土地代のほかにかかるお金|地盤改良・引き込み・造成の確かめ方

土地代のほかにかかるお金|地盤改良・引き込み・造成の確かめ方のイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 土地を買って建てるときは、土地代・建物の本体価格・諸費用の外に、土地の状態で決まるお金があります。地盤改良、上下水道とガスの引き込み、水道の加入金、造成・擁壁、古家の解体、境界の確認と測量、農地転用、浄化槽などです
  • これらは土地ごとに要るかどうかが違い、一律の割合や相場では見積もれません。 この記事では「何で金額が決まるか」と「どこで確かめるか」で整理します
  • 料金表で決まるものは、市区町村で確かめられます。水道の加入金は口径20mmの戸建てで横浜市82,500円・浜松市92,400円・福岡市77,000円のように、市で違います
  • 地盤改良は、地盤調査をするまで要否が決まりません。 土地の契約の前に調査の結果がなければ、要否は契約のあとで分かります。予算に置き場所を作っておきます
  • 確かめる場所は、重要事項説明書(宅建業法35条)と、市区町村の水道・下水道・建築の窓口です。境界の状況やがけ条例のように、説明事項に列挙されていないものもあります

土地を探していると、土地の価格と建物の価格で予算を考えがちです。 ただ、同じ価格の土地でも、水道管が敷地まで来ているか、道路の幅が足りているか、がけに近いかで、建てるまでにかかるお金が変わります。

ここでは、土地代と建物の本体価格の外で出やすいお金を、項目ごとに並べます。金額が土地ごとに違うものは、当サイトで法令・国交省・市区町村の資料にあたり、何で決まるかとどこで確かめるかを書きました。出どころのない相場は書いていません。

この記事で扱うお金と、ほかの記事に任せるお金

家を手に入れるまでのお金は、大きく4つに分かれます。この記事は4つ目を扱います。

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予算全体の組み立て方は、家づくりの予算は、希望から決めると足りなくなるに書いています。この記事の費用は、その記事でいう「建物・土地・外構・諸費用」のどれにも入りきらず、建築会社の見積もりで「別途」になりやすいものです。

一覧:土地代のほかに出やすいお金と、確かめる場所

費用要るかどうか・金額は何で決まるかどこで確かめるか
地盤調査・地盤改良地盤調査の結果(地盤の強さ)と、建物の重さ・基礎の形建築会社の見積もり。重要事項説明書の災害区域の欄は手がかりになる
上水道の引き込み・加入金前面道路の水道管の有無、メーターの口径、市区町村の料金表重要事項説明書「飲用水」の欄、水道局の料金表
下水道の受益者負担金・排水設備下水道の区域か、負担区の1㎡あたりの額×土地の面積、納付済みか重要事項説明書「排水」の欄、市区町村の下水道の窓口
浄化槽下水道が使えない区域か重要事項説明書「浄化槽施設の必要」の欄、市区町村
ガスの引き込み前面道路のガス管の有無、都市ガスかプロパンか重要事項説明書「ガス」の欄、ガス事業者
私道の負担私道の持分・負担金、掘削の同意重要事項説明書「私道に関する負担」の欄
セットバック前面道路が幅4m未満の2項道路か重要事項説明書「敷地等と道路との関係」の欄、市区町村の建築の窓口
造成・擁壁・がけ土地の高低差、がけ条例、造成の許可が要る規模か重要事項説明書の災害区域の欄、市区町村の建築の窓口
古家の解体建物の大きさ・構造、石綿の有無解体業者の見積もり。売主との契約で誰が解体するか
境界の確認・測量境界標があるか、地積測量図があるか、隣地との立会い売主の告知書、法務局の地積測量図、土地家屋調査士
農地転用市街化区域か、農用地区域か重要事項説明書「法令に基づく制限」(農地法)、農業委員会

このあと、項目ごとに決まり方を書きます。

地盤調査と地盤改良は、調べるまで要否が決まらない

建築基準法は、地盤が弱い土地に建てるときに必要な措置を取るよう求めています。

湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。

(建築基準法第19条第2項)

地盤の強さ(地盤の許容応力度)は、国土交通大臣が定める方法の地盤調査の結果で決めます(建築基準法施行令第93条)。そのうえで、基礎の形が地盤の強さで決まります。

地盤の長期の許容応力度(1㎡あたり)使える基礎
20キロニュートン未満基礎ぐい
20キロニュートン以上30キロニュートン未満基礎ぐい、べた基礎
30キロニュートン以上基礎ぐい、べた基礎、布基礎

(平成12年建設省告示第1347号 第一。改良した地盤は改良後の許容応力度で判断する)

地盤を改良すれば、改良後の強さで基礎を選べます。 地盤改良の費用は、この表のどこに入るかと、建物の重さ・基礎の形・改良の方法で変わります。公的な相場の資料はないので、この記事では金額を書きません。

地盤改良は、土地の契約のあとで分かることがある

土地の売買契約の前に地盤調査の結果がなければ、改良が要ると分かるのは土地を買ったあとになります。売主や仲介の会社に、過去の地盤調査の資料があるかを尋ねる方法もあります。建築会社の見積もりで、地盤調査の費用が入っているか、改良が要ったときの扱い(別途か、概算で入っているか)を確かめておきます。

重要事項説明書には、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域に入っているか、水害ハザードマップでの位置が書かれます(宅建業法施行規則第16条の4の3)。地盤の強さそのものではありませんが、地盤や擁壁に手がかかりそうかを見る手がかりになります。

水道の引き込みと加入金は、市区町村の料金表で決まる

上水道を新しく使うときは、敷地に給水管を引き込む工事と、市区町村(水道事業者)への申込みが要ります。このとき払うお金は3つに分かれます。

  1. 加入金(市によって「水道利用加入金」「分担金」などの名前)…条例と料金表で決まる
  2. 設計審査・検査の手数料…条例で決まる
  3. 工事費…前面道路の水道管から敷地までの距離、道路を掘るかどうかで変わる

加入金の決め方は市で違います。3市の例です。

市13mm20mm25mm戸建ての扱い
横浜市165,000円165,000円165,000円25mm以下で一般生活用の戸建住宅・共同住宅は82,500円
浜松市34,100円92,400円157,300円口径で決まる
福岡市33,000円77,000円165,000円口径で決まる

(いずれも税込み。横浜市・浜松市・福岡市の水道局のページで2026年10月17日に確認。各ページの最終更新はそれぞれ2022年10月5日・2025年7月30日・2022年8月16日)

同じ20mmの戸建てでも、3市で7万円台から9万円台まで違います。自分の土地の市区町村の料金表で確かめるのが近道です。

横浜市は、設計審査と完了検査の手数料(給水管の口径50mm以下で合計10,500円)も別にかかると案内しています。工事費については「公道を掘削する場合や水道局職員がバルブを操作する場合は工事費が発生する事があります」とし、金額は工事内容で異なるとしています。

古家付きの土地や、すでに給水管がある土地

すでに給水管とメーターがある土地でも、メーターの口径を大きくするときは加入金がかかる市があります。横浜市・福岡市は、口径を大きくする工事も加入金の対象としています。横浜市は改造前と改造後の口径の額の差額です。古い家の13mmを20mmにする場合などに当たるので、既存の口径を確かめておきます。

重要事項説明書では、「飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況」の欄で確かめます。宅建業法は、この説明事項を次のように定めています。

飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)

(宅地建物取引業法第35条第1項第4号)

国交省の様式例では、この欄が「直ちに利用可能な施設」「施設の整備予定」「施設整備に関する特別負担の有無」(有・無と金額)に分かれています。「直ちに利用可能」に印があっても、敷地の中まで管が来ているとは限りません。 前面道路の管から敷地までの引き込みが要るか、既存の管の口径はいくつかを、水道局の窓口で尋ねます。

下水道は、受益者負担金と排水設備を見る

受益者負担金は、土地1筆に一度だけ

下水道を整備するとき、市区町村は、整備で利益を受ける土地の所有者などに費用の一部を負担させることができます(都市計画法第75条)。これが下水道の受益者負担金です。額と集め方は市区町村の条例で決まります。

市1㎡あたりの額納め方土地150㎡の場合
船橋市市街化区域300円、市街化調整区域380円3年に分けて年4期45,000円(市街化区域)
柏市負担区ごとに110円〜1,050円原則5年20回16,500円〜157,500円
広島市187円原則20回(年4回×5年)28,050円

(各市のページで2026年10月17日に確認。150㎡の列は当サイトの計算)

柏市は「受益者負担金は、土地に対し一度だけ賦課されるもので、一度負担していただけば再び賦課されることはありません」と案内しています。下水道が以前からある地域の土地なら、すでに納め終わっていることもあります。

売買で受益者が変わるとき

船橋市は、売買や相続で受益者が変わったときは変更の届けが要り、届けがないと旧受益者に負担してもらうことになると案内しています。分割で納めている途中の土地を買うと、残りを誰が払うかが問題になります。柏市は、賦課の状況は誰でも窓口で照会でき、納付の状況は本人確認か委任状が要るとしています。売買の前に、売主に納付の状況を確かめてもらいます。

農地だった土地は、とくに注意が要ります。 柏市では、現況が農地の土地は負担金の徴収を猶予できますが、宅地化や売買で猶予の理由がなくなると、猶予していた負担金の精算の手続きが要ります。

広島市は、市街化区域の外では受益者負担金ではなく、下水道事業分担金として最終ます1個または市営浄化槽1基につき30万円としています。同じ市の中でも、区域で仕組みが変わります。

敷地の中の排水管は、土地の所有者が設ける

公共下水道が使えるようになった区域の土地では、所有者などが、下水を流し込むための排水管などの排水設備を設けなければなりません(下水道法第10条)。前面道路の下水道管から敷地の中の配管までは、建てる側のお金になります。建築会社の見積もりで、屋外の給排水工事がどこまで入っているかを確かめます。

浄化槽が要る土地は、設置のあとも毎年お金がかかる

下水道が使えない土地では、浄化槽を設けます。重要事項説明書の様式例には、排水の欄の下に「浄化槽施設の必要 有・無」があります。

浄化槽法で、浄化槽の持ち主(浄化槽管理者)には次のことが決められています。

時期決まり条文
設置の前都道府県知事(保健所を設置する市・特別区は市長・区長)と特定行政庁への届出。建物の建築確認で扱われる場合を除く浄化槽法第5条
使いはじめ指定検査機関の水質検査を受ける同第7条
毎年保守点検と清掃(原則年1回)同第10条
毎年指定検査機関の水質検査(原則年1回)同第11条

浄化槽は、設置費だけでなく、点検・清掃・検査のお金が毎年続きます。 下水道の区域の土地と比べるときは、この毎年の費用も入れて比べます。

国は交付金で市町村の浄化槽の整備を支援しています(環境省「浄化槽の整備」)。ただ、環境省の資料で示されている個人向けの助成は、単独処理浄化槽やくみ取り槽からの転換が中心です。新築で設置するときに補助があるかは、市町村ごとに確かめます。

ガス・電気と私道の負担

ガスは「都市ガスかプロパンか」から確かめる

重要事項説明書の様式例では、ガスの欄に「都市・プロパン」の別と、整備予定、特別負担の有無と金額があります。前面道路に都市ガスの管があるかどうかで、引き込みの工事が変わります。国交省の解釈・運用の考え方は、住宅の売買後も宅地内のガスの配管設備の所有権がプロパンガス販売業者にあるときは、その旨を説明するとしています。

引き込みの費用は、出どころのある相場が見つからなかったので、この記事では金額を書きません。前面道路の管の有無と費用は、ガス事業者に尋ねます。

私道に面した土地は、負担と掘削を確かめる

私道に面した土地は、重要事項説明書の「私道に関する負担に関する事項」で、負担の有無、面積、負担金を確かめます(宅建業法第35条第1項第3号)。

水道管やガス管を私道の下に通すとき、私道の所有者との調整が要ることがあります。民法は、ほかの土地に設備を設けなければ電気・ガス・水道の供給を受けられないとき、必要な範囲でほかの土地に設備を設けられると定めています(民法第213条の2)。この場合、あらかじめ目的・場所・方法を土地の所有者に通知し、土地の損害には償金を払います。権利があっても、通知や償金の手間とお金は残ります。

私道を変えたり廃止したりすると、面している敷地が接道の基準を満たさなくなる場合は、特定行政庁が制限できます(建築基準法第45条)。様式例にも「私道の変更又は廃止の制限」の欄があります。

セットバック:道の中心から2m下がる

建物の敷地は、原則として道路に2m以上接していなければなりません(建築基準法第43条)。

前面の道が幅4m未満でも、特定行政庁が指定した道は道路とみなされます。この場合、原則として道の中心線から2mの線が道路の境界線とみなされます(建築基準法第42条第2項。いわゆる2項道路)。道の反対側ががけや川などのときは、その側から4mの線です。

下がった部分は、次のように扱われます。

  • 敷地面積に入りません(建築基準法施行令第2条第1項第1号)
  • 塀や擁壁を道路内に造れません(建築基準法第44条)

計算例:幅3mの道に面した、敷地100㎡・間口10mの土地

  • 道の中心線から2m下がるので、敷地側に0.5m下がる(道の両側が下がる場合)
  • 下がる面積は0.5m×10m=5㎡。敷地面積は95㎡
  • 建ぺい率60%なら、建築面積の上限は60㎡ではなく57㎡

(当サイトの計算。道の反対側の状況で下がる幅は変わる)

土地の広さは100㎡でも、建てられる面積の計算は95㎡から始まります。 様式例の建ぺい率の欄も「(敷地面積 ㎡- ㎡)×」の形になっていて、引く面積を書く欄があります。下がった部分の整備や費用の扱いは、市区町村の建築の窓口で確かめます。

がけ条例と擁壁、造成の許可

がけの近くは、条例で擁壁が要ることがある

建築基準法は、建物ががけ崩れなどの被害を受けるおそれがあるとき、擁壁の設置などの措置を求めています(第19条第4項)。さらに地方公共団体は、条例で敷地の安全上の制限を加えられます(第40条)。これに基づく制限が、いわゆるがけ条例です。

東京都の例では、建築安全条例第6条で、高さ2mを超えるがけの下端から、がけの高さの2倍以内の範囲に建てるときに規制がかかります。大田区は、その場合は高さ2mを超える擁壁を設けなければならず、がけと建物の間に道路や川、隣の建物があっても対象になると案内しています。

高さ2mを超える擁壁は、建築基準法の確認申請の対象になる工作物です(建築基準法第88条、同施行令第138条)。

がけ条例は、重要事項説明の列挙に入っていない

宅建業法で説明が求められる「法令に基づく制限」は、施行令第3条に列挙されています。建築基準法では第43条(接道)・第44条・第45条などが入っていますが、がけ条例のもとになる第40条は入っていません。 一方で国交省は、第35条の事項は「最小限の事項」で、これ以外にも説明を要する重要事項がありうるとしています。高低差のある土地では、仲介する不動産会社と市区町村の建築の窓口に、がけ条例がかかるかを尋ねます。

盛土・切土の規模によっては、造成に許可が要る

宅地造成等工事規制区域の中で一定の規模の盛土・切土をするときは、工事の前に都道府県知事などの許可が要ります(宅地造成及び特定盛土等規制法第12条)。規模の基準は次のとおりです(同施行令第3条)。

  • 盛土で、高さ1mを超える崖ができるもの
  • 切土で、高さ2mを超える崖ができるもの
  • 盛土と切土を同時にして、高さ2mを超える崖ができるもの
  • 高さ2mを超える盛土
  • 上のどれにも当たらない盛土・切土で、面積が500㎡を超えるもの

規制区域かどうかは重要事項説明の「法令に基づく制限」に入ります(施行令第3条第1項第27号)。造成の工事費と許可の手続きの費用は、高低差と面積で大きく変わるので、相場は書きません。

古家付きの土地は、解体のほかに3つ確かめる

古家付きの土地は、売主が解体して引き渡すのか、買主が解体するのかで、誰が何を払うかが変わります。売買契約の前に確かめます。

買主が解体する場合に、解体工事の費用のほかにかかる手続きとお金です。

項目決まり誰が
解体工事の届出コンクリートや木材などの特定建設資材を使った建物で、床面積の合計が80㎡以上の解体は、工事に着手する7日前までに都道府県知事に届け出る(都道府県が条例で基準を厳しくしている場合がある)発注者(建設リサイクル法第9条・第10条、同施行令第2条)
石綿(アスベスト)の事前調査解体の元請業者が事前に調査し、結果を書面で発注者に説明する元請業者(大気汚染防止法第18条の15)
建物の滅失登記取り壊した日から1か月以内に申請する建物の所有者(不動産登記法第57条)

滅失登記を土地家屋調査士に頼むと、報酬がかかります。日本土地家屋調査士会連合会のアンケートでは、木造2階建ての居宅と附属の物置を取り壊した設例で、平均52,132円(税抜)でした。

解体した翌年の固定資産税

住宅の敷地には、固定資産税の課税標準を3分の1(200㎡までの部分は6分の1)にする特例があります(地方税法第349条の3の2)。固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の状況で課税されます(同第359条)。

古家を解体して、次の1月1日に新しい家が建っていなければ、特例が外れることがあります。 東京23区には建て替え中も特例を続ける扱いがありますが、要件に「建替え前の住宅の所有者と同一の者により行われている」ことが入っています(東京都主税局)。古家付きの土地を買って建てる場合は、この要件に当たるかを、土地のある市区町村(23区は都税事務所)で確かめます。

境界の確認と測量

土地の「境界」には2つの意味があります。法務省は、登記されたときに定められた土地の範囲を区切る線を筆界と呼び、所有者同士の合意では変えられないと説明しています。一般にいう境界は、所有権の範囲を区切る線の意味で使われることもあり、筆界と一致しないこともあります。

境界がはっきりしない土地では、隣地や道路の管理者と立ち会って確認し、測量することになります。国交省は、売主から買主に渡す告知書の記載事項の例として、「境界確定の状況」を挙げています(宅建業法の解釈・運用の考え方)。

土地家屋調査士の報酬は事務所ごとに決まります。アンケートの設例の平均を目安として置きます。

業務の設例平均(税抜)
土地売買のための地積更正登記(市街地の宅地180㎡。道路・隣地との筆界確認と測量を含む)441,391円
建物滅失登記(木造2階建ての居宅と附属の物置)52,132円

(日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士報酬ガイド」2025年度アンケート)

地積更正登記の設例は、境界の確認だけの測量ではありません。同じガイドは、現場の状況や隣地との関係で必要な費用と作業時間が変わり、境界杭の種類・本数で実費が変わると書いています。

境界で確かめること

  • 境界標(杭・金属標)が現地にあるか
  • 法務局に地積測量図があるか
  • 売主の告知書に「境界確定の状況」が書かれているか
  • 測量や境界の確認の費用を、売主と買主のどちらが負担するか

隣地と筆界について話がまとまらないときは、法務局の筆界特定制度があります。申請の手数料は土地の価格で決まり、申請人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら8,000円です。手続きの中で測量が必要になると、その費用も負担します(法務省)。

農地を買って建てるとき

田や畑を宅地にするには、農地法の手続きが要ります。

農地のある区域手続き
市街化区域あらかじめ農業委員会に届け出る(農地法第4条第1項第7号、第5条第1項第6号)
それ以外都道府県知事等の許可。農用地区域内の農地などは、原則として許可できない(同第4条第6項、第5条第2項)

買って転用する場合は、売主と買主が当事者として第5条の許可を受けます。許可が要るかどうかは重要事項説明の「法令に基づく制限」に入ります(施行令第3条第1項第26号)。

転用したあとは、登記の地目を宅地に変える登記をします。日本土地家屋調査士会連合会のアンケートでは、雑種地を宅地にする地目変更登記の設例で平均52,691円(税抜)でした。農地から宅地への設例ではないので、目安として見ます。

農地だった土地は、上で書いた下水道の受益者負担金の猶予の精算や、盛土による造成が重なることがあります。

重要事項説明書で確かめる項目(宅建業法35条)

宅地建物取引業者は、売買の契約が成立するまでに、宅地建物取引士に重要事項を書面で説明させなければなりません(宅建業法第35条第1項)。この記事の費用にかかわる項目を、国交省の様式例の欄と対応させました。

説明事項(宅建業法第35条第1項)様式例の欄かかわる費用確かめること
第2号 法令に基づく制限(施行令第3条:建築基準法第43条〜第45条、農地法、宅地造成及び特定盛土等規制法など)「敷地等と道路との関係」「私道の変更又は廃止の制限」、建ぺい率・容積率の「敷地面積-㎡」、「(1)以外の法令に基づく制限」セットバック、接道、農地転用、造成の許可引く面積があるか。農地法・宅地造成等の制限が書かれているか
第3号 私道に関する負担「私道に関する負担に関する事項」(有無・面積・負担金)私道の負担金、掘削の調整負担金の額と、管を通すときの同意の扱い
第4号 飲用水・電気・ガス・排水の整備状況(未整備なら見通しと特別の負担)「直ちに利用可能な施設」「施設の整備予定」「特別負担の有無」、「浄化槽施設の必要」引き込み、加入金、受益者負担金、浄化槽特別負担の有無と額。概算なら備考に書かれる。浄化槽の要否
第5号 工事完了前の宅地の形状・構造「宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等」造成中の分譲地の擁壁・道路道路からの高さ、擁壁、排水施設の位置と構造(平面図)
第7号 代金以外に授受される金銭「代金及び交換差金以外に授受される金額」代金以外に授受するお金額と目的
第14号(施行規則第16条の4の3)災害に関する区域「造成宅地防災区域」「土砂災害警戒区域」「津波災害警戒区域」「水害ハザードマップ」地盤、擁壁、がけ区域の内外と、ハザードマップ上の位置

(宅地建物取引業法・同施行令・同施行規則、国交省「重要事項説明書の様式例」令和8年4月1日以降)

様式例の記載要領では、第4号の欄の負担金が概算額のときは、その旨を備考の欄に書くこととしています。概算と書いてあれば、確定額をどこで確かめるかを尋ねます。

説明事項に列挙されていないもの

  • 境界の状況:告知書で伝えることが望ましいとされている(国交省の解釈・運用の考え方)
  • がけ条例:建築基準法第40条は施行令第3条の列挙にない
  • 地盤の強さ:地盤調査は建てる段階で行う
  • 加入金や引き込み工事費の額:書面に書かれていなければ、水道局の料金表と窓口で確かめる

国交省は、第35条の事項は「最小限の事項」で、これ以外にも説明を要する重要事項がありうるとしています。列挙にないものも、聞けば調べてもらえる場合があります。

みぞれ
みぞれ

重要事項説明って、契約の日に聞くものじゃないの?

しぐれ
しぐれ

契約の日にまとめて聞くと、気になる点があっても調べる時間がありません。書面を先にもらって読んでおくと、加入金や負担金を窓口に問い合わせる時間がとれます。

宅建業法が定めているのは、説明を「契約が成立するまでの間」に行うことです。契約の当日に説明を受けることもできてしまいます。国交省は、重要事項の説明に先立って、全体像を書面で説明することが望ましいとしています(宅建業法の解釈・運用の考え方)。

客先で説明するときの注意

住宅会社の営業担当の方が、土地探しの段階のお客様に説明するときに確かめてほしいことです。

土地のお金を説明する前に

  • 「土地代+建物+諸費用」で終わっていないか。 地盤改良・引き込み・造成・解体の置き場所が予算にあるか
  • 地盤改良を「たぶん要らない」と言っていないか。調査の前には決まらない
  • 加入金・受益者負担金はその市区町村の表で示したか。ほかの市の額を流用していないか
  • 2項道路に面した土地で、下がったあとの敷地面積でプランを組んだか
  • 古家付きの土地で、解体の時期と1月1日の関係を伝えたか
  • 重要事項説明書を契約日より前に読めるよう、仲介の会社に頼んだか

まとめ

  • 土地代・建物・諸費用の外に、土地の状態で決まるお金がある。地盤改良、引き込み、加入金、造成・擁壁、解体、境界と測量、農地転用、浄化槽など
  • 地盤改良は地盤調査まで要否が決まらない。基礎の形は地盤の強さで告示が決めている
  • 水道の加入金は市区町村の料金表で決まる。口径20mmの戸建てで横浜市82,500円・浜松市92,400円・福岡市77,000円
  • 下水道の受益者負担金は1㎡あたりの額×面積で、土地1筆に一度だけ。売買の前に納付の状況を確かめる
  • 2項道路に面した土地は、中心線から2m下がった部分が敷地面積に入らない
  • 確かめる場所は、重要事項説明書の道路・私道・供給施設・災害区域の欄と、市区町村の窓口。境界やがけ条例は列挙にないので別に尋ねる

関連記事

出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と資料に基づいています。加入金・負担金・手数料は市区町村の条例で決まり、改定されることがあります。個別の土地については、水道・下水道は市区町村の水道局・下水道の窓口、道路・がけ・建築の制限は市区町村の建築の窓口、農地は農業委員会、固定資産税は市区町村の税務の窓口(東京23区は都税事務所)、登記は法務局にご確認ください。

よくある質問

土地代のほかに、どんなお金がかかりますか?

登記や税金などの諸費用のほかに、土地の状態によって、地盤改良、上下水道・ガスの引き込み、水道の加入金、造成や擁壁、古家の解体、境界の確認と測量、農地転用の手続き、浄化槽の設置などがかかります。どれが要るかは土地ごとに違い、一律の割合では見積もれません。

水道の加入金はいくらですか?

市区町村(水道事業者)の条例と料金表で決まります。たとえば口径20mmのメーターを新しく付ける戸建ては、横浜市82,500円、浜松市92,400円、福岡市77,000円です(2026年10月17日に各市のページで確認)。古家付きの土地で既存のメーターの口径を大きくするときは、差額で計算する市もあります。

下水道の受益者負担金は、土地を買った人が払うのですか?

受益者負担金は、下水道が整備された区域の土地の所有者などに、原則として土地1筆に一度だけかかります。売買で受益者が変わると、変更の届けが要る市があります。賦課や納付の状況は、市区町村の下水道の窓口で照会できます(柏市の例)。

セットバックが必要な土地は、何が変わりますか?

幅4m未満の道(建築基準法42条2項の道路)に接する土地は、原則として道の中心線から2m下がった線が道路の境界とみなされます。下がった部分は敷地面積に入らないため、建ぺい率・容積率の計算の元になる面積が減ります。その部分には塀や擁壁も造れません。

重要事項説明書のどこを見ればいいですか?

国交省の様式例では、「敷地等と道路との関係」(接道・セットバック)、「私道に関する負担」、「飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況」(特別負担の有無と金額、浄化槽の要否)、「造成宅地防災区域」「土砂災害警戒区域」などの欄です。境界の状況やがけ条例は説明事項に列挙されていないので、仲介する不動産会社に別に尋ねます。