住宅ローンの金利が上がったら、家計のどこを見直すか|増える額・固定費の順番・教育費と老後

住宅ローンの金利が上がったら、家計のどこを見直すか|増える額・固定費の順番・教育費と老後のイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • まず、増える額と、増える時期を確かめる。残高3,000万円・残り30年で金利が1.0%から1.5%に上がると、毎月7,044円、年に約8.5万円増える(当方の試算)
  • 総務省の家計調査(2025年)で、住宅ローンを返している勤労者世帯の1か月は、返済92,873円、通信14,424円、自動車関係40,700円、教育26,582円。増える返済は、通信費の半分ほどの大きさ
  • 見直しは、契約で決まっていて一度で効果が続く固定費(通信・車・保険・定額の会費)から。食費などの変動費は効果が続きにくい(当サイトの考え)
  • 教育費と老後の積立は、削る順番の最後。 家計調査では、教育費は世帯主50〜54歳で月48,781円といちばん大きく、60〜64歳では収入が下がっても返済額はほぼ変わらない
  • 固定費で吸収できないなら、返済額を下げる方法(期間の延長・借り換えなど)を返済中の金融機関に相談する
住宅ローンを返している勤労者世帯の1か月の支出(総務省 家計調査2025年)と、金利が0.5%上がったときに増える返済7,044円(試算)の比べ。増える返済は通信費14,424円の半分ほど

変動金利の見直しの案内や、固定期間の終わりの通知が届くと、「返済が増える分を、家計のどこから出すか」を考えることになります。

この記事では、増える額を確かめる手順から始めて、総務省の家計調査で住宅ローンを返している世帯の家計を見たうえで、どこから見直すかの順番と、教育費・老後資金との兼ね合いを整理します。特定のサービスや保険、金融商品をすすめる記事ではありません。

まず、増える額と時期を確かめる

見直す額は、増える額で決まります。最初に、毎月いくら増えるかと、いつから増えるかを出します。

毎月いくら増えるか

例として、残高3,000万円・残り30年・金利1.0%(元利均等・ボーナス返済なし)で、金利が上がったときの返済額です。

金利毎月の返済毎月の増加年間の増加
1.0%(今)96,492円——
1.25%(+0.25%)99,976円+3,484円+約4.2万円
1.5%(+0.5%)103,536円+7,044円+約8.5万円
2.0%(+1.0%)110,886円+14,394円+約17.3万円

(当方の試算。上がったあと、残りの30年をその金利で計算し直した場合。実際の金利は上がることも下がることもある)

0.25%上がるごとに、毎月およそ3,500円ずつ増えると見ておけば、残高3,000万円前後の人は見当がつきます。借入額・期間・上がる幅ごとの表は住宅ローンの金利が上がったら返済はいくら増える?にあります。

いつから増えるか

増える時期は、金利の型と契約で違います。

  • 変動金利で5年ルールがある:返済額は5年ごとの見直しまで変わらない。ただし中の利息の割合は先に増える
  • 変動金利で5年ルールがない:金利の見直しの次の返済から増える
  • 固定期間が終わる:終わった翌月から、その時点の金利で計算し直される

自分がどれに当たるかと、返済のお知らせのどの欄を見るかは、変動金利が上がったら返済はいつから増える?と10年固定が終わるときに書いています。5年ルールで返済額が据え置かれている間は、見直しまでの時間があるということです。その間に家計を組み直せます。

みぞれ
みぞれ

増えるのが月7,000円くらいなら、なんとかなりそうな気もするけど。

しぐれ
しぐれ

月7,000円は年8.5万円です。それが返し終わるまで毎年続きます。 一度きりの出費ではないので、毎月の固定費の側で吸収する形を先に作っておくほうが崩れにくくなります。

住宅ローンを返している世帯の家計(家計調査2025年)

総務省の家計調査は、住宅ローンを返している世帯の家計を、別の表で集計しています。二人以上の世帯のうち勤労者世帯で、住宅ローンを返している世帯(1,573世帯、世帯主の平均年齢47.2歳、世帯人員3.55人)の、2025年の1か月平均です。

項目1か月平均
実収入(税・社会保険料を引く前)768,493円
可処分所得(手取り)617,635円
消費支出363,874円
うち食料98,937円
うち自動車等関係費40,700円
うち教養娯楽37,340円
うち教育26,582円
うち光熱・水道25,794円
うち通信14,424円
住宅ローンの返済(土地家屋借金返済)92,873円
黒字(手取り−消費支出)253,761円
うち預貯金純増180,479円

(総務省統計局 家計調査〈家計収支編〉2025年 第3-10表。1か月平均で、賞与も12か月にならして入っている〈賞与は月115,196円〉)

住宅ローンの返済は、家計調査では「消費支出」ではなく、借金の返済として別に数えられています。上の表の黒字253,761円から、返済の92,873円が出ていく形です。

月7,044円の増加は、この世帯の通信費(14,424円)の半分ほど、自動車等関係費(40,700円)の6分の1ほどの大きさです。 消費支出全体(363,874円)から見れば2%に届きません。固定費の見直しで吸収できる大きさだと分かります。

平均の数字は、自分の家計ではない

家計調査は、家計簿をつけてもらう標本調査の平均です。黒字にも賞与が12か月にならして入っているので、ボーナスのない月の実際の余裕はこれより小さくなります。 自分の家計は、通帳やカードの明細から同じ項目で並べて比べてください。

見直す順番:一度で効果が続くところから

ここからは当サイトの考え方です。公的な資料が見直しの順番を決めているわけではありません。

返済の増加は、返し終わるまで毎月続きます。だから毎月、自動で効果が続く見直しから手をつけるのが合っている、と当サイトは考えています。食費を毎月がんばって削る形は、効果が続きにくく、暮らしの満足も下がりやすいからです。

順番どこを見るか見るポイント
1通信(家計調査では月14,424円)家族全員の契約の内容(データの量・オプション・端末の分割払い)。使っていない分に払っていないか
2車(自動車等関係費 月40,700円)台数、買い替えの時期、駐車場、任意保険の補償の内容。購入と維持の両方を見る
3保険団信と生命保険の保障が重なっていないか(団信に入ったら、生命保険はいくら減らせるか)。解約は、代わりの保障を決めてから
4定額の会費・サブスクリプション毎月引き落とされているものを明細で全部書き出す
5電気・ガスなどの契約契約の種類と使い方。料金の比較は契約先ごとの案内で
6食費・日用品・娯楽などの変動費効果が続きにくいので最後。無理に削らない

(当サイトの整理。どの会社・サービスがよいかは書かない)

1回の見直しで毎月7,000円が浮けば、それで金利0.5%分の増加はまかなえます。 通信と車と保険のどこか1つで届くこともあります。

しぐれ
しぐれ

明細を見ながら「毎月、黙って引き落とされているもの」に印をつけてみてください。見直しの候補は、たいていその中にあります。

教育費との兼ね合い

金利の上昇と、子どもの教育費の増加は、時期が重なりやすいものです。家計調査の同じ表で、世帯主の年齢ごとの教育費(1か月平均)を見ると、こうなります。

世帯主の年齢教育うち授業料等うち補習教育(塾など)
40〜44歳26,000円14,238円11,110円
45〜49歳37,283円25,085円11,426円
50〜54歳48,781円41,783円6,482円
55〜59歳21,877円20,156円1,417円

(総務省統計局 家計調査〈家計収支編〉2025年 第3-10表。住宅ローン返済世帯〈勤労者世帯〉)

教育費は世帯主が50〜54歳のときにいちばん大きくなり、その中身は授業料などの学校に払うお金です。 塾などの補習教育は40代後半が大きくなっています。

教育費の積み立ては、使う時期と額が先に決まっているお金です。返済の増加をまかなうために教育費の積み立てを止めると、進学のときにまとめて足りなくなります。積み立ては削る順番の最後に置き、先に固定費で吸収するのが、当サイトの考える順番です。

自分の家で教育費がいつ大きくなり、返済といつ重なるかは、子どもの生まれ年から出せます。教育費と住宅ローンは両立できるかに、学年ごとの額と計算ツールがあります。

老後資金との兼ね合い

もうひとつ重なるのが、収入が下がる時期と返済の時期です。同じ表で、世帯主が55〜59歳と60〜64歳の世帯を比べます。

世帯主の年齢実収入住宅ローンの返済
55〜59歳825,979円97,046円
60〜64歳638,465円96,646円

(総務省統計局 家計調査〈家計収支編〉2025年 第3-10表。60〜64歳は集計世帯数が95世帯と少ないため、目安として見る)

60〜64歳では実収入が2割以上下がっていますが、返済額はほとんど変わっていません。 返済が60代まで続く家計では、金利が上がった分も60代まで続きます。

老後のための積み立てを減らして返済に回す前に、確かめておくことがあります。

老後の積み立てを動かす前に

  • iDeCoの掛金の変更は年1回。 iDeCo公式サイトでは、掛金額の変更は毎年12月分から翌年11月分の間で年1回に限られている。掛金を出すのをやめる場合は「運用指図者」になる手続きが要り、それまでの資産は原則60歳まで引き出せない
  • 返済がいつ終わるか。 定年や年金生活に入るより後なら、金利の上昇分も年金生活に持ち込むことになる
  • 65歳から受け取れる年金の見込み。 ねんきん定期便で確かめられる(ねんきん定期便の見方)

返済が終わる年齢が遅い場合は、手元にお金ができたときに期間短縮型の繰上げ返済で終わりを早める方法もあります。2つの型の比べ方は繰上げ返済は「期間短縮」と「返済額軽減」どちら?に、繰上げ返済とNISA・iDeCoのどちらにお金を回すかは繰上げ返済とNISA・iDeCo、どちらにお金を回すかにまとめています。

固定費で吸収できないときは、返済のほうを下げる

固定費を見直しても増えた分をまかなえない、または教育費や収入減と重なって毎月が苦しくなる、という場合は、家計ではなく返済額のほうを下げる方法を考えます。

  • 条件変更(一定期間の減額、ボーナス返済の見直し)
  • 返済期間の延長
  • 借り換え(審査があるので、払えているうちに)
  • 手元にお金があれば、返済額軽減型の繰上げ返済

それぞれ毎月がいくら下がり、総額がいくら変わるかは、住宅ローンの返済額を下げる3つの方法で比べています。どれも、延滞する前に返済中の金融機関に相談するほうが選べる幅が広くなります。

まとめ

  • 最初に、増える額と時期を確かめる。残高3,000万円・残り30年で1.0%→1.5%なら毎月7,044円・年約8.5万円増(試算)。0.25%ごとに月約3,500円が目安
  • 家計調査(2025年)で、住宅ローンを返している勤労者世帯の1か月は、返済92,873円・通信14,424円・自動車関係40,700円・教育26,582円
  • 見直しは、契約で決まっていて一度で効果が続く固定費(通信・車・保険・定額の会費)から。変動費は最後(当サイトの考え)
  • 教育費は世帯主50〜54歳で月48,781円がいちばん大きい。教育費の積み立ては削る順番の最後に
  • 60〜64歳では実収入が2割以上下がっても、返済額はほぼ変わらない。iDeCoの掛金の変更は年1回
  • 固定費で吸収できなければ、返済額を下げる方法を返済中の金融機関に相談する

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出典

本記事は2026年10月24日時点で公表されている統計と資料にもとづいています。試算は元利均等・金利一定などの前提を置いた目安で、家計調査の数字は標本調査の平均です。返済額が変わる時期と額は返済中の金融機関の窓口で、iDeCoの掛金の変更は加入している運営管理機関でご確認ください。

よくある質問

住宅ローンの金利が0.5%上がると、毎月いくら増えますか?

残高と残りの期間で変わります。当サイトの試算では、残高3,000万円・残り30年で金利が1.0%から1.5%に上がると、毎月7,044円、年に約8.5万円増えました。いつから増えるかは、金利の型と5年ルールの有無で違います。

住宅ローンを返している世帯は、毎月いくら返していますか?

総務省の家計調査(2025年)では、住宅ローンを返している二人以上の勤労者世帯の土地家屋借金返済は、1か月平均92,873円でした。賞与で返す分も12か月にならして入っている数字です。

家計のどこから見直すとよいですか?

当サイトでは、通信・車・保険のように契約で決まっていて、一度見直せば効果が続く固定費から見ることをすすめています。食費などの変動費は、効果が続きにくい部分です。教育費や老後のための積立は、削る順番の最後に置きます。

金利が上がったら、iDeCoの掛金を減らしてもいいですか?

減らすこと自体はできますが、iDeCoの掛金額の変更は、毎年12月分から翌年11月分の間で年1回に限られています(iDeCo公式サイト)。減らす前に、ほかの固定費で吸収できないかを先に見ます。