先に結論
- 家を売ったときに税金がかかるのは、売却益(譲渡所得)が出たときです。売却益=売った金額 −(取得費+譲渡費用)。建物の取得費は、建てた・買った金額から使った年数分の目減り(減価償却)を引いた額です
- 住んでいた家なら、売却益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。所有期間の長さは問いません。引っ越したあとも、住まなくなってから3年目の年末までに売れば対象です。親族などへの売却は対象外です
- 所有期間が売った年の1月1日で10年を超えていれば、税率も下がります(6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%)。3,000万円控除と重ねて使えます
- 税金が0円になる場合も、特例を受けるには確定申告が要ります
- 住み替えの落とし穴:前の家の売却で3,000万円控除や軽減税率を使うと、新しい家の住宅ローン控除が受けられません。入居した年とその前2年・後3年の計6年間が対象です。どちらが得かは、金額を出して比べます
- 売って損が出たときは、一定の要件で給与などの所得から差し引け、引ききれない分は3年繰り越せます。こちらは住宅ローン控除と併用できます(2027年12月31日までの売却)
家を売るとき、まず気になるのは「いくらで売れるか」です。 ただ、手元に残るお金は、売れた金額からローンの残り、仲介手数料、そして税金を引いた額です。税金がかかるかどうかは、売れた金額では決まりません。買ったときより高く売れたかで決まります。
この記事では、国税庁のタックスアンサーにあたって、家を売ったときの税金の計算と特例をまとめます。 住み替えで新しい家を買う人には、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除の組み合わせがとくに大事です。選び方を誤ると、数百万円単位で差が出ます。後半に計算例を置きました(計算は当サイトによるものです)。
税金がかかるのは「売却益」が出たときだけ
家(土地と建物)を売って得た利益は譲渡所得といい、給与などとは分けて税額を計算します(分離課税。国税庁 No.3202)。
売却益(譲渡所得)の出し方
売却益 = 売った金額(譲渡価額)−(取得費 + 譲渡費用)
課税される金額 = 売却益 − 特別控除(3,000万円控除など)
売却益が0円以下なら、税金はかかりません。 住宅は、建物の価値が年数とともに目減りするものとして計算するので、「買った値段より安く売れた」ときでも、計算すると売却益が出ている場合があります。次の節で、その仕組みを見ます。
取得費:建物は「目減り」を引く
取得費は、土地や建物を買ったとき・建てたときにかかったお金です(国税庁 No.3252)。
- 土地・建物の購入代金、建築代金、購入時の仲介手数料
- 買ったときの登録免許税(登記費用を含む)、不動産取得税、印紙税
- その後にかけた設備費・改良費
建物は、この合計額から所有期間中の減価償却費に当たる額を引きます。 住まいとして使っていた(事業に使っていない)建物は、次の式です(国税庁 No.3261)。
住まいの建物の目減り(減価償却費相当額)
建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
- 償却率:木造 0.031、木骨モルタル 0.034、鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート 0.015、軽量鉄骨(骨格材の肉厚3mm以下)0.036、(3mm超4mm以下)0.025
- 経過年数:6か月以上の端数は1年、6か月未満は切り捨て
- 引けるのは取得価額の95%まで
たとえば木造の建物を2,500万円で建てて14年住むと、目減りは2,500万円×0.9×0.031×14=976.5万円。建物の取得費は1,523.5万円になります。

土地は目減りしないの?

土地は引きません。だから建物の割合が大きい家ほど、年数がたつと取得費が小さくなり、売却益が出やすくなります。売買契約書や建築の請負契約書で、土地と建物の内訳を確かめておきましょう。
取得費が分からないときは、売った金額の5%
古い家で契約書が見つからないなど、取得費が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます(概算取得費。国税庁 No.3258)。実際の取得費が5%より少ないときも、5%を使えます。
3,000万円で売れば、取得費は150万円です。実際の取得費が分かれば、たいていはそちらのほうが売却益は小さくなります。 売買契約書、請負契約書、ローンの契約書、通帳の振込記録などを先に探します。
相続や贈与で受け継いだ家は、亡くなった人・贈与した人が買ったときの金額と時期を引き継ぎます(国税庁 No.3270)。
譲渡費用:売るために直接かかったお金
譲渡費用は、売るために直接かかった費用です(国税庁 No.3255)。
| 譲渡費用になる | 譲渡費用にならない |
|---|---|
| 売るときの仲介手数料 | 修繕費、固定資産税など、持っている間の維持・管理の費用 |
| 売買契約書の印紙税(売主の負担分) | 売った代金を受け取るための費用 |
| 建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用 | |
| 有利な条件で売り直すために払った違約金 |
仲介手数料の上限は告示で決まっていて、400万円を超える売買なら(売った金額×3%+6万円)×1.1です(消費税込み)。5,800万円で売れば上限は198万円です。ただし、800万円以下の家や土地を売るときは、2024年7月からの特例で、この式を超えて最大33万円(30万円×1.1)まで受け取れることになっています(告示の第7「低廉な空家等」の特例)。買うときの諸費用は注文住宅の諸費用の記事にまとめています。
3,000万円の特別控除の要件
住んでいた家を売ったときは、所有期間の長短に関係なく、売却益から最高3,000万円を差し引けます(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例。国税庁 No.3302)。売却益が3,000万円より少なければ、売却益の額までです。
3,000万円控除の主な要件(国税庁 No.3302)
- 売ったのは、いま住んでいる家、または以前に住んでいた家(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)。家と一緒に売った敷地も対象
- 売った年の前年・前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けていない
- 売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていない
- 売った家や敷地について、収用の特別控除などほかの特例を受けていない
- 買主が、親子や夫婦など「特別の関係がある人」ではない
引っ越したあとでも、3年目の年末まで
以前に住んでいた家も、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象です(国税庁 No.3302・No.3314)。住まなくなったあとに人に貸していても、空き家にしていてもかまいません。
| 住まなくなった年 | 売却の期限 |
|---|---|
| 2025年 | 2028年12月31日 |
| 2026年 | 2029年12月31日 |
| 2027年 | 2030年12月31日 |
この期間を過ぎてから売ると、特例は受けられません。家を取り壊して土地だけを売るときは、取り壊した日から1年以内に売買契約を結ぶことと、それまでその土地を貸駐車場などに使っていないことも要件です。
使えない家・使えない相手
次の家は対象外です(国税庁 No.3302「適用除外」)。
- この特例を受けることだけを目的に入居したと認められる家
- 新築の間だけの仮住まいなど、一時的に入居した家
- 別荘など、主に趣味・娯楽・保養のための家
買主の側では、親子や夫婦のほか、生計を一にする親族、売ったあとその家で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却が対象外です。親族に家を売る話が出たら、この特例が使えないことを前提に計算します。
税金が0円でも、確定申告が要る
3,000万円控除は、確定申告をして初めて受けられる特例です(国税庁 No.3302)。売却益が3,000万円以下で税金が0円になる場合も、譲渡所得の内訳書を添えて申告します。売った年の翌年2月16日から3月15日までが申告の期間です(国税庁 No.3102)。
配偶者控除などの判定には、控除前の売却益が入る
国税局のチェックシートには、基礎控除などの所得控除の判定に使う合計所得金額は、特別控除前の金額で判定するとあります(高松国税局「マイホームを売却した場合の特例チェックシート」)。共有名義の配偶者が売却益を得た年は、3,000万円控除で税金が0円でも、その配偶者が配偶者控除・扶養控除の対象から外れる場合があります。共有名義で売るときは、だれの持分がいくらかも含めて、税務署で確かめてください。
所有10年超なら税率が下がる
税率は、売った年の1月1日時点の所有期間で変わります(国税庁 No.3202・No.3208・No.3211・No.3305)。相続・贈与で受け継いだ家は、前の持ち主が取得した日から数えます。
| 区分(売った年の1月1日の所有期間) | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 短期(5年以下) | 30% | 9% |
| 長期(5年超) | 15% | 5% |
| 住まいの軽減税率(10年超):6,000万円以下の部分 | 10% | 4% |
| 住まいの軽減税率(10年超):6,000万円を超える部分 | 15% | 5% |
(所得税には別に、所得税額の2.1%の復興特別所得税がかかります。2047年分まで。住民税の内訳は名古屋市の例で、市民税・県民税の合計)
2026年に売るなら、2015年12月31日までに取得した家が軽減税率の対象(10年超)、2020年12月31日までに取得した家が長期です。3,000万円控除と軽減税率は重ねて使えます(国税庁 No.3305)。

売る時期を少しずらすだけで、税率が変わることもある?

あります。判定は「売った年の1月1日」なので、12月に売るか翌年1月に売るかで5年・10年の線をまたぐことがあります。売却の時期を決める前に、登記事項証明書で取得日を確かめておきましょう。
計算例|3,000万円控除で税金はどうなるか
ここからは当サイトの計算です。取得時の登記費用や不動産取得税など、取得費に足せる費用は省いています。実際には取得費が大きくなり、売却益は下の例より小さくなります。
例1:14年住んだ家を5,800万円で売る(控除で0円)
- 2012年4月に、土地2,000万円・木造の建物2,500万円で新築
- 2026年9月に5,800万円で売却(所有は14年5か月)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 建物の目減り | 2,500万円×0.9×0.031×14年 | 976.5万円 |
| 取得費 | 土地2,000万円+建物(2,500万円−976.5万円) | 3,523.5万円 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料198万円+印紙税3万円 | 201万円 |
| 売却益 | 5,800万円−3,523.5万円−201万円 | 2,075.5万円 |
| 3,000万円控除のあと | 2,075.5万円−2,075.5万円 | 0円 |
建てたときの合計4,500万円より1,300万円高く売れ、さらに建物の目減りで取得費が小さくなったため、売却益は2,000万円を超えました。3,000万円控除を使えば税金は0円ですが、確定申告は要ります。
例2:取得費が分からない家を6,000万円で売る
- 30年ほど前に買った家。契約書が見つからず、取得費は概算の5%(300万円)
- 6,000万円で売却。所有は10年超
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 譲渡費用 | 仲介手数料204.6万円+印紙税3万円 | 207.6万円 |
| 売却益 | 6,000万円−300万円−207.6万円 | 5,492.4万円 |
| 課税される金額 | 5,492.4万円−3,000万円 | 2,492.4万円 |
| 所得税(軽減税率10%) | 2,492.4万円×10% | 249.24万円 |
| 復興特別所得税 | 249.24万円×2.1% | 約5.2万円 |
| 住民税(4%) | 2,492.4万円×4% | 約99.7万円 |
| 合計 | 約354万円 |
同じ2,492.4万円に、軽減税率ではない長期の税率(15%・5%)をあてると約506万円です。所有10年超の軽減で、約152万円少なくなっています。買ったときの契約書が見つかれば、取得費が5%より大きくなり、税金はさらに減ります。
住み替えで、住宅ローン控除が使えなくなる組み合わせ
住み替えでいちばん見落とされやすいのが、ここです。
新しい家の住宅ローン控除には、「居住年およびその前2年、その後3年の計6年間」に、次の特例を受けていないことという要件があります(国税庁 No.1211-1 の要件6)。
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率。措法31の3①)
- 居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円控除。措法35①)
- 特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)など
つまり、前の家の売却で3,000万円控除や軽減税率を使うと、新しい家の住宅ローン控除は受けられません。 前の家を出た年に新しい家へ入居した場合、3,000万円控除の期限(住まなくなってから3年目の年末)と、住宅ローン控除の「その後3年」は同じ年で終わります。住み替えで前の家を売るなら、たいていこの6年の中に入ります。
先に住宅ローン控除を受けていた場合
新しい家で住宅ローン控除を受けたあとに前の家を売り、3,000万円控除などを受けるときは、さかのぼって住宅ローン控除が受けられなくなります。 売った年の前3年以内に住宅ローン控除を受けた年分があれば、売った年分の確定申告の期限までに、その年分の修正申告(または期限後申告)をして、控除された分の税金を納めます(国税庁 質疑応答事例「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例等の適用を受ける場合の修正申告」、措法41の3①)。
どちらが得かは、金額を出して比べる
例1(売却益2,075.5万円、所有10年超)で、新しい家をZEH水準の新築で建て、2026年に入居したとします。
| 選ぶ道 | 前の家の売却の税金 | 新しい家の住宅ローン控除 |
|---|---|---|
| 3,000万円控除を使う | 0円 | 受けられない |
| 特例を使わず、住宅ローン控除を受ける | 長期の税率(15%・5%)で約422万円(軽減税率も使えないため) | 13年間で最大318.5万円(3,500万円×0.7%×13年) |
住宅ローン控除の318.5万円は、年末残高が13年間ずっと借入限度額3,500万円以上あり、所得税・住民税から全額引ききれた場合の上限です。実際は残高が毎年減るので、これより少なくなります。この例では、3,000万円控除を使うほうが手元に残るお金は多くなります。
逆に、売却益が小さく、新しい家の借入額が大きい場合は、住宅ローン控除を受けるほうが有利になることがあります。比べるときは次の2つを出します。
- 前の家の売却で、特例を使った場合と使わない場合の税額の差
- 新しい家の住宅ローン控除の13年間(中古住宅などは10年間)の見込み額。借入限度額と控除期間は住宅ローン控除の借入限度額と控除期間で確かめます

新しい家の住宅ローン控除の1年目を申告したあとで、前の家が売れる。住み替えでは、この順番がよく起きます。どちらを使うかは、新しい家の契約より前に、前の家の売却益の見込みを出して決めておくと迷いません。
売却損の特例は、住宅ローン控除と併用できる
一方、売って損が出たときの特例(次の節)は、住宅ローン控除と併用できます(国税庁 No.3370・No.3390 の注)。住み替えで制限がかかるのは、売却益が出たときの特例のほうです。
買換え特例は「非課税」ではなく「先送り」
所有10年超・居住10年以上の家を1億円以下で売り、新しい家に買い換えるときは、売却益への課税を将来に繰り延べる特例もあります(特定の居住用財産の買換えの特例。2027年12月31日までの売却。国税庁 No.3355)。
ただし非課税になるわけではありません。 新しい家を将来売るとき、繰り延べた売却益を加えて課税されます。3,000万円控除・軽減税率とは選択で、住宅ローン控除も受けられません。新しい家の床面積・省エネ性能・築年数などの要件も細かく決まっているので、使うかどうかは税務署で確かめてから決めます。
売って損が出たときの繰越控除
土地や建物を売って出た損は、原則として給与所得などほかの所得と差し引きできません(国税庁 No.3203)。ただし、住まいを売った場合は、次の2つの特例で、その年の給与所得などから差し引き(損益通算)、引ききれない分を翌年以後3年間繰り越せます。どちらも2027年12月31日までの売却が対象です。
| 買い換えたときの特例(No.3370) | ローンが残る家の特例(No.3390) | |
|---|---|---|
| 新しい家を買うか | 買う(前年1月1日〜翌年12月31日に取得、床面積50㎡以上) | 買わなくてよい |
| ローンの要件 | 新しい家に償還期間10年以上のローン(取得した年の年末に) | 売った家に、売買契約日の前日時点で償還期間10年以上のローン残高 |
| 差し引ける損 | 売却損の全額(敷地500㎡超の部分は繰越できない) | ローン残高−売った金額が上限 |
| 売った家の所有期間 | 売った年の1月1日で5年超 | 売った年の1月1日で5年超 |
| 繰越できない年 | 合計所得金額3,000万円超の年、年末に新しい家のローンがない年 | 合計所得金額3,000万円超の年 |
どちらも、親族などへの売却は対象外です。損益通算をした年は期限内に確定申告をし、繰り越す年も毎年続けて確定申告をします。
例3:買って6年半の家を、ローン残高より安く売る
- 2020年3月に、土地1,500万円・木造の建物2,500万円で取得(売った年の1月1日で5年超)
- 2026年9月に3,000万円で売却。売買契約日の前日のローン残高は3,400万円
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 建物の目減り | 2,500万円×0.9×0.031×7年(6年6か月→7年) | 488.25万円 |
| 取得費 | 1,500万円+(2,500万円−488.25万円) | 3,511.75万円 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料105.6万円+印紙税1万円 | 106.6万円 |
| 売却損 | 3,000万円−3,511.75万円−106.6万円 | −618.35万円 |
- 新しい家を10年以上のローンで買った場合(No.3370):618.35万円をその年の給与所得などから差し引き、引ききれない分は3年繰り越せます
- 新しい家を買わない場合(No.3390):差し引けるのはローン残高3,400万円−売った金額3,000万円=400万円まで
どちらの場合も、新しい家で住宅ローン控除を受けられます(要件を満たす場合)。売却でローンが残ってしまう事情については、住宅ローンが払えなくなったらや転職・収入減と住宅ローンもあわせて読んでください。
確定申告のしかたと時期
家を売った年の翌年に、確定申告をします。
確定申告の要点
- 期間:売った年の翌年2月16日〜3月15日(国税庁 No.3102)。2026年に売ったなら、2027年2月16日〜3月15日。売却損の特例で還付になる場合は、2月15日以前にも出せます
- 「売った日」:原則は家を買主に引き渡した日。売買契約の効力が生じた日(一般に契約日)で申告することもできます
- 作る書類:確定申告書、分離課税用の第三表、譲渡所得の内訳書(土地・建物用)。軽減税率では登記事項証明書も(不動産番号を書けば省略できる)。売却損の特例は、それぞれの明細書・計算書とローンの残高証明書
- 住民票の住所と売った家が違っていたとき:戸籍の附票の写しなど、住んでいたことを示す書類を添える
会社員で、ふだんは年末調整だけの人も、家を売った年は確定申告が要ります。確定申告がそもそも要る人・要らない人の全体は会社員の確定申告が必要な人・不要な人、期限を過ぎたときは確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。
住宅会社の営業担当の方へ|住み替えの相談で確かめること
住み替えのお客様は、新しい家の予算に、前の家の売却代金を入れて考えています。税金と控除の話を抜くと、予算と控除額の両方がずれます。
住み替えの相談で確かめること
- 前の家の取得日と取得費(土地と建物の内訳)。契約書が残っているか
- 売却益が出そうか、損が出そうか。ローン残高と売却の見込み額
- 売却益が出るなら、3,000万円控除と新居の住宅ローン控除のどちらを使うか。新居の入居年と前の家の売却年の関係
- 前の家を出る年と、3,000万円控除の期限(住まなくなってから3年目の年末)
- 買主が親族ではないか
- 判断は、お客様が税務署か税理士に確かめてから。この記事の例は目安です
まとめ
- 家を売って税金がかかるのは、売却益(売った金額−取得費−譲渡費用)が出たとき。建物の取得費は、年数分の目減りを引いた額
- 取得費が分からなければ、売った金額の5%を取得費にできる。ただし実際の取得費のほうが有利なことが多い
- 住んでいた家なら、売却益から最高3,000万円を引ける。住まなくなってから3年目の年末まで。親族などへの売却は対象外。税金が0円でも確定申告が要る
- 所有10年超(売った年の1月1日時点)なら、6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%。3,000万円控除と重ねて使える
- 住み替えでは、3,000万円控除や軽減税率を使うと新しい家の住宅ローン控除が受けられない。金額を出して比べる
- 売却損は、一定の要件で給与などから差し引け、3年繰り越せる。住宅ローン控除と併用できる。2027年12月31日までの売却
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出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.3302「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3314「過去に居住していたマイホームを売ったとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
- 国税庁 タックスアンサーNo.1440「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3208「長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3211「短期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3252「取得費となるもの」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3255「譲渡費用となるもの」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3258「取得費が分からないとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3261「建物の取得費の計算」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3270「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3355「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3370「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3390「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3203「不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」
- 国税庁 タックスアンサーNo.3102「譲渡所得の申告期限」
- 国税庁 タックスアンサーNo.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」
- 国税庁 質疑応答事例「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例等の適用を受ける場合の修正申告」
- 高松国税局「マイホームを売却した場合の特例チェックシート(令和7年分用)」
- 名古屋市「土地・建物・株式等の譲渡所得等の分離課税の税率」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」個人所得課税
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(大阪府の掲載)
- 国税庁 タックスアンサーNo.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
本記事は2026年10月17日時点で公表されている法令と国税庁の資料(タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等)に基づいています。計算例は当サイトの計算で、実際の税額は取得費・譲渡費用・所有期間・ほかの所得によって変わります。特例を使えるかどうかと税額は、所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
家を売って利益が出なければ、確定申告は要りませんか?
売却益(譲渡所得)が0円以下なら、譲渡所得の税金はかかりません。ただし、売却損を給与所得などと通算する特例(No.3370・No.3390)を使うときは、確定申告が要ります。売却益が出たのに3,000万円の特別控除で税金が0円になる場合も、控除を受けるために確定申告が必要です。
3,000万円の特別控除は、引っ越したあとでも使えますか?
使えます。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象です(国税庁No.3302・No.3314)。2026年に引っ越したなら、2029年12月31日までの売却です。その間に人に貸していてもかまいません。
住み替えで、3,000万円の特別控除と新しい家の住宅ローン控除は両方使えますか?
原則として使えません。新しい家に入居した年とその前2年・後3年の計6年間に、前の家の売却で3,000万円の特別控除や軽減税率の特例を受けると、新しい家の住宅ローン控除は受けられません(国税庁No.1211-1)。売却損の特例(No.3370・No.3390)は、住宅ローン控除と併用できます。
昔に買った家で、買ったときの金額が分かりません。
売った金額の5%を取得費にできます(概算取得費、国税庁No.3258)。3,000万円で売れば150万円です。実際の取得費が分かれば、そちらのほうが売却益は小さくなることが多いので、売買契約書や建築の請負契約書、通帳の記録などを先に探します。
親や子に家を売っても、3,000万円の特別控除は使えますか?
使えません。親子や夫婦、生計を一にする親族、売ったあとその家で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却は対象外です(国税庁No.3302)。



