注文住宅の支払いはいつ、いくら?着工金・中間金と自己資金が要る時期の表

注文住宅の支払いはいつ、いくら?着工金・中間金と自己資金が要る時期の表のイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 注文住宅の工事代金は、契約時・工事の途中・引渡し時と、何回かに分けて払う契約にすることがあります。回数と割合は工事請負契約で決まり、法律で決まった割合はありません
  • 国の標準請負契約約款(乙)の記入例は、契約時1割/部分払3割/部分払3割(又は4割)/引渡し時3割(又は2割)
  • 住宅ローンの資金は、フラット35なら建物が完成して適合証明書を出したあと。土地代も建物分と同時にしか借りられません
  • だから土地から買う場合、土地代金の全額と建物代金の7〜8割が、ローンより先に来ます(記入例の割合の場合)
  • ローンが出る前に払う額 −(つなぎ融資などで借りる額)= 自己資金で用意する額。 この記事の表に、自分の契約の数字を入れて出します

注文住宅のお金の話で「総額」の次に効いてくるのは、いつ払うかです。 総額が予算に収まっていても、ローンの資金が出る前の支払いに手持ちのお金が足りなければ、計画はそこで止まります。

なぜ注文住宅だけ支払いが先に来るのか、建売住宅やマンションとどう違うのかは、注文住宅と建売・マンションで、お金の流れはどう違うかに書きました。 この記事では、その先の「いつ・何に・いくら」を表にして、ローンが出る前に要る自己資金を見積もるところまで進めます。

土地探しから引き渡しまでの支払いの表

土地を持っていない人が、土地を買って注文住宅を建てる場合の流れです。 土地の決済と建物の契約のどちらが先になるかは、計画によって入れ替わります。

時期何を払うか払う相手いくらか(決まり方)ローンの資金は出ているか(フラット35の場合)
土地の売買契約手付金売主売買契約で決める。不動産会社(宅建業者)が売主なら代金の2割まで出ていない
〃売買契約書の印紙税国(印紙を貼る)契約金額で決まる出ていない
〃 または決済時仲介手数料(仲介の不動産会社がいる場合)仲介の不動産会社上限は国の告示で決まる。払う時期は媒介契約で決める出ていない
建物の工事請負契約契約金建築会社標準約款の記入例で1割出ていない
〃請負契約書の印紙税国(印紙を貼る)契約金額で決まる出ていない
土地の決済(引渡し)土地の残金(代金-手付金)売主売買契約で決める出ていない(土地分も建物分と同時)
〃所有権移転登記の登録免許税・司法書士への報酬国・司法書士土地の価額などで決まる出ていない
着工着工金(部分払1回目)建築会社記入例で3割出ていない
上棟など工事の途中中間金(部分払2回目)建築会社記入例で3割(又は4割)出ていない
竣工・引渡し最終金(残代金)建築会社記入例で3割(又は2割)ここで出る(適合証明書の提出後、借入れの契約をした日)
〃建物の登記・抵当権設定の登録免許税、ローンの契約書の印紙税、ローンの諸費用、火災保険料国・司法書士・金融機関・保険会社金融機関・保険の契約で決まる同じ時期
取得のあと(時期は都道府県ごと)不動産取得税(土地・建物)都道府県通知が来てから払う建物分は出たあと

(宅地建物取引業法第39条・第46条、民間建設工事標準請負契約約款(乙)、住宅金融支援機構【フラット35】FAQ・融資手続、国税庁タックスアンサーNo.7108・No.7191から作成)

この表の範囲

  • 金額は「決まり方」だけを書いています。 印紙税・登録免許税・ローンの諸費用がそれぞれいくらになるかは、この記事では扱いません。予算の中での諸費用の置き方は家づくりの予算は、希望から決めると足りなくなるに書いています
  • 地盤調査・建築確認の申請・設計の費用が工事代金に含まれるのか、別に払うのか、払うならいつかは、見積書と契約書で確かめます
  • 引渡しのあとに来る税金と手続きは、新築の引き渡し後1年のお金のカレンダーで月の順に見られます

工事代金の割合は、誰が決めているのか

法律の原則は「引渡しと同時に払う」

民法では、請負の代金(報酬)を払う時期が次のように決まっています。

報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。

(民法第633条)

つまり何も決めなければ、工事代金は家の引渡しのときにまとめて払うのが法律の原則です。 着工金や中間金は、契約でこれと違う払い方を決めているから発生します。

建設業法は、前払いや工事の途中での支払いを決めるなら、その時期と方法を契約書に書くことを求めています(第19条第1項第5号)。 支払いの条件は、口約束ではなく契約書に載っているはずのものです。

国の標準約款が示す「記入例」

国(中央建設業審議会)は、個人住宅などの小さな工事向けに「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」を作り、使うよう勧めています。 その契約書のひな形の「支払方法」の欄には、割合の記入例が付いています。

支払いの時点(約款の言葉)記入例この記事での呼び方
この契約成立のとき一割契約金
部分払 第一回三割着工金
部分払 第二回三割(又は四割)中間金
完成引渡しのとき三割(又は二割)最終金・残代金

(民間建設工事標準請負契約約款(乙)の契約書「支払方法」の注から作成。右の列は当方の補足で、約款は部分払の時点を指定していません)

この記入例は、2010年(平成22年)7月の改正で入りました。国土交通省のリーフレットは、その目的を「前払金等が過大とならないよう」契約書の記述を整えた、と説明しています。2025年(令和7年)12月の改正でも、この欄は変わっていません。

記入例は「標準」であって「決まり」ではありません

  • 標準約款は、中央建設業審議会が使うよう勧めているものです。国土交通省のガイドラインも「民間工事標準請負契約約款又はこれに沿った内容の約款」と書いており、建築会社が自社で作った約款と支払い条件を使う場合もあります
  • 実際の契約で、どの割合がどのくらい多いかを示した公的な統計は見つけられませんでした
  • だから「3割ずつが普通」と決めつけず、自分の契約書の数字で計算するのが出発点です

前払いが多すぎると、何が起きるか

国土交通省は、この記入例を入れる前の検討資料で、次の問題を挙げていました。

注文住宅の建設工事において、建設業の商慣行を熟知していない個人発注者が、出来高を大幅に超える代金を前払いし、請負者の倒産等の結果、大きな損害を被る事例がある。

(国土交通省「建設工事標準請負契約約款の改正について」資料5)

工事の途中で建築会社が倒れると、払った額のうちまだ形になっていない分が損害になりえます。 静岡県の相談窓口のページでは、工事の途中で倒産したときに対応を求められる先として、完成保証人と住宅保証機構の完成保証制度を挙げています。

みぞれ
みぞれ

契約金や着工金を、記入例より多めに払ってほしいと言われたら?

しぐれ
しぐれ

払った額と工事の進み具合の差が、どの時点でどれだけ大きくなるかを先に見ておきたいところです。会社が工事を続けられなくなったとき、その差がそのまま宙に浮きます。

住宅ローンの資金は、いつ出るのか

フラット35は「完成後に一括」

住宅金融支援機構の公式Q&Aでは、資金を受け取れる日が次のように書かれています。

適合証明書を取扱金融機関に提出した後、お客さまと取扱金融機関で借入れの契約(金銭消費貸借契約)を締結した日となります。

適合証明書は、竣工後の現場検査に合格すると交付されます。完成前に分けて受け取る仕組み(中間資金)はありません。

土地代も、建物分と一緒にしか借りられない

土地代をフラット35で借りる場合の扱いも、公式Q&Aにあります。

土地の購入費に対するお借入れのみ先に行うことはできません。建設費のお借入れと同時に行います。

さらに同じQ&Aに、注文住宅の場合の注意が書かれています。

注文住宅の場合で、住宅竣工前に土地購入資金のお支払が必要なときは、いったん自己資金をご用意いただくか他のローンをご利用いただくなどの必要があります。

土地の決済が建物の完成より前に来るなら、 フラット35を使う場合、土地代金の全額をいったん別の手段で用意することになります。

ほかのローンで土地を買った場合

同じQ&Aによると、ほかのローンで土地を取得した場合、フラット35の融資対象になるのはローンの残高ではなく、土地の取得に要した売買金額です。

完成前の支払いを埋める3つの方法

ローンの資金が出る前の支払いを、自己資金で払いきれないときに使われる方法です。どれも扱っているかどうかと条件は、金融機関ごとに違います。

方法仕組み確かめること
つなぎ融資住宅ローンとは別の短期の借入れ。土地代・着工金・中間金を払うときに借り、住宅ローンの資金が出た日に返す扱いの有無、何回に分けて借りられるか、利息・手数料、住宅ローンの資金でどう精算するか
分割融資(分割実行)住宅ローンそのものを、土地の決済・着工・中間など何回かに分けて出す。出た回ごとに担保の手続きが要ることがある何回まで、どの時点で出せるか、出た分から返済や利息の支払いが始まるか、回ごとの登記などの費用
土地先行融資分割融資の形の一つ。土地の代金の分だけ、建物より先に住宅ローンを出す。建物の完成までは、土地分は利息だけを払う商品がある建物の計画がどこまで決まっている必要があるか、建物分をいつまでに借りる必要があるか

フラット35は中間資金がないため、公式Q&Aは「つなぎ融資を用意している金融機関もありますので、金融機関にご相談ください」と案内しています。 つなぎ融資の仕組みと、なぜ注文住宅で必要になるのかはこちらの記事で詳しく書きました。

借りる手段の利息と手数料も、自己資金から出ることがあります

つなぎ融資の利息や事務手数料は、住宅の総額とは別にかかります。誰がいつ払うのか(借りたお金から差し引かれるのか、別に払うのか)は商品によって違うので、借りる前に確かめます。

自己資金がいくら要るか、見積もる手順

計算の式

ローンの資金が出る日より前に払う額 −(つなぎ融資・分割融資などで、その日までに借りる額)= 自己資金で用意する額

これに、ローンで借りないと決めた分(頭金にする額や、ローンに含めない諸費用)を足したものが、引渡しまでに用意する自己資金の合計です。

自分の契約で埋める表

契約書・見積書を見ながら、空欄を埋めます。

支払い時期(予定日)金額その日にローンの資金は出ているか自己資金で払う額
土地の手付金
土地の売買契約書の印紙税・仲介手数料
建物の契約金
請負契約書の印紙税
土地の残金・登記の費用
着工金
中間金
最終金
引渡し時の登記・ローン諸費用・火災保険
つなぎ融資の利息・手数料
合計

右端の列の合計が、手元に用意しておく額です。この額が今の貯金を超えるなら、借りる手段を足すか、支払い条件を建築会社と相談することになります。

試算:土地1,500万円・建物2,500万円の場合

当方の仮定で計算します。土地1,500万円(手付金150万円)、建物の工事代金2,500万円、フラット35で完成後に資金を受け取る、という前提です。諸費用は入れていません。

時期支払い記入例の割合(1・3・3・3)4割の例(1・3・4・2)
土地の売買契約手付金150万円150万円
建物の契約契約金(1割)250万円250万円
土地の決済残金1,350万円1,350万円
着工着工金(3割)750万円750万円
上棟など中間金(3割/4割)750万円1,000万円
ローンが出る前の合計3,250万円3,500万円
引渡し最終金(3割/2割)750万円500万円

(当方計算。割合は標準約款(乙)の記入例)

総額4,000万円のうち、3,250万〜3,500万円がローンの資金より前に来ます。

自己資金を300万円入れて、残りの3,700万円をフラット35で借りるとすると、記入例の割合の場合はこうなります。

  • 完成前の3,250万円のうち、自己資金300万円で足りない2,950万円を、つなぎ融資などで用意する
  • 引渡しの日にフラット35の3,700万円が出て、つなぎ融資の2,950万円を返し、残りの750万円で最終金を払う
  • つなぎ融資の利息と手数料は、この計算の外で別にかかる
みぞれ
みぞれ

分割融資なら、自己資金はもっと少なくて済むの?

しぐれ
しぐれ

住宅ローンが土地の決済や着工のたびに出る扱いなら、完成前に自己資金で払う分は減ります。ただ、手付金や契約金は、ローンの手続きが進む前に来る支払いです。その分は手元のお金で払うことになりやすいので、どの支払いの日に資金が出るのかを、金融機関の説明で一つずつ確かめます。

購入資金に充てる自己資金を、実際にみんながどのくらい入れているかは、フラット35利用者調査の手持金の数字を注文住宅と建売・マンションの記事と住宅ローンは年収の何倍?に載せています。

土地の手付金で知っておくこと

土地の売買契約のときに払う手付金には、法律の決まりがいくつかあります。

  • 手付を放棄すれば、買主は契約を解除できます。 売主は手付の倍額を払って解除できます。ただし、相手方が契約の履行に着手したあとはできません(民法第557条)
  • 不動産会社(宅建業者)が自分で売主になるときは、手付は代金の2割までです(宅地建物取引業法第39条)
  • 不動産会社が売主で、引渡し前に払う手付金などが代金の10%(工事完了前の物件は5%)か1,000万円を超えるときは、不動産会社は保証などの保全措置をとってからでないと受け取れません(同法第41条・第41条の2、施行令第3条の5)

個人が売主の土地は、2割の上限や保全措置の対象ではありません。手付金の額は売買契約で決めるので、契約書の金額と、解除したときの扱いを読んでおきます。

契約書で確かめる場所

工事請負契約書

請負契約書・約款で見るところ

  • 支払方法の欄:何回に分けるか、各回の割合(金額)、「着工時」「上棟時」など、どの時点で請求されるか
  • 請求から支払いまでの日数:標準約款(乙)では、部分払の請求書は支払日の5日前に出す形になっている
  • 最終金の支払いと引渡しの関係:引渡しと同時か、引渡し前か。ローンの資金が出る日と合っているか
  • 前払いの割合が、工事の進み具合と見合っているか:契約時や着工時の割合が大きすぎないか
  • 完成保証制度などに入っているか:工事の途中で会社が工事を続けられなくなったときの扱い
  • 契約前に払う申込金などがある場合:契約金に充てられるのか、契約しなかったときに戻るのか、書面で確かめる
  • 追加・変更工事の代金の払い方:変更が出たとき、どの回の支払いに上乗せされるか

土地の売買契約書

売買契約書で見るところ

  • 手付金の額と、残金の支払日(決済日)
  • 手付解除ができる期限(相手方が履行に着手するまで、または契約書で決めた日まで)
  • ローンが通らなかったときの扱い(融資利用の特約があるか、その期限と、解除したとき手付金が戻るか)
  • その期限までに本審査が間に合うかは、事前審査と本審査の「出す時期」の節で逆算できます
  • 不動産会社が売主の場合、手付金等の保全措置が要る額かどうか

金融機関の説明

住宅ローン・つなぎ融資で聞くところ

  • 住宅ローンの資金が出るのはいつか(完成後に一括か、分けて出せるか)
  • 完成前の支払いに使える借入れ(つなぎ融資・分割融資・土地先行融資)の扱いがあるか、何回まで借りられるか
  • その借入れの利息・手数料と、払う時期
  • 住宅ローンの資金が出た日に、つなぎ融資をどう精算するか

客先で支払いの話をするときの注意

住宅会社の営業担当の方が、お客様に支払い計画を説明するときに確かめてほしいことです。

説明の前に

  • 自社の支払い条件を、時期と金額の表にして渡す(割合だけでは、お客様は自己資金の額に直せない)
  • お客様が使う住宅ローンで、資金が出る時期を確かめてから、完成前の支払いと並べる
  • 土地がまだの場合、土地の決済日と、その資金の出どころを一緒に確認する
  • 「3割ずつが普通です」と言わない。国の標準約款の記入例があるだけで、決まった割合はない

まとめ

  • 工事代金の支払い時期は、民法の原則では引渡しと同時。着工金・中間金は契約で決めた分割払い
  • 国の標準約款(乙)の記入例は、契約時1割・部分払3割・部分払3割(又は4割)・引渡し時3割(又は2割)。決まりではなく、実際の割合は契約書で確かめる
  • フラット35の資金は完成後に一括。土地代も建物分と同時にしか借りられない
  • 記入例の割合で土地から買うと、土地代金の全額と建物代金の7〜8割がローンより先に来る
  • 自己資金で用意する額 = ローンの資金が出る前に払う額 -(つなぎ融資などで借りる額)。つなぎの利息・手数料は別にかかる
  • 前払いが工事の進み具合を大きく超えないか、完成保証などに入っているかも、契約前に見ておく

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出典

本記事は2026年10月15日時点で公表されている内容に基づいています。工事代金の支払い条件は建築会社との工事請負契約で、土地の支払い条件は売買契約で決まります。つなぎ融資・分割融資などの取扱いと条件は金融機関によって異なります。個別の支払い計画は、契約先の建築会社・売主・不動産会社と、金融機関の窓口にご確認ください。

よくある質問

注文住宅の着工金や中間金は、工事代金の何割くらいですか?

法律で決まった割合はなく、工事請負契約で決めます。国の標準請負契約約款(乙)の契約書には、記入例として「契約成立のとき1割、部分払1回目3割、2回目3割(又は4割)、完成引渡しのとき3割(又は2割)」が示されています。実際の割合は会社ごとに違うため、契約書の支払方法の欄で確かめます。

住宅ローンが出る前に、自己資金はいくら要りますか?

「ローンの資金が出る日より前に払う額」から「つなぎ融資などで借りる額」を引いた分です。フラット35のように建物の完成後に資金が出る場合、土地代金の全額と、建物の契約金・着工金・中間金が完成前に来ます。標準約款の記入例の割合なら、建物代金の7割(又は8割)と土地代金の全額です。

フラット35で土地代を借りる場合、土地の決済に間に合いますか?

間に合いません。フラット35では、土地の購入費の借入れだけを先に行うことはできず、建設費の借入れと同時です。住宅の完成前に土地代金を払うときは、自己資金か、ほかのローンでいったん用意する必要があると、住宅金融支援機構が案内しています。

着工金や中間金を払ったあとに建築会社が倒産したら、どうなりますか?

払った額が工事の出来高を上回っていると、その差額が損害になりえます。国土交通省の資料も、出来高を大幅に超える前払いをして請負者の倒産で大きな損害を受けた事例があると書いています。契約の前に、支払いの割合が工事の進み具合と見合っているか、完成保証制度などに入っているかを確かめます。