繰上げ返済は「期間短縮」と「返済額軽減」どちら?減る利息と毎月の返済で比べる

繰上げ返済は「期間短縮」と「返済額軽減」どちら?減る利息と毎月の返済で比べるのイメージ家と住宅ローン

先に結論

  • 繰上げ返済の型は2つ。期間短縮型は「返済が早く終わる」、返済額軽減型は「毎月の返済が下がる」
  • 同じ額なら、減る利息は期間短縮型のほうが大きい。残高2,000万円・金利1.5%・残り20年で200万円を繰上げると、期間短縮型は約65.5万円、返済額軽減型は約31.6万円(当方の試算)
  • 返済額軽減型で浮く毎月9,651円は、手元にお金を残しておける代わりに、利息を多めに払うということ。差の約34万円は、その代金と考えると比べやすい
  • 毎月の支払いに余裕があり、完済を早めたいなら期間短縮型。教育費が増える・収入が減るなど、毎月が苦しくなる時期が見えているなら返済額軽減型
  • 同じ額なら、早い時期ほど減る利息は大きい。ただし繰上げたお金は戻らない。手元に残す額を先に決める
残高2,000万円・金利1.5%・残り20年で200万円を繰上げたとき、減る利息は期間短縮型が約65.5万円、返済額軽減型が約31.6万円

ボーナスや貯金がたまって「少しまとめて返そう」と決めたあと、申込書で選ぶのが期間短縮型か、返済額軽減型かです。

この記事では、2つの型で何が変わるのかを、住宅金融支援機構の案内と同じ前提の試算で並べます。住宅ローン控除を受けている期間に繰上げるかどうか(控除がどれだけ減るか、返済期間が10年未満になると控除がなくなる要件)は、繰上げ返済と住宅ローン控除にまとめています。ここでは2つの型の比べ方に絞ります。特定の金融機関やローン商品をすすめる記事ではありません。

2つの型は、軽くするものが違う

繰上げ返済は、毎月の返済とは別に、元金の一部をまとめて返すことです。返した元金には、その先の利息がかからなくなります。

住宅金融支援機構は、一部を繰り上げて返す方法を次の2つとして案内しています。

期間短縮型返済額軽減型
機構の案内の言い方月々の返済額は今までどおりの額にし、返済額に応じて借入期間を短縮する方法借入期間は今までどおりの期間にし、月々の返済額を少なくする方法
変わるもの返済の終わりが早くなる毎月の返済額が下がる
変わらないもの毎月の返済額返済が終わる時期
減る利息大きい期間短縮型より小さい
効き目を感じる時期返済が終わるとき繰上げた次の返済から

(住宅金融支援機構「繰上返済(個人住宅融資の場合)」をもとに当サイトで整理)

機構は、繰上げ返済で総返済額を減らしたり、完済する時期を早めたりできると説明しています。どちらの型でも利息は減ります。違うのは、減った分を「早く終わること」で受け取るか、「毎月の軽さ」で受け取るかです。

同じ200万円で比べる

例として、残高2,000万円・残り20年(元利均等・ボーナス返済なし)のローンで、200万円を繰上げた場合を計算します。金利は最後まで変わらないと置き、手数料や経過利息は入れていません。

金利今の毎月の返済期間短縮型返済額軽減型
1.0%91,979円2年2か月早く終わる/利息 約41.7万円減毎月 9,198円減/利息 約20.7万円減
1.5%96,509円2年3か月早く終わる/利息 約65.5万円減毎月 9,651円減/利息 約31.6万円減
2.0%101,177円2年4か月早く終わる/利息 約91.4万円減毎月 10,118円減/利息 約42.8万円減

(当方の試算。減る利息は、残りの期間全体で払う総額の差から繰上げた200万円を引いた額)

この表から分かることは3つです。

  • どの金利でも、期間短縮型の減る利息は返済額軽減型のおよそ2倍。
  • 金利が高いほど、どちらの型も減る利息が大きい。 繰上げで消える利息は、その金利で計算されるため
  • 返済額軽減型で下がる毎月の額は、金利が変わってもあまり変わらない(約9,200円〜1万円)。200万円を残り20年で割り直した額に近い

全国銀行協会のQ&Aでも、ファイナンシャル・プランナーが別の条件(借入2,500万円・35年・金利2.5%・3年後に100万円)で比べています。期間短縮型で減る利息は115万6,892円、返済額軽減型は45万3,942円で毎月3,785円の軽減、という例です。前提が違っても、期間短縮型の減る利息が大きいという向きは同じです。

みぞれ
みぞれ

それなら、いつも期間短縮型を選べばいいの?

しぐれ
しぐれ

減る利息だけで決めると、そうなります。でも返済額軽減型には、毎月のお金が手元に残るという別のものがあります。次の見出しで、その差を見てください。

差の約34万円は、何の代金か

1.5%の例で、期間短縮型と返済額軽減型の減る利息の差は約34万円(65.5万円−31.6万円)です。この差は、どこから生まれるのでしょうか。

返済額軽減型を選ぶと、毎月の返済が9,651円下がります。この9,651円を使わずに、毎月そのまま繰上げ返済に回し続けたとすると、結果は期間短縮型とほぼ同じになります。 同じ金利のローンに、同じ時期に同じ額を返すことになるからです(元利均等の計算からの当方の読み)。

つまり2つの型の違いは、こう言い換えられます。

  • 期間短縮型 … 浮いたはずの毎月の額も、ローンの返済に回し続ける
  • 返済額軽減型 … 浮いた毎月の額を手元に残し、何に使うかを自分で決められる。その分だけ、ローンの利息を多めに払う

約34万円は、毎月9,651円を手元に残す自由に払う代金と見ることができます。20年間で9,651円×240回=約232万円を、ローンに返さずに手元に置ける計算です。

手元に残したお金を使ってしまうと、差は大きく見える

返済額軽減型で浮いた額を、なんとなく生活費に溶かしてしまうと、残るのは「減る利息が小さい」ことだけになります。返済額軽減型を選ぶなら、浮いた額を何に充てるのか(教育費の積み立て、収入が減る期間の生活費など)を先に決めておくと、型の違いが意味を持ちます。

早い時期ほど、減る利息は大きい

同じ200万円でも、繰上げる時期で減る利息は変わります。上の例(残高2,000万円・金利1.5%・残り20年)のまま、10年返したあと(残高約1,074.8万円・残り10年)に200万円を繰上げた場合と比べます。

繰上げる時期期間短縮型返済額軽減型
残り20年のとき2年3か月早く終わる/利息 約65.5万円減毎月9,651円減/利息 約31.6万円減
残り10年のとき1年11か月早く終わる/利息 約29.1万円減毎月17,958円減/利息 約15.5万円減

(当方の試算。金利は最後まで1.5%)

減る利息は、残りの期間が長いときに繰上げるほど大きくなります。 返した元金に利息がかからない期間が長くなるからです。全国銀行協会のQ&Aも、繰上げ返済は額が大きいほど、時期が早いほど効果が高いとしています。

一方で、残り10年のときの返済額軽減型は、毎月の下がり方が大きい(17,958円)ことにも気づきます。残りの期間が短いぶん、200万円を割り直す回数が少ないためです。返済の終わりが近づいてから毎月を軽くしたいときには、返済額軽減型の効き方が大きくなります。

早く返すほど得、とだけ考えない

早い時期は、手元のお金がまだ少ない時期でもあります。家を持ったあとは、固定資産税、修繕、車の買い替え、教育費、病気やけがで働けない期間など、まとまったお金が出ていく場面が続きます。繰上げたお金は、あとで必要になっても戻ってきません。

どちらが合うかは、家計の「これから」で決まる

減る利息の大きさは期間短縮型、毎月の軽さは返済額軽減型。どちらを取るかは、これからの家計の動きで決まります。

家計の状態合いやすい型理由
毎月の返済に無理がなく、毎月の黒字も出ている期間短縮型毎月を軽くする必要がなく、減る利息の大きさをそのまま受け取れる
返済が終わる年齢が、定年や年金生活に入るより後期間短縮型収入が下がる前に返済を終える時期を早められる。退職金で一括返済するかの考え方は退職金で住宅ローンを一括返済するかにある
これから子どもの進学で教育費が増える返済額軽減型教育費のいちばん大きい時期に、毎月の支払いを軽くしておける
育休・時短・転職などで収入が減る予定がある返済額軽減型(または繰上げずに手元に置く)収入が減る期間の毎月の支払いを下げられる
変動金利で、返済額が上がる時期が近い返済額軽減型が選択肢になる上がる前に毎月を下げておけば、上がったあとの負担を抑えられる
毎月の返済がすでに苦しい繰上げより先に借入先へ相談返済条件の変更など、手元のお金を減らさない方法がある

(当サイトの整理。どれに当てはまるかは家計ごとに違う)

教育費がいつ大きくなるかは、子どもの年齢から先に見ておけます。学年ごとの教育費と住宅ローンの返済が重なる年は、教育費と住宅ローンは両立できるかで年表にしています。

毎月の返済がすでに苦しい場合は、繰上げ返済で手元のお金を減らすより先に、返済中の金融機関に相談する道があります。返済期間の延長や一定期間の減額などは、住宅ローンの返済額を下げる3つの方法にまとめています。

しぐれ
しぐれ

迷うときは、「この先5年で、毎月の支払いが苦しくなる時期があるか」を考えてみてください。あるなら返済額軽減型、ないなら期間短縮型、と分けると決めやすくなります。

金利が上がる時期の見方

変動金利で借りている人は、金利が上がると返済額が増える場合があります。いつから増えるかは、5年ルール・125%ルールの有無と、金利の見直しの時期で決まります(変動金利が上がったら返済はいつから増える?)。

この時期の繰上げ返済は、2つの型で効き方が分かれます。

  • 期間短縮型 … 毎月の返済は変わらないまま。金利が上がれば、その分の返済額の増加はそのまま来る。一方で、高い金利にかかる元金を減らすので、減る利息は大きくなる
  • 返済額軽減型 … 毎月の返済をいったん下げておける。金利が上がって返済額が増えても、増えたあとの額が低めで済む

5年ルール・125%ルールがある商品で返済額軽減型を選ぶとき

返済額軽減型の繰上げをしたあと、5年ごとの返済額の見直しや、125%の上限の基準になる返済額がどう扱われるかは、確かめた公的資料には書かれていません。繰上げを申し込む前に、借入先に「繰上げ後の返済額と、次の見直しのときの扱い」を聞いてから決めてください。

金利が上がったときに家計のどこを見直すかは、住宅ローンの金利が上がったら、家計のどこを見直すかにまとめています。

申し込む前に確かめること

型を決めたら、申し込む前に次のことを借入先の案内で確かめます。

繰上げ返済の前の確認

  • 繰上げできる最低額。 住宅金融支援機構(フラット35など)は、一部繰上返済が窓口で100万円以上、インターネットの「住・My Note」で10万円以上
  • 手数料。 機構は、窓口でも住・My Noteでも手数料はかからない。民間の金融機関は、申込方法や金利の型(固定の期間中かどうか)で違う
  • 繰上げできる日。 機構は、繰上げできる日(入金日)を月々の返済日としている。窓口の場合は1か月前までに申し出る
  • 経過利息。 前の返済日の翌日から繰上げ日までの利息を払う場合がある(機構)
  • ボーナス返済があるか。 機構は、ボーナス返済を使っている人が期間短縮型を選ぶときは、ボーナス返済月が変わらないよう6か月単位(毎月払い6回分+ボーナス払い1回分)で入金するとしている
  • 住宅ローン控除を受けているか。 期間短縮型で大きく繰上げて、初回の返済から最終回の返済までが10年未満になると、控除の対象外になる(機構の案内にも記載)。くわしくは繰上げ返済と住宅ローン控除

全国銀行協会のQ&Aでも、1回の最低返済額(1円〜100万円)と手数料(無料〜数万円)は、金融機関やローンの種類でさまざまだと説明されています。1回の手数料が数万円かかるなら、少額を何度も繰上げるより、ある程度まとめてから繰上げるほうが、手数料に負けにくくなります。

そして最後に、手元に残す額です。繰上げに回すのは、生活費の何か月分かと、使う時期が決まっているお金(教育費、車の買い替えなど)を除いた残りからにします。手元に残す額の考え方は、頭金はいくら入れる?手元に残すお金から逆算するが参考になります。

まとめ

  • 期間短縮型は「返済が早く終わる」、返済額軽減型は「毎月の返済が下がる」。どちらも利息は減る
  • 同じ額なら、減る利息は期間短縮型が大きい。残高2,000万円・金利1.5%・残り20年で200万円なら、約65.5万円と約31.6万円(試算)
  • 返済額軽減型で浮いた毎月の額をそのまま返し続ければ、結果は期間短縮型に近づく。差は「毎月のお金を手元に残す代金」と見ると比べやすい
  • 同じ額なら、早い時期ほど減る利息は大きい。ただし繰上げたお金は戻らない
  • 毎月に余裕があり完済を早めたいなら期間短縮型、教育費の増加や収入減など毎月が苦しくなる時期が見えているなら返済額軽減型
  • 申し込む前に、最低額・手数料・繰上げできる日・ボーナス返済の扱い・住宅ローン控除への影響を借入先で確かめる

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出典

本記事は2026年10月24日時点で公表されている内容にもとづいています。試算は元利均等・金利一定・手数料なしなどの前提を置いた目安で、実際の返済額と利息は借入先の返済予定表と試算で確かめてください。繰上げ返済の手数料・最低額・申込方法は、返済中の金融機関の窓口でご確認ください。住宅ローン控除への影響は所轄の税務署にご確認ください。

よくある質問

期間短縮型と返済額軽減型は、どちらが利息が減りますか?

同じ額を同じ時期に繰上げるなら、期間短縮型のほうが減る利息は大きくなります。当サイトの試算(残高2,000万円・金利1.5%・残り20年・200万円)では、期間短縮型が約65.5万円、返済額軽減型が約31.6万円でした。

返済額軽減型を選ぶ意味はありますか?

毎月の返済が下がり、その分を手元に残せます。教育費が増える時期や、育休・時短などで収入が減る時期の前には、毎月の支払いを軽くしておくことが家計の助けになります。減る利息は期間短縮型より小さくなります。

繰上げ返済はいつするのが効果が大きいですか?

同じ額なら、早い時期ほど減る利息は大きくなります。当サイトの試算では、残り20年のときに200万円を期間短縮型で繰上げると約65.5万円、残り10年のときだと約29.1万円でした。ただし手元のお金を減らしすぎない範囲で考えます。

繰上げ返済に手数料はかかりますか?

金融機関と申込方法で違います。住宅金融支援機構のフラット35は手数料がかからず、一部繰上返済は窓口で100万円以上、インターネットの住・My Noteで10万円以上です。民間の金融機関は、それぞれの案内で確かめてください。