先に結論
- 家を建てて(買って)住宅ローンを組むと、登記は4つです。建物表題登記・所有権保存登記(建売では移転登記の場合あり)・土地の所有権移転登記・抵当権設定登記
- 建物表題登記は1か月以内に申請する義務があり、登録免許税はかかりません。かかるのは土地家屋調査士への報酬です
- 登録免許税は「課税標準×税率」。住宅用家屋なら、保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%に下がります。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の保存登記は0.1%です
- 土地の移転登記は0.3%ではなく1.5%(本則2%。2029年3月31日まで)。住宅の軽減とは別の制度です
- 建物の課税標準は建築費ではなく、法務局の基準表の単価×床面積です。例(木造110㎡・単価10万円)では保存登記の税は16,500円です
- 軽減には市区町村の住宅用家屋証明書を登記の申請書に付けることが要ります。登記のあとで出しても軽減されません
- 住宅用家屋の軽減は2027年3月31日まで。国土交通省は2年延長を要望中で、2026年12月の税制改正大綱で決まります
家づくりの諸費用の一覧に、たいてい入っているのが「登記費用」です。 ただ、見積書の1行の中には、3つのお金が混ざっています。国に納める登録免許税、司法書士・土地家屋調査士への報酬、証明書などの実費です。
この記事では、新築で家を建てる(買う)ときの登記を4つに分け、誰が・いつ・いくらで行うのかを順に書きます。税率・期限・課税標準は、当サイトで租税特別措置法・登録免許税法・不動産登記法と法務局の資料にあたって確かめました。報酬は事務所ごとに決まるので、相場ではなく見積もりで何を確かめるかを書きます。
諸費用全体(印紙税・不動産取得税・ローンの手数料など)の一覧は注文住宅の諸費用はいくら?に、建売住宅で違うところは建売住宅の諸費用はいくら?にあります。
新築でローンを組むと、登記は4つ
注文住宅で土地から買う場合を例にすると、登記は次の順に行います。
| 登記 | 何を記録するか | いつ | 頼む先 | 登録免許税 |
|---|---|---|---|---|
| 土地の所有権移転登記 | 土地の持ち主が売主から自分に変わったこと | 土地の決済のとき | 司法書士 | 評価額×1.5%(本則2%) |
| 建物表題登記 | 建物の所在・種類・構造・床面積(どんな建物か) | 完成後、取得から1か月以内 | 土地家屋調査士 | かからない |
| 建物の所有権保存登記 | 建物の最初の持ち主が自分であること | 引き渡し・ローンの実行のとき | 司法書士 | 課税標準×0.15%(本則0.4%) |
| 抵当権設定登記 | 金融機関が土地と建物を担保に取ったこと | ローンの実行のとき | 司法書士 | 借入額×0.1%(本則0.4%) |
(不動産登記法第2条・第47条・第74条、登録免許税法 別表第一、国税庁 タックスアンサー No.7191。令和8年4月1日現在法令等。軽減税率には要件と期限がある)
土地をすでに持っている人は、1行目の土地の移転登記がありません。建売住宅を買う人は、建物の登記が保存登記になるか移転登記になるかが、売主の手続きで決まります(後の節)。
登記の申請を代わりに行う仕事は、資格で分かれています。建物の形や広さを記録する表示に関する登記は、土地家屋調査士の業務です(土地家屋調査士法第3条)。持ち主や抵当権を記録する権利に関する登記は、司法書士の業務です(司法書士法第3条)。
建物表題登記:1か月以内、登録免許税はかからない
建物表題登記は、新しい建物を登記簿に初めて載せる登記です。建物の所在、家屋番号、種類(居宅など)、構造、床面積が記録されます(不動産登記法第44条)。不動産登記法は、申請の期限をこう定めています。
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
(不動産登記法第47条第1項)
正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の定めがあります(同法第164条)。注文住宅では、建物の所有権を取得した施主が申請する立場です。申請の代理は土地家屋調査士に頼めます。
表題登記に登録免許税はかかりません。 登録免許税法の別表第一(税がかかる登記の一覧)に、建物の表題登記は載っていないためです。同表で表示に関する登記に税がかかるのは、所有権の登記のある土地の分筆・合筆や建物の分割・合併などに限られています。表題登記でかかるお金は、土地家屋調査士の報酬と、図面の作成や証明書の実費です。
表題登記が先、保存登記はそのあと
所有権の保存登記を申請できるのは、原則として表題登記に所有者として記録された人(表題部所有者)などに限られます(不動産登記法第74条第1項)。表題登記が終わらないと保存登記ができず、保存登記ができないと抵当権も設定できません。ローンの実行日から逆算して、表題登記の日程を建築会社と決めておきます。
建物の所有権保存登記と、建売の移転登記
表題登記の次に、建物の持ち主を権利部に記録します。
注文住宅は、施主が表題部所有者になるので、施主が所有権保存登記をします。住宅用家屋の要件を満たせば税率は0.15%です(租税特別措置法第72条の2)。
建売住宅は、建物を建てたのが売主なので、2つの流れに分かれます。
| 表題登記の名義 | 買主が受ける登記 | 住宅用家屋の税率 | 認定長期優良住宅 | 認定低炭素住宅 |
|---|---|---|---|---|
| 買主 | 所有権の保存登記 | 0.15% | 0.1% | 0.1% |
| 売主(売主が保存登記まで済ませている) | 売主からの所有権の移転登記(売買) | 0.3% | 0.2%(一戸建て) | 0.1% |
(租税特別措置法第72条の2・第73条・第74条・第74条の2、国税庁 No.7191。いずれも2027年3月31日までの新築・取得)
保存登記の0.15%は、「建築後使用されたことのない住宅用家屋」を取得した場合も対象です(同法第72条の2)。どちらの流れになるかと、表題登記の費用を誰が負担するかは、建売住宅の諸費用の記事で詳しく書いています。
土地の所有権移転登記:1.5%は住宅の軽減ではない
土地を買ったときの所有権移転登記は、固定資産課税台帳の価格(固定資産税評価額)×税率です。
本則は2%で、2029年3月31日までは1.5%に下がっています(租税特別措置法第72条)。この軽減は、個人か法人か、住宅を建てるかどうかを問わず、土地の売買による移転登記すべてが対象です。住宅用家屋証明書も要りません。
「移転0.3%」は建物の税率
住宅用家屋の軽減税率の表に「移転登記0.3%」とあるのは、建物(住宅用家屋)の売買による移転登記です(租税特別措置法第73条)。土地の移転登記に0.3%を当てはめて見積もると、たとえば評価額1,120万円の土地なら、本来の168,000円に対して33,600円と、約13万円少なく出ます。
土地の評価額は、売主から受け取る固定資産税の課税明細書の「価格」または「評価額」の欄で分かります。法務局は、これが「固定資産税課税標準額」の欄ではないことを注意しています(法務局「登録免許税の計算」)。
抵当権設定登記:借入額に0.1%
住宅ローンを借りると、金融機関が土地と建物に抵当権(返済できなくなったときに、家を売って返済に充てられる権利)を設定します。課税標準は債権金額(借入額)です(登録免許税法 別表第一 第一号(五))。
| 税率 | 借入3,000万円 | 借入4,000万円 | |
|---|---|---|---|
| 本則 | 0.4% | 12万円 | 16万円 |
| 住宅用家屋の軽減(租税特別措置法第75条) | 0.1% | 3万円 | 4万円 |
土地と建物に同じローンの抵当権を同時に申請するときは、1つの登記とみなされます(登録免許税法第13条第1項)。
土地だけに先に抵当権を付けるとき
土地の代金を先に借りる組み方では、建物ができる前に土地だけに抵当権を設定することがあります。措置法第75条の軽減は「住宅用家屋を目的とする抵当権」の設定登記についての定めです。また、同じ債権のために、あとから別の不動産を追加して設定する登記は、証明書を付ければ1件1,500円です(登録免許税法第13条第2項)。どの登記がどの税率になるかは、融資の組み方で変わります。土地の決済の前に、司法書士の見積もりで登記ごとの税額を確かめてください。
住宅ローンの手数料・保証料との比べ方は住宅ローンの諸費用の比べ方にあります。
税率の一覧:本則・軽減・期限
ここまでの税率を1つにまとめます。
| 登記 | 課税標準 | 本則 | 住宅用家屋の軽減 | 認定長期優良住宅 | 認定低炭素住宅 | 期限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 建物表題登記 | ― | かからない | ― | ― | ― | ― |
| 建物の所有権保存 | 不動産の価額 | 0.4% | 0.15% | 0.1% | 0.1% | 2027年3月31日 |
| 建物の売買による所有権移転 | 不動産の価額 | 2% | 0.3% | 0.2%(一戸建て)/0.1%(それ以外) | 0.1% | 2027年3月31日 |
| 土地の売買による所有権移転 | 不動産の価額 | 2% | ―(1.5%は土地の売買すべてが対象) | ― | ― | 2029年3月31日 |
| 抵当権設定(住宅ローン) | 債権金額 | 0.4% | 0.1% | 0.1% | 0.1% | 2027年3月31日 |
(登録免許税法 別表第一、租税特別措置法第72条〜第75条、国税庁 No.7191。令和8年4月1日現在法令等)
住宅用家屋の軽減を受ける主な要件は、次のとおりです。
住宅用家屋の軽減の要件(新築・建築後使用されたことのない家屋)
- 個人が新築または取得し、自分の住まいにすること
- 床面積が50㎡以上であること(租税特別措置法施行令第41条)。中央区の案内では、登記簿上の床面積で見ます。店舗などとの併用住宅は、床面積の90%を超える部分が住宅であることが求められます
- 新築または取得から1年以内に登記を受けること
- 移転登記は、売買または競落による取得であること(同施行令第42条第3項)
- 登記の申請書に、市区町村長などの住宅用家屋証明書を付けること(同施行規則第25条〜第27条)
- 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の税率は、証明書にそのことが記載されている必要がある(同施行規則第26条・第26条の2)
課税標準:建物は法務局の基準表、土地は評価額、抵当権は借入額
登録免許税を見積もるときに、いちばん間違えやすいのが課税標準(税率をかける元の額)です。
| 登記 | 課税標準 | 確かめる書類 |
|---|---|---|
| 新築の建物の保存・移転 | 登記官が認定した価額(法務局の基準表の単価×床面積) | 建物の床面積(表題登記の内容)と、管轄の法務局の基準表 |
| 土地の移転 | 固定資産課税台帳の価格(評価額) | 固定資産税の課税明細書、市区町村の評価証明書 |
| 抵当権の設定 | 債権金額(借入額) | 金銭消費貸借契約書(ローンの契約書) |
(国税庁 No.7191の注、法務局「登録免許税の計算」)
新築の建物は「認定価額」
完成したばかりの建物には、まだ固定資産課税台帳の価格がありません。このため国税庁は、価格がない場合は「登記官が認定した価額」になるとしています。大阪法務局は、評価額のない建物について、令和6年4月1日から新築建物等課税標準価格認定基準表で算出した価格が課税標準になると案内しています。
基準表は、構造と種類ごとの1㎡あたりの単価です。木造の居宅は、令和6年度の表で次のとおりでした。
| 法務局 | 木造・居宅の単価(1㎡) | 延床110㎡の課税標準 | 保存登記の税(0.15%) |
|---|---|---|---|
| 岐阜地方法務局 | 97,000円 | 1,067万円 | 16,000円 |
| 千葉地方法務局 | 100,000円 | 1,100万円 | 16,500円 |
| 大阪法務局 | 103,000円 | 1,133万円 | 16,900円 |
| 札幌法務局 | 111,000円 | 1,221万円 | 18,300円 |
(各法務局の新築建物課税標準価格認定基準表〈基準年度:令和6年度〉から当方計算)
建築費が3,000万円でも4,000万円でも、木造の居宅なら単価×床面積で決まります。 建築費に0.15%をかけると、多めに出ます。大阪法務局の表には、新築から1年未満の建物はこの表の価格で決め、1年以上たった建物は経年減価補正率をかけると書かれています。
見積もりの段階では、管轄の法務局の表の単価と、図面の床面積で目安を出せます。正確な額は、表題登記で記録された床面積をもとに、保存登記を頼む司法書士の見積もりで確かめます。
端数の扱い
課税標準は1,000円未満を切り捨て(国税通則法第118条第1項)、税額は100円未満を切り捨てます(同法第119条第1項)。税額が1,000円に満たないときは1,000円です(登録免許税法第19条)。
たとえば床面積108.47㎡・単価10万円なら、課税標準は10,847,000円、0.15%で16,270.5円、100円未満を切り捨てて16,200円です。
住宅用家屋証明書:登記より先に、市区町村で取る
軽減税率を使うための証明書です。建物の所在地の市区町村(特別区は区長)が発行します(租税特別措置法施行令第41条)。
国税庁 No.7191は、軽減税率の備考にこう書いています。
登記申請に当たって、その家屋の所在する市町村等の証明書を添付する必要があります。なお、登記した後で証明書を提出しても軽減税率の適用を受けられませんので注意してください。
(国税庁 タックスアンサー No.7191)
取る順番
注文住宅では、表題登記が終わってから証明書を取り、そのあとで保存登記と抵当権設定登記を申請する順になります。中央区や仙台市は、新築の証明書の申請に、表題登記の登記完了証などを示すよう求めているためです。
新築の住宅用家屋証明書で求められる主な書類(中央区・仙台市の案内)
- 申請書(証明書の様式に記入して出す自治体がある)
- 建築確認済証と検査済証
- 表題登記の登記完了証、または登記事項証明書など
- 住民票の写し
- まだ住んでいない場合は申立書など(後述)
- 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は、認定通知書
手数料は、中央区・横浜市・仙台市が1通1,300円、札幌市が1通1,500円でした。窓口の部署(建築の担当か税の担当か)、郵送の可否、支払い方法も市区町村で違います。
まだ住民票を移していないとき
軽減は自分の住まいにすることが要件なので、証明書の申請では住民票の写しを出します。引き渡し当日に登記を申請する場合など、新居に住民票を移す前に申請するときは、申立書(入居予定日などを書く)と、今の住まいをどうするかが分かる書類を求める自治体があります。中央区は、申立書の入居予定日を証明の申請日から2週間以内の日付にするよう求めています。仙台市は、入居が登記の後になる理由とその裏付けの書類を求めています。
証明書の取得は、保存登記といっしょに司法書士に頼むこともできます(日本司法書士会連合会の報酬アンケートには、証明書の取得と保存登記の代理をまとめて受ける設例があります)。頼むかどうかにかかわらず、新居に移る日と、登記・ローン実行の日の前後関係を、早めに司法書士に伝えておきます。
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅で住宅ローン控除の特例を受けるときは、確定申告で住宅用家屋証明書またはその写しなどが必要になると、中央区は案内しています。登記が済んでいれば、権利証と一緒に保管されていることがあるとも書いています。

登記が終わったら、証明書はもう要らないの?

住宅ローン控除の確定申告で使うことがあるので、登記の書類は1年目の申告が終わるまで、まとめて取っておきたいところです。
確定申告で出す書類は住宅ローン控除1年目の確定申告にまとめています。
計算例:注文住宅で土地も買う場合
例として、次の条件で登録免許税を当サイトで計算しました。
- 木造2階建ての居宅、登記簿上の床面積110㎡。法務局の単価は1㎡100,000円(千葉地方法務局の令和6年度の表)とする
- 土地の固定資産税評価額は1,120万円とする
- 住宅ローンの借入額は4,000万円、土地と建物に同時に抵当権を設定する
- 2027年3月31日までに新築し、1年以内に登記する。住宅用家屋の要件を満たす
| 登記 | 課税標準 | 一般の住宅 | 認定長期優良住宅 | 軽減がないとき(本則) |
|---|---|---|---|---|
| 建物表題登記 | ― | 0円 | 0円 | 0円 |
| 建物の所有権保存 | 1,100万円 | 16,500円(0.15%) | 11,000円(0.1%) | 44,000円(0.4%) |
| 土地の所有権移転 | 1,120万円 | 168,000円(1.5%) | 168,000円(1.5%) | 224,000円(2%) |
| 抵当権設定 | 4,000万円 | 40,000円(0.1%) | 40,000円(0.1%) | 160,000円(0.4%) |
| 合計 | 224,500円 | 219,000円 | 428,000円 |
(例。当方計算。司法書士・土地家屋調査士の報酬と証明書などの実費は入っていない)
登録免許税のうち、いちばん大きいのは土地の移転登記です。 建物の保存登記は、長期優良住宅かどうかで5,500円しか変わりません。
同じ建物を建売住宅で移転登記として受けると、建物の税は0.3%で33,000円、認定長期優良住宅(一戸建て)なら0.2%で22,000円、認定低炭素住宅なら0.1%で11,000円です。
住宅用家屋の軽減が延長されなかった場合
2027年4月1日以降の新築・取得で延長がなければ、この例の建物は0.4%で44,000円、抵当権は0.4%で160,000円になります。土地の1.5%は2029年3月31日まで続くので、合計は372,000円、いまより147,500円増えます。
報酬は見積もりで確かめる
登記の費用は、登録免許税(国に納める税)+専門家の報酬+実費です。報酬は事務所ごとに決めるもので、法令で決まった額はありません。この記事では相場を載せず、見積もりで確かめることを並べます。
登記の見積書で確かめること
- 登録免許税と報酬が分けて書かれているか。 税は法令で計算できるので、上の計算と照らし合わせられます
- 登録免許税の欄に、軽減税率(0.15%・0.1%など)が使われているか。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅なら0.1%になっているか
- 建物の課税標準が、建築費ではなく法務局の基準表の単価×床面積になっているか
- 表題登記(土地家屋調査士)と、保存・移転・抵当権(司法書士)が、それぞれ誰の見積もりに入っているか。建売住宅では表題登記の費用を誰が負担するか
- 住宅用家屋証明書の手数料・登記事項証明書の取得費・郵送費などの実費が、どこに入っているか
- 抵当権設定の司法書士を金融機関が指定する場合、その報酬が別の見積もりで来るか
抵当権設定登記はローンの実行のときに行うので、決済日が決まる前に見積もりをもらうと、中身を確かめる時間が取れます。
登記は本人が申請することもできます。法務局の所有権保存登記の記載例にも、本人が申請する場合の例が載っています。

じゃあ、自分で申請すれば報酬はかからないの?

保存登記と抵当権設定登記は、ローンの実行と同じ日に進める手続きです。自分で申請したいなら、ローンの申込みの段階で、金融機関がそれを受け付けるかを確かめておきたいところです。
2027年3月末の期限と、令和9年度の要望
住宅用家屋の軽減と、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の軽減は、2027年3月31日までの新築・取得が対象です。国土交通省は、令和9年度税制改正でこれらを要望しています(2026年8月時点。まだ決まっていません)。
| 要望の項目 | 国土交通省の要望内容 |
|---|---|
| 住宅用家屋(保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%) | 2年間延長(2029年3月31日まで)、床面積要件を50㎡以上から40㎡以上へ緩和、2028年1月1日以降に土砂災害等の災害レッドゾーン内で新築された住宅は対象外 |
| 認定長期優良住宅(保存0.1%・移転0.2%/0.1%) | 同じく2年延長、床面積40㎡以上へ、レッドゾーンの除外 |
| 認定低炭素住宅(保存・移転0.1%) | 同じく2年延長、床面積40㎡以上へ、レッドゾーンの除外 |
(財務省掲載「令和9年度税制改正要望(国土交通省)」09y_mlit_k_05・19・20)
要望は、通るとは限りません。2026年12月の令和9年度税制改正大綱に載れば決定に近づき、翌年3月末ごろの法律の成立で確定します。2027年4月以降に引き渡しを受ける予定の人は、大綱の内容を見てから資金計画の登記費用を確かめ直してください。当サイトでも、大綱が出たらこの記事を書き直します。
客先で登記費用の話をするときの注意
住宅会社の営業担当の方が、お客様に登記費用を説明するときに確かめてほしいことです。
登記費用を示す前に
- 表題登記に登録免許税をのせていないか。かかるのは土地家屋調査士の報酬です
- 土地の移転登記に0.3%を使っていないか。土地は1.5%(2029年3月31日まで)です
- 建物の登録免許税を建築費にかけていないか
- 引き渡し日・ローン実行日・入居日の前後関係を、司法書士に伝えたか(住宅用家屋証明書の申立書が要るかどうかが変わる)
- 長期優良住宅・低炭素住宅の認定通知書を、登記の前にお客様と司法書士の手元にそろえたか
- 引き渡しが2027年4月以降になる場合、軽減の期限を添えたか
引き渡し後に来る不動産取得税や固定資産税の時期は、新築の引き渡し後1年のお金のカレンダーに並べています。東京都・神奈川県・大阪府・静岡県では、期限内に登記を申請していれば不動産取得税の「取得の申告」は原則として要りません。ただし、軽減の申告は別に要る場合があります(不動産取得税の通知が来たら)。
まとめ
- 新築でローンを組むと、登記は建物表題登記・所有権保存登記(建売では移転登記の場合あり)・土地の所有権移転登記・抵当権設定登記の4つ
- 建物表題登記は取得から1か月以内。登録免許税はかからず、土地家屋調査士の報酬がかかる
- 住宅用家屋の軽減税率は、保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の保存は0.1%(長期優良の一戸建ての移転は0.2%)
- 土地の売買による移転登記は1.5%(2029年3月31日まで)。住宅の軽減とは別
- 新築の建物の課税標準は、法務局の基準表の単価×床面積。建築費ではない
- 住宅用家屋証明書は、登記の申請書に付ける。登記のあとで出しても軽減されない
- 住宅用家屋などの軽減は2027年3月31日まで。延長の要望は2026年12月の大綱で決まる
- 報酬は事務所ごとに違う。見積書で税と報酬と実費を分けて確かめる
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出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.7191「登録免許税の税額表」
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(第72条・第72条の2・第73条・第74条・第74条の2・第75条)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」(第41条・第42条)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行規則」(第25条〜第27条)
- e-Gov法令検索「登録免許税法」(第13条・第15条・第19条・別表第一)
- e-Gov法令検索「国税通則法」(第118条・第119条)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(第2条・第44条・第47条・第74条・第164条)
- e-Gov法令検索「土地家屋調査士法」(第3条)
- e-Gov法令検索「司法書士法」(第3条)
- 法務局「登録免許税の計算」
- 法務局「所有権保存登記申請書の記載例(令和8年10月5日以降の申請用)」
- 大阪法務局「不動産登記における評価額のない課税標準について」(新築建物等課税標準価格認定基準表・経年減価補正率表)
- 千葉地方法務局「新築建物課税標準価格認定基準表(令和6年度)」(札幌・岐阜の各法務局の同じ表もあわせて確認)
- 日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年3月実施)」(保存登記の設例の条件だけを参照。金額は載せていない)
- 東京都中央区「住宅用家屋証明書の交付」
- 横浜市「住宅用家屋証明書(新築以外のもの)」
- 仙台市「住宅用家屋証明書」
- 札幌市「住宅用家屋証明」
- 財務省「令和9年度税制改正要望(国土交通省)」(住宅用家屋・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の登録免許税の要望)
本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と資料に基づいています。登録免許税の額は課税標準と要件によって変わります。個別の税額は登記を申請する法務局に、住宅用家屋証明書の要件と必要書類は建物の所在地の市区町村に、報酬は依頼する司法書士・土地家屋調査士にご確認ください。
よくある質問
建物表題登記に登録免許税はかかりますか?
かかりません。登録免許税法の別表第一(税がかかる登記の一覧)に、建物の表題登記は載っていません。かかるのは、登記を頼んだ土地家屋調査士の報酬と、図面などの実費です。申請は、建物の所有権を取得した日から1か月以内です(不動産登記法第47条)。
住宅用家屋の軽減税率はいくつですか?
建物の所有権保存登記が0.15%(本則0.4%)、建物の売買による所有権移転登記が0.3%(本則2%)、住宅ローンの抵当権設定登記が0.1%(本則0.4%)です。認定長期優良住宅と認定低炭素住宅は、保存登記が0.1%です。いずれも2027年3月31日までの新築・取得が対象で、床面積50㎡以上、新築・取得から1年以内の登記などの要件があります。
土地の所有権移転登記も0.3%になりますか?
なりません。0.3%は住宅用家屋(建物)の移転登記の税率です。土地の売買による所有権移転登記は、本則2%が2029年3月31日まで1.5%に下がっています。こちらは住宅かどうかを問わない軽減です。
新築の建物の登録免許税は、建築費にかけるのですか?
かけません。完成したばかりの建物には固定資産課税台帳の価格がないため、法務局ごとの「新築建物課税標準価格認定基準表」の1㎡あたりの単価に床面積をかけた額が使われます。木造の居宅は、令和6年度の表で1㎡あたり97,000円〜111,000円(岐阜・千葉・大阪・札幌)でした。
住宅用家屋証明書は、登記のあとで出しても間に合いますか?
間に合いません。国税庁は、登記した後で証明書を提出しても軽減税率の適用を受けられないとしています。証明書は登記の申請書に付けるもので、建物の所在地の市区町村で取ります。
