頭金とNISA、どちらにお金を回すか|住宅ローン控除・金利・手元資金で比べる

頭金とNISA、どちらにお金を回すか|住宅ローン控除・金利・手元資金で比べるのイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 頭金に入れたお金は、借入金利の分だけ利息を減らします。 結果は借りた時点でほぼ決まります。NISAの運用の結果は前もって分からず、元本割れのおそれがあります
  • 住宅ローン控除は年末残高の0.7% です。借入金利が0.7%を上回るあいだは、頭金を減らして増える控除より、増える利息のほうが大きくなります
  • 当サイトの計算例(3,800万円・頭金300万円・13年後)では、NISA側が頭金側に並ぶ利回りの境目は、借入金利1.0%で年0.3%ほど、3.94%で年2.6%ほどでした。境目を超えるかどうかは誰にも分かりません
  • フラット35で頭金が融資率9割の線に届くなら、金利が下がる分だけ頭金側が有利になります
  • 比べる前に、手元に残すお金を先に分けます。数年以内に使うお金は、値下がりした時期に売ることになりやすいからです
頭金を入れなかった13年間の費用は、借入金利1.0%で約12.7万円、3.94%で約118.5万円、9割の線に届く380万円の比べ方では約195.2万円

家を買うときの貯金を、頭金に入れるか、手元に残してNISAに回すか。 「住宅ローンは金利が低いから、借りて運用したほうがいい」という話もよく聞きます。

この記事は、どちらがよいかを決めるものではありません。何と何を比べればよいかを、金融庁・国税庁・住宅金融支援機構の公表資料と、当サイトの計算で示します。 特定の金融機関や商品はすすめません。投資するかどうかを判断する材料にとどめてください。

頭金とNISAは、性格がまったく違う

頭金(ローンを使わずに貯金から払う代金)と、NISAに回すお金の違いを先に並べます。

頭金に入れるNISAに回す
得られるもの借入が減り、借入金利の分の利息が減る運用益(売却益・配当)が非課税
結果が分かる時期借りた時点でほぼ分かる(変動金利なら金利しだいで変わる)売るまで分からない
元本減らない(家の代金になる)元本割れのおそれがある
取り出せるか取り出せない売れば取り出せる。ただしそのときの値段で
住宅ローン控除年末残高が借入限度額を下回ると、控除が減る影響しない

金融庁は、投資について次のように説明しています。

株式や投資信託などの運用商品に投資することで、預貯金よりも高いリターンを期待することはできますが、元本割れのおそれもあります。

(金融庁 NISA特設ウェブサイト「資産形成の基本」)

頭金で減る利息は、言いかえれば借入金利と同じ利回りを、値下がりなしで得るのに近い形です。NISAは、それより高い利回りを期待できる一方、低くなることもマイナスになることもあります。 比べているのは「利回りの高さ」だけでなく、「結果の決まり方」です。

NISAの制度で、家の計画に関わるところ

NISA(少額投資非課税制度)は、NISA口座で買った株式や投資信託の売却益と配当を非課税にする制度です。金融庁によると、通常は約20%の税金がかかります。 家の計画との関係で押さえておきたいのは次の点です。

項目内容
年間投資枠つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円(あわせて年360万円)
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠はそのうち1,200万円まで)
非課税で持てる期間無期限
制度の期限なし(2024年から恒久化)
売ったとき売った商品の簿価(買ったときの額)の分の枠が、翌年以降に戻る
口座18歳以上(その年の1月1日時点)、1人1口座

(金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」「よくある質問」、国税庁 No.1535。2026年10月17日時点)

家の計画で効いてくるのは、期限がないことと、売れば枠が戻ることです。 頭金をあきらめて今すぐNISAに入れなくても、枠そのものはなくなりません。一方で、1年に入れられるのは360万円までなので、売ってから同じ額を入れ直すには時間がかかる場合があります。

2026年の改正で変わったこと

令和8年度税制改正で、2027年1月から0〜17歳もつみたて投資枠を使えるようになります(年間60万円・限度額600万円。12歳以降は一定の要件のもとで払出し可)。つみたて投資枠の対象になる指数や投資信託も広がりました。 18歳以上の年間投資枠と1,800万円の限度額は変わっていません。(金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」、財務省「NISAのつみたて投資枠の拡充」)

もう1つ、値下がりしたときの扱いです。国税庁は次のように説明しています。

非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。

(国税庁 タックスアンサー No.1535 NISA制度(注2))

このため、NISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と相殺できず、翌年以降に繰り越すこともできません。非課税の裏返しで、損失も税金の計算に使えないということです。

住宅ローン控除の0.7%と、借入金利を比べる

「頭金を入れると住宅ローン控除が減るので、借りたほうが得」という話があります。これは、借入金利と控除率0.7%のどちらが大きいかで答えが変わります。

住宅ローン控除は、年末残高等×0.7% です(国税庁 No.1211-1)。年末残高は借入限度額までしか数えません。2026年に入居する新築のZEH水準省エネ住宅なら、借入限度額は3,500万円(控除限度額24.5万円)です。

頭金を減らして借入を100万円増やしたとき、1年あたりで動くのはおよそ次の2つです。

  • 増える利息 … 100万円 × 借入金利
  • 増える控除 … 100万円 × 0.7%(年末残高が借入限度額を下回っている年だけ)

借入金利が0.7%を上回るなら、増える利息のほうが大きくなります。下回るなら、控除期間中は控除のほうが大きくなる場合があります。 ただし、増える控除は次の場合にはゼロです。

借入を増やしても控除が増えない場合

  • 年末残高が借入限度額を超えている年。超えた分は控除の計算に入らない
  • 税額が少なく、控除を引ききれていない年。所得税で引ききれない分は住民税から引くが、住民税で引ける額には上限がある(所得税の課税総所得金額等の5%、最高9万7,500円。総務省)
  • 控除期間(新築は13年)が終わったあと。利息だけが残る

控除を引ききれているかの確かめ方は、iDeCoと住宅ローン控除の併用の「源泉徴収票での確かめ方」にあります。控除の仕組みと借入限度額は、住宅ローン控除の借入限度額と控除期間にまとめています。

みぞれ
みぞれ

金利が0.7%より低いなら、借りてNISAに回したほうが得ってこと?

しぐれ
しぐれ

控除の分だけ見ればそうなる年もあります。ただ、NISAの結果は前もって決まっていません。次の計算例で、利回りの置き方によってどう入れ替わるかを見てください。

計算例:頭金300万円か、NISAに300万円か

ここからは当サイトの計算です。利回りは仮定で、将来の予想ではありません。

3,800万円の新築(ZEH水準・借入限度額3,500万円)を35年の元利均等で借りるとします。貯金のうち300万円を、

  • 頭金側:頭金に入れて、3,500万円を借りる
  • NISA側:頭金なしで3,800万円を借り、300万円をNISAに入れる

として、控除期間の13年が終わった時点で比べます。NISA側は、借入が300万円多いぶん毎月の返済が増え、控除も一部増えます。

借入金利ごとの「頭金を入れなかった費用」

金利1.0%(例)金利3.94%
毎月の返済(頭金側/NISA側)9万8,800円/10万7,269円15万3,714円/16万6,890円
13年間で増える返済の合計約132.1万円約205.5万円
13年後の残高の差約200.6万円約232.4万円
13年間で増える控除の合計約20.1万円約19.5万円
頭金を入れなかった費用約12.7万円約118.5万円

(当方計算。3.94%はフラット35の融資率9割超の、2026年10月資金受取分の最も多い金利。両側とも同じ金利で計算。費用=増える返済の合計+残高の差−300万円−増える控除の合計。四捨五入のため、表の数字を足し引きすると0.1万円ずれる場合があります)

頭金を入れなかった費用は、借入を300万円増やしたことで、13年間に余分にかかった利息から、増えた控除を引いたものです。NISA側は、この費用を運用益で上回れば頭金側より多く残り、下回れば少なく残ります。

増える控除が20万円ほどにとどまるのには理由があります。NISA側の残高は初めのうち借入限度額の3,500万円を超えていて、その年は控除が増えないからです。

利回りを置いたときの13年後の差

NISAに入れた300万円が、毎年同じ利回りで増えたと置いた場合です(1年ごとの複利。運用の手数料を引いたあとの利回りとして置いています)。

NISAの利回り(仮定)13年後のNISAの額差(金利1.0%)差(金利3.94%)
年0%300.0万円約−12.7万円約−118.5万円
年3%約440.6万円約+127.9万円約+22.1万円
年5%約565.7万円約+253.0万円約+147.2万円
13年後に3割減っていた210.0万円約−102.7万円約−208.5万円
差がゼロになる利回り年0.32%年2.59%

(当方計算。差=NISAの増減−頭金を入れなかった費用。プラスはNISA側、マイナスは頭金側が多く残る。返済額の差と控除の差は利息を付けずに足した)

この表から読めることは3つです。

  • 借入金利が低いほど、境目の利回りは低くなります。 金利1.0%なら年0.3%ほどで並び、3.94%なら年2.6%ほどが要ります
  • 利回りが0%なら、どの金利でも頭金側が多く残ります。 差は「頭金を入れなかった費用」そのものです
  • 値下がりした時期に売れば、差は大きく頭金側に傾きます。 3割減なら、どちらの金利でも100万円以上の差です

この計算例に入っていないもの

  • 途中の値動き。 毎年同じ利回りで増えると置いていますが、実際は上がったり下がったりします。13年後にどうなっているかは分かりません
  • 変動金利の金利の変化。 金利が上がれば「頭金を入れなかった費用」は大きくなります。金利上昇の影響は金利が上がったら返済はいくら増える?で計算できます
  • ローンの保証料・手数料。 借入額に応じて決まるものは、頭金なしのほうが高くなります
  • 審査。 借入額が大きいほど返済負担率が上がり、借りられる額や条件が変わる場合があります
  • 13年より後。 控除が終わったあとは、頭金側は利息が減り続け、NISA側は運用が続きます。どちらに傾くかは、そこからの金利と運用しだいです
しぐれ
しぐれ

表の「年3%」は、毎年3%ずつ増え続けた場合です。途中で大きく下がった年があっても、13年後に平均してそうなっていれば同じ数字になります。家計が苦しい時期に下がっていたら売らずに待てるかは、この表には入っていません。

フラット35の「9割の線」は頭金側に効く

フラット35は、借入額が建設費・購入価額の9割以下か、9割を超えるかで金利が違います。2026年10月資金受取分(借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き)の最も多い金利は、9割以下で年3.830%、9割超で年3.940% です。

上の例の3,800万円で、頭金を380万円入れると、借入は3,420万円・融資率90%になり、低いほうの金利が使えます。この場合の比べ方は次のとおりです(当方計算)。

頭金380万円(3.83%)頭金なし+NISAに380万円(3.94%)
借入額3,420万円3,800万円
毎月の返済14万7,961円16万6,890円
頭金を入れなかった費用(13年)約195.2万円
差がゼロになるNISAの利回り年3.24%

同じ3.94%のまま380万円を比べた場合、費用は約148.8万円です。金利が下がる分、頭金を入れなかった費用が約46万円大きくなり、境目の利回りも上がります。

9割の線に届くかどうかは、頭金の額で決まります。頭金なしと9割の線の比べ方、利息の差の表は頭金はいくら入れる?にあります。金融機関によっては融資率にかかわらず金利が同じ場合もあるので、申込先の金利表で確かめてください。

比べる前に、手元に残すお金を分ける

ここまでの比べ方は、頭金にもNISAにも回さないお金を先に分けた残りの話です。

家を買ったあとも、現金が出ていく場面は続きます。諸費用、引っ越しと家具、不動産取得税や固定資産税、車の買い替え、病気や休職などです。こうした急な出費に備えて手元に置くお金を、生活防衛資金と呼ぶことがあります。何か月分を残すかの公的な基準はありません。

このお金を頭金に入れると取り出せなくなり、NISAに入れると、要るときに値下がりしていることがあります。どちらに入れても、急な出費のときに困る形は同じです。

頭金にもNISAにも回さないお金

  • 諸費用と、引き渡し後1年ほどに現金で出ていくもの
  • 生活費の何か月分か(収入の安定、共働きか、子どもの予定で考える)
  • 数年以内に使い道が決まっているお金(教育費、車の買い替え、育休中の生活費など)

3つ目が、とくにNISAとの関係で大事です。金融庁の「資産形成の基本」では、預貯金は安全性も流動性も高く、投資信託は安全性が「△〜◯」とされています。使う時期が近いお金ほど、値下がりした時期に売るしかないという場面が起きやすくなります。

手元に残す額の決め方と、頭金とツールでの計算は頭金はいくら入れる?に、教育費が重なる時期は教育費と住宅ローンは両立できるかにまとめています。

「時期を分ける」という考え方

頭金とNISAは、どちらか一方を全部選ぶものではありません。比べ方の視点として、時期を分ける考え方があります。

  • 入れる時期を分ける。 計算例は300万円を一度に入れていますが、NISAは毎月決まった額を積み立てる方法もあります。金融庁は、積立投資は「安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられます」と説明しています。ただし積立でも元本割れのおそれはなくなりません
  • 決める時期を分ける。 頭金は買うときにしか入れられませんが、借りたあとに繰上げ返済で借入を減らすことはできます。手元に置いたお金を、控除期間が終わってから繰上げに回すかどうかを考える形もあります。控除期間中の繰上げの比べ方は繰上げ返済と住宅ローン控除にあります
みぞれ
みぞれ

結局、うちはどう決めればいいの?

しぐれ
しぐれ

順番で考えると迷いにくくなります。まず残すお金、次にフラット35なら9割の線、そのうえで「金利で決まる減り方」と「分からない増え方」のどちらを取るかです。最後の1つは、家計の考え方で決める部分です。

比べる順番

頭金とNISAを比べる順番

チェックは、このブラウザの中だけに残ります(送ったり保存したりはしません)。

客先で頭金とNISAの話が出たときの注意

住宅会社の営業担当の方が、お客様から「頭金を入れずにNISAに回したほうがいいか」と聞かれたときに確かめてほしいことです。

話す前に

  • 「NISAのほうが得」「頭金を入れるべき」とどちらかに決めて話していないか。運用の結果は前もって分からず、個別の投資判断は金融商品の助言になりうる
  • 元本割れのおそれと、NISA口座の損失はほかの口座と相殺できないことを伝えたか
  • 「控除があるから借りたほうが得」と言っていないか。借入金利と0.7%の比較、借入限度額、引ききれているかで変わる
  • フラット35の9割の線で金利が変わるかを、その月の金利表で確かめたか
  • 頭金とNISAの前に、お客様の手元に残すお金を一緒に計算したか

まとめ

  • 頭金は借入金利の分だけ利息を減らし、結果は借りた時点でほぼ決まる。取り出せない
  • NISAは運用益が非課税で、期限がなく、売れば翌年以降に簿価分の枠が戻る。元本割れのおそれがあり、損失はほかの口座と相殺できない
  • 住宅ローン控除は年末残高の0.7%。借入金利が0.7%を上回るなら、借入を増やして増える利息のほうが大きい。残高が借入限度額を超える年や、控除を引ききれない年は控除は増えない
  • 計算例(3,800万円・300万円・13年)では、差がゼロになる利回りは金利1.0%で年0.32%、3.94%で年2.59%。フラット35で9割の線に届くなら、境目は上がる(380万円で年3.24%)
  • 比べる前に、手元に残すお金と数年以内に使うお金を分ける
  • 2026年の改正で、18歳以上のNISAの枠は変わっていない。2027年1月から0〜17歳もつみたて投資枠を使える

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出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている制度の説明と、当サイトの計算例です。計算例の利回りは仮定で、将来の運用成績を示すものではありません。特定の金融機関・金融商品をすすめるものではなく、投資の判断はご自身で行ってください。住宅ローンの条件は金融機関に、住宅ローン控除の適用は所轄の税務署にご確認ください。

よくある質問

頭金を入れるのと、NISAに回すのとでは、どちらが得ですか?

決まった答えはありません。頭金で減る利息は借入金利で決まりますが、NISAの運用の結果は前もって分からず、元本割れのおそれもあります。当サイトの計算例では、借入金利1.0%なら年0.3%ほど、3.94%なら年2.6%ほどの利回りが、13年間で同じになる境目でした。境目を上回るかどうかは、誰にも分かりません。

住宅ローン控除があるので、借りてNISAに回したほうがよいと聞きました。

控除は年末残高(借入限度額まで)の0.7%なので、借入金利が0.7%を上回るあいだは、借りて増える利息のほうが増える控除より大きくなります。年末残高が借入限度額を超えている年は、借入を増やしても控除は増えません。税額が少なく控除を引ききれていない人も、控除は増えません。

NISAに入れたお金は、家のことで必要になったら引き出せますか?

NISA口座の商品は売却できます。売った商品の取得額の分の枠は翌年以降に戻ります。ただし売るときに値下がりしていれば、入れた額より少なく戻ります。NISA口座で出た損失は、ほかの口座の利益と相殺できません(国税庁No.1535)。

2026年の改正で、NISAの枠は変わりましたか?

18歳以上の人の年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)と非課税保有限度額(1,800万円)は変わっていません。2027年1月から、0〜17歳もつみたて投資枠を使えるようになります(年間60万円・限度額600万円)。