住宅ローンの事前審査と本審査|注文住宅は何社に、いつ出すか

住宅ローンの事前審査と本審査|注文住宅は何社に、いつ出すかのイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 事前審査(仮審査)は「借りられそうか」の見込み、本審査は正式な申込みへの審査。 事前審査に通っても、本審査の結果は約束されません(住宅金融支援機構)
  • 本審査には、本人確認・収入の証明(前年と前々年)・物件の資料(建設費の見積書や請負契約書、土地の売買契約書など)が要ります
  • 見られることは金融機関ごとに違います。年齢・健康状態・年収・勤続年数・返済負担率・担保評価は、民間金融機関の9割以上が審査項目にしています。ただし勤続年数の基準は「1年以上」が多数で「3年以上」もあるなど、線の引き方はばらばらです(国土交通省の調査)
  • 申し込むと、申込みの事実が信用情報機関に残ります。 CIC・JICCは照会日から6か月、全国銀行個人信用情報センターは会員への提供が6か月以内(本人開示は1年以内)
  • 注文住宅では、土地のローン特約の期限から逆算して本審査が間に合う時期に事前審査を出します
  • 何社が正解という基準はありません。 比べたいことを決め、候補を絞って、同じ時期にまとめて出すのが一つの考え方です

住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2回に分かれているのが一般的です。 「とりあえず何社か出しておけば安心」と考える人もいれば、「申し込むと記録が残るから1社だけ」と考える人もいます。

どちらが正しいかは、審査で何が見られ、申し込むと何が残るのかを知ってから決めたほうが早く済みます。 この記事では、住宅金融支援機構、国土交通省の調査、3つの信用情報機関の公表内容で、その中身を確かめます。

なお、借りる額そのものの決め方(審査で通る額と返せる額の違い)は住宅ローンは「借りられる額」と「返せる額」が違うに書いています。この記事は、決めた額をどう申し込むかの話です。

事前審査と本審査は、何が違うか

事前審査(仮審査)本審査
いつ土地や建物の契約より前(物件が決まる前に受けられる金融機関もある)物件の資料がそろってから。正式な借入れの申込み
何を出すか金融機関ごとに違う。申込者の情報・年収・ほかの借入れなど借入申込書、収入の公的な証明、物件の資料、団信の申込みなど
結果の重み見込み。正式な審査結果ではない正式な結果。このあと借入れの契約(金銭消費貸借契約)に進む
実施の有無実施していない金融機関もある借入れには必須

(住宅金融支援機構【フラット35】よくある質問・融資手続から作成)

事前審査の扱いは、フラット35の公式Q&Aでこう案内されています。

なお、事前審査は仮審査であり、借入申込後の正式な審査結果を約束するものではありませんのでご注意ください。

(住宅金融支援機構【フラット35】よくある質問 Q&A番号3676)

同じQ&Aには、取扱金融機関によって事前審査を実施していない場合があるとも書かれています。事前審査は法律で決まった手続きではなく、金融機関がそれぞれ設けているものです。

本審査の結果が出るまでの期間は、フラット35の場合、申込みから1〜2週間程度が目安とされています(融資手続のページ。機構は「進捗期限ではありません」と添えています)。

本審査では、保証会社の審査も入ることがある

民間金融機関の住宅ローンでは、保証会社の保証を付けることを条件にしている例が多くあります。 国土交通省の調査では、連帯保証を審査項目にしている金融機関が842ありました。そのうち系列の保証会社の保証が必要と答えたのが529機関、外部の保証会社の保証が必要が401機関です(複数回答)。 フラット35は保証人も保証料も必要ありません(【フラット35】ご利用条件)。

それぞれに要る書類

事前審査で何を出すかは、金融機関によって違います。下の表は、本審査(正式な申込み)で求められるものを、フラット35の共通書類をもとに並べたものです。

種類主な書類補足
申込書借入申込書、ほかの借入れの内容の申出書(ほかに借入れがある場合)申込書は金融機関が用意している
本人確認運転免許証、マイナンバーカードなど金融機関が貸付けの契約を結ぶときは、法律で本人確認(取引時確認)が求められる取引にあたる
収入の証明給与所得のみの人:住民税の特別徴収税額の通知書、納税通知書、課税証明書など(申込年の前年と前々年)。それ以外の人:納税証明書(所得金額用)と確定申告書の写しなど前年分は源泉徴収票で申し込める場合があり、その場合は資金を受け取る手続きの前に公的な証明書を出す
建物の資料建設費が分かる書類(工事請負契約書の写しなど)申込みの時点では見積書でもよく、その場合は資金を受け取る手続きの前に請負契約書を出す
土地の資料土地の売買契約書の写し(土地代も借りる場合)、土地の登記事項証明書写しを出すときは原本を見せる
そのほか住民票、建築確認の通知書の写しなど金融機関によって追加される

(住宅金融支援機構【フラット35】融資手続・必要書類、よくある質問 Q&A番号3351、犯罪による収益の移転防止に関する法律第4条・同施行令第7条第1項第1号カから作成)

申込みのあと、審査の都合で、住民税の納税証明書、直近の給与明細や給与振込の通帳の写しなどを追加で求められることもあります(同Q&A)。

注文住宅で書類がそろうのは、建売より遅い

建売住宅やマンションは、売買契約書と物件の資料が最初からそろっています。 注文住宅は、建物の見積書が出るまで本審査に出せないことがあります。間取りと仕様が決まり、建築会社が見積書を出す時期が、本審査に出せる時期の目安になります。

収入の証明で、ずれが出やすい場面が2つあります。

  • 1月〜5月ごろの申込み。 前年分の公的な証明書がまだ出ない時期です。フラット35のご利用条件は、この時期の扱いは金融機関によって異なると書いています
  • 転職したばかりの人。 フラット35では、勤務先に転職後の収入を証明する書類を作ってもらい、支給された月数で割り戻した額を年収とみなす扱いがあります(Q&A番号390)。民間金融機関の扱いは、次の節のとおり機関ごとに違います

審査で見られること

フラット35は、公表された基準がある

フラット35は、申込みの要件が公表されています。審査に直接かかわる主なものです。

  • 総返済負担率:年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下。住宅ローンだけでなく、自動車ローン・教育ローン・カードローン(分割払い・リボ払いを含む)などすべての借入れの返済を合わせて計算します
  • 年齢:申込時に満70歳未満。借入期間の上限は「80歳-申込時の年齢」と35年の短いほう
  • 年収の数え方:原則として申込年の前年の公的な証明書の金額(給与収入のみの人は給与収入の金額)
  • 団信(団体信用生命保険):加入しなくても使えます

団信について、ご利用条件にはこう書かれています。

健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合も、【フラット35】はご利用いただけます。

(住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件)

ただし、ご利用条件には「審査の結果によっては、お客さまのご希望にそえない場合があります」ともあります。基準を満たせば借りられると約束する表ではありません。 返済負担率の基準と、そこまで借りてよいかどうかの話は、住宅ローンは「借りられる額」と「返せる額」が違うで詳しく書いています。

民間金融機関は、項目も線の引き方も違う

民間金融機関の審査基準は、ほとんど公表されていません。 手がかりになるのが、国土交通省が毎年まとめている「民間住宅ローンの実態に関する調査」です。令和7年度の調査(令和8年3月公表)では、994の金融機関が、融資のときに考慮する項目を答えています。

審査項目考慮する機関の割合具体的な内容(回答した機関の数・複数回答)
完済時年齢98.4%80歳未満 732、85歳未満 97、75歳未満 44 など
借入時年齢96.2%65歳未満 251、70歳未満 203 など
健康状態96.1%団信加入が必要 866、団信加入は選択可能 88、不要 4
年収94.2%150万円以上 387、100万円以上 307、200万円以上 65、250万円以上 22 など
勤続年数93.9%1年以上 661、3年以上 121、2年以上 45、その他 183
担保評価91.0%
返済負担率90.9%40%以内 81、35%以内 57、30%以内 43、その他 136 など
金融機関の営業エリア89.2%エリア内に居住 850、エリア内に勤務 572
連帯保証84.7%系列保証会社の保証が必要 529、外部保証会社の保証が必要 401 など
国籍80.6%
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴72.5%
雇用形態70.6%派遣社員は対象外 357、契約社員は対象外 286 など
融資率(購入の場合)69.1%100%以内 377 など
業種47.3%
家族構成39.1%
所有資産・雇用先の規模各35.6%

(国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」の「長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査等(2)審査項目」を、同調査の正誤表〈令和8年6月〉の修正後の値で作成。回答機関994。割合は994機関に対する構成比)

この表から読めることは2つあります。

1つ目。ほぼすべての金融機関が見る項目がある。 年齢・健康状態・年収・勤続年数・返済負担率・担保評価は、9割以上の機関が考慮しています。 2つ目。同じ項目でも、線の引き方が違う。 勤続年数を「1年以上」とする機関が661ある一方、「3年以上」とする機関も121あります。返済負担率の上限も、40%以内から30%以内まで分かれています。団信の加入を必須にしない機関も88あります。

ただ、調査の数字と、私が家づくりの相談窓口で住宅アドバイザーをしていた8年間に見てきた実務とでは、受け止め方が違う項目もあります。

  • 勤続年数。 調査では「1年以上」を挙げる機関がいちばん多いのですが、私が見てきた実務では、勤続1年以上かどうかはまったく関係ありませんでした。極端にいえば、給与明細が1か月分あれば、審査の土台には乗ります。土台に乗るのは「審査してもらえる」という意味で、「通る」という意味ではありません
  • 雇用形態。 表では派遣社員・契約社員を対象外にする機関が目立ち、自営業者を対象外と答えた機関は7つだけです。それでも私の実感では、住宅ローンで厳しいのは自営業や会社の経営者の方でした。フリーターの方も厳しいのですが、自営業の方よりはまだよい、という印象です。フラット35では、給与収入だけの人以外は、事業所得などを合わせた所得金額で年収を数えます(【フラット35】ご利用条件)。自営業の人は、売上ではなく、経費を引いたあとの金額で見られるということです
  • 完済時年齢。 民間の金融機関の上限は機関ごとに違い、「80歳未満」が多く、「85歳未満」の機関もあります。フラット35の「80歳-申込時の年齢」と35年の短いほう、という上限はこのとおりです。一方、民間の金融機関で80歳まで貸してもらえるかどうかは、私が見てきた範囲ではその時々で違いました

審査の進め方も違います。点数で機械的に判定するスコアリング方式を、中心に使う機関が15.7%、一部に使う機関が24.4%、使わない機関が59.9%でした(同調査。この設問の回答は852機関)。

「勤続◯年なら通る」という線はありません

表の数字は、金融機関がどの項目を考慮しているかの集計です。ある機関の基準を満たしても、ほかの項目と合わせた総合判断で結果は変わります。 逆に、ある機関で通らなかった条件でも、基準の違う機関なら通ることがあります。「何社に出すか」を考える意味は、ここにあります。

みぞれ
みぞれ

健康状態って、団信のこと?

しぐれ
しぐれ

はい。民間の住宅ローンは、団信に入れることを借りる条件にしている機関が多いので、持病があると審査より先に団信の告知で止まることがあります。団信を選べる機関や、団信なしで使えるフラット35を候補に入れておくと、行き止まりになりにくくなります。

団信と生命保険の関係は、団信に入ったら、生命保険はいくら減らせるかにまとめています。

個人信用情報:申し込むと何が残るか

信用情報機関は3つある

ローンやクレジットの契約と申込みの記録を集めている機関(個人信用情報機関)は、主に次の3つです。

機関申込みの記録記録が残る期間
CIC申込情報(照会日、商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名など)照会日から6か月間
日本信用情報機構(JICC)申込みに関する情報(申込日、申込商品種別など)照会日から6か月以内
全国銀行個人信用情報センター(全国銀行協会が運営)照会記録情報(会員が利用した日、申込み・契約の内容など)会員への提供は6か月を超えない期間、本人開示は1年を超えない期間

(CIC「CICが保有する信用情報」、JICC「信用情報の内容と登録期間」、全国銀行個人信用情報センター「センターの概要」から作成)

全国銀行個人信用情報センターの加盟資格は、銀行などの金融機関、政府関係金融機関、信用保証協会のほか、銀行などの推薦を受けたクレジットカード会社・保証会社などです(同センター「センターの概要」)。どの機関に照会するかは、申込みのときの同意書に書かれています(後述)。

契約したあとの記録(契約の内容と返済の状況)は、3機関とも契約中と、契約終了(完済)から5年を目安に残ります(機関ごとに表現が少し違います)。

申込みの記録は、ほかの金融機関にも見える

CICは、加盟する会社がローンの申込みを受けたら、原則として全件をCICに照会するよう定めていると説明しています。 照会すると申込情報が登録され、その期間中はほかの加盟会社も、申込みがあったことを見られます。 CICの申込情報には照会会社名も含まれます。

一方で、審査をするのは信用情報機関ではありません。 全国銀行個人信用情報センターは、本人開示の案内でこう書いています。

当センターでは審査業務を一切行っておりません。

(全国銀行個人信用情報センター「本人開示の手続き」)

CICも、加盟する会社は信用情報を参考に、自社の審査基準と照らし合わせて総合的に判断していると説明しています。 短い期間に申込みが重なったことをどう見るかは、各金融機関の基準の中の話で、公表された物差しはありません。

審査の結果は、申込みの記録の項目にない

CICとJICCが公表している申込みの記録の項目は、照会日・商品・契約予定額・照会会社などです。審査に通ったか、断られたかは、項目に挙がっていません。 ただし、申し込んだ事実は上の期間残ります。自分の記録は、3機関とも本人開示を申し込めば確かめられます(全国銀行個人信用情報センターは、本人開示は審査結果の理由を特定するものではない、とも書いています)。

事前審査でも照会されるかは、同意書で分かる

CICは、加盟する会社に、申込書や契約書の約款とは別に、信用情報の登録・利用についての同意事項を示して同意を得るよう義務付けています。

事前審査の申込みで信用情報機関に照会するかどうかは、金融機関によって違います。 見分ける手がかりは、事前審査の申込書に、信用情報機関への照会・登録についての同意書が付いているかです。付いていれば、照会と登録がありうる申込みです。同意書には、加盟している機関の名前も書かれています。

みぞれ
みぞれ

住宅会社の人が「事前審査はこちらで出しておきます」と言ってくれたら、記録は残らない?

しぐれ
しぐれ

誰が書類を取り次いでも、申込者はご本人です。同意書に署名するのもご本人なので、記録の扱いは自分で出したときと変わりません。どの金融機関に出すのかは、出す前に聞いておきたいところです。

注文住宅で事前審査を出す時期

土地の契約には「ローン特約」の期限がある

土地を買うとき、不動産会社が仲介や売主として入っていれば、契約の前に重要事項の説明があります。宅地建物取引業法は、説明する事項の一つとして、次を挙げています。

代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

(宅地建物取引業法第35条第1項第12号。契約のときに交付する書面にも、あっせんの定めがある場合は記載する〈第37条第1項第9号〉)

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、この「成立しないときの措置」として説明する内容を、次のように示しています。

金融機関との金銭消費貸借に関する保証委託契約が成立しないとき又は金融機関の融資が認められないときは売主又は買主は売買契約を解除することができる旨、及び解除権の行使が認められる期限を設定する場合にはその旨を説明する。

同じ箇所に、解除したときは売主が手付などを無利息で返すことも書かれています。 一般に「ローン特約」「融資利用の特約」と呼ばれる定めです。上の説明のとおり、解除できる期限を設ける場合は、その期限も説明の対象になっています。

期限が設けられていれば、その日までに本審査の結果が出ていないと、特約で解除できないまま契約が進むおそれがあります。 事前審査の時期は、この期限から逆算して決めます。期限の日付と、期限を過ぎたときの扱いは、売買契約書と重要事項説明書で確かめます。

仲介手数料も、ローン不成立で解除すれば返ってくる

同じ「解釈・運用の考え方」は、代金のローンが成立しないことが確定し、それを理由に売買契約を解除したときは、不動産会社は受け取った報酬を返さなければならない、としています。

建物の請負契約には、決まった定めがない

建物の工事請負契約には、宅地建物取引業法の重要事項説明のような仕組みがありません。国の民間建設工事標準請負契約約款(乙)にも、ローンが通らなかったときの定めは置かれていません。 請負契約にローン特約を付けるかどうかは、建築会社との契約次第です。契約書に定めがあるか、期限はいつかを、署名の前に確かめます。

逆算すると、こういう順番になる

土地から探して注文住宅を建てる場合の、審査と契約の並びです。

順番やること審査との関係
1予算を決める(返せる額から)借りる額の上限は自分で決めておく
2建築会社と土地の候補を絞る概算の見積書があると事前審査の精度が上がる
3事前審査借りられる見込みを確かめる。比べるならこの段階
4土地の売買契約(ローン特約の期限を決める)期限までに本審査の結果が出る日程かを確かめる
5間取り・仕様を決め、見積書をもらう本審査に出す建物の資料がそろう
6本審査(団信の申込みもこの段階)フラット35は申込みから1〜2週間程度が目安
7工事請負契約請負契約書を金融機関に出す(見積書で申し込んだ場合)
8着工・完成・引渡し完成前の支払いは、つなぎ融資などで埋める

(宅地建物取引業法第35条・第37条、住宅金融支援機構【フラット35】融資手続・必要書類・はじめての住宅ローンをもとに作成。4〜7の順番は計画によって入れ替わります)

住宅金融支援機構の「はじめての住宅ローン」も、住まいが決まったら借入先も絞り、資金の目処が立ってから建築・購入の契約に進む順番で説明しています。

いちばん詰まりやすいのは、4と5のあいだ

土地の契約から本審査までに、間取りを決めて見積書を出してもらう時間が入ります。 ローン特約の期限が短いと、建物の見積書が間に合わず、本審査に出せないまま期限が来ることがあります。土地の契約の前に、建築会社に「見積書はいつ出せるか」、金融機関に「土地の契約書と見積書で本審査に出せるか」を聞いておきます。

事前審査のあとに条件が変わったら

事前審査に通ったあとでも、本審査では申込みの時点の状況で見直されます。次のような変化は、本審査の前に金融機関に伝えておきます。

  • 転職・退職・休職(勤続年数、年収の数え方が変わる)
  • 新しい借入れ(自動車ローン、カードの分割払いなど。フラット35の総返済負担率は、すべての借入れで計算する)
  • 借入額や物件の変更(見積もりが増えた、土地を変えた)

家づくりの途中で車を買い替える話が出たら、ローンの本審査と、できれば融資の実行が終わるまで待てないかを先に考えます。

何社に出すか

比べる利点

  • 審査の基準が違う。 上の国土交通省の表のとおり、勤続年数・返済負担率・団信・雇用形態の線の引き方は金融機関ごとに違います。1社の結果だけで「借りられない」と決めると、選べたはずの選択肢を落とします
  • 借入れの条件が違う。 フラット35でも、借入金利と融資手数料は取扱金融機関によって違います(【フラット35】ご利用条件)。民間金融機関なら、金利の種類、保証料、団信の内容も違います
  • 注文住宅に必要な扱いが違う。 完成前の支払いを埋めるつなぎ融資・分割融資を扱うかどうかは、金融機関ごとです(注文住宅の支払いはいつ、いくら?)

気をつけること

  • 申し込んだ記録が残る。 事前審査でも照会があれば、CIC・JICCでは照会日から6か月、全国銀行個人信用情報センターでは会員への提供が6か月以内、ほかの金融機関から見える状態になります
  • その記録をどう評価するかは公表されていない。 「何社までなら大丈夫」という公的な基準は見当たりません
  • 申込みごとに書類と手間が増える。 本審査は、収入の証明・物件の資料・団信の告知まで出すので、1社ごとの負担が大きくなります

出し方の考え方

何社が正解かは決まっていません。そのうえで、数より順番と目的で考えると整理しやすくなります。

事前審査を出す前に決めること

  • 比べたいことを先に決める(金利の種類、団信の内容、手数料・保証料、つなぎ融資・分割融資の扱い)
  • 候補を絞ってから出す。金融機関が公表している条件(勤続年数・雇用形態・団信の扱い・営業エリア)で、自分が対象外になる先を外す
  • 同じ時期にまとめて出す。時期がずれると、金利や自分の状況が変わって比べにくくなる
  • 本審査は、つなぎ融資・分割融資の扱いまで確かめてから出す先を決める(注文住宅では、通っても完成前の支払いを埋められない先がある)
  • 事前審査で断られたら、理由を推し量って次を選ぶ。基準の違う先に出すのか、借入額や時期を見直すのかを考える
みぞれ
みぞれ

落ちたらすぐ次、をくり返したらだめ?

しぐれ
しぐれ

記録は申し込むたびに積み上がります。同じ条件のまま出し続けるより、なぜ通らなかったのか(借入額か、ほかの借入れか、勤続年数か)を先に考えて、基準の違う先を選ぶほうが筋がよい、と私は考えています。

本審査のあと:金銭消費貸借契約から融資実行まで

本審査に通ると、借入れの契約(金銭消費貸借契約、略して「金消契約」)を結び、お金が出ます(融資実行)。注文住宅では、本審査から融資実行までのあいだに工事が入ります。

段階何をするか注意すること
本審査の承認金融機関から結果の連絡承認の条件(借入額・金利の種類・団信)を書面で確かめる
工事中着工・上棟・完成。フラット35は設計検査・中間現場検査・竣工現場検査完成前の支払いは、つなぎ融資などで用意する
金銭消費貸借契約借入額・金利・返済期間などを決めた契約を結ぶフラット35の金利は、申込時ではなく資金を受け取るときの金利
融資実行資金を受け取る。同時に抵当権の設定、火災保険への加入つなぎ融資があれば、この日に精算する

(住宅金融支援機構【フラット35】融資手続・ご利用条件から作成)

フラット35では、適合証明書を出したあとに金銭消費貸借契約を結んだ日が資金を受け取れる日です。資金がいつ出るのか、完成前の支払いとどうつなぐかは、注文住宅と建売・マンションで、お金の流れはどう違うかと注文住宅の支払いはいつ、いくら?に表で書いています。

金利は「申込みの日」では決まらないことがある

本審査を申し込んだ日と、お金が出る日は、注文住宅では数か月離れることがあります。 フラット35は資金受取時の金利が適用されます。民間金融機関の住宅ローンでは、どの時点の金利が適用されるかを商品の説明書で確かめます。審査に通ったときの金利で借りられるとは限らないので、どの日の金利になるかを金消契約の前に確かめます。

金銭消費貸借契約は、書面(または電磁的記録)で結ぶ消費貸借です。民法では、書面でする消費貸借の借主は、お金を受け取るまで契約を解除できますが、貸主に損害が出ればその賠償を求められることがあります(民法第587条の2)。実際の扱いは契約書の定めで確かめます。

客先で審査の話をするときの注意

住宅会社の営業担当の方が、お客様に審査の進め方を説明するときに確かめてほしいことです。

説明の前に

  • 「事前審査に通ったので大丈夫です」と言わない。事前審査は正式な結果を約束しない
  • 土地の契約のローン特約の期限と、自社の見積書が出せる日を並べて、本審査が間に合うかを先に確かめる
  • 事前審査を取り次ぐときは、どの金融機関に出すかをお客様に伝え、同意書の内容(信用情報機関への照会・登録)を読んでもらう
  • 「何社まで出して大丈夫」と数字で言わない。公表された基準はない
  • 本審査のあとに車のローンなど新しい借入れをすると、条件が変わることを伝えておく

まとめ

  • 事前審査(仮審査)は見込み、本審査は正式な申込みへの審査。事前審査は正式な結果を約束しない
  • 本審査には、本人確認・前年と前々年の収入の証明・建物と土地の資料が要る。注文住宅は見積書がそろう時期が本審査の時期を決める
  • フラット35は返済負担率などの基準が公表されている。民間金融機関は、9割以上が年齢・健康状態・年収・勤続年数・返済負担率・担保評価を見るが、基準の線は機関ごとに違う
  • 申込みの記録は、CIC・JICCで照会日から6か月、全国銀行個人信用情報センターで会員への提供6か月以内(本人開示1年以内)残る。審査をするのは金融機関で、信用情報機関ではない
  • 注文住宅は、土地のローン特約の期限から逆算して事前審査を出す。請負契約のローン特約は契約次第
  • 何社が正解という基準はない。比べたいことを決め、候補を絞り、同じ時期にまとめて出す

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出典

本記事は2026年10月17日時点で公表されている内容に基づいています。事前審査の有無と方法、審査の基準、必要書類、信用情報機関への照会の扱いは金融機関によって異なります。土地の売買契約・工事請負契約のローン特約の内容は、それぞれの契約書で決まります。個別の審査や契約の判断は、金融機関の窓口と、契約先の不動産会社・建築会社にご確認ください。

よくある質問

住宅ローンの事前審査と本審査は、何が違いますか?

事前審査(仮審査)は、借入れを正式に申し込む前に、借りられる見込みを確かめる審査です。本審査は、物件の資料と収入の証明をそろえて正式に申し込んだあとの審査です。住宅金融支援機構は、事前審査は仮審査であり、正式な審査結果を約束するものではないと案内しています。

事前審査は何社に出すのがいいですか?

何社が正解という公的な基準はありません。審査の項目と基準は金融機関ごとに違うため、比べる意味はあります。一方で、申込みの事実は信用情報機関に登録され、CICとJICCでは照会日から6か月、全国銀行個人信用情報センターでは会員への提供が6か月を超えない期間残ります。比べたいこと(金利、団信、手数料、つなぎ融資の扱い)を決め、候補を絞ってから、同じ時期にまとめて出す考え方があります。

注文住宅では、事前審査をいつ出せばいいですか?

土地の売買契約や建物の請負契約より前に、借りられる見込みを確かめておきます。土地の売買契約にローン特約(融資が認められないときに解除できる定め)を付ける場合、その解除の期限までに本審査の結果が出ている必要があります。期限から逆算して、本審査に要る見積書などがそろう時期を建築会社と確かめておきます。

事前審査に落ちたことは、信用情報に残りますか?

CICとJICCが公表している申込情報の項目は、照会日、商品の種類、契約予定額、照会した会社名などで、審査の結果(通ったか断られたか)は項目に挙がっていません。ただし、申し込んだ事実は一定期間残ります。自分の記録は、各機関に本人開示を申し込んで確かめられます。