を扶養している場合なども当たります。 ただし、生計を一にする子(所得62万円以下でほかの人の扶養でない子)がいれば、その人はひとり親控除のほうになります。

国税庁のQ&Aでは、離婚した女性が妹を青色事業専従者にしている例で、妹は扶養親族に当たらないため寡婦に当たらない、と答えています。 事業を手伝ってもらっている親族は、扶養親族として数えられない点に気をつけてください。

自分はどちらに当たるか

よくある形を並べます。どれも合計所得金額500万円以下で、事実婚の相手がいない場合です。

本人の状況ひとり親控除寡婦控除
離婚・死別・未婚で、生計を一にする子がいる(子の所得62万円以下、ほかの人の扶養でない)。男女とも○ 35万円―
女性・夫と死別。子は独立していて、扶養親族はいない×○ 27万円
女性・夫と離婚。子は独立し、親を扶養している×○ 27万円
女性・夫と離婚。扶養親族がいない××
男性・妻と離婚または死別。生計を一にする子がいない××
合計所得金額が500万円を超える××

両方を同時に受けることはありません。 法律上、寡婦は「ひとり親に該当しないもの」と決められているからです。 両方の条件を満たしそうに見える人は、額の大きいひとり親控除になります。

事実婚の扱いは、住民票の続柄で決まる

ひとり親控除も寡婦控除も、事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいないことが条件です。

法令は、これを住民票の記載で決めています(所得税法施行規則第1条の3・第1条の4)。

  • 本人が世帯主のとき:同じ世帯の人の住民票に、世帯主との続柄が「未届の夫」「未届の妻」などと書かれている人
  • 本人が世帯主でないとき:本人の住民票に、世帯主との続柄が「未届の夫」「未届の妻」などと書かれているときの、その世帯主

住民票にこうした続柄で載っている相手がいると、ひとり親控除も寡婦控除も受けられません。

合計所得金額500万円の意味

「合計所得金額500万円以下」は、年収ではなく所得の線です。 給与だけの人なら、年収から給与所得控除を引いた額が所得になります。

令和8年分の扶養控除等申告書の裏面では、寡婦の説明に「給与所得だけの場合は、給与の収入金額が6,777,778円以下」と書かれています。 ひとり親控除も同じ500万円の線なので、給与だけなら年収およそ678万円以下が目安です。

合計所得金額には、退職金にかかる退職所得の金額も入ります(所得税法第2条第1項第30号イ(2))。 退職金を受け取った年は、ふだんより所得が大きくなる場合があります。

判定は12月31日の時点

ひとり親・寡婦に当たるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します(所得税法第85条)。 住民税は、前年の12月31日の時点で判定します(地方税法第34条第8項)。

ここから、年の途中で事情が変わったときの扱いが決まります。

  • 年の途中で配偶者と死別した年:配偶者控除は、亡くなった時点で条件を満たしていれば受けられます。そのうえで12月31日にひとり親の条件を満たしていれば、ひとり親控除も受けられます(国税庁の質疑応答事例)
  • 年の途中で再婚した年:12月31日に婚姻しているので、その年はどちらの控除も受けられません
  • 年の途中で離婚した年:12月31日に条件を満たしていれば、その年から受けられます
しぐれ
しぐれ

離婚や死別があった年は、年の初めに出した扶養控除等申告書の内容が、年末には変わっています。

勤務先は書類に書かれた内容で年末調整をするので、変わったことを伝えないと控除が付かないまま終わります。

年末調整で受けるには

会社員は、年末調整で受けられます。 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のC欄(障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生)で、「寡婦」か「ひとり親」にチェックを付けます。

令和8年分の申告書の裏面には、障害者・勤労学生の内容を書く欄について、次の注意書きがあります。

(注)寡婦又はひとり親のみに該当する人については、この欄の記載を要しません。

(国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」裏面)

チェックを付けるだけで、内容の欄は書かなくてかまいません。 子をどの欄に書くか(16歳未満は「住民税に関する事項」、16歳以上はB欄)は、扶養控除等申告書の記入例にまとめています。

子の所得が58万円超62万円以下のとき

子の所得の線が62万円に上がったのは令和8年12月1日の施行です。 国税庁のQ&Aは、この改正で新たに扶養控除等の対象になる家族がいる人は、その旨を書いた扶養控除等申告書を勤務先に出す、と案内しています。 そのとき「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書きます(国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q2-1)。

令和8年分の申告書の裏面は、子の所得の線が改正前の58万円のままになっています。 国税庁のQ&Aも、様式の裏面が改正前の内容になっている場合があると注意しています。令和8年分は62万円で判定します。

年末調整を受けない人は、確定申告で受ける

  • 自営業・フリーランスの人、年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、確定申告でひとり親控除・寡婦控除を受けます
  • 公的年金だけの人が、子の所得の線が62万円に上がったことで新たに条件を満たした場合は、原則として確定申告で受けると国税庁のQ&A(Q7-1)は案内しています。年金の人の申告については年金受給者の確定申告不要制度にまとめています
  • 過去の年分で受けそびれていた場合は、還付申告で5年までさかのぼれます。 出し方は還付申告は5年さかのぼれるにあります

住民税での扱い

住民税にも同じ名前の控除があり、条件も所得税とほぼ同じです(地方税法第292条第1項第11号・第12号)。 違うのは額と、判定の時期です。

所得税(令和8年分)住民税(令和8年度分)
ひとり親控除35万円30万円
寡婦控除27万円26万円
判定の時点その年の12月31日前年の12月31日
子の所得の線62万円以下58万円以下(令和9年度分から62万円以下)

ひとり親・寡婦は、住民税が非課税になる線が別にある

ひとり親・寡婦の人は、前年の合計所得金額が135万円以下なら、住民税(均等割・所得割とも)がかかりません(地方税法第295条第1項第2号)。 障害者・未成年者と同じ扱いで、扶養の人数で線が変わる一般の非課税の基準とは別の線です。

135万円を給与の年収に直すといくらか、一般の非課税の基準と比べてどうか、住民税非課税世帯になると何が変わるかは、住民税非課税世帯とはで表にしています。

令和8年度税制改正で決まったこと

令和8年度税制改正では、ひとり親控除に関わる見直しが2つありました。適用の始まる時期がそれぞれ違います。

見直し所得税住民税
ひとり親の子の所得の線を58万円→62万円に令和8年分から(令和8年12月1日施行)令和9年度分から
ひとり親控除の額を引き上げ35万円→38万円(令和9年分から)30万円→33万円(令和10年度分から)
寡婦控除の額変更なし(27万円)変更なし(26万円)
本人の合計所得金額500万円の線変更なし変更なし

(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q3-2、大阪府「令和8年度の主な税制改正の紹介」)

国税庁のQ&Aは、ひとり親控除の38万円への引き上げについて次のように書いています。

この改正は、令和9年分以後の所得税について適用されますので、令和8年分の年末調整には影響はありません。

(国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q3-2)

令和8年分の年末調整は35万円です。 38万円になるのは、令和9年分(令和9年の年末調整や、令和10年に出す確定申告)からです。 寡婦控除の額は、令和8年度の大綱では見直されていません。

基礎控除の引き上げなど、令和8年分の年末調整のほかの変更点は年末調整の書き方2026にまとめています。

住宅や家計の相談で、この控除を聞くとき

住宅会社やFPの相談で家計の話を聞く立場の方が、確かめておきたいことです。

相談の場で確かめること

  • 子がいるひとり親か、子のいない寡婦かで、控除の額も、受けられるかどうかも変わる
  • 子が元配偶者の扶養に入っていないか。入っていると、ひとり親控除の子に当たらない
  • 合計所得金額が500万円を超えると、どちらも受けられない。 昇給や退職金の年に外れることがある
  • 前年の合計所得金額が135万円以下なら住民税がかからない。給付や保育料などの判定に住民税の課税状況が使われることがある
  • 住宅ローン控除の子育て特例は、ひとり親でも19歳未満の扶養親族がいれば対象になる(住宅ローン控除の子育て特例)

どちらの控除も、家族の形を問うものではなく、税の計算の条件として決められているものです。 当てはまるかどうかは、上の条件を一つずつ照らし合わせれば決まります。

まとめ

  • ひとり親控除は所得税35万円・住民税30万円、寡婦控除は所得税27万円・住民税26万円(令和8年分・令和8年度分)
  • ひとり親控除は男女・婚姻歴を問わず、生計を一にする子(所得62万円以下、ほかの人の扶養でない)がいる人
  • 寡婦控除は夫と離婚・死別した女性。離婚した人は扶養親族が要る。死別した人は要らない
  • どちらも本人の合計所得金額500万円以下、住民票に「未届の夫・妻」などの続柄の相手がいないことが条件。両方は受けられない
  • 判定は12月31日の時点。会社員は扶養控除等申告書のC欄にチェックを付ける
  • 令和9年分からひとり親控除は38万円、住民税は令和10年度分から33万円。寡婦控除は変わらない
  • 前年の合計所得金額135万円以下なら住民税はかからない

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よくある質問

ひとり親控除と寡婦控除は、両方受けられますか?

受けられません。法律上、寡婦は「ひとり親に該当しない人」と決められているので、ひとり親控除の条件を満たす人はひとり親控除だけになります。ひとり親控除のほうが額が大きく、所得税で35万円、寡婦控除は27万円です。

男性でも寡婦控除やひとり親控除を受けられますか?

ひとり親控除は男女を問いません。結婚したことがない人も対象です。寡婦控除は夫と離婚・死別した女性の控除で、男性の「寡夫控除」は令和元年分で終わり、令和2年分からはひとり親控除に変わりました。子のいない男性が受けられる同種の控除はありません。

子どもが16歳未満で扶養控除の対象でなくても、ひとり親控除は受けられますか?

受けられます。ひとり親控除の子には年齢の制限がありません。生計を一にしていて、子の総所得金額等が令和8年分で62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)で、ほかの人の扶養親族などになっていなければ対象です。

事実婚の相手がいると、ひとり親控除は受けられませんか?

事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいると受けられません。法令では、住民票の世帯主との続柄に「未届の夫」「未届の妻」などと書かれている人がこれに当たるとされています。