年収850万円を超える共働き世帯は、年末調整の申告書のいちばん下の欄を書かないと、この控除を受けられません。 0歳の子がいる家庭も対象です。まず、自分が対象かを確かめてください。
3つ答えると、対象かどうかと控除額が出ます。
令和8年分(2026年)の決まりによる目安です。給与ではなく事業の収入だけの人(自営業)は対象外です。
先に結論
- 対象は、給与の年収が850万円を超え、23歳未満の扶養親族か特別障害者(本人・家族)がいる人
- 給与所得から(年収−850万円)×10%、最高15万円を引く
- 23歳未満の扶養親族には16歳未満の子や0歳の子も入ります。扶養控除が付かない年齢の子でも対象です
- 夫婦とも850万円超なら、同じ子で夫婦それぞれが受けられます(扶養控除のように片方に決めなくてよい)。2人とも自分の勤務先の申告書に書く
- 年末調整では「基礎控除申告書 兼 …… 兼 所得金額調整控除申告書」のいちばん下の欄に書く。年収850万円以下の人は書かなくてよい
- 給与所得が下がるので、年収1,095万〜1,210万円の人は配偶者控除の区分が変わることがある
- 給与と年金の両方がある人の控除(最高10万円)は別の仕組みで、年末調整では引かれず確定申告で受けます
年末調整の申告書には「所得金額調整控除申告書」という欄があります。 年収850万円以下の人には関係がないため、名前だけ見て読み飛ばす人も多い欄です。
ただ、年収850万円を超える共働き世帯には、夫婦それぞれに最高15万円の控除になります。 子どもが小さく扶養控除が付かない家庭ほど、見落としやすい控除です。
この記事では、誰が対象で、いくら引かれ、どこに何を書くかをまとめます。 もとにしたのは、国税庁のタックスアンサーNo.1411、「令和8年分 年末調整のしかた」、令和8年分の申告書の様式です。 申告書のほかの欄(基礎控除・配偶者控除)の書き方は基礎控除申告書の書き方に、年末調整全体の変更点は年末調整の書き方2026にあります。
所得金額調整控除は2種類ある
所得金額調整控除は、給与所得の金額から一定の額を引く仕組みです。 所得から引く「所得控除」(扶養控除や基礎控除)とは違い、給与所得そのものを小さくします。
国税庁のタックスアンサーNo.1411によると、中身は2種類あります。
| 子ども・特別障害者等を有する者等の控除 | 給与所得と年金所得の双方を有する者の控除 | |
|---|---|---|
| 対象 | 給与の年収850万円超で、23歳未満の扶養親族や特別障害者がいる人 | 給与所得と公的年金等の雑所得の両方がある人 |
| 控除額 | (年収−850万円)×10%、最高15万円 | 最高10万円 |
| 年末調整 | 受けられる(申告書を出す) | 受けられない(確定申告) |
この記事の大部分は、年末調整で使う左側の控除の話です。右側は、後半の「給与と年金の両方がある人の控除」の見出しにまとめました。
給与所得控除の「頭打ち」を、1,000万円まで延ばすのと同じ
給与所得控除は、年収850万円以上で195万円のまま増えません(令和8年分の申告書の裏面)。 所得金額調整控除の対象になる人は、後で計算するとおり、年収1,000万円まで給与所得控除が増え続けるのと同じ計算になります。
対象になる人:年収850万円超と、家族の要件
給与の年収が850万円を超えたうえで、次のどれかに当てはまる人が対象です(No.1411)。
3つの要件のどれか1つ
- ☐ 本人が特別障害者
- ☐ 年齢23歳未満の扶養親族がいる
- ☐ 特別障害者である同一生計配偶者、または特別障害者である扶養親族がいる
「23歳未満の扶養親族」は、0歳の子も入る
ここでいう扶養親族は、生計を一にする親族のうち、合計所得金額が62万円以下の人です(令和8年分の申告書の裏面4-1⑷)。 給与だけなら、年収136万円以下です。 年齢の下限はありません。年齢は、その年の12月31日時点で判定します。
令和8年分なら、平成16年1月2日以後に生まれた扶養親族が対象です(申告書の要件欄の表記)。
扶養控除とは、対象になる子の年齢が違います。
| 子の年齢(12月31日時点) | 扶養控除 | 所得金額調整控除の要件 |
|---|---|---|
| 0〜15歳 | 付かない | 当てはまる |
| 16〜18歳 | 付く | 当てはまる |
| 19〜22歳 | 付く(特定扶養親族) | 当てはまる |
| 23歳以上 | 付く | 当てはまらない(特別障害者なら別) |
(どちらも、子の合計所得金額が62万円以下の場合。扶養控除の額は扶養控除等申告書の記入例にあります)
19〜22歳で年収136万円を超えた子は外れる
19歳以上23歳未満の子が、給与で年収136万円超197万円以下を稼ぐと「特定親族」になります。 親は特定親族特別控除を受けられますが、特定親族は扶養親族ではありません。 その子のぶんでは、所得金額調整控除の要件に当てはまらなくなります。 ほかに23歳未満の扶養親族がいれば、その子で要件を満たします。 特定親族の判定は基礎控除申告書の書き方にあります。
令和8年分は、扶養親族の所得の線が58万円以下から62万円以下に上がりました(年末調整のしかた p.3〜4)。 給与だけの子なら、年収136万円以下まで扶養親族に入ります。
介護している家族が「特別障害者」なら、年齢を問わない
特別障害者は、身体障害者手帳の1級・2級、精神障害者保健福祉手帳の1級、重度の知的障害と判定された人などです。 介護の場面で関わるのは、次の2つです(申告書の裏面4-1⑷イ)。
- 常に就床を要し、複雑な介護を要する人
- 65歳以上で、障害の程度が特別障害者と同程度だと市町村長などの認定を受けた人
親を扶養していて、その親が特別障害者に当たるなら、親の年齢に関係なく要件を満たします。 配偶者の場合は、所得が62万円以下の「同一生計配偶者」で特別障害者であることが条件です。
手帳がない人の認定(障害者控除対象者認定書)と、特別障害者の判定のしかたは障害者控除はいくら?にまとめています。

年収850万円って、手取りじゃなくて額面のことだよね?

額面のほうです。ボーナスも足した1年分の給与で見ます。勤務先が2か所ある人は、どちらの給与で判定されるかに注意してください(後の見出しで説明します)。
自営業・副業・会社役員の場合
条件は「給与の年収が850万円を超えること」です(No.1411は「給与等の収入金額」と書いています)。 事業の売上や所得がいくら多くても、給与ではないので当てはまりません。
| 働き方 | 対象になるか | 受ける手続き |
|---|---|---|
| 会社員・公務員(給与の年収850万円超) | なる | 年末調整(確定申告でも可) |
| 自営業・フリーランス(事業の収入だけ) | ならない | ― |
| 会社員+副業の事業 | 給与だけで850万円を超えればなる(事業の収入は数えない) | 確定申告 |
| 自分の会社から役員報酬をもらう(法人化した人) | 役員報酬は給与なので、850万円を超えればなる | 年末調整(確定申告でも可) |
| 夫婦の片方が会社員、片方が自営業 | 会社員の方だけなる。子がどちらの扶養に入っていても受けられる | 会社員の方の年末調整 |
(家族の要件〈23歳未満の扶養親族など〉は、どの働き方でも同じです)
控除額は最高15万円:年収別の早見表
控除額の計算は次のとおりです(No.1411、年末調整のしかた p.36)。
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額
(国税庁 タックスアンサーNo.1411。1円未満の端数は切り上げ)
年収ごとに当てはめると、こうなります(給与だけの場合・当方計算)。
| 年収 | 給与所得控除後の金額 | 所得金額調整控除 | 調整控除後の給与所得 |
|---|---|---|---|
| 850万円 | 655万円 | 0円(850万円「超」が条件) | 655万円 |
| 900万円 | 705万円 | 5万円 | 700万円 |
| 950万円 | 755万円 | 10万円 | 745万円 |
| 1,000万円 | 805万円 | 15万円 | 790万円 |
| 1,200万円 | 1,005万円 | 15万円(上限) | 990万円 |
国税庁の「年末調整のしかた」にも計算例があります。 給与の総額876万5,432円なら、(876万5,432円−850万円)×10%=2万6,543.2円を切り上げて、2万6,544円です。
年収850万〜1,000万円は「年収×90%−110万円」が続く
年収850万円を超えると、給与所得控除は195万円で止まります。 所得金額調整控除を引くと、調整後の給与所得は年収×90%−110万円になります。 これは年収660万〜850万円の区間と同じ式です(当方で検算)。 上限の15万円に達する年収1,000万円まで、この式が続きます。
税金はいくら減るか
所得金額調整控除で減る税は、控除額×(所得税の税率+住民税10%)が目安です。 所得税には、ほかに所得税額の2.1%の復興特別所得税がかかります。
| 控除額 | 所得税の税率20%の場合 | 所得税の税率23%の場合 |
|---|---|---|
| 5万円(年収900万円) | 約1.5万円 | 約1.7万円 |
| 10万円(年収950万円) | 約3.0万円 | 約3.3万円 |
| 15万円(年収1,000万円以上) | 約4.6万円 | 約5.0万円 |
(当方計算。所得税+復興特別所得税+住民税の所得割10%。所得税の税率は、課税所得330万円超695万円以下が20%、695万円超900万円以下が23%)
住民税にも同じ所得金額調整控除があります(東京都主税局「個人住民税」)。 年末調整の結果は勤務先から市区町村に送られ、翌年度の住民税に反映されます。
夫婦の両方が受けられる:扶養控除との違い
扶養控除は、1人の子をどちらか一方の親しか申告できません。 所得金額調整控除には、この制限がありません。
例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。
(国税庁 タックスアンサーNo.1411)
| 扶養控除 | 所得金額調整控除 | |
|---|---|---|
| 同じ子を夫婦の両方で使う | できない(どちらか一方) | できる |
| 対象の子の年齢 | 16歳以上 | 23歳未満(0歳から) |
| 本人の収入の条件 | なし | 給与の年収850万円超 |
| 年末調整で出す書類 | 扶養控除等申告書 | 基礎控除申告書 兼 …… 兼 所得金額調整控除申告書 |
たとえば、夫婦とも年収950万円で、8歳と3歳の子がいる世帯を考えます。 2人の子はどちらも16歳未満なので、扶養控除は付きません。 それでも所得金額調整控除は、夫と妻にそれぞれ10万円です。

扶養控除の申告書で子どもを夫の側に書いていると、妻は「自分には関係ない」と思って欄を空けがちです。妻も自分の勤務先に、所得金額調整控除の欄を書いて出してください。
扶養控除等申告書のどちらの側に子を書くかは、扶養控除等申告書の記入例にあります。
年末調整で書く欄:申告書のいちばん下
年末調整では、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を出します。 所得金額調整控除の欄は、この申告書のいちばん下の段です。
欄の見出しの横に、次の一文があります。
あなたの本年中の年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円以下の場合は、記載する必要はありません。
(国税庁「令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 …… 兼 所得金額調整控除申告書」)
要件の欄にチェックを付け、右の欄を書く
欄は「要件」「☆扶養親族等」「★特別障害者」の3つに分かれています。 チェックした要件によって、書く欄が決まります。
| 要件欄でチェックする項目 | 書く欄 |
|---|---|
| あなた自身が特別障害者 | ★欄だけ |
| 同一生計配偶者が特別障害者 | ☆欄と★欄 |
| 扶養親族が特別障害者 | ☆欄と★欄 |
| 扶養親族が年齢23歳未満(平16.1.2以後生) | ☆欄だけ |
(令和8年分の申告書の表面から作成)
☆扶養親族等の欄には、対象の人の氏名(フリガナ)、個人番号、生年月日、あなたとの続柄、本年中の合計所得金額の見積額を書きます。 住所があなたと違う場合は、その住所も書きます。
★特別障害者の欄には、手帳の種類と交付年月日、障害の等級などを書きます。 扶養控除等申告書に書いた特別障害者と同じ人なら、「扶養控除等申告書のとおり」にチェックを付ければ足ります。
1人書けば足りる
- 要件欄の2つ以上に当てはまっても、どれか1つにチェックを付けて書けば足ります(表面の注1)
- 該当する人が複数いても、1人を書けば足ります(裏面4-2⑴)。子が3人いても控除額は同じです
- 個人番号の欄は、勤務先によっては書かなくてよい場合があります(裏面5)。勤務先に確かめてください
同じ申告書の「合計所得金額の見積額」には、控除後の額を書く
申告書の上の段(基礎控除申告書)では、自分の合計所得金額の見積額を書きます。 所得金額調整控除を受ける人は、控除を引いたあとの金額を書きます(表面の注)。
たとえば年収1,000万円なら、給与所得は805万円ではなく790万円です。 基礎控除の判定欄(655万円超900万円以下の62万円)は、この金額でチェックします。 判定欄の書き方は基礎控除申告書の書き方にあります。
850万円の判定と、控除額の計算は勤務先がする
年末調整での850万円超の判定は、扶養控除等申告書を出している勤務先(主たる給与の支払者)の、年末調整の対象となる給与の総額で行います(年末調整のしかた p.19)。 控除額もその勤務先が計算します(申告書の裏面4-1⑶)。
- 年の途中で転職した人は、前の勤務先の給与も年末調整に含めるので、合計で判定されます(同 p.36)
- 2か所から給与をもらっている人は、副業先の給与は年末調整に入りません。合計で850万円を超えるなら、確定申告で受けます
- 年収が850万円をわずかに超えるか分からないときは、要件に当てはまれば欄を書いて出しておく方法があります。850万円以下なら控除は適用されません
年末調整が終わったら、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額(調整控除後)」の欄に、控除を引いた後の金額が載ります。 「所得金額調整控除額」の欄に控除額が、摘要の欄に対象の子などの氏名と「(調整)」が書かれます(法定調書の作成と提出の手引)。 欄の場所は源泉徴収票の見方にあります。
年末調整のあとで子が生まれたら
年齢と家族の判定は12月31日時点です。 年末調整のあと、12月31日までに子が生まれるなど扶養親族が増えた場合は、年末調整のやり直しができます(年末調整のしかた p.9)。 間に合わなかったときの直し方は年末調整の間違いに後で気づいたらにあります。
合計所得金額が下がると、配偶者控除の区分も変わる
所得金額調整控除で給与所得が下がると、合計所得金額も下がります。 合計所得金額で決まるほかの控除に、影響が出ることがあります。
いちばん効くのは、配偶者控除・配偶者特別控除です。 本人の合計所得金額が900万円以下ならA、950万円以下ならB、1,000万円以下ならCの区分になり、1,000万円を超えると受けられません。
| 本人の区分 | 合計所得金額 | 控除なしの年収 | 所得金額調整控除15万円がある年収 |
|---|---|---|---|
| A | 900万円以下 | 1,095万円以下 | 1,110万円以下 |
| B | 950万円以下 | 1,145万円以下 | 1,160万円以下 |
| C | 1,000万円以下 | 1,195万円以下 | 1,210万円以下 |
(給与だけの場合・当方計算)
「年末調整のしかた」も、合計所得金額が1,000万円を超える年収を、1,195万円超(所得金額調整控除の適用がある場合は1,210万円超)と示しています。 配偶者特別控除の表の年収にも、適用がある場合は15万円を加えるよう注記があります。
たとえば年収1,200万円で、配偶者は収入なし、10歳の子がいる人を考えます。
- 所得金額調整控除がなければ、合計所得金額は1,005万円で、配偶者控除は受けられません
- 子がいて所得金額調整控除15万円を引くと、合計所得金額は990万円になり、区分Cで配偶者控除13万円(所得税)を受けられます
配偶者控除の区分と控除額の表は、基礎控除申告書の書き方にあります。
489万円・655万円の段差には効かない
基礎控除は、合計所得金額489万円・655万円で段差があります(合計所得489万円の崖)。 年収でいうと約666万円と850万円です。 所得金額調整控除は年収850万円「超」から始まるので、この2つの段差の位置は変わりません。
給与と年金の両方がある人の控除(最高10万円)
もう1つの所得金額調整控除は、給与所得と公的年金等の雑所得の両方がある人のものです。 年収850万円の条件も、子どもの条件もありません。 60代で働きながら年金を受け取る人などが当てはまります。
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額
(国税庁 タックスアンサーNo.1411)
給与所得控除後の金額と年金の雑所得が、どちらも10万円以上あれば、控除額は10万円です。 どちらかが10万円未満なら、その分だけ小さくなります。 たとえば給与所得控除後の金額が50万円、年金の雑所得が3万円なら、10万円+3万円−10万円=3万円です(当方計算)。
子ども・特別障害者等の控除も受ける人は、その控除を引いた後の給与所得から、さらにこの控除を引きます。
年末調整では引かれない
No.1411で年末調整で使えるとされているのは、子ども・特別障害者等の控除のほうです。 給与と年金の両方がある人の控除は、確定申告で計算します。 年金を受け取る人の確定申告の要否は年金受給者の確定申告不要制度に、会社員の確定申告の要否は会社員の確定申告が必要な人・不要な人にあります。
令和8年度税制改正の大綱には、給与と年金の両方がある人について、別の見直しも書かれています。 給与所得控除額と公的年金等控除額の合計が280万円を超える場合に、超えた分を公的年金等控除額から差し引くというもので、令和9年分以後の所得税が対象です。 所得金額調整控除そのものの見直しではありません。
令和8年分で変わったこと・変わっていないこと
| 令和8年分 | |
|---|---|
| 所得金額調整控除の要件・計算式・最高額 | 変わっていない(850万円超、10%、最高15万円/最高10万円) |
| 申告書の欄 | 名前に「特定親族特別控除申告書」が加わったが、所得金額調整控除の欄の中身は同じ形 |
| 扶養親族の所得の線 | 58万円以下 → 62万円以下(給与だけなら年収136万円以下) |
| 23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除 | 一般生命保険料控除の上限が6万円になる特例ができた(令和8・9年分) |
所得金額調整控除そのものは、令和8年度税制改正の大綱でも見直しの対象になっていません。 同じ「23歳未満の扶養親族」を条件にする生命保険料控除の特例は、保険料控除申告書の記入例にあります。
いただいたご質問
Threadsで、次のご質問をいただきました。
高校生がいる場合は対象になるのか?
対象になります。 次の3つがそろえば受けられます。
| 確かめること | 対象になる | 対象にならない |
|---|---|---|
| 子の年齢(その年の12月31日) | 23歳未満(高校生は当てはまる) | ― |
| 子の1〜12月の収入 | 給与だけなら年収136万円以下(合計所得金額62万円以下。令和7年分は123万円以下) | 136万円を超えた。家業の専従者として給与をもらっている |
| 自分の給与の年収(額面) | 850万円超 | 850万円以下。給与ではなく事業の収入だけ |
- 寮や下宿で離れて暮らしていても、休みには家に戻って一緒に過ごしている場合や、ふだん生活費や学費を送っている場合は、生計を一にする扶養親族として扱われます(所得税基本通達2-47)
- 夫婦とも850万円超なら、同じ子で夫婦それぞれが受けられます(扶養控除のように片方に決めなくてよい)
- 年末調整で書き忘れたら、確定申告で受けられます
営業担当が、客先で押さえておくこと
住宅会社の営業担当の方が、年収の高い共働き世帯の資金計画を聞くときの注意です。
年収850万円を超える世帯で確かめること
- 夫婦のどちらも850万円を超えるか。超えるなら、所得金額調整控除は2人分になる
- 子が16歳未満でも対象になる。扶養控除が無いからといって控除ゼロとは限らない
- 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額(調整控除後)」は、控除を引いた後の数字。住宅ローン控除の試算などに合計所得金額を使うときは、この欄から読む
- 年収1,100万〜1,200万円台の人は、配偶者控除の区分がこの控除で変わることがある
まとめ
- 所得金額調整控除は、給与の年収850万円超で、23歳未満の扶養親族か特別障害者がいる人の給与所得から(年収−850万円)×10%、最高15万円を引く
- 23歳未満の扶養親族には0歳の子も入る。合計所得金額が62万円を超える子(特定親族など)は入らない
- 夫婦とも850万円超なら、同じ子で夫婦それぞれが受けられる(扶養控除のように片方に決めなくてよい)
- 年末調整では、基礎控除申告書と同じ用紙のいちばん下の欄に書く。要件にチェックし、☆欄・★欄を書く
- 合計所得金額が下がるので、年収1,095万〜1,210万円の人は配偶者控除の区分が変わることがある
- 給与と年金の両方がある人の控除(最高10万円)は、年末調整では引かれず確定申告で受ける
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出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1411 所得金額調整控除
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(PDF)
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(PDF)
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第2章(PDF)
- 東京都主税局「個人住民税」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」一 個人所得課税
本記事は2026年10月17日時点で公表されている内容に基づいています(令和8年分の所得税)。年収ごとの金額と税の目安は、給与だけ・特定支出控除の適用がない前提で筆者が計算したものです。個別の判断は、勤務先の担当部署または所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
所得金額調整控除は、子どもが何歳なら対象ですか?
その年の12月31日時点で23歳未満の扶養親族がいれば対象です。令和8年分は平成16年1月2日以後に生まれた子です。扶養控除と違って下の年齢の線がないため、16歳未満の子や0歳の子も入ります。ただし子の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)であることが条件です。
夫婦とも年収850万円を超えています。2人とも受けられますか?
受けられます。扶養控除は1人の子をどちらか一方しか申告できませんが、所得金額調整控除にはその制限がありません。国税庁のタックスアンサーNo.1411も、夫婦の間に23歳未満の子が1人いる場合に夫婦の双方が受けられると説明しています。それぞれが自分の勤務先に申告書を出します。
年収が850万円を超えるかどうか、申告書を出す時点で分かりません。
子どもなどの要件に当てはまるなら、申告書の所得金額調整控除の欄を書いて出しておく方法があります。控除額は勤務先が年末調整の対象となる給与の総額で計算し、850万円以下なら控除は適用されません。
給与と年金の両方をもらっています。年末調整で引かれますか?
給与と年金の両方がある人の所得金額調整控除(最高10万円)は、年末調整では引かれません。国税庁のタックスアンサーNo.1411で年末調整で使えるとされているのは、子ども・特別障害者等の控除のほうだけです。年金側の控除は確定申告で計算します。


