注文住宅の見積書の見方|本体・付帯工事・「別途」・諸費用の読み分け

注文住宅の見積書の見方|本体・付帯工事・「別途」・諸費用の読み分けのイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 見積書の「本体工事」「付帯工事」「別途工事」「諸費用」は、法律で決まった区分ではありません。 名前も、何をどこに入れるかも、建築会社ごとに違います
  • だから見積書は、項目の名前より「合計に入っているもの」と「入っていないもの」に分けて読みます。入っていないもの(別途)を数えないと、総額は分かりません
  • 「一式」は、中身を尋ねれば分解できます。建設業法は、工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳を書いた見積書を、注文者が請求すれば契約が成立するまでに渡すよう建設業者に義務づけています(第20条第4項)
  • 2社を比べるときは、図面・仕様の版、工事の範囲、税込みか税抜きかをそろえてから金額を見ます
  • 坪単価では比べません。 何の金額を、どの面積で割ったかが会社で違うからです。法令で決まっている面積は延べ面積(各階の床面積の合計)だけです

建築会社から見積書を受け取ると、まず合計の金額に目が行きます。 ただ、見積書の合計はその会社が「この見積もりに入れた工事」の合計です。入れていない工事は、別の欄か、別の書類か、まだどこにも書かれていません。

ここでは、見積書を4つの区分に分けて読む方法、「一式」の中身の聞き方、2社の見積もりの比べ方を書きます。根拠は、当サイトで建設業法と国の標準請負契約約款にあたって確かめました。相場の数字は、出どころのある公的な資料がないため書いていません。

  1. 見積書の区分の名前は、会社ごとに決めている
  2. 見積書を読む前に、そろっているか確かめること
  3. 本体工事は、仕様書と並べて読む
  4. 付帯工事と別途工事は、「入っていないもの」を数える
    1. 地盤改良は、「調べていないから入っていない」ことがある
  5. 「一式」は、中身を聞けば分解できる
    1. 建設業法は、内訳を書いた見積書を求めている
    2. 一式で困るのは、契約のあとの変更のとき
    3. 国交省と相談窓口の資料も、一式を避ける方向
  6. 2社の見積もりを比べるときは、条件をそろえてから
    1. 法律は「見積りの前に条件を示す」形をとっている
    2. そろえる項目
    3. 地盤の資料は、施主から渡す
  7. 坪単価で比べない理由
    1. 面積の定義が決まっているのは「延べ面積」だけ
    2. 分子の金額も、何を入れたかで変わる
  8. 諸費用の欄は、建築会社に払うものと外に払うものを分ける
  9. 見積もりから契約、契約のあとへ
    1. 概算の見積もりは、詳細の見積もりで動く
    2. 契約書に、見積書と内訳書が付くか
    3. 契約のあとの変更
  10. 見積書を受け取ったら確かめる表
  11. 客先で見積書を説明するときの注意
  12. まとめ
  13. 関連記事
  14. よくある質問
    1. 注文住宅の見積書の「付帯工事」と「別途工事」は、どう違いますか?
    2. 見積書に「一式」と書かれている項目は、どうすればいいですか?
    3. 坪単価で比べてはいけないのですか?
    4. 見積書が税抜きで書かれているのは問題ないのですか?

見積書の区分の名前は、会社ごとに決めている

見積書の区分の名前に、法律で決まった定義はありません。当サイトで調べたのは、建設業法、国の「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」、国土交通省の建設業法令遵守のガイドラインの3つです。約款(乙)は、個人住宅などの小規模な工事向けの約款です。「本体工事」「付帯工事」「別途工事」という言葉は、どれにも出てきませんでした。

この記事では、見積書を次の4つに分けて読みます。呼び方は当サイトの整理で、会社の見積書では別の名前になっていることがあります。

この記事での区分中身の例合計に入っているか確かめること
本体工事基礎・構造・屋根・外壁・内装・住宅設備入っている仕様書のどの版の、どの仕様で計算したか
付帯工事仮設工事、屋外の給排水、地盤調査、確認申請など会社によって入れ方が違う合計の内か外か。何が「付帯」に入っているか
別途工事地盤改良、外構、照明・カーテン・空調の一部など入っていない何が外にあるか。外にあるものの額をどう見ておくか
諸費用登記、ローンの手数料、保険、税金など会社によって欄があったりなかったりする建築会社に払うものか、外に払うものか

(当サイトの整理。中身の例は「会社によってはここに入る」という例で、決まりではありません)

同じ地盤調査でも、ある会社は付帯工事に入れ、ある会社は別途にします。 項目の名前で比べると、同じ工事を片方だけ数えたり、どちらにも入っていない工事を見落としたりします。

土地代のほかにかかるお金を含めた全体の分け方は、土地代のほかにかかるお金の最初の表にも載せています。

見積書を読む前に、そろっているか確かめること

金額を読む前に、その見積書が何をもとに計算されたかを確かめます。

見積書と一緒に確かめるもの

  • 見積日と有効期限:いつまでの価格か
  • 図面と仕様書の版:何月何日の打合せの図面で計算したか。図面が変わると見積もりも変わります
  • 延べ面積:図面の面積と、見積書に書かれた面積が同じか
  • 税込みか税抜きか:合計の横に書かれているか
  • 概算か、詳細な見積もりか:「概算」とあれば、何が決まっていないから概算なのか

国の標準約款(乙)の契約書は、「添付の図面 枚、仕様書 冊とによって」工事請負契約を結ぶ形になっています。契約するときの図面・仕様書と、見積書の計算のもとになった図面・仕様書が同じかは、契約の前に見ておく場所です。

見積書は税抜きでもよい

消費税の総額表示の義務は、値札・チラシ・カタログなど、不特定多数にあらかじめ価格を示す場合が対象です。国税庁は、見積書・契約書・請求書は総額表示義務の対象にならないとしています(タックスアンサーNo.6902のQ&A)。一方で財務省は、広告やホームページで示す「見積り例」は対象になるとしています。

つまり、受け取った見積書が税抜きで書かれていることはありえます。2社の一方が税込み、もう一方が税抜きのまま並べると、消費税の分だけ比べ方を誤ります。

本体工事は、仕様書と並べて読む

本体工事は、多くの見積書でいちばん大きな金額です。ただ、本体に何が入っているかは、会社の仕様の決め方で変わります。 同じ「キッチン」でも、どの製品のどの仕様を前提にしているかで金額は違います。

確かめるのは、次の3つです。

  • 見積書の項目と、仕様書(使う材料・設備を書いた書類)の項目が対応しているか
  • 打合せで希望を伝えた設備や仕様が、本体に入っているのか、追加(オプション)として別の行にあるのか
  • 窓・照明・コンセントのように数で金額が変わるものは、数量が書かれているか

断熱や耐震の等級を上げた場合の掛かり増しは、公的な調査の数字がありません。等級を上げる・上げないの2通りを見積もりで並べてもらう確かめ方を、省エネ基準とZEH水準で住宅ローン控除はどう違う?に書いています。

付帯工事と別途工事は、「入っていないもの」を数える

ピクニックかごをのぞく白文鳥のみぞれに、桜文鳥のしぐれが、かごの外に置かれたままのポットや敷物を指している

見積書でいちばん見落としやすいのは、書かれていない工事です。合計に入っていない工事は、見積書のどこにも行がないことがあります。

次の項目が、その見積書の合計の内にあるか、外にあるかを1つずつ確かめます。外にあるなら、その額をどう見ておくかを決めます。

項目金額は何で決まるか詳しい記事
地盤調査・地盤改良地盤調査の結果と、建物の重さ・基礎の形。調査の前には改良の要否が決まらない土地代のほかにかかるお金
上下水道の引き込み・加入金前面道路の管、メーターの口径、市区町村の料金表同上
屋外の給排水工事敷地の中の配管の長さ。公共下水道に流す排水設備は土地の所有者が設ける(下水道法第10条)同上
古家の解体建物の大きさ・構造、石綿の有無同上
外構(駐車場・アプローチ・フェンス)範囲と仕様家づくりの予算は、希望から決めると足りなくなる
照明・カーテン・空調数と製品。建築会社の工事に入れるか、施主が別に買うか―
地鎮祭・上棟の費用行うかどうかから施主が決める注文住宅の諸費用はいくら?
仮住まい・引っ越し(建て替えの場合)期間と距離同上

(項目は、当サイトの諸費用の記事と土地代のほかにかかるお金で「見積もりのどこに入っているかを確かめる」とした費用に、照明・カーテン・空調を加えたもの)

市区町村の料金表で決まるものは、建築会社の見積もりより先に自分で調べられます。 たとえば水道の加入金は、口径20mmの戸建てで横浜市82,500円・浜松市92,400円・福岡市77,000円と、市で違います(2026年10月17日に各市のページで確認。くわしくは土地代のほかにかかるお金)。

地盤改良は、「調べていないから入っていない」ことがある

国土交通大臣の指定を受けた住宅の相談窓口「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)は、住宅事業者向けの事例集で、次のような相談を紹介しています。契約後の追加変更で工事金額が上がったあと、地盤調査をしたら地盤補強に100万円の追加が要ると分かり、建築主から苦情を受けた、というものです。

同じ事例集は、地盤調査ができない段階で設計する事業者に、基礎の設計が変わり工事費に影響しうることを事前に説明し、書面に残すことを求めています。変更が生じたときの金額の目安も伝えておくよう書いています。

施主の側から見ると、確かめることは2つです。

  • この見積もりは、地盤調査の結果を見て作ったものか
  • 調査がまだなら、改良が要ったときの扱い(別途か、概算で入っているか、目安はいくらか)が書かれているか
みぞれ
みぞれ

別途のものは、契約したあとで見積もりが出てくるの?

しぐれ
しぐれ

そのままにすると、そうなります。別途の項目は、額の目安と、いつ確定するかを契約の前に聞いておきたいところです。目安を自分の予算表に入れておけば、確定したときに慌てずに済みます。

「一式」は、中身を聞けば分解できる

見積書に「〇〇工事 一式」とだけ書かれた行があると、その中に何が入っているかが分かりません。一式の行は、尋ねれば分解してもらえます。 法律にも根拠があります。

建設業法は、内訳を書いた見積書を求めている

建設業法第20条第1項は、請負契約を結ぶときに見積書を作るよう、建設業者に努力を求めています。書く中身は、工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業に必要な日数です。条文はこれを「材料費等記載見積書」と呼んでいます。材料費・労務費のほかに書く経費として、施行規則は法定福利費(社会保険料の事業主負担)・安全衛生経費・建設業退職金共済の掛金を挙げています(建設業法施行規則第13条の12)。

そして第4項で、注文者から求められたときの扱いを定めています。

建設工事の注文者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、当該建設工事に係る材料費等記載見積書の内容を考慮するよう努めるものとし、建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。

(建設業法第20条第4項)

作るのは努力義務、求められたら渡すのは義務、という形です。施主も、条文の「注文者」にあたります。

「建設業者」は、許可を受けた会社のこと

この条文の「建設業者」は、建設業の許可を受けて建設業を営む者のことです(建設業法第2条第3項)。建築一式工事で請負代金が1,500万円未満の工事や、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事だけを請け負う場合は、許可がなくても営めます(同法第3条第1項ただし書、施行令第1条の2)。建築会社が許可を受けているかは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べられます。

一式で困るのは、契約のあとの変更のとき

一式のままで困るのは、契約の前より契約のあとです。国の標準約款(乙)は、工事を追加・変更して請負代金を変えるときの計算を、こう定めています。

請負代金額を変更するときは、原則として、工事の減少部分については監理者の確認を受けた請負代金内訳書の単価により、増加部分については時価による。

(民間建設工事標準請負契約約款(乙)第22条(A)第2項。(B)を選んだ場合は第3項に同じ文)

減らすときは内訳書の単価で、増やすときはその時の価格で計算する、という形です。同じ約款の第2条では、受注者(建築会社)は契約のあと速やかに請負代金内訳書を出し、そこに材料費・労務費・法定福利費などを明示することになっています。

内訳がなく一式のままだと、仕様を落として減額するときに、何を基準にいくら減るのかが分かりません。 自社の約款を使う会社なら、変更のときの計算をどう定めているかを、約款の「請負代金の変更」の条で確かめます。

国交省と相談窓口の資料も、一式を避ける方向

国土交通省の「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版)」は、契約書に書く工事内容について、次のように書いています。

特に、「①工事内容」については、受注者の責任施工範囲、施工条件等が具体的に記載されている必要があるので、○○工事一式といった曖昧な記載は避けるべきである。

(国土交通省「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版)」令和8年1月)

ただし、このガイドラインは個人が自分で住む家を発注する取引を、対象から外しています(一部の項目を除く)。施主に直接向けた文ではありませんが、工事内容をどう書くべきかという国の考え方として読めます。

住まいるダイヤルも、リフォームの見積書について、数量が「一式」となっている場合は内容を確かめ、できる限り数量と単価を示してもらうよう勧めています(リフォーム見積書セルフチェックのポイント3)。

一式の行で尋ねること

  • この一式には、何の工事が入っていますか(工事の名前を並べてもらう)
  • 数量で決まるものなら、数量と単価はいくつですか
  • この一式に入っていないものは何ですか(別途になっているもの)
  • 契約のあと、ここを減らしたり変えたりするとき、何を基準に計算しますか
  • 材料費・労務費などの内訳を書いた見積書(建設業法第20条の材料費等記載見積書)を、契約の前にもらえますか

2社の見積もりを比べるときは、条件をそろえてから

2社の見積書を並べても、前提の条件が違えば、金額の差は工事の差ではなく条件の差です。

法律は「見積りの前に条件を示す」形をとっている

建設業法第20条第3項は、契約を結ぶまでに注文者がすることを2つ定めています。1つは、契約書に書く事項(請負代金の額を除く)の、できる限り具体的な内容を示すこと。もう1つは、建設業者が見積もるための期間を設けることです。期間は、予定価格が500万円以上5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上です(建設業法施行令第5条の9。やむを得ない事情があれば5日以内に限り短くできる)。

条文の「注文者」は施主を除いていません。ただ、上のガイドラインは個人が自分の家を発注する取引を対象から外していて、個人の家づくりでこの条文をどう運用するかを国交省が解説した資料は、見つけられませんでした。 ここでは、2社に同じ条件で見積もってもらうための考え方として使います。

そろえる項目

そろえる項目なぜそろえるか
図面・仕様書の版打合せの回数が違うと、片方だけ古い図面で計算していることがある
延べ面積面積が違えば金額は違う
工事の範囲(合計に入れる工事)地盤・屋外給排水・外構・照明などを、片方だけ入れていることがある
別途の項目と、その目安額入っていない工事の額を足さないと、総額が比べられない
税込みか税抜きか見積書は税抜きでもよいため
見積日・有効期限価格の前提の日が違う
支払いの条件と工期支払いの時期でつなぎ融資の費用が変わる(支払いの記事)

比べ方は、自分で1枚の表を作るのが確かめやすい形です。左に工事の項目、右に会社ごとの列を置き、どちらかにしかない行は、もう片方の会社にも額を尋ねて埋めます。 埋められない行には「別途・目安〇〇万円」と書き、合計に足します。

他社の安い額に合わせる交渉

建設業法は、注文者が、材料費等記載見積書を出した建設業者に対し、材料費などの額を通常必要な額より著しく下回らせるような変更を求めてはならないと定めています(第20条第6項)。取引上の地位を不当に利用して、通常必要な原価に満たない請負代金で契約することも禁じています(第19条の3第1項)。

比べるのは、条件をそろえたうえでの差です。安い見積もりがあるときは、なぜ安いのか(何が入っていないのか)を先に尋ねます。

地盤の資料は、施主から渡す

建設業法第20条の2第1項は、注文者から建設業者への知らせを定めています。地盤の沈下など地中の状態に起因する事象や、騒音・振動など周辺の環境に配慮が必要な事象で、工期や代金に影響するおそれがあると注文者が認めるときは、契約までに書面で知らせます(施行規則第13条の16・第13条の17)。土地の売主から受け取った地盤調査の資料や、古家の図面があれば、見積もりを頼むときに各社に同じものを渡すと、前提がそろいます。

反対に、建設業者から注文者へ、資材の値上がりなどのおそれを契約前に知らせる仕組みもあります(同条第2項)。こちらは請負契約の前に確かめることに書きました。

坪単価で比べない理由

広告や会話で「坪単価〇〇万円」と言われることがあります。ただ、坪単価は金額÷面積で、分子の金額も分母の面積も、会社ごとに決め方が違います。

面積の定義が決まっているのは「延べ面積」だけ

建築基準法施行令は、面積を次のように定めています(第2条第1項)。

  • 床面積:建物の各階、またはその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積
  • 延べ面積:建物の各階の床面積の合計

一方、「坪単価」「施工面積」という言葉は、建築基準法施行令にも建設業法にもありません。「施工面積」で割った坪単価は、その会社が決めた面積で割った数字です。延べ面積に入らない部分を含めて数える決め方なら、同じ家でも面積が大きくなり、坪単価は低く出ます。

分子の金額も、何を入れたかで変わる

分子に本体工事だけを使うか、付帯工事まで入れるかでも、坪単価は変わります。仮の数字で、同じ延べ面積110㎡の家を比べます。

A社B社
見積書の本体工事2,600万円(仮設・屋外給排水を含む)2,350万円
付帯工事(本体に含む)280万円
合計2,600万円2,630万円
会社が示した坪単価本体÷延べ面積110㎡=約78.1万円本体÷施工面積120㎡=約64.7万円
同じ決め方(合計÷延べ面積)にそろえた坪単価約78.1万円約79.0万円

(仮の数字。当サイトの計算。1坪=約3.31㎡で計算)

B社の坪単価は13万円以上低く見えますが、合計はB社のほうが30万円高くなっています。 外構や別途の工事が両社で同じかどうかも、この表からは分かりません。

みぞれ
みぞれ

じゃあ、坪単価は見なくていいの?

しぐれ
しぐれ

最初に予算の桁をつかむ目安にはなります。ただ、会社を比べる物差しにはなりません。 比べるのは、工事の範囲をそろえた総額です。

諸費用の欄は、建築会社に払うものと外に払うものを分ける

見積書に「諸費用」の欄があっても、そこに何が入っているかは会社ごとに違います。登記・ローンの手数料・保険・税金の概算を載せている見積書もあれば、建築会社に払う費用だけの見積書もあります。

種類払う先額の決まり方
確認申請・設計・各種の申請の費用建築会社・設計者会社の見積もり
印紙税・登録免許税・不動産取得税国・都道府県法令で計算できる。課税標準は建築費ではなく評価額
登記の報酬司法書士・土地家屋調査士事務所ごと
ローンの事務手数料・保証料金融機関・保証会社金融機関の方式
火災保険・地震保険保険会社構造・所在地・補償・期間

建築会社の見積書に載っている税やローンの費用は、多くが概算です。 税は法令で計算でき、ローンの費用は申込先で決まります。額の出し方と、土地あり・土地なし別の一覧は注文住宅の諸費用はいくら?に、計算ツールと一緒に載せています。

見積もりから契約、契約のあとへ

概算の見積もりは、詳細の見積もりで動く

住まいるダイヤルの事業者向けの事例集には、概算の見積もりで話が進み、細かい図面が出てから正式な見積もりを出すと、当初より1,000万円高くなった、という相談が載っています。

概算の見積もりは、まだ決まっていないことを仮に置いた見積もりです。 何を仮に置いているのかを尋ね、詳細の見積もりが出る時期を確かめます。

契約書に、見積書と内訳書が付くか

同じ事例集は事業者に向けて、契約書に約款・設計図書・内訳書などを添付するよう勧めています。建設業法第19条第1項は、契約書に「工事内容」と「請負代金の額」を書くよう定めています。見積書の別途工事が、契約書でも別途のままになっているか、契約金額が見積書の合計と一致するかを見ます。契約書と約款のどこを読むかは、請負契約の前に確かめることにまとめました。

契約のあとの変更

契約のあとで工事を変えるときは、変更の内容を書面にして、お互いに署名か記名押印をして渡すことになっています(建設業法第19条第2項)。契約のあとに追加費用が出る仕組みと、変更の期限は、契約後の追加費用はなぜ出るかに書いています。支払いの時期は注文住宅の支払いはいつ、いくら?を見てください。

見積書を受け取ったら確かめる表

見積書の前提

  • ☐ 見積日・有効期限が書かれている
  • ☐ 計算のもとになった図面・仕様書の日付が分かる
  • ☐ 延べ面積が図面と一致している
  • ☐ 税込みか税抜きかが分かる
  • ☐ 概算か詳細か。概算なら、何が決まっていないのか

中身

  • ☐ 本体工事の項目が、仕様書と対応している
  • ☐ 希望した設備・仕様が、本体に入っているか追加の行にあるかが分かる
  • ☐ 地盤調査・屋外の給排水・引き込み・外構・照明・カーテン・空調が、合計の内か外かが分かる
  • ☐ 別途の項目に、額の目安と確定する時期が書かれている
  • ☐ 一式の行について、中に入っている工事と、入っていないものが分かる
  • ☐ 求めて、材料費・労務費などの内訳を書いた見積書を受け取った(建設業法第20条第4項)

比べる前に

  • ☐ 2社の図面・仕様・延べ面積・工事の範囲・税の扱いをそろえた
  • ☐ どちらかにしかない行は、もう片方の会社にも額を尋ねた
  • ☐ 坪単価ではなく、そろえた総額で比べた

見積書の読み方で迷ったときは、住まいるダイヤル(電話 03-3556-5147、10時〜17時。土日・祝休日・年末年始を除く)に電話で相談できます。新築の契約で気をつけることも相談の例に挙がっています。見積書そのものを見てもらう相談サービスは、リフォームの見積書が対象です。

客先で見積書を説明するときの注意

住宅会社の営業担当の方が、お客様に見積書を説明するときに確かめてほしいことです。

見積書を渡す前に

  • 合計に入っていない工事を、見積書の中か別紙に一覧で書いたか。口頭で「外構は別です」と言うだけにしていないか
  • 別途の項目に、目安の額と確定する時期を添えたか
  • 地盤調査の前の見積もりなら、改良が要ったときの扱いと目安を書面にしたか
  • 一式の行を尋ねられたとき、中身と数量を答えられるか。材料費等記載見積書を求められたら、契約までに渡す義務がある(建設業法第20条第4項)
  • 税込みか税抜きかを、合計の横に書いたか
  • 坪単価を口にするとき、何を何で割った数字かを添えたか

まとめ

  • 本体工事・付帯工事・別途工事・諸費用の区分は法律で決まっていない。名前より「合計の内か外か」で読む
  • 別途の工事は、額の目安と確定する時期を契約の前に聞く。地盤改良は調査の前には決まらない
  • 一式の行は、中身と数量を尋ねれば分解できる。注文者が請求すれば、建設業者は内訳を書いた見積書を契約までに渡す(建設業法第20条第4項)
  • 国の標準約款(乙)では、減額は内訳書の単価、増額は時価で計算する。内訳がないと減額の根拠が分からない
  • 2社を比べるときは、図面・仕様・延べ面積・工事の範囲・税の扱いをそろえてから
  • 坪単価は、分子の金額も分母の面積も会社で違う。法令で定義があるのは延べ面積だけ

関連記事

出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と資料に基づいています。見積書の区分や内容、変更のときの計算は、建築会社ごとの見積書・契約書・約款で決まります。個別の見積書や契約の判断は、契約先の建築会社のほか、住まいるダイヤルや消費生活センター(消費者ホットライン188)などの窓口にご確認ください。

よくある質問

注文住宅の見積書の「付帯工事」と「別途工事」は、どう違いますか?

法律や国の標準約款に決まった定義はなく、名前と中身は建築会社ごとに違います。この記事では、見積書の合計に入っている建物以外の工事を付帯工事、合計に入っていない工事を別途工事と呼んで読み分けています。会社の見積書で、どの項目が合計の内か外かを確かめます。

見積書に「一式」と書かれている項目は、どうすればいいですか?

何がいくつ入っているかを尋ね、数量と単価、または中に入っている工事の名前を書いてもらいます。建設業法は、建設業者に工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳を書いた見積書を作るよう努めることを求め、注文者が請求すれば契約が成立するまでに渡すことを義務づけています(第20条第1項・第4項)。

坪単価で比べてはいけないのですか?

坪単価は、何の金額を、どの面積で割ったかが会社ごとに違います。法令で定義されているのは延べ面積(各階の床面積の合計)で、「坪単価」「施工面積」の定義はありません。比べるときは、工事の範囲をそろえた総額で比べます。

見積書が税抜きで書かれているのは問題ないのですか?

消費税の総額表示の義務は、値札や広告など不特定多数にあらかじめ示す価格が対象で、見積書・契約書・請求書は対象外です(国税庁)。税抜きの見積書と税込みの見積書を並べると総額を取り違えるので、比べる前にそろえます。